インド外交の行方

 日本との関係にも触れられています。

http://military.china.com/news/568/20130724/17963398.html


インド、ロシアが中国にスホーイー35戦闘機を販売することに不満 アメリカ製武器を購入して中国を抑止することを求める

【グローバルネット総合報道】 ロシアの週刊「軍工信使」7月24日の報道によれば、ロシア・インド関係は表面的に見ると比較的安定しているが、ロシアのインドに対する戦略的影響力は徐々に下降中である。ロシアの中国・インドとの間の戦略的三角関係を優先させ、BRICs(頑住吉注:ブラジル、ロシア、インド、中国の頭文字を取った経済発展の著しい4か国)と上海協力機構(頑住吉注:中国、ロシアおよび旧ソ連を構成していた小国4か国を合わせた協力機構)の協力を深化させる外交方針は、どんどん南アジアおよびアジア太平洋地域の実際の状況に符合しなくなっている。中国を抑止するため、インドはロシアを疎遠にし、積極的にアメリカおよび日本との軍事技術協力を強化しつつある。このためロシアは現在重大な選択に直面している。すなわち、無意味な全方位外交を継続して推進するか、それとも重点的にロシア・インド軍事・政治協力の軸を建設するか、である。

最近、インドとアメリカの協力関係は明らかに増強されている。アメリカ国務長官ケリーは6月23〜24日インドを正式に訪問し、アジアの地域構造の発展変化、アフガニスタン危機の調停、二国間の軍事技術協力のなど一連の重要な問題をめぐって、インド首相および外務大臣と会談を行った。主要な成果は双方のエネルギー、高度科学技術、国防安全領域における協力を継続して拡大することで一致を達成したことである。強調しておくことが必要なのは、米印討論の問題がロシアに対して重要な意味を持ち、しかもロシアの戦略的利益に直接関係するに至ることである。インドがこれらの問題でロシアではなくアメリカとの協力を選択したという事実は、ロシア外交がインドというこの重要な戦略的方向で明らかに計算違いをした、ということを表している。

ケリーはニューデリーで、アメリカはインドが世界の大国として勃興することを歓迎するだけでなく、このプロセスの推進に尽力する準備がある、とした。ここ5年来アメリカはインドに接近し続ける方針を取り、2009年には当時アメリカ国務長官の任にあったヒラリーがインドを訪問した時、米印関係は新時代を迎えており、その印がインド軍の先進武器装備使用の監督に関する協議の成立に他ならない、と宣言した。現在米印相互の貿易額は1,000億アメリカドルを超えており、アメリカのインドにおける投資は250億アメリカドルを超え、アメリカはさらに一歩インドにおける商業活動を拡大に努力するだろう。これに比べ去年のロシア・インドの貿易額は110億アメリカドルに過ぎず、ロシアのインドに対する投資は6.235億アメリカドルでしかない。より突出した問題はここ4年ロシアのインドの武器市場における地位が明らかに低下していることで、インド空軍は最終的にアメリカのC-17軍用輸送機を購入してロシア製のイリューシンー76に取って代わらせることを決定した。このことはロシアがインド航空輸送市場において先んじていた時代が終わりに向かい始めたことを示す。また、ミグー35戦闘機、ミルー28武装ヘリ、ミルー26T2輸送ヘリはインド武器調達入札募集の中でアメリカやNATOの国に破れ、ロシア武器メーカーにここ2年内だけで総額130億アメリカドルを超えるインドとの契約を失わせた。

インドがロシアの武器と軍事装備の輸入を減少させている現象に対し、ロシアメーカーと専門家は通常純粋に技術問題に属すると解釈する。例えば製品価格の高騰、インドサイドの武器装備の斬新さと技術に対する要求が大幅にアップした等々で、軍事技術協力と政治戦略との密接な関係という明らかな事実に対しては逆に沈黙を保持している。実際には、もしロシアがインドを最大の武器セールス市場として見ているならば、相応の軍事・政治的促進計画を当然制定すべきなのである。個別の専門家だけがインドがアメリカおよびNATOとの軍事技術協力を強化している深層の原因を直接、明確に明示しており、ロシア戦略・技術分析センターの専門家アリイェフは、主要な原因は政治的要素であって技術問題ではない、と考えている。インドは中国の経済および軍事的実力の持続的増長を心配しており、アメリカの武器を大量購入する巨額の発注によって、アメリカとの軍事、政治的パートナーシップを強固なものにし、さらには中国を抑止することを希望している。これはすでにインドという国家のグローバルな戦略の優先的方向になっている。この角度から見ると、ロシア当局の日増しに強硬になる反米の言論、および直接的に中国との戦略的パートナーシップに傾く外交の優先方針は、少なくともインドを理解できなくさせ、甚だしきに至っては怒らせる。

