中国から見たAN94

 今回は中国のサイトによるAN94の解説を紹介します。

http://www.qbq.com.cn/a/bencandy.php?fid=33&aid=995


成功するもまずい立場に ロシア製AN94アサルトライフル全解説

10年前、ゲナーディ ニコノフAN94アサルトライフルが出現し、全世界の小火器界を震撼させた。この銃には完璧なバースト性能があり、その初弾命中率は世界のアサルトライフル中最高であると称するに耐える(頑住吉注:この「初弾」は高速バーストによる2発を含めて言っています)。AN94小銃の各項目の性能はその先輩、すなわち伝説的色彩を備えたカラシニコフ小銃を全面的に超越している。しかしAN94は成功を獲得したのに栄誉満載とはいかず、最終的にカラシニコフ小銃に取って代わり、成功の頂点に至ることは難しい。

AN94小銃に関し、本誌は1999年第2期と2001年第6期で報道したが、当時この銃は依然秘密保持状態に属していた。10年が過ぎ、ロシアはAN94に対しても幾重もの秘密を開示した。本文はここにAN94小銃の構造、境遇等々の方面を極力完全に披露する(頑住吉注:この記事は元々「軽兵器」誌2007年9月上旬号に掲載されたものです。ちなみに私が「Visier」の記事を紹介したのは2003年のことでした)。

「アバカン」開発の神話

1981年、ソ連軍は新世代アサルトライフル研究開発を行う「アバカン」選定計画の始動を宣言した。

実際のところ、AK47研究開発時のソ連軍のアサルトライフルに対する理解は威力が増強されたサブマシンガンに過ぎず、その使用もかなりの程度第二次大戦中に蓄積されたサブマシンガン戦術の流用だった。このため射撃精度に対しては充分に重視されてはいなかった。我が国がAK47を導入した時もまさにこの影響を受け、ゆえにそのコピー生産品は「56式サブマシンガン」と命名された。

AK74がAK47に取って代わったのはソ連の小銃小口径化への道における道標的な事件だった。実は当時カラシニコフと競争した戦後第二世代制式小銃候補のさらなる数機種にはそれぞれ特色ある設計が見られた。最終的にAK74が選ばれたのは技術および性能上の考慮からのことだけではなく、いくつかの技術とは関係ない原因もそこにはからんでいた。すなわち、AK74を採用すれば、工業部門は多くの生産転換のための経費を投入する必要がない。兵士は改めての訓練養成をほとんど必要としない。何故ならばその操作規程は本来装備されていたAKMと基本的に同じだからである。当時の小口径弾薬研究開発のための経費消耗が甚大だった状況下で、新しい銃への装備改変コストは最終的決定に直接影響したのである。

換装後間もなくであるアフガン戦争において、ソ連軍の機械化歩兵戦術は複雑な山地環境で深刻な風土不適応を暴露した。特に敵のゲリラ戦に直面すると、射撃精度が不足のAK74は作用を発揮することが難しく、現場の兵士のこの問題に対する反響は非常に強烈だった。5.45mm小銃/弾薬システムの有効性を効果的に向上させるため、軍は新型小銃の研究開発を提起し、新型小銃の精度はAK74に比べ5〜10倍にし、かつ前任小銃の信頼性を保持し、既存のセットされる制式アクセサリー(例えばグレネードランチャー、各種光学サイト、バヨネット等)を装備できることを要求した。

アサルトライフルの連続射撃過程で、弾丸がマズルを出る時の射撃インパルスと作動部品の後座インパルスは必然的に銃や射手に作用することになり、武器に偏差を発生させ、したがって後続の弾丸は目標をそれることになる。理論研究および国内外のかつての実践経験は、通常の方法を採用して散布精度を向上させることは極めて有限であり、この問題の解決は武器の構造の徹底した改変によってのみ得られると証明している。このため、「アバカン」計画では多種の斬新な技術的ルートが研究され、これには「平衡式自動機構原理」および「遅延後座」原理が含まれていた。

平衡式自動機構原理を採用した比較的成熟した武器は、カフロフスク兵器工場のAEK971小銃である。この銃は自動機構に平衡ブロックを付加し、撃発後ボルトキャリアと平衡ブロックが火薬ガスの圧力下で同時に反対方向に同じ速度で運動し、これにより運動のインパルスが打ち消され、射手は射撃インパルスのみ感じ取れ、自動機構の後座インパルスはほとんど感じず、したがって連発射撃精度が向上するというものだ。



