中国の専門家、スホーイー35導入を語る

 最近ちょっとこの機の話題が少ないようですが。

http://military.china.com/important/11132797/20140208/18330169.html


「西側が悪意で中国のスホーイー35購入を誤読する」意図

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ロシアのスホーイー35戦闘機は、本質的にはスホーイー27の大規模改良型でしかない。現在の中国航空工業に関して言えば、スホーイー35の導入はすでに、何年か前にスホーイー27を導入した時のような巨大な作用は全く果たせない。画像は中国空軍が装備するスホーイー27戦闘機。」)

最近、ある国外の雑誌が、もし中国がロシアのスホーイー35戦闘機を購入したら、中国空軍のために10年の優勢を勝ち取ることになる、とした。

事実、去年のモスクワ航空展で大いに顕示された後、「スーパーフランカー」スホーイー35が対外的に販売されることに関する「艶聞」が全く絶えたことがないし、確かに少なからぬ国が明確に、スホーイー35購入を本国空軍の優勢を高める重要な目標とすると表明している。

ならば、スホーイー35は結局のところどのような戦闘機なのか、第4世代および第5世代戦闘機と比べ、その優勢には一体どういったものがあるのか? その対外販売の前途の見通しはどうなのか? 筆者はこれにつき空軍指揮学院の李仕華教授にインタビューを行った。

第4世代機を超越し、T-50遅延の「空白を埋める」

質問:スホーイー35はどのような戦闘機なのですか、それは一体第4世代戦闘機に属すのですか、それとも第5世代戦闘機ですか?

答:スホーイー35はロシア製多用途戦闘機で、主に制空権奪取に用いられ、かつ空中、地上、水上の目標を攻撃する能力を持っています。第4世代機スホーイー27を基礎に改良し、かつ大量に第5世代戦闘機の技術を使用しているので、スホーイー35は第4++世代戦闘機、すなわちいわゆる第4世代半と称され得るのです。

スホーイー35というこのコードネームはとっくにあり、かつ4種の類別が存在したことがあります。すなわち、スホーイー35原型機、スホーイー35УБ、スホーイー35БМ、スホーイー35Cです。現在指すところのスホーイー35は実際にはスホーイー35Cで、この機は「フランカー」スホーイー27戦闘機の大規模改良型で、このため西側は「スーパーフランカー」スホーイー35BMと呼んでいます。スホーイー35Sと呼ぶメディアもありますが、あれはロシア文の「C」と英文の「S」の発音が同じなために混同されたものです。

質問:ロシアには何故すでに第5世代戦闘機T-50を開発しているのと同時にスホーイー35を研究開発する必要があったのですか?

答:私は、主に3つの方面の原因があると考えます。まず時間的な考慮です。2008年の南オセチア戦争後、ロシア空軍はスホーイー27系列戦闘機の性能が老化し、重任に堪えず、新型戦闘機を調整、補給する切迫した需要を深く感じました。ですがT-50戦闘機の研究開発の進展は緩慢で、焦眉の急を解決できるのはスホーイー35しかないのです。

次は経済的な考慮です。スホーイー35の単価は4,000〜6,000万アメリカドルですが、T-50は単価が1億アメリカドルと見られています。将来、スホーイー35はT-50とハイローミックスを形成するのにちょうど良いのです。

当然、さらに重要なのはやはり性能上の考慮です。スホーイー35の戦術技術性能ははっきりとその他の第4世代戦闘機より優れており、主要な作戦方向に配備し、重要な防空任務を負わせるに足ります。

質問:「スホーイ系」戦闘機の「成り上がり者」として、スホーイー35はスホーイー27およびスホーイー30に比べ、性能上どんな向上があるのですか?

答:ロシア軍で現役のスホーイー27およびスホーイー30に比べ、スホーイー35には主に4つの方面の改良があります。

1つ目は機体の構造強度が向上し、機体重量が軽減されたことです。スホーイー35の空力構造・タイプは基本的にスホーイー27と同じですが、最大離陸重量は38.8トンまで増加し、機体寿命は30年に延長されています。燃料タンクの容量はスホーイー27に比べ20%増加しています。

2つ目は推力がより大きく、推力:重量比がより高く、かつ推力ベクトルノズルを採用した117Cエンジンに換装されたことです。このことはこの機にアフターバーナー不使用の状態でマッハ1.2の超音速巡航を可能とさせ、かつ軽々と飛行方向を改変し、迅速に飛行速度を低下させ、より奇異な過失速機動を行わせることができます。

