ウィンチェスター社の新型散弾2種

 中国語のページを検索していて、ウィンチェスター社の興味深い新型散弾に関するページを見つけました。たぶんアメリカの雑誌を翻訳したものでしょうが、私は知りませんでしたし検索しても日本語のサイトにはまだヒットしないので紹介します。

http://www.qbq.com.cn/bencandy.php?fid=39&id=1459


独自路線の新型散弾

(頑住吉注:最初の画像のキャプションです。「2種類の新型弾薬の対比。PDX1-410散弾(左)は弾薬全長63.5mmで、薬莢内には3枚の「Defense Disc」弾が収納され、その下には12粒のBB号散弾がある。一方PDX1-12散弾(右)は弾薬全長70mmで、薬莢内には3発の00号バック散弾、その下には1発の28.4gライフリング付きスラッグ弾がある」 なおBB号散弾は直径4.57mm、00バックは直径8.4mmだそうです)

ウィンチェスター(頑住吉注:中国語表記は「温徹斯特」で、「ウェン チェ ス トォ」という感じです)社が生産するPDX1個人自衛散弾系列は北米民間市場において一定のシェアを占めており、ユーザーの好評を博しているが、今年同社はさらにこの系列の散弾に2名の新メンバーを加えた。PDX1-410散弾とPDX1-12散弾である。この2種の新型散弾は細かい散弾、バック弾、スラッグ弾、それぞれの長所を結合し、存在した散弾の空白を埋めた。

近年来、散弾は家庭と個人の自衛に使用する有効な弾種として公認され、このため多くのメーカーが散弾の開発を開始した。例えばウィンチェスター社は、PDX1個人自衛散弾系列と呼ばれる一連のまったく新しい散弾を開発した。この系列の散弾はいずれも細かい散弾、バック弾、スラッグ弾という3種の基本的な猟銃弾丸の中の2種の特性を結合したものである。これらは人に斬新な印象を与え、民間ユーザーの好評を博した。今年ウィンチェスター社はこの系列の散弾に2名の新メンバーを加えた。0.410インチ口径のPDX1-410散弾と、12番口径のPDX1-12散弾である。この2種の散弾は3種の散弾の長所を兼備しており、このため人をして喝采させた。

(頑住吉注:2、3枚目の画像のキャプションです。「銃身長76mmの「ジャッジ」リボルバーを使用してPDX1-410散弾を発射した場合、初速は約229m/s、弾丸のエネルギー量は比較的大きく、殺傷力は軽視できない。」 ちなみに「ジャッジ」は「判官」です )

PDX1-410散弾

新型の0.410インチ PDX1-410散弾は、特にタウルス(頑住吉注:「陶魯斯」、「タオ ルー スー」という感じ)社の生産する「ジャッジ」系列リボルバーの中の0.410インチ口径の製品に使用するために設計されたものである。「ジャッジ」系列リボルバーはタウルス社が民間市場向けに登場させた自衛用リボルバーで、この系列のリボルバーの独特な所は、0.45インチACP弾薬が使用できるだけでなく、いかなる部品も交換する必要なく民間市場に非常に広く普及している0.410インチ散弾が使用できることである。また、この弾薬は同じ口径の散弾銃にも使用できる(頑住吉注:.44-40を使用するピースメーカーのように長物とハンドガンで弾薬が共用できて便利、ということでしょう)。

伝統的な散弾には主に3種がある。すなわち内容物がそれぞれ細かい散弾、バック弾、スラッグ弾である散弾である。このうちバック散弾は総合的な効果が最も良好と普遍的に考えられているが、細かい散弾と比べると弾丸の散布面が限られている。一方スラッグ弾と比べるとその貫通力は明らかに不足である。要するにバック弾は効果が最良であっても、やはり大きな欠陥もある。ウィンチェスター社の新型PDX1-410散弾は良好にこの方面の不足を埋め合わせた。それは細かい散弾、バック弾、スラッグ弾という3種の散弾の長所を兼ね備えているのである。

PDX1-410散弾は弾薬全長が63.5mmで、薬莢内には3枚の「Defense Disc」弾と12粒のBB号散弾が内蔵されている。これとは別に試験型のPDX1-410散弾があり、これは弾薬全長76.2mm、内部に4枚の「Defense Disc」弾と12粒のBB号散弾が内蔵されている(頑住吉注:タウルスのこのシリーズは2.5インチチャンバーとなっているので63.5mmでギリギリとなり、76.2mmのタイプは装填できないはずです)。

標準的なPDX1-410散弾の中では3枚の「Defense Disc」弾が薬莢内で一列に並んでおり、スラッグ弾の作用を引き起こすことができ、かつこの他に12粒のBB号散弾が「Defense Disc」弾の散布範囲と貫通力方面の不足を補っている(頑住吉注:貫通力は大きな「Defense Disc」の方が上では)。「Defense Disc」とBB号散弾は相互に結合し、互いに短所を補い、室内等短射程(3〜5m)で使用する個人自衛用の理想的弾薬となっているのである。

PDX1-410散弾は伝統的な0.410インチ口径散弾銃、「ジャッジ」リボルバーに使用した場合、いずれも非常に有効で、家に闖入するならず者に対して使用するのに適している。

