中国の多砲身ロケット砲

 ちょっと前に北朝鮮の女性ロケット砲部隊の画像を紹介し、あの時ずいぶんクラシカルな兵器だなと思ったんですが、ロシアや中国では依然発達を続けているということです。

http://military.china.com/important/11132797/20130404/17761968.html


ロシア、解放軍の国産多砲身ロケット砲はすでに10種に達し、世界に先んじている、とする

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ロケット砲は発射速度が速く、火力が猛烈で、奇襲性が良く、機動能力が高く、極めて短時間のうちに大量のロケット弾を発射し、遠距離大面積の目標に向け突然の攻撃が実施できる、生体戦力と技術的兵器の殲滅、制圧に用い、敵に極めて大きい精神的な恐怖を与える。」)

【グローバルネット総合報道】 ロシアの週刊「軍工信使」4月3日の報道によれば、1963年に就役を開始したBM-21「氷雹」ロケット砲およびその後継機種は、かつてソ連ロケット砲兵を長期にわたり世界最高の技術レベルに置き、世界の潮流をリードした。現在ロシアは依然国際武器市場でロケット砲領域の主要な役割の1つを演じているが、全体的技術レベルはすでに立ち後れ、2年前に開始された「旋風」近代化ロケット砲への換装プロセスは相当に緩慢で、ほとんど停滞し進んでいない。

多砲身ロケット砲武器システムの主要な優勢は攻撃の突然性、火力の大面積目標殺傷の高度密集性、武器システムの高機動性(発射後何分かですぐ撤収し、敵サイドの反撃を防げる)、小型化、指揮が簡単、作戦機能が高い、日夜いかなる時間、いかなる気候条件下でも使用できる、製造コストが相対的に低いことにある。主要な欠陥は着弾点が比較的分散する、射撃暴露特性が比較的多い(煙、灰塵、炎を多く出す)、戦闘部の重量が大きくない(頑住吉注:通常の砲弾にはない推進薬にスペースを取られるため)、中、短射程内の火力機動能力が限られていることである(頑住吉注:中、短距離で射程を自由に調節しにくい、というようなことでしょうか)。今後の近代化されたロケット砲の主要な発展の趨勢は依然、弾薬の口径拡大、任務範囲の拡大、再装填速度の向上、射程延長、命中精度向上である。このうち精度の向上は西側諸国が比較的重視する主要な指標の1つで、これによりこの種の武器システムが民間人に対しもたらす誤爆を減らすことを希望している。

現在多数のヨーロッパ諸国は全体的に依然ロケット砲を大殺傷武器と見なしており(頑住吉注:命中精度が低く大面積を無差別に破壊する大量破壊兵器に近いもの、ということでしょう)、このためデンマークおよびオランダ軍が装備していたロケット砲はすでに退役している。だが上述の各種の要素を総合して見ると、ロケット砲は依然世界の多数の国に最も歓迎される武器の1つであり、特にリビア戦争後、意外にもカダフィの正規軍はまさにソ連製のロケット砲に頼って一定期間、NATOの空爆という条件下で成功裏に数量上優勢を占めるリビア反乱軍を攻撃した。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「近代化された戦争条件の下で各軍兵種の打撃火力が全て長射程化、高精度化に向かって発展するにつれ、近代化された長射程、超長射程ロケット砲の急速な発展も促進された。」です。)

ソ連・ロシアのロケット砲兵の歴史は非常に長い。1941年7月16日、ソ連軍の132mmBMー13ー16「カチューシャ」ロケット砲1個中隊がドイツ軍のある鉄道の中枢を一挙に破壊し、ドイツ軍輸送部隊と装備の軍用列車を殲滅し、ロケット砲兵の輝かしい時代の幕を開けた。第二次大戦終結前、ソ連軍は相次いで一連の「カチューシャ」改良型ロケット砲を装備し、これにはBM-24、BM-14、BMD-20、RPU-14などが含まれた。1963年3月28日に正式に就役した122mm40本砲身BMー21「氷雹」ロケット砲は1つの時代のシンボルとなった。1976年、ソ連軍はより先進的な220mm16本砲身「颶風」ロケット砲の装備を開始した。ソ連時代のロケット砲領域を終わらせたのは1987年に装備が開始された300mm12本砲身の「竜巻風」ロケット砲で、最大射程は90km、制御誘導砲弾が発射でき、1回の斉射は62.2万平方mの面積をカバーでき、送弾システムは完全機械化を実現した。ロシア時代に入ると、「合金」科学生産企業が1990年代初めに「氷雹」ロケット砲を不断に改良し、最終的に122mm「旋風-G」ロケット砲を研究開発した。2012年9月、同社はロシア国防省と36セットのこの火砲の供給に関する協議を成立させたが、契約履行は進展が緩慢である。当局のデータによれば、現在までロシア軍は30セットの「旋風-G」しか装備していない。メーカーは「旋風-G」ロケット砲生産の前途の見通しは楽観を許さず、工場はかつて大量生産に入ることを準備したが、まだロシア軍サイドには受け入れられておらず、原因はこのシステムの最大射程が40kmしかなく、軍サイドが提出している射程に関する要求より遙かに短いことだ、と指摘する。その前身である「氷雹」ロケット砲に比べ、「旋風-G」の主要なメリットは作戦チームが3人から2人に減り、陣地への配置時間が大幅に短縮し、しかも地形を考えたり測量による準備をする必要がなくすぐ発射でき、新型の半自動制御誘導弾薬が使用でき、威力がより大きいことである。最新の300mm9K58M「旋風-S」になると射程は120kmまで延長され、GLONASS衛星ナビゲーションシステムを使用すると命中精度が大幅に向上し、制御誘導と照準の自動化レベルが顕著に向上し、作戦準備時間が大幅に短縮されている。2012年からすでに少数装備が開始されており、徐々にその前身の「竜巻風」ロケット砲に取って代わる計画である。だが、このロケット砲の換装プロセスは全体的に進展が緩慢で、甚だしきに至っては相対的に停滞し、ロシア国防省のこの方面における立場は依然特別はっきりしたものではない。