3つ目は全く新しい航空電子設備を採用し、ステルス目標を発見する能力を持つことです。スホーイー35の「雪豹」-Eパッシブフェイズドアレイレーダーの、F-16戦闘機のようなレーダー反射断面積が3平方mの目標に対する前方からの探知計測距離は350〜400km、F-22戦闘機のようなレーダー反射断面積が0.01平方mの「超低観測性」目標に対する探知計測距離は90kmに達します。

4つ目はロシアの新世代空対空および空対地制御誘導武器が装備されることです。ロシア空軍の評価は、こうした武器を装備すれば、スホーイー35の空戦能力はスホーイー27の1.5倍、対地(対艦)攻撃能力はスホーイー27の3.2倍になると考えています。また、この機はさらに独特の後ろ向きの攻撃能力を持っています。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「報道によれば、これはロシアサイドが中国の考察団のためにデモンストレーション飛行をを行った07号スホーイー35S戦闘機である。ロシアメディアのスホーイー35対中国販売に関する密集した報道は、明らかにスホーイー35でスホーイー27輸出の輝かしい業績を再現することを望んでいる。」です。)

第5世代機にやや劣り、ステルスおよび航空電子性能が比較的弱い

質問:F-22、F-35など第5世代機と比べ、スホーイー35にはどんな欠点があって、隔たりはどこにあるのですか?

答:ロシア人は、スホーイー35のエンジンはF-22のエンジンに比べより先進的で、フェイズドアレイレーダーはF-22のレーダーと性能が同等だが、電磁妨害環境下ではF-22に比べより優勢を持つと考え、彼らはスホーイー35は第5世代機に比べ「一歩の隔たり」しかないとさえ言明しています。

ですが、客観的に言って、スホーイー35と第5世代機の隔たりは恐らく「一歩」にとどまるには程遠いです。

動力方面では、スホーイー35はかつてエンジン故障により1機の原型機の墜落損壊がもたらされました。2011年モスクワ航空展でT-50が出したかの火は、117Cエンジンは成熟までにまだ一定の隔たりがあることを事前に示しています。

スホーイー35と第5世代機とのより大きな隔たりはやはりステルス性能と総合航空電子方面にあります。ステルスのカギとなる重要な指標である戦闘機の正面レーダー反射断面積について言えば、F-35は0.1平方m以下、F-22は0.01平方m、スホーイー35は0.5〜2平方mに達し得るのみです。パッシブフェイズドアレイレーダーは決して未来の技術の発展方向ではないため、スホーイー35のレーダーはその体制上F-22およびF-35のアクティブフェイズドアレイレーダーに比べやや劣るのです。

質問:スホーイー35のステルス性能は、F-15SEなどステルス版第4世代機に比べての優勢はあるのですか?

答:スホーイー27とF-15は2種の典型的な第4世代機で、スホーイー35とF-15SEはそれぞれこの両者の重大改良増強型です。両者に対し比較を行うのは非常に有意義です。

スホーイー35は多種のステルス措置を採っています。エンジンの空気取り入れルートに電波吸収塗料層を吹き付け塗装し、空気取り入れルートが生じさせるレーダー波の反射を半分に減少させました。採用された複合材料および外部に露出するセンサーを減少させるなどの技術は、飛行機のレーダー反射断面積を有効に減少することができます。

F-15SEは一部のレーダー波の反射が比較的強い飛行機の外形構造に対し調整を行いました。例えば内部に置かれた機載武器、エンジンの空気取り入れ口の改良などです。この機はさらにステルス塗料を採用し、垂直尾翼はF-35に似た形式に改められています。ボーイング社は、F-15SEの正面のステルス能力はF-35に対抗できる、としています。

両者の現有の基礎、改良項目、技術的措置から見て、ステルス性能方面ではどちらがどちらに対し顕著な優勢を持つとも言えません。

国際的なセールスポイントが多く、中国への販売を騒ぎ立てるのは局面を混乱させるため

質問:スホーイー35戦闘機の国際的なセールスポイントにはどんなものがあり、どのような国に適用され、輸出状況はどうなのでしょうか?

答:私は、スホーイー35戦闘機の国際的セールスポイントは3つあると考えます。1つ目は戦術技術性能で、現有の改良型第4世代機の中で、そのずば抜けた性能は言うまでもないことです。2つ目は価格です。スホーイー35の定価は中等の経済水準の国も買え、使うことができるものです。3つ目はルートです。ロシア式飛行機の古い顧客はロシアが極力セールスする目標です。

ロシアメディアは、スホーイー35はロシア製第5世代戦闘機が生産に投入される前の重要な過渡的機種であり、「スホーイ系」戦闘機の国際市場での地位を防衛する、と言っています。報道はさらに、スホーイー35の輸出時期は2013〜2020年に集中し、その潜在的買い手は主に東南アジア、アフリカ、中東、南米地域に集中する、と指摘しています。

質問:もし中国がスホーイー35を獲得したら本当に外国メディアが言うように10年の空中の優勢が獲得できるのですか?