(頑住吉注:中国のサイトで見つけてきた画像です。ボルトキャリアの前方に伸びているのがその部分でしょう。ところで弾丸発射の反作用の運動量と、ボルトグループが後方にぶつかって伝達される運動量って、どのくらいの比率なんでしょうね)

だがニコノフはいかなる原理にも限度があると考えた。平衡式自動機構は自動機構の後座インパルスを真に打ち消すことができるわけではなく、これを運動過程に平均的に分配するに過ぎず、精度向上の効果は相当限られる(頑住吉注:これ何を言っているのか分かりません。そんなことは困難ですし、もしできても重量の大きな増大につながりますが、ボルトグループと同じ重量のブロックを同じスピードで前進させ、同じタイミングで前方に衝突させれば、ボルトグループが後方に衝突することによって伝達される運動量は完全に打ち消されるはずではないでしょうか)。彼自身が選択した遅延後座原理も例外ではない。どのように遅延しても、後座し切るタイミングは必ずあり、後座の精度に対する不利な影響を一定限度内で切り下げることができるだけで、完全に消し去ることは不可能である。このため、ニコノフは設計中連発射撃全過程の精度向上は追求せず、2発バーストとフルオート射撃の最初の2発に注意力を集中した。すなわちできる限り初弾命中確率を向上させようとしたのである。ニコノフの最初の設計は3発の高いレートでのバーストだったが、後に軍の要求に応えて2発バーストに改めた。最終的にニコノフ小銃は1,800発/分もの高い理論上の発射速度で2発バーストが行え、しかも遅延ボルト後座により、ボルトは2発の射撃サイクルが実現でき、2発の高レートバースト後にやっと後座し切る。すなわち射手がまだ武器の後座を感じない時点で2発の弾丸がすでにマズルを出、したがって命中確率が向上することになった(頑住吉注:厳密に言えばボルトグループが後方に衝突する前にもスプリングを介して運動量の一部は伝達されているんですけどね)。

実際には、遅延後座原理は中央精密機械科学技術研究所のトカチェフが1970年代に彼の自動火器の射撃精度向上に関する学位論文の中で率先して提出しており、ニコノフもスチェッキンもこの原理を基礎に設計を展開したが、ニコノフだけが成功裏にトカチェフの構想を現実のものにしたのである。

「アバカン」選定の中で数回にわたる射撃場での試験による審査を経たが、ニコノフ小銃は頭角を現し、カンジエミロフ師団やその他の部隊に送られて部隊試験が行われた。最終的結論は次のようなものだった。この銃は戦術技術指標要求に完全に符合し、しかも期待された目標を超えている。1997年5月14日、ロシア連邦政府は56926文書を公布し、ニコノフが設計したAN94式5.45mmアサルトライフルが正式に装備され、装備コードは6P33であると発表した。ニコノフは「アバカン」計画の最終的勝者となったのである。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「AN94アサルトライフル右側面図」)



(頑住吉注:これより2ページ目)

銃全体の構造の秘密を解除する

AN94はガスオペレーション式とショートリコイル式の混合自動機構原理を採用している。銃全体は射撃ユニット、レシーバー、発射機構、マガジン、レシーバーカバーからなる。ロシア軍制式バヨネット、グレネードランチャー、各種光学サイトが装備できる。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「AN94アサルトライフルはその他の小銃と同じようにバヨネットをバレル下方に装備せず、バレル右側に装備する。この種の設計はGP-25型グレネードランチャーとバヨネットを同時に装備するのに便利なためである。」)

射撃ユニット

射撃ユニットはレシーバー内に装備され、バレルと固定して連結されたバレルエクステンション、ボルトキャリア、ボルト、ハンマー、復座機構、ハンマースプリング、プーリー、スチールワイヤーと固定して接合された抜弾バー、抜弾バースプリング、銃口装置等の部品からなる。

