2012年ロシア兵器輸出ベスト10

 2012年におけるロシアの兵器輸出のベスト10をまとめたページの紹介です。ロシアとインド、ロシアと中国の関係を比較する上でも興味がありますし、アメリカも意外な形でからんでいます。

http://military.china.com/news/568/20121229/17608026.html


ロシアの今年の10大武器貿易に中国が購入したAL-31Fとミルー171Eがランク入り

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ロシア製のミルー171E型輸送ヘリ」)

ロシア軍事工業総合体ニュースネットの12月28日の報道によれば、ロシアの世界武器貿易分析センターは2012年に締結された本国の軍事製品輸出、供給契約の重要性の分析を経て、12月27日に今年の本国10大ヘビー級武器貿易ランキングを出した。その中でインドのプロジェクトが4つを占め、中国は2つがランク入りした。具体的状況は以下の通り。

1.イラクと締結された包括的な武器供給契約。2012年下半期、ロシアとイラクは総額が42億アメリカドルを超える一連の軍事技術協力契約を締結した。関連の細目と公式なデータはなお未発表である。ロシアの「導報」が明らかにしたところによると、包括的な調達協議は最多で30機のミルー28NE攻撃ヘリ、42セットの「鎧甲」ミサイル・砲結合対空火器システムを含む。今後さらにミグー29M/M2戦闘機の供給契約が締結される可能性もある。今年10月、イラク首相マリキがモスクワを訪問した期間、正式に包括的契約締結の事実が確認されたが、細目は明らかにされなかった。その後のある報道は、この貿易は取り消される可能性があるとした。イラク首相公式スポークスマンムサウイは11月、この貿易は汚職の疑いにより取り消されると言明した。イラク国防長官ドライミは、ほとんど直ちにムサウイの発言を否認し、ロシアサイドはその後イラクサイドに正式な説明をするよう要求した。イラクサイドの提案により、12月12日にロシア大統領プーチンとイラク首相マリキが電話会談を行い、イラク首相の訪ロ期間に達成された約束の実効の問題に関し意見交換が行われた。具体的通話内容は明らかにされていない。この武器貿易には現在まだ不確定性が存在するが、それでも現在までロシアが年内に締結した最大規模の軍事販売契約である。

2.インドと締結された42機のスホーイー30MKI組立部品供給契約。ロシア大統領プーチンの12月24日のインド訪問の期間、ロシアサイドが提供する技術的部品によってインドサイドの42機のスホーイー30MKI多用途戦闘機ライセンス生産を助ける契約が締結された。以前同様、インドのスタン航空有限会社によって組立が担当される。AP通信社の最初の報道は、契約の金額は16億アメリカドルだとした。後にインドメディアは本国の消息筋の人物の話を引用し、契約の金額は1,200億ルピーであると報道し、これは22億アメリカドルに当たる。現在までロシア・インド当局はなお契約の金額に関するデータが事実であると確認していない。新戦闘機が以前発表された「スーパースホーイ」バージョンであるのか否かも現在知り得ない。だが契約の金額を根拠に判断すれば、ロシアサイドがインドに向け提供するのは、インド空軍がすでに生産、かつ装備している最新型のスホーイー30MKIである。現在すでにインド空軍のためにおよそ170機の各タイプのスホーイー30MKI戦闘機が生産されている(頑住吉注:「スーパースホーイ」というのはスホーイ-35のことで、金額が大きくアップしていない以上従来型機だろう、ということでしょうかね)。