これに比べると、欧米のロケット砲領域における技術的進歩も同様に特別はっきりしたものではない。アメリカは1983年からM270装軌式240mm12本砲身MLRS自走ロケット砲の装備を開始して以来、2005年にやっとM142新型240mm6本砲身HIMARS装輪式自走ロケット砲の装備を開始した。新型ロケット砲は240mm口径の砲弾が使用でき、標準射程は40kmで、さらにATACMS戦術ミサイルが使用でき、慣性+GPS制御誘導方式を採用し、標準射程は120km、最大射程は140〜300km(砲弾の具体的機種によって決まる)にまで延長されている。ドイツが1980〜1983年に生産した(200セット)LARS-2型110mm国産ロケット砲は最大射程が25kmで、現在すでに全て退役し、アメリカのMLRSを基礎としたMARSロケット砲に更新されている。イタリアも同様に国産のFIROSを放棄し、アメリカのMLRSロケット砲の使用に改めている。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「現在中国はすでに独立して多くの性能が先進的なロケット砲を研究開発している」です。)

イスラエル軍事工業社が研究開発したLynxモジュール化ロケット砲は汎用性能上アメリカ製品に勝っている。これは各種の類型と口径の弾薬を広範に使用でき、これはソ連の「氷雹」ロケット砲からイスラエルのLAR-160ロケット砲まで(頑住吉注:アラブ諸国から鹵獲したソ連・ロシア製ロケット砲弾が多数あるんでしょう)、また最大射程150kmのExtra高精度戦術ミサイルから射程200kmの「デリラ」巡航ミサイルまでで、この他さらに無人機を発射することができる。

日本の自衛隊は1970年代に最大射程15kmの130mm75式国産ロケット砲を放棄し、全てアメリカのM270 MLRSに更新し、したがってロケット砲領域の精鋭クラブに加入している。

現在中国は多砲身ロケット砲方面において世界に先んじた優勢にあり、最も強大な先進システムを持つ。2004年に装備した425mm6本砲身「衛士-2D」ロケット砲は標準射程が200kmに達し得、台湾海前線地域をカバーするに足り、その基礎プラットフォームである302mmの「衛士-1」型ロケット砲は最大射程が180kmに達し得、300mmの12本砲身PHL-03ロケット砲の射程も130kmに達し得る。この他さらに射程50kmのA-100ロケット砲がある。現在解放軍が使用する主たる形式のロケット砲は依然ソ連の「氷雹」を基礎にした122mm81式ロケット砲であり、しかも中国は国際市場に向け積極的にこの型、およびその各種改良型装輪、装軌式自走ロケット砲をセールスしている。

現在中国人民解放軍は全部で10種近い類型の国産ロケット砲を装備しており、これには1982年に装備が開始された射程8〜12kmの122mm81式ロケット砲(ソ連の9K51「氷雹」のコピー生産品)、1982年に装備が開始された射程10.1kmの130mm82式ロケット砲、1983年に装備が開始された射程23〜40kmの273mm83式(WM-40)ロケット砲、1980年代末に装備が開始された射程8〜20(30)kmの122mm89式ロケット砲、2002年に装備が開始された射程40から50(120)kmの300mmA-100式ロケット砲(9K58「竜巻風」のコピー生産品)、2004年に装備が開始された射程20〜130(150)kmの300mmPHL-03式ロケット砲(9K58「竜巻風」のコピー生産品)、装備開始年代不詳の射程40〜100kmの302mm「衛士-1」型ロケット砲、射程60〜180kmの302mm「衛士-1B」型ロケット砲、射程20〜40kmの122mm「衛士-1E」型ロケット砲、2004(2008)年に装備が開始された射程70〜200kmの400mm「衛士-2」型ロケット砲、および2008年に装備が開始された射程200(400、425)kmの425mm「衛士-2D」型ロケット砲がある。(編集翻訳:林海)

(頑住吉注:4ページ目)中国のロケット砲は長射程、大威力、高精度の方向に向かって急速に発展している

(頑住吉注:5ページ目)強力な火力打撃は有効に敵の生体戦力を殺傷し、敵に最大限度の心理的震撼を与え得る

(頑住吉注:6ページ目)中国のロケット砲は国際市場でも広く好評を得ている

(頑住吉注:7ページ目)現在中国は多砲身ロケット砲方面で世界に先んじた優勢にあり、最も強大な先進システムを持つ

(頑住吉注:8ページ目)現在中国人民解放軍は全部で10種近い類型の国産ロケット砲を装備している


 ロケット砲には大きな長所がたくさんある反面大きな欠点もありますが、ミサイルあるいはミサイルほどでない簡易制御誘導システムを持つロケット弾を発射するなどの改良も行われているわけです。ただ「中国のロケット砲は最も強大な先進システム」というのは仮に本当だとしても、他の多くの国があまり本腰を入れていないためではないかという気がしますし、口径300mm、302mmが混在する、あまりにも接近して似た性能のロケット砲が登場しているなどの状況から見て、研究開発が理想的に行われているとはちょっと考えにくいです。












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