バレルとバレルエクステンションは射撃ユニットの全体的フレームで、プーリー座、ガス導入室、フロントサイトベース、銃口装置はいずれもバレルの外表面に装備されている。銃口装置には2つの膨張空洞があり、外観は「8」の字型である。膨張空洞は偏心した構造で、火薬ガスは偏心した円形の膨張空洞に進入すると上に向け膨張し、かつ膨張空洞の壁に沿って回転する渦状の流れを生む。これで軸向きの気流を削減し弱めることもできるし、摩擦による消耗で気流の速度を低下させることもできる。バヨネットのインターフェイスはフロントサイトベースの右側面にある。プーリー座の中軸はプーリーの装着に用い、上下両側の突起はプーリーの回転運動を支持するのに役立つ。下の突起は射撃ユニットのバッファーを連結するのに使われる。

シアはバレルエクステンション内の横軸に装備され、弾性を持つ。シアにある突起はハンマーをコック状態で止めることができる。シアの横穴内にはディスコネクターが装備される。ディスコネクターは段々になった円柱体で、トリガー連結バーと相互に共同して射撃を完成させる。

ボルトキャリアはバレルエクステンション内のガイドレールに装備される。その作用は次のものを含む。内側の曲線ミゾとボルト上の閉鎖突起が共同して開鎖、閉鎖の動作を完成させる。ボルトとハンマーを連動して運動させる。プーリーと引索帯によりバレル/バレルエクステンションを連動して運動させる。

ハンマーはバレルエクステンション内に装備され、後方のバッファー機構のガイドロッドにかぶせられている。ハンマーには穴があり、ハンマースプリングとガイドロッドの装備に用いられる。ハンマースプリングはハンマーの空洞内に装備され、後方のバッファーのガイドロッドに巻かれている。ハンマースプリングはハンマーがボルトキャリアと共に後座した時にエネルギーを蓄え、ハンマーのために前進のエネルギーを提供することができる。

バッファー機構はバレルエクステンション後方に装備され、後部カバー板、バッファースプリング、ガイドロッドからなる。その作用は、ボルトキャリアの後座を遅延させる他、ボルトキャリアがハンマーを連動させて前進復座する過程で付加助推力を提供することである。

プーリーはプーリー座の軸に装備され、これに巻かれた引索の位置決めと方向ガイドの作用をする。

抜弾バーの作用はボルトとボルトキャリアの後座過程で次の弾薬をマガジン内から押し出すことである。抜弾バーの前部と引索尾端の突起部は連結固定されている。

引索はスチールワイヤーを編んで作られ、突起部が付属した1本の縄で、片方の端は抜弾バーと連結され、他の端はボルトキャリアに装着されている。引索とプーリーの共同作用は、ボルトキャリアと抜弾バーの運動に関連を発生させる。

抜弾バースプリングはバレルエクステンション底部壁の孔内に位置し、抜弾バーに巻かれている。抜弾バースプリングは抜弾バーを元の位置に復帰させ、かつ引索とプーリーによってボルトキャリアを前方位置に復帰させることができる。

レシーバー 

レシーバーの作用は次の通りである。基本部品を連結させ、自動機構を収納し、自動機構に砂や塵が侵入しないよう保護する。銃を操作しやすくし、射手が射撃時に手を火傷しないよう保護する。

レシーバー前方のパイプはバッファースプリングの収納に用い、パイプの前端は装着基座の装着に用いる。基座下方のインターフェイスは吊り下げ式グレネードランチャーの装着に用いる。前部バッファースプリングはレシーバー前端、前部支持架後方のパイプ内に位置し、射撃ユニットの後座の緩衝と復座の加速に用いられる。可動フォーロワはレシーバー内の空洞部の底壁に位置し、バレルエクステンションと組み合わさって過渡チャンバーを形成する。前部支持架は基座上方のミゾ内に装備され、ピンによる固定が採用されている。射撃ユニットの前端を支持しるのに用いられ、射撃ユニットがレシーバーに対し運動する時に方向誘導の作用をする。

発射機構

発射機構は射撃をコントロールするのに用いられる。発射機構ベース、トリガー、トリガー連結バー、セレクター、連結バースプリング、連結バー軸、セーフティ、グリップ、弾性マガジンキャッチからなる。

トリガー連結バーは連結バー軸に装備されている。その左側にはセレクターとかみ合うミゾが設けられている。右側には長い突起と短い突起が設けられ、シア上の撃発レバーと異なる形式でかみ合い、射撃方式の転換を実現する。

