中国によるF-35戦闘機批判

 日本の次期主力戦闘機となるはずのF-35を中国は強く意識していますが、こんな批判もしています。

http://www.afwing.com/intro/f35/f35_in_mud/f35_in_mud-1.htm


F-35の13大罪状

F-35「ライトニングII」戦闘機は現代航空史上最も論争のある戦闘機かもしれない。システム研究開発とデモンストレーション(略称SDD)段階10年の後、進展が最も早いF-35Aでもまだいかなる武器発射試験も行ったことがない。短距離離陸・垂直着陸(略称STOVL)のF-35Bはより問題だらけであり、現在艦載タイプのF-35Cも疑いが生じ始めている。SDD10周年の時、F-35陣営は精一杯業績を述べたが、最近漏れてきた国防部の報告はF-35にまたしても新たに13大罪状を付け加えた。この11月29日に提出された簡単な評価報告は、国防部調達部門主管のフランクケンダーが国防部の内部総務として要求したもので、報告の分量は言わずと知れている。この、「F-35連合打撃戦闘機の試験飛行しながらの生産に関する問題緊急評価」(頑住吉注:原ページに報告書の表紙があるので原題を確認してください。その下には全文へのリンクもあります)という題の報告はアシスタント副国防部長3人、性能評価副主任1人、高級技術顧問1人によって執筆された。

SDD正式始動の前、アメリカ空軍はすでにボーイングX-32とロッキードX-35との間で対比試験飛行を行い、最終的にX-35が選ばれてF-35となった。このように2社に競争させた目的はリスクの軽減であった。対比試験飛行検証には空力、エンジン、STOVLの基本技術が含まれた。SDDは工程の研究開発と機種の試験飛行しか要さず、技術的重要問題への取り組みに関わることは必要とされなかった。F-35は低コスト、高効率、時間を守るというペンタゴンの調達改革の模範となるべきことだけでなく、低リスクの研究開発計画にもなるべきとされ、このためアメリカの三軍は自信満々で、計画がSDD中期にある時にはもう同時に低速の生産を開始し、その後徐々にスピードアップし、SDD末期にはうまい具合に全速力での生産に転じた。これは使用への投入を加速するためだけではなく、生産能力を使わずにおくことがもたらすコストへの転嫁を軽減するためでもあった。これがまさに試験飛行しながら生産する理由だった。だがF-35は研究開発中に多くの深刻な問題を暴露した。このことは全速力での生産に入ることを非常に大きく遅延させただけでなく、すでに低速での生産で交付、使用されている機を、発覚した問題に照らし工場に戻すことも強いた。STOVLであるF-35Bの問題が深刻なことはとっくに周知のものになっている。前国防長官ゲイツはF-35Bに2年の執行猶予判決を下したが、現在その期間はすでに半分過ぎ、執行猶予の条件が満たされたのか、あるいは中止すべきなのか、はっきり言える人はいない。だがF-35の問題はB型に留まらない。11月29日の簡単な評価報告は新たに増えた13の問題を列挙している。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「当時人を驚かせたJSF競争試作機:X-32とX-35」)

新たに増えた問題は3つの大グループに分けられる。第1大グループは5つの飛行あるいは任務の安全に影響する、そしてまだ未解決の重大問題であり、試験飛行しながら生産することの障害である。これにはヘルメットディスプレイシステム、燃料投棄システム、総合動力システム、艦載機型の尾部フック、秘密保持という5つの項目が含まれる。

アメリカはベトナム戦争の期間にはもうヘルメットディスプレイシステムの研究開発を開始していたが、技術的問題ゆえに最終的には放棄された。ソ連はミグ-29およびスホーイ-27に、真っ先に粗末だが実戦化されたヘルメット照準具を装備した。視野の周辺に見えるサークル状のLED指示灯が脅威の方向を指示し、簡単で実用的だったが、より多くの火力コントロールや飛行の情報を表示することはできなかった。アメリカは以前はソ連によるこの技術的飛躍を鼻で笑っていたが、ドイツ統一後、ヘルメットに装備した照準具とR-73近距離空対空誘導弾を装備した旧東ドイツのミグ-29と西側戦闘機が何度もの対抗演習を行い、近距離格闘中あらゆる西側戦闘機がコテンパンにされた。アメリカとヨーロッパはこれでやっと行動を起こし、ヘルメットディスプレイシステムの研究開発にさらに力を入れるようになった。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「Zsh-7上のヘルメット照準具」 「Zsh-7」はヘルメットの機種名です)

F-35のヘルメットディスプレイシステムは第2世代である。目標の提示を提供するにとどまらず、火力コントロール、ナビゲーション、エンジン、大気のデータ、兵器の状態などの情報をアイコンで表示し、かつ夜視ビデオカメラや分布孔径システム(頑住吉注:英語や日本語でなんと言うのか不明です)の画像を投影表示できる。分布孔径システムはF-35が初めて導入したもので、6つのセンサーを採用しF-35の360度カバーを実現し、飛行員はリアルタイムで360度の全景を見ることができる。しかもミサイル来襲警報と位置決定に使い、脅威を指示、照準し、また友軍機を追跡し位置決定する。分布孔径システムが結合した後、ヘルメットディスプレイシステムは搭載兵器コントロールに使われるだけでなく、戦場の状態の感知と主要な飛行情報の表示にも用いられ、ヘッドアップディスプレイに完全に取って代わり、主要な飛行情報ディスプレイとなった。ヘルメットディスプレイシステムの性能は飛行の安全、戦場の状態の感知、作戦機能に対し極めて重要である。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「F-35のヘルメットディスプレイシステムはすでに第2世代に発展している」)

(頑住吉注:これより2ページ目)

ヘルメットディスプレイシステムとヘルメット照準具の違いは、後者は簡単な指示灯提示システムに過ぎないが、前者は完全な投影ディスプレイシステムであり、アイコンや画像が表示できるところにある。問題は、ヘルメットディスプレイシステムの成像平面と眼球が近く、画像の微小な震動が眼球の視線にとっては可視的な角度変化となり、主観的感覚上は大幅な震動に相当するところにある。もし長時間に渡って震動のサイクルが比較的高いと、正常な数値の読み取りができないだけでなく、重い頭痛を起こす可能性もある。より大きな問題は、ヘルメットと頭部の結合を絶対的に堅固にすることが不可能だということにある。正常な機械振動、不安定な気流あるいは機動飛行の状況下での余裕による微小なガタが、全て激しさを加えた震動問題になる。設計チームは小型ジャイロを使って画像を安定させることを企図しているが、飛行試験可能な程度に達していないだけでなく、重量問題ももたらす可能性がある。ヘルメットの重量は快適性の問題に留まらず、安全の問題でもある。9Gの機動中、ヘルメットの重量は9倍に拡大された状態に相当し、飛行員の頚椎に対し大きな圧力となる。座席射出による脱出時、ヘルメットの重量が脊椎の骨折をもたらす可能性もあり、重い場合は致命傷になるかもしれない。このためヘルメットディスプレイシステムは重量に