3.インドと締結された第2陣71機のミルー17V-5ヘリ供給契約。プーチンの12月24日のインド訪問期間に、双方は期待されて久しい第2陣のミルー17V-5ヘリ供給契約を締結した。現有の情報によれば、インドは全部で71機を購入することになり、このうち12機は内務省の使用に供され、59機は空軍に就役する。インド空軍のために59機のミルー17V-5ヘリを調達するプロジェクトは2008年に双方が締結した80機のヘリ供給契約の補充で、当時の契約に規定された優先調達選択オプションの権利行使で、金額は約10億アメリカドルと見積もられる(頑住吉注:よく分かりませんが大量購入の見返りに、今後追加で必要になったら少数しか発注していない顧客に優先して回してもらえる権利が留保されていて、それを行使した、ということじゃないでしょうか)。加えてインド内務省のために調達する12機のヘリがあり、12月24日に締結されたミルー17V-5ヘリ供給契約の総額は約13億アメリカドルである。「ロシアヘリ」統制グループニュースセンターはこの契約の具体的な数量や金額を明らかにしていない。インドが2008年に購入した80機のミルー17V-5ヘリの契約金額は13.4億アメリカドルで、2013年に全て引き渡しが終わる計画であるが、2014年初めまで遅延する可能性がある。第2陣のヘリは2015年に引き渡しが完了する計画である。インド報業トラスト通訊社の報道によれば、12月24日のプーチンインド訪問期間に双方は全部で2,500億ルピー(およそ45.5億アメリカドルに相当)の武器供給契約を締結し、このうちヘリに関する契約は13億アメリカドル、スホーイー30MKI部品に関する契約が22億アメリカドル、公開されていない契約の金額が10.5億アメリカドルである。

4.中国と締結された52機のミルー171Eヘリ供給契約。2012年8月、ロシア国防輸出社は中国の保利技術社と、中国に対し52機のミルー171E輸送ヘリを供給する契約を締結した。総額は6億アメリカドルを超え、2012〜2014年に引き渡しが行われる計画である。契約の条件は、最初の8機は年内に引き渡すよう計画し、他のヘリは2013および2014年に引き渡すよう規定している。この契約は2009年の「ロシアヘリ」持株グループと中国の保利技術社が締結した、中国向けに32機のミルー171Eヘリを供給する協議のさらなる一歩の発展であり、この協議は2011年にスムーズに履行され、双方のロシア製ヘリ装備調達領域における協力の発展継続の基礎を固めた。

(頑住吉注:これより2ページ目)

5.インドと締結されたMTA多用途輸送機に関する第1段階の合同研究開発契約。5月28日、ロシア連合航空製造グループ輸送機社は、インドのスタン航空有限会社および連合企業多用途輸送機社と、バンガロールにおいてMTA多用途輸送機設計包括契約を締結した。10月12日、ニューデリーにおいて第1段階の研究開発契約が締結され、ロシア・インド連合企業多用途ヘリ社は発注サイド、インドのスタン航空有限会社とロシア連合航空製造グループ輸送機社は執行サイドとなり、ロシアとインドの国防省の批准を得たMTA技術任務設計作業とプロジェクトへの資本投入作業が正式に始動した。両国国防省の代表はあらゆる段階の作業執行状況の監督に責任を負う。

6.中国との140台のAL-31Fエンジン供給契約。年初にロシア国防輸出社と中国国防部は140台のAL-31F航空エンジンの供給契約を締結し、額は約7億アメリカドルである。

7.インドと締結された「インバー」および「コンテスト-M」対戦車ミサイル供給契約。ロシア、インド両国は11月初め、インド陸軍向けに砲から発射する「インバー」および「コンテスト-M」対戦車ミサイルを供給する2件の契約を締結した。10月18日、インド政府安全委員会は、200億ルピー(約3.7億アメリカドルに相当)を費やしてT-90Sのために1万発の「インバー」(9K119M、「リフレクト-M」)対戦車ミサイルを調達することを批准した。この製品は全てロシア企業によって生産される。計画によれば、1.5万発の「インバー」ミサイルを追加調達する第2の計画はロシア・インド連合企業の成立を規定し、ロシアサイドの技術移転により、インドのバーラト動力有限会社のライセンス生産を助ける。10月25日、インド政府安全委員会は120億ルピー(約2.23億アメリカドルに相当)を費やしてインド陸軍機械化歩兵部隊のために1万発の「コンテスト-M」対戦車ミサイルを調達することを批准した。これはここ4年で締結された、第2のこのミサイルの調達契約でもある。ロシアの世界武器貿易分析センターのこの前の報道は、ロシア、インド双方は2008年に初の契約を締結し、およそ1.5万発の「コンテスト-M」対戦車ミサイルを調達し、総額は138億ルピーで、しかもインドのバーラト動力有限会社によっておよそ4,000発がライセンス生産された、とした。新たな契約は、明らかに第1の契約が規定する優先調達選択オプションの権利行使である。