最近中国メディアはある文章を掲載して、ロシア・中国・インドの戦略的三角関係の問題を詳細に検討したが、そこには次のように書かれていた。1998年12月、ロシア首相プリマコフがインドを訪問した時ロシア・中国・インドの戦略的三角関係を構築したいとの視点を表明した。この挙はいささか意外ではあったが、相当に道理があり、彼はロシアがインドおよび中国との間の関係を強固なものにし、アメリカの強権政治に対応することを希望すると表明したのである。プリマコフが職を離れた後もこの考え方は依然ロシアの重大な外交計画の目標である。2002年6月、アメリカの「クリスチャン サイエンス モニター」の評論は、ロシアは中印と戦略的三角関係を建設中だ、と指摘した。2008年にロシアメディアは、ロシア・中国・インドの戦略的三角関係構想登場10周年を総括した。かつてアメリカのブッシュ政権が公然と反ロシア政策を推し進めていた時には、ロシアが上海協力機構に助けを借り、中国およびインドとの友好関係を同時に発展させ、アメリカおよびNATOに対抗する構想は正しかった、と言える。だが現在では外部の脅威の性質と、ロシアの上海協力機構の中での地位いずれにも変化が発生している。2012年6月7日、ロシア国家戦略研究所所長のリェミゾフは、公然と中国との関係を発展させ続けることに対する憂慮を表明し、上海協力機構の名称は中国がこの組織に対しより強い影響力を持つ事実を反映している、とした。

2009年5月12日に通過したニューバージョンのロシア連邦国家安全戦略はロシアの外交方針が全方位に向けて政策転換することを規定しており、理論的に言えば相当に素晴らしいが、ロシアのインドおよび中国に対する実際の行動を結合させて見ると、その実際の効果は決して良好ではないことに気付くことができる。特に近年来中国とロシアの関係の発展は明らかにインドとロシアの関係に勝っており、インドサイドが極めて不満に感じる結果をもたらしている。例えば2010年9月27日、中国とロシアは戦略的パートナーシップを全面的に深化させる合同声明を発表し、三悪勢力(頑住吉注:テロリズム、分裂主義、過度の宗教原理主義)を合同で打撃する協力協議を成立させた。三ヶ月近く経った後、ロシアはやっと12月21日にインドと合同対テロ・情報交流協議を成立させた。ロシア外務大臣ラブロフは、ロシアとインドの戦略的パートナーシップは双方の最高程度の相互信頼を表しており、両国の発展の目標と任務は同じであり、国際的な多数の切迫した問題を処理する方法は似ており、国家の根本的利益は一致し、このため協力の規模と前途の見通しは比較的大きく開けている、と言明したのではあるが。

(頑住吉注:これより2ページ目)

2013年5月28日、中ロはロシア国内のチェバークー訓練場で「平和使命-2013」合同演習を挙行するとの決定をし、両軍の合同対テロ演習は7月27日から8月15日まで実際に展開されることになる。半月後、ロシアとインドは6月11日に、今年10月にインド国内のマハジャンガ訓練場で「インドラ-2013」合同対テロ演習を挙行すると協議により決定し、ロシアサイドは東部軍区の将兵を派遣して参加させることになる。ちょっと見ると、これらのことには何らの特別なところもないようだが、ロシアが中国と合同軍事演習を挙行すると決定する前の数週間以内に、中印双方が4月15日に国境において深刻な対峙事件を発生させ、5月5日になってやっと調停が実現し、双方は各自元々の陣地に戻ったのだ、ということを忘れてはならない。インドの専門家は予測し、中印戦争は今後10年以内に勃発する可能性があるとしている。実際にインドは現在積極的に軍事、政治同盟を構築し、アメリカ、日本などの国の支持と援助を勝ち取りつつある。その目的は中国の抑止に他ならない。このためロシアは全方位外交政策を推し進め、中国との戦略的パートナーシップを優先的に発展させている。これは明らかにロシアとインドの関係を強固にする最も良い手段ではない。