答:この問題に回答するには、2つの方面の要素を分析することが必須です。1つ目はスホーイー35戦闘機の戦術技術的優勢、2つ目は現在の中国空軍の航空装備の能力レベルで、両者の差が答えです。これには深入りした細緻で計量化された分析が経る必要があり、それでやっと結論が出せるのです。外国メディアの言い方は明らかに決して謹厳なものではありません。


質問:ならば、外国メディアがこの手管を見せる目的はどこにあるのですか?

答:私は、外国メディアがこんなことをするのは耳目を混乱させようとしているに違いないと考えます。何年か前から、およそ中国の軍事力と関係のある情報はしょっちゅう西側メディアによって意図的に誤読されます。中国空軍装備のレベルに関し、彼らはあるいは過度に誇大に言い、あるいは過度にけなし、相対的に客観公正な評論は非常に目にし難いのです。

戦闘機の輸出では、ロシアに「教会の徒弟が師匠を飢え死にさせる」(頑住吉注:例によって検索すると無数にヒットするのに意味を説明したページは全く見つからない慣用句です)の心理的態度があることが排除されず、この種の状況下での西側メディアの騒ぎ立ては明らかに本来もうはっきりしていない局面を混乱させ、より混沌と朦朧の度合いを加えさせることを望んだものです。ですが、中ロ両国の軍事協力関係は堅固で、さらに一歩協力を拡大し、互いに利益、ウィンウィンを実現することが明らかに未来の発展の大勢です。

(李仕華は空軍指揮学院装備教研室主任、教授、空軍専業技術大佐。軍隊の優秀な専業技術人材ポスト特別手当獲得者で、初の空軍ハイレベル科学技術人材。長期にわたり軍事装備教学科研業務に従事し、軍隊科学技術進歩一等賞1項目、二等賞1項目、三等賞6項目を獲得。)

(頑住吉注:3ページ目)スホーイー35のスーパークラスの性能は非常に人を引きつけるが、この機は決してあらゆる国に適合するわけではない。その国際市場空間は、実は相当に限られている。

(頑住吉注:4ページ目)スホーイー35が相対的に優秀な戦闘機であることは否認しないが、その多くのいわゆる優勢は、決して中国が超越できないものではない。

(頑住吉注:5ページ目)スホーイー35からT-50まで、ロシア航空工業およびロシア航空隊戦力はいずれも装備技術がグレードアップ、世代交代するモデルチェンジの過渡的段階にある。実のところ、中国サイドの状況も大体類似している。エンジンなどカギとなる重要なサブシステム方面でしばらくロシアに先んじられるというだけである。

(頑住吉注:6ページ目)殲ー20など新世代ステルス戦闘機プラットフォームこそ中国空中戦力の核心である。ロシアメディアの報道によれば、もし中国がスホーイー35を導入しても、この機が就役する時は基本的に殲ー20が就役する時でもある。両者は平行の関係で、国内のいわゆるスホーイー35導入は殲ー20研究開発作業に奉仕するとの考え方は、むしろ自信に欠けた推測である。

(頑住吉注:7ページ目)これは巡航パトロール任務を執行中の中国の殲ー11戦闘機。この機が空対空ミサイルを装備していることに注意。全てすでに国産装備に換えられている。

(頑住吉注:8ページ目)F-22は現在依然唯一の正式に就役している第5世代戦闘機である。米軍は長年使用し、その技術的成熟度はすでに非常に高い水準に到達している。しかも、アメリカサイドは依然不断にこれに対しグレードアップを行っている。客観的に言って、我々の殲ー20、あるいはT-50が全面的にF-22を超越することをぜいたくに求めてはいけない。


 F-35は制空戦闘機ではなく、空戦ならスホーイー35の方が強いなどという説もありますが、この人はF-35の方がずっと優れていると考えているようですね。「西側メディアの目的」に関しては何が言いたいのやらよく分かりません。中ロを疑心暗鬼にさせて協力関係を妨害しようとしている、ということかなと思いますけど、西側メディアが「中国がスホーイー35を獲得したら10年の優勢が獲得できる」と言ったら何故そういう結果になると考えるのかは全く分かりません。














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