セレクターはグリップ上方に位置し、射撃方式の選択に用いられる。セレクターを動かすと、連動してトリガー連結バーをバレル軸線方向に沿って移動させ、3つの固定された対応位置に至らせることができ、もってセミオート、2発バースト、フルオートの転換を実現する。

連結バースプリングはトリガー連結バーとセレクターの間に位置する連結バー軸に巻かれている。その作用は充分なトリガープルの保証、そしてトリガー、トリガー連結バー、セレクターの復帰への動力の提供である。

セーフティレバーはトリガーガード内、トリガー前方に位置し、「〜」(頑住吉注:「I」の上にドイツ語のウムラウトのような横に並んだ2つの点がある文字です)の位置に動かすとセーフティ梃子がトリガーとトリガー連結バーを同時にロックする。

AN94のマガジンとAK74小銃のマガジンは同一である。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「AN94小銃全体構造図」 続いて2、3枚目。「AN94小銃の次弾装填時の機構位置説明図。上:撃発後の薬莢はボルトと共に後方に向け運動する。同時にボルトキャリアが引索を連動させ、抜弾バーを牽引して次弾を過渡チャンバーに押し入れる。下:ボルト復帰過程で過渡チャンバー内の次弾がチャンバーに押し込まれる。」)

(頑住吉注:これより3ページ目に入りますが、このページは画像とキャプションだけです。1枚目は何故か部品名称が入っていないので別のページの画像を示します。



それならそっちのページを原ページに使えばいいじゃないかと言われそうですが、ご覧の通り鮮明度が著しく低いんです。このパーツ名称と原ページの鮮明な画像を照らし合わせてください。

続いて2枚目。「ちょっと見たところ、レシーバーカバー内の構造はすこぶる複雑である」 部分名称は上が「バッファースプリングベース」、下が「シアの突起」です。

続いて3枚目。「射撃ユニット取り外し後、弾薬がマガジン内から載弾板上までの経過するルートを仮に見る」 部分名称は右が「レシーバー内の可動載弾板」、左が「射撃ユニットのバッファースプリング」です。

続いて4枚目。「トリガーの作用はハンマーを解放してファイアリングピンを打撃するだけではない。2発バースト状態で2発目の射撃が終わった後、トリガーの前端はボルトキャリアに引っかけられ、再度トリガーを引くと次のバーストサイクルを行うことができる」 部分名称は「矢印の指している部分はボルトキャリア下方のトリガーとかみ合うミゾ」です。)

(頑住吉注:これより4ページ目に入ります。)

作動の過程を詳しく解説する

AN94小銃はセミオート、2発バースト、フルオートという3種類の発射方式を持つ。このうち2発バーストとフルオートの最初の2発は発射速度は1800発/分にも達する。しかも遅延ボルト後座により、ボルトに2回の射撃サイクルを実現させ、2発の高レートのバースト完了後にやっと後退し切る。すなわち射手が武器の後座をまだ感じない内に2発の弾丸はすでにマズルから射出され、したがって命中確率が向上する。フルオート状態では後続の弾丸の発射速度は600発/分の標準発射速度となる。しかもその他の操作は必要とせず、トリガーを引き続けさえすれば高発射レートから自動的に標準発射速度に転換する。トリガーを緩めて再度引くと、2発の高速射撃後標準発射速度に転換する過程が繰り返される。

初弾装填

コッキングハンドルを引いて後方にいっぱいまで運動させる過程で、ボルトキャリアは引索によって抜弾バーを連動して前方に運動させ、マガジン内のフォーロワスプリングとの共同作用でマガジン内の一番上の弾薬を、レシーバー内の可動載弾板上に押し動かして至らせる。この弾薬は載弾板上を斜面に沿ってボルトの前方位置まで上昇する。同時にハンマーはシアによって引っ掛けられて止まる。コッキングハンドルを放すと、運動部品は前に向かって運動し、ボルト下方の突起が載弾板上の弾薬に遭遇し、これをチャンバーに押し込む。ボルトキャリア上の閉鎖ミゾとボルト上の菱型の突起がかみ合う作用により、ボルトはチャンバーを回転閉鎖する。抜弾バーは抜弾バースプリングの作用下で最初の位置に戻る。これでこの自動小銃はすでに装填および発射準備動作を完成させている。

フルオート

まずセレクターを「AV」の位置にする。この時トリガー連結バーは最も後方の位置に押されている。ディスコネクターはトリガー連結バーの前端面に接近しており、同時にトリガー連結バーの長短の突起の下方に位置し、まだ射撃開始前、ディスコネクターは長い突起とのみ接触している。

トリガーを引くと、トリガー側面の突起がトリガー連結バーを押し動かして回転運動させる。トリガー連結バーの長い突起がディスコネクターを介してシアを連動して回転させ、発射準備位置にあるハンマーを解放する。ハンマーはハンマースプリングが提供するエネルギーの作用下で前方に急速に進み、ファイアリングピンを打撃し、初弾の撃発を完成させる。

撃発の瞬間、発射ユニットは火薬ガスの圧力の作用下でレシーバー内において後座を開始し、バッファースプリングはエネルギーを蓄え始める。

弾頭がガス導入孔を通過すると、火薬ガスがピストンによってボルトキャリアとハンマーを押し動かし、加速して後座させる。この時ハンマーの撃発突起がボルトキャリアの対応するミゾに入り、ボルトキャリアと連結され一体となる。ボルトキャリアの後座過程で、ボルトは回転して開鎖、薬莢引き抜き、薬莢投げ出しの動作を完成させる。これと当時に行われる給弾機構の動作は初弾装填時と同じである。ただし射撃ユニットの後座のため、抜弾バーが次弾に接触する前に一定の空走ストロークがある。

ボルトキャリアがいっぱいまで後退し、バレルエクステンション後部壁面に衝突した後、抜弾バースプリングとハンマースプリングの作用下で加速して復帰する。ボルトキャリアに引っ掛かっているハンマーは復帰過程でシアと関係が発生せず、直接2発目の弾薬を撃発する。

2発目の弾薬の射撃のインパルスによってボルトキャリアとボルトは2回目の後座を開始する。この時射撃ユニットは依然1回目の後座ストローク途上である。

2発目の弾がマズルを離れた後、射撃ユニットはやっと初めていっぱいまで後退しきる。2発の弾丸発射のインパルスは累積され、1回としてレシーバー尾部に衝突するに至る。射撃ユニットがいっぱいまで後退しきった瞬間、ディスコネクターがトリガー連結バーの長い突起を離脱し、シアと共に上昇して最初の位置に戻る。ハンマーがボルトと共に復帰する過程でシアにぶつかった時、シアの発射準備突起によって引っ掛けられ、ハンマーとボルトキャリアは分離する。ボルトキャリアとボルトは復座を継続し3発目の弾薬をチャンバーに押し込み、閉鎖する。この瞬間にハンマーは発射準備状態になり、射撃速度は高レートから低レートに転換する。

この時、射撃ユニットはバッファースプリングの作用下で復帰を開始する。ディスコネクターは射撃ユニットと共に前方に運動し、トリガー連結バーの短い方の突起の斜面に接触するに至り、シアを回転させてハンマーを解放する。ハンマーは前方に急速に進んでファイアリングピンを打撃し、3発目の弾薬を撃発する。

射撃ユニットは2回目の後座を開始する。ディスコネクターはトリガー連結バーの短い突起を離れ、シアと共に上昇する。ボルトキャリアとボルトはバレルエクステンション内で加速して後座する。ボルトキャリアがいっぱいまで後退し復座を開始した時、ハンマーはシアによって引っ掛けられて止まる。ボルトとボルトキャリアは復座を続け4発目の弾薬をチャンバーに押し込む。この後の射撃動作は低レートの射撃動作のサイクルを繰り返す。射手がトリガーを緩める、あるいはマガジンに弾薬がなくなってやっと停止するまでである。トリガーを引く頻度のコントロールにより、任意の長さのバーストが実施できる。

ここで説明を要するのは、2発目の弾の射撃後、ディスコネクターは直ちにトリガー連結バーの短い突起とのみ連携を発生させるようになることだ。短い突起の寸法は小さく、このため射撃ユニットがハンマーの後方位置に至る瞬間の前に、ディスコネクターは短い突起の下から離脱しシアと共に上昇する。ボルトキャリアが復座してシアを圧迫した時、ハンマーはシアの発射準備突起によって引っ掛けられて止まり、後方位置に留まる。必ず射撃ユニットがいっぱいまで復座するのを待って、トリガー連結バーの短い突起はやっとディスコネクターに再び作用し得る。そしてシアを連動して回転させ、ハンマーを解放する。この一定の待機がすなわち2発の射撃時間間隔が延長されることを意味し、射撃頻度はこれにより高から低に変わるのである。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「異なる射撃方式下で、トリガー連結バー、トリガー、シアの相互位置関係には変化が発生する。セミオート射撃時、トリガー連結バーは最も前方の位置にあり、ディスコネクターはトリガー連結バーの長い突起の末端に接近している。2発高速バースト時、トリガー連結バーは中間位置にある。フルオート射撃時、トリガー連結バーは最も後方の位置にあり、ディスコネクターは同時にトリガー連結バーの長い突起および短い突起の下方に位置する。」 サイズが小さい画像を拡大するんで不鮮明になりますが、部分名称を示します。



続いて2枚目。「発射機構を前から見たところ。右に傾斜したマガジンキャッチが見える。これはバッファースプリングに場所を譲るためである。この種のレイアウトはマガジン着脱の利便性を妨げはしないが、銃の外形寸法の全幅をやや増加させ、しかも引っかかる可能性を生む。」 これも部分名称を示します。)



(頑住吉注:これより5ページ目に入ります。5ページ目、1枚目の画像のキャプションです。「射撃ユニットを左から見たところ」 2枚目は何故かキャプションがありませんがハンマーユニットですね。続いて3枚目。「ボルトキャリア、リコイルスプリングと引索ユニット。引索はプーリーに巻き付いて支持され、方向転換する」 続いて4枚目。「コッキングハンドルの造形は丸みを帯び、手の指と接触する面積が比較的大きく、繰り返し引いても不快に感じることはない」)

2発高速バースト

まずセレクターを「2」の位置にする。この時トリガー連結バーは前方に少し動き、中間位置になる。ディスコネクターとトリガー連結バーの長い突起が接触する。

トリガーを引くとトリガー連結バーが連動し、トリガー連結バーの長い突起がディスコネクターに作用しシアを回転させ、ハンマーを解放して撃発を実施する。2発目の装填動作および射撃ユニット後座過程での動作は全てフルオート射撃の最初の2発と同じである。

射撃ユニットの復座過程で、ディスコネクターはトリガー連結バーの長い突起を離れ、シアが上昇してハンマーを引っ掛けて止め、ハンマーは発射準備状態となる。この過程でディスコネクターの端面(弾性あり)が長い突起の側面を滑って通過し、ただし短い突起の斜面には到達しない。

2発高速バーストを継続して実施する必要があれば、トリガーを緩めることが必須である。トリガー連結バーはそれ自身の軸をめぐって回転し、トリガー連結バーの長い突起をディスコネクターに接近させる。再度トリガーを引くと、上述の動作が繰り返される。

セミオート射撃

まずセレクターを「OD」の位置にする。この時トリガー連結バーは最も前の位置になる。ディスコネクターはトリガー連結バーの長い突起の末端に接近する。

トリガーを引くと、トリガー連結バーの長い突起がディスコネクターを介してシアを回転させ、ハンマーを解放しファイアリングピンを打撃する。撃発後、ボルトキャリア・ボルトユニットは火薬ガスに押し動かされて次弾装填を完了する。チャンバーに弾薬を押し込む動作はフルオート時と似ており、ただ違うのは射撃ユニットが後座を開始した瞬間、ディスコネクターが長い突起のコントロール下を離れてシアを復帰させ、ハンマーを引っ掛けて止めることである。

自動機構の動作はフルオート射撃時と同じである。バッファースプリングが射撃後座のエネルギーを蓄積し、射撃ユニットを前方位置まで復帰させる。

次の弾を発射する時は、まずトリガーを緩め、トリガー連結バーを復帰させ、ディスコネクターを改めてトリガー連結バーの長い突起の末端に接近させることが必須である。再度トリガーを引けば以上の過程が繰り返される。

(頑住吉注:これより6ページ目)

高速バーストの探求

1970年代には早くもアメリカ人が提案していた。照準点が不動という前提の下では、3発の弾の着弾点は理論上三角形になる。この三角形にカバーされた範囲内の目標は決して逃げられない。だがこの原理の前提は照準点の不動である。誰が3発連続発射してバレルを不動に保持できるだろうか? 周囲の環境の風や射手自身の呼吸、さらに主要なものとしては前の発射が生んだ後座インパルスが必ずマズルを照準点からそらすはずである。このため実際の射撃結果は往々にして3発の弾が斜め上方に上昇する1本の斜線を呈し、命中確率を向上させることは難しい。

バーストの発射速度を高めることは発射される弾の時間間隔を短縮し、したがって射手の無意識の動作が照準点をずらす確率を減少させることができる。ただし普通の銃器に関して言えば、発射速度を高めることは諸刃の剣である。すなわちこれはより短い時間内に射手が複数回の後座し切った時の衝撃を受ければ、武器により大きなずれが生じることになるからである。AN94の誕生前、ドイツのG11小銃だけが完璧な3発バーストを実現できた。これはG11がケースレス弾を発射し排莢動作の必要がないからであり、このため射撃間隔を大幅に短縮できたのである。3発バーストの発射速度は2200発/分にも達し、ボルトは回転運動のみで往復運動はせず、このため自動機構の後座インパルスが次に発射される弾に影響することはなかった。

AN94は1800発/分の理論上の発射速度で2発バーストが実施できる。しかも遅延ボルト後座により、ボルトに2回の射撃サイクルを実現させ、2発の高レートのバースト後やっといっぱいまで後退し切る。ボルトユニットの重量はバレル/バレルエクステンションユニットの重量よりずっと軽く、しかもそれが後座し切った衝撃はフローティング状態のバレルエクステンション尾部に作用するため、ボルトユニットの後座の射撃精度に対する影響は比較的小さい。一方バレル/バレルエクステンションが後座し切る前、すなわち射手がまだ武器の後座を感じていない時点で、最初の2発の弾はいずれもすでにバレルから出ており、後座力は発射される弾の散布に影響せず、したがって命中確率が向上する。

AN94のフルオート射撃の最初の2発はバーストの発射速度と同じであり、フルオート射撃の初弾命中確率を非常に大きく向上させる。距離100m、スタンディング、無依託でフルオート射撃した時、AN94の最初の2発の着弾点の距離は2cmにも至らず、一方AK74Mは14cmである。この精度は現在のスナイパーライフルに完全に比肩し得る。

ここでさらに指摘する必要があるのは、フルオート状態では最初の2発の発射の後座力が累積されて一回の衝撃になるため、AN94の3発目の着弾点と2発目の着弾点の距離は25cm開き、AK74Mの20cmよりも大きくなることだ。この後の標準発射速度下では、両者の着弾点の偏差はいくらも違わなくなる。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「「アバカン」選定中、ニコノフのASM(上)、すなわちAN94の前身と、スチェッキンのTKB-0146(下)はいずれも遅延後座原理を基礎に設計されたが、2挺の銃器の射撃効果は大きく違った。」 続いて2枚目。「フロントサイトベース下方のミゾと前部支持架はかみ合わず、射撃ユニットとレシーバーの装着、位置決めはレシーバーカバーによってなされる。」 これがかみ合ってないとはちょっと信じられないんですが。 続いて3枚目。「AN94とAK74の自動機構の過程図。図中の斜線部分の幅は弾薬をチャンバーに押し込む過程(ボルトと弾薬底部の接触からチャンバー閉鎖まで)の自動機構のストロークを表している。」 単位も書いてませんしよく分かりません。 続いて4枚目。「銃のプラスチック部品の表面には細かい滑り止めの網状紋が作られている。」)

成功後のまずい立場

装備決定が発表されてから現在まですでに10年が過ぎ去ったが、AN94は「アバカン」計画が最初に企画していたようにAK小銃を終わらせる存在とはいまだなっていない。

単に性能を論じれば、AN94の初弾命中確率は世界のアサルトライフル中最高と称するに耐える。距離100mのスタンディング、無依託フルオート射撃の時、AN94の最初の2発の着弾点は2cmも離れない。この散布精度はドラグノフスナイパーライフルが狙撃専用弾を発射した時の効果よりずっと勝っている。ロシア軍が新たに装備した、高精度で有名なSV98非自動スナイパーライフル(頑住吉注: http://www.gunsworld.net/russain/sr/sv98/sv98.htm )と比較してもまったく遜色ない。