「ジャッジ」リボルバーを使ってこの新型0.410インチ散弾のエネルギー量と貫通力を見てみよう。典型的な銃身長89cmの「ジャッジ」リボルバーを使用してPDX1-410散弾を発射した時、計測された初速は約229m/sだった。この初速は銃身長102mmの0.38インチリボルバーから発射される標準的な弾丸重量10.2gのリボルバー弾丸の速度に相当する(頑住吉注:まあそういう弾薬もあるでしょうが普通もっと速いのでは)。これに加えPDX1-410散弾内には3枚の「Defense Disc」弾と12粒のBB号散弾が内蔵されており、その殺傷力は疑いの余地のないものである。

注意を要するのは「ジャッジ」リボルバーには多種の銃身長があって選択可能なことだ。51mmのコンパクト型自衛バレルから152mmのスポーツ、狩猟用バレルまで多種多様であり、銃身長が異なれば弾丸の初速も異なり、弾丸の散布も異なることになる。このためユーザーは新型のPDX1-410散弾を採用する際、「ジャッジ」リボルバーを使って異なる典型的な防衛距離上で何度も反復して射撃を行い、この弾薬が異なる銃身長の「ジャッジ」リボルバーで使用した際の散布特性を熟知し、命中精度を高めるのが最良である(頑住吉注:セルフディフェンスでそこまでできる人はほとんどいないでしょう)。

(頑住吉注:2ページ目1枚目の画像のキャプションです。「6.1mの距離で銃身長51mmの「ジャッジ」リボルバーを使用してPDX1-410散弾を発射した場合、その散布直径は人間の胴体の寸法に相当し、有効な殺傷効果が達成できる。」 たった6mとは思えない大きなパターンですね。しかし狙点を中心とした直径12cmくらいの円内には1発も命中していないようなのが気になります。顔面を狙って撃ったら乏しい効果しか得られない可能性もあるのでは。だからこそパターンをよく理解しておかなきゃいかんぞということなんでしょうが)

PDX1-12散弾

PDX1ファミリーのもう1名の新メンバーであるPDX1-12散弾は12番口径を採用しており、弾薬全長70mm、内部には重量28.4gのライフリングのあるスラッグ弾1発があり、その上にはさらに3発の00バック弾が横に並んでいる。このような設計はPDX1-12散弾を、散布直径が小さい、多種の距離での使用に適する個人自衛用散弾にしている。

PDX1-12散弾はスムーズボアバレルでの使用にも、ライフリングバレルでの使用にも適する。スムーズボアバレルを使用してこの弾薬を発射した時は3発のバック弾が自然に正三角形の散布を呈し、この種の散布形状が約27.4mの距離まで保持される(頑住吉注:「約27.4m」ってあんた。約30mでいいでしょう。ヤードやフィートに換算してもきれいな数値にはならず、意味不明です)。一方スラッグ弾がバレルから飛び出す際、その効果は普通のスラッグ弾と大差ない。この種の特性はPDX1-12散弾を、使用時に照準ミスがもたらす精度不足を有効に補い、ターゲットに命中する可能性を増大させる。3発のバック弾の中の少なくとも1発が攻撃してくる者に命中する可能性が高いからである。一方ライフリングバレルを使用してPDX1-12散弾を発射する時は3発のバック弾の近距離上での散布は非常に小さくなり、一方スラッグ弾にはライフリングがあるので比較的遠距離において比較的高い精度が達成される。つまり、近距離の場合にライフリングバレルを使用して発射してもよいし、比較的遠距離の場合にライフリングバレルを使用すればさらに適している。ライフリングバレルを使用しての発射時は非常に正確で、距離が比較的遠い時にもし3発のバック弾が全てターゲットに命中しなかったとしても、なお後方のスラッグ弾がターゲットに命中することに期待できるからである。

要するにウィンチェスター社のこの2種の新型散弾は、個人自衛用散弾の全体概念を1つの新しい高みに押し上げたものであり、マーケットの先行きは非常に広大である。

(頑住吉注:最後の画像のキャプションです。「3mの距離で、ライフリングバレルを持つ銃でPDX1-12散弾を発射した時、その散布は非常に密集したものになる。」)


 PDX1-12において、ライフリングがあると3発の散弾の散布が小さくなるという理屈がちょっと理解できません。通常のライフリングのある銃とは異なり、3発の散弾それぞれは一部のみをライフリングにこすられるだけであり、むしろ遠心力によってパターンが広がりそうな気さえします。具体的にスムーズボアだと距離〜mにおいて平均〜cmに広がるがライフリングバレルだと〜cmだといった数値も示されていないので納得いかないです。また仮に本当だとして、散弾銃は近距離武器なのであまりパターンが密集したのでは意味がないのではないでしょうか。

 非常に面白いアイデアだとは思いますが、個人的にはいずれの弾薬にもちょっと疑問があります。PDX1-410に関しては、黒色火薬時代のような低速で発射される直径5mmにも満たない小さな散弾の対人効力は限られており、むしろ「Defense Disc」を5枚に増やして散弾はなしにする方が有効ではないのかとも思えます。PDX1-12に関しては、スラッグ弾が命中すれば言うまでもなく効力は充分なわけで、それが外れた場合にたった3発の散弾のまぐれあたりが期待できなくもない、というのに大きな意味があるだろうかという気がします。

http://www.winchester.com/Products/shotshell-ammunition/supreme-elite/pdx1410/Pages/S410PDX1.aspx

http://www.winchester.com/Products/shotshell-ammunition/supreme-elite/pdx112/Pages/S12PDX1.aspx

 ウィンチェスターの公式ページです。今回紹介した記事の記述ではPDX1シリーズがすでにあって、この2種が新たに加わった、となっているんですが、他のPDX1弾薬というのは見当たりません。

http://wn.com/Judge_with_PDX_1_ammo

 この弾薬を紹介した動画です。








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