8.アメリカと締結された、アフガニスタン向けに枠外で10機のミルー17Vー5ヘリを供給する契約。7月18日、アメリカ国防省はロシア国防輸出社と固定価格1億7,138万アメリカドルの契約を締結し、アメリカサイドの出資によりアフガニスタン軍のために10機のミルー17Vー5ヘリを調達する、と言明した。これは去年5月に両国が締結した、アフガニスタン軍向けに21機のミルー17V-5ヘリおよびその部品と関連設備を供給する最初の契約の補充であり、全部の製品がすでに2012年に引き渡し終わっている。当初の基礎契約は、枠外で12機のヘリを供給する優先選択オプションを含み、アメリカ軍は今年2月、すでに部分的に権利行使し2機のミルー17V-5を追加調達し、この前墜落損壊した2機のヘリに換えた。このように計算すると、現在までにアメリカは全部でアフガニスタンのために33機のロシアの新型ヘリを発注済みである。だがアメリカ議会下院が7月19日に批准した国防予算修正案は、ペンタゴンとロシア国防輸出社の協力を禁止しており、これにはアフガニスタンのために調達するヘリも含まれる。12月3日、上院はこの修正案を通過させた。もしオバマ大統領がこの法案にサインして批准したら、ロシア、アメリカ、アフガニスタン3国の契約の履行は深刻な問題に直面することになる。

9.インドネシアと締結した37両のBMPー3F歩兵戦闘車供給契約。5月、インドネシア国防省はロシア国防輸出社と金額1.14億アメリカドルの契約を締結した。これはインドネシア海兵隊のために37両のBMPー3F歩兵戦闘車を供給するもので、契約の金額には戦闘車自体、輸送、販売後の技術的維持メンテナンス、人員の養成、一連の技術移転費用が含まれる。計画に基づき、この契約による製品は2013年7月までに引き渡しが終わるはずである。その時インドネシア軍が装備するBMP-3F歩兵戦闘車の数は54台にまで増加することになる。

10.ベラルーシと締結した4機のヤク-130UBS練習機供給契約。12月8日、ロシア国防省とロシアのイルクーツクグループ社はミンスク(頑住吉注:ベラルーシの首都)で契約を締結した。この契約は2015年にベラルーシ軍に4機のヤク-130練習戦闘機を引き渡すよう規定している。結果としてベラルーシを、初のヤク-130を輸入したCIS国家とする。

なお、このランキングは、ロシアとインドが締結するであろうAL-31Fエンジンライセンス生産契約を考慮していない。何故なら両国当局は現在なおこの貿易を事実確認していないからである。ロシアの「導報」の報道は、ロシア国防輸出社は今年10月にインドサイドと総額約50億アメリカドルの契約を締結した、とした。この契約はロシアサイドが技術を移転し、部品を提供し、インドサイドが2030年までにスホーイー30MKI戦闘機のために、最多で970台のAL-31Fエンジンをライセンス生産するのを助けるよう規定している。当局の事実確認を得ていないため、このプロジェクトはしばらく意向扱いに列せられる他ない。インド空軍のスホーイー30MKI戦闘機の数が比較的多いことにかんがみれば、この問題は非常に切迫した現実であり、インドサイドがロシアサイドに向けこの種の協力提案を提出するのは時間の問題と信じる。


 アメリカがアフガニスタンのためにロシア製ヘリを調達しようとしている、というのは意外でした。何故アメリカ製ヘリではないんでしょうか。価格の問題か供給能力の問題か分かりませんが、当然国内からは不満が出るでしょう。同じくアメリカの影響力が強いはずのイラクもロシア製兵器を大規模に調達しようとしているんですね。

 インドがもしロシア製エンジンのライセンス生産を実現すれば、エンジン、ひいては航空機全体に関し中国に対し優位に立つ可能性が高くなります。中国も無断でパクったりせずちゃんと払うべき金を払っていればエンジンのライセンス生産もできていたかもしれません。まあ日本にとっては好都合とも言えますが。









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