軍はAN94の性能がAK74を超越していることは認めており、試験によりAN94は極端な環境下も含めた信頼性でもAK74に劣らないことが検証されているが、AN94は依然特殊部隊に少数装備されているだけである。後にイジェフスク機械工場はAN94を基礎に7.62mmおよび5.56mmの変形銃も登場させ、努力して国外市場に理解者を探し求めている。しかし依然として装備コストの問題から、目下まだ1カ国もこれの大量生産の注文書にサインしてはいない。

AN94は何故AKを超越してもAKに取って代わり難いまずい立場に陥ったのか?

まず、AN94の複雑な構造がもたらす非常に高い製造コストおよび比較的高い使用、維持費用が、ロシア軍が新小銃に全面的に換装することの最大の障害になっている。アサルトライフルは小さいけれども装備数量は膨大であり、しかも換装後の訓練、維持修繕、保障体系はいずれも更新を要する。これは軍事費が非常に厳しいロシア軍に対してだけ言えることではなく、慎重な決策が必須な問題である。金持ちであるがゆえに鼻息が荒い国であっても、装備のコストパフォーマンスを総合的に考慮しなければならない。アメリカ軍の兵個人総合作戦装備はすでに長年論証、研究されており、しかもイラクの戦場で部分的に試験が行われているが、アメリカ歩兵の基本武器は依然M16である。

次にAN94の一部の構造設計、例えば右に折りたたむストック、ピープサイト、やや右方向に傾斜したマガジン、マズル右側に装着されるバヨネットなどは、ロシア軍が長年AK小銃を使用する過程で蓄積してきた習慣を完全に覆し、換装後の訓練コストが増加するのは言うまでもなく、恐らく多くの訓練でも必ずしも一部の射手の操作習慣は変えられず、しかも操作がスムーズにいくか否かは使用効果の良し悪しを大きく決定付ける。

特にロシアはチェチェン戦争を経た後に総括した。射撃精度はアサルトライフルの機能の核心的指標の1つであるが、現代の戦場では正確に照準射撃する任務はどんどん専門的スナイパーおよびスナイパーライフルに任されてきており、アサルトライフルがより常用されるのは某一区域に対し制圧性の射撃を実施することである。精度を向上できることは当然鬼に金棒ではあるが、単に制圧作用に関して言えば、AN94とAK74の間に本質的な差はない。しかもAK74銃器ファミリーは言うまでもなく技術的に成熟しており、その技術レベルは現在の世界各国の現役小火器と同一水準を保持している。ゆえにロシア軍にはこれを淘汰する充分な理由はない。

これこそが皆が期待するAN94である。その出現は人を驚嘆させる。だがひとたび人に手を伸ばして触らせるや、人々はすぐにこれを元の位置に置く。


 この記事でも「極端な環境下も含めた信頼性でもAK74に劣らない」とされていますが、私はこの非常に複雑で変則的なメカが、砂まみれ、泥まみれの中で出所の異なる弾薬をごちゃまぜにして装填してもAKに劣らない信頼性を示すとはどうしても思えません。

 この筆者は「最初の2発の着弾点の距離は2cmにも至ら」ない、したがって「高精度〜スナイパーライフル〜と比較してもまったく遜色ない。」と言っていますが、私はそれはおかしいのではないかと思います。同一サイクルの中で発射される最初の2発が本当に2cm未満の散布しか示さなかったとしても、この2発ずつのグループが毎回同じところに着弾するとは限らず、全体のグルーピングではAKと同程度になるかも知れません。なお、フルオート時、最初の2発の運動量が1回の反動としてまとめて伝達されるので3発目のずれがAKより大きくなる、というのは言われてみれば当然ですが、気付きませんでした。

 海外にも売り込まれている、とされていますが、それにしてはあまりにも情報が少なすぎます。おそらく公的機関による大量注文のみ受ける、という条件付きなんでしょう。

















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