ロシアが中国向けにより先進的な武器を販売することも同様にインドを不満にさせている。2012年12月24日、ロシアとインドは総額29億アメリカドルの何項目かの軍事技術協力協議を成立させた。これにはインドに42機のスホーイー30MKI戦闘機のライセンス生産組立部品を供給することが含まれる。だが2013年6月17日にロシアメディアは、ロシアは中国に一定数の最新型スホーイー35多機能戦闘機を供給することになる、と報道した。双方は中国国家主席習近平が3月にロシアを訪問した時、中国向けにスホーイー35戦闘機、対空ミサイル(頑住吉注:S-400)、海軍装備(頑住吉注:「アムール」潜水艦)を輸出する問題を討論していた、というのである。スホーイー35Sは第4++世代大規模改良型超機動多機能戦闘機で、戦術技術性能上明らかにスホーイー30MKIより優れている。インド海軍参謀長ジョッシュは、中国海軍の実力の増強はインドを不安にさせる主要な原因であると現地でずばり言った。

全方位外交政策の枠組み内で、ロシアはインドのもう1つの潜在的敵であるパキスタンに武器を輸出することを企図している。ロシアの専門家はこのような方針は誤っていると考えている。ロシア外交および外交政策の専門家であるルーニェフは「国際プロセス」誌に文章を執筆し、ロシアは明らかにパキスタンとの相互関係を強化しており、特に軍事、政治領域の協力がそうであるが、これには前途の見通しがない、と指摘する。パキスタンに対する武器装備の供給はネガティブな結果しか生まない可能性がある。パキスタンサイドがロシアの武器を輸入して国防能力を向上させることを希望しているというよりも、むしろこれによりロシア・インドの軍事、政治的関係を破壊することを企図しているといった方がいい。ロシアは2011年にインドの126機の多機能戦闘機調達入札募集の中でミグー35が敗北しており、またインドが第三国からのロシア製武器の部品調達を企図していることに不満で、パキスタン向けに武器を販売することでインドに懲罰を与えることを企図しているが、これはインドサイドの激烈な反応を引き起こすだけである可能性がある。単に商業レベルから考慮すると、パキスタンの支払い能力は比較的低く、ロシアの対パキスタン武器輸出の収益もあまり大きくなるはずはないからなおさらである。上述のあらゆる要素の作用の下で、ロシアのインドに対する軍事、政治、経済的影響力が徐々に下降することは怪しむに足りない。

アメリカ以外に、インドはさらに日本との関係を積極的に強化しているところである。5月31日、インド首相シンと日本の首相安倍晋三は会談を行った。主流メディアはインドと日本の首脳会談の成果を報道する時、インドと日本はアジアに新たな軸を構築する、と指摘した。インド当局のメディアは、インドと日本の戦略的パートナーシップは新たなレベルにまで高まっており、両国はアジア太平洋地域の安定のため、しばしばこの地域において「筋骨隆々ぶりを見せつける」中国に対応する協力の義務を承認した、と考える。インドと日本の協力協議の主要な内容の1つは軍事技術協力の拡大であり、双方は海上合同軍事演習の挙行を協議により決定し、日本の会社はさらにインド向けに軍用機と核反応炉を供給する可能性がある。この事実は、今後ロシアの武器輸出商がまた1つの新たな強力な競争相手に遭遇することになった、ということを再度説明している。

インドの国際的舞台および世界経済の中での地位が上昇を続け、またロシアがアメリカ、日本やその他の国によって徐々にインド市場から押し出される発展の趨勢と共に、そして国際関係と個別の地域情勢が緊張を続ける事実、および新たな世界大戦勃発の脅威が日増しに顕著になっていることを考慮すれば、今に至るも信頼でき、かつ強大な軍事および経済的同盟国がないロシアにとって、インドとの軍事技術協力の強化は極めて重要なものに変わっていると言え、ロシア当局はあるいは直ちに過去の誤りを正し、有効な措置を取り、全面的にインドとの協力関係を強化するべきかもしれない。


 いやしかしこれからロシアがどう努力しても流れが大きく変わることはないのでは。ただスホーイー30MKIに関してはまだスホーイー35のライセンス生産は間に合わないからその機種になった可能性があり、またいずれにせよインドはさらに世代の新しいT-50をロシアと共同開発するんですがね。

 話の本筋ではないですが、パキスタンがロシア兵器を購入することによってロシアとインドの関係を破壊しようとしている、という指摘は実に興味深く、国際関係の複雑さを感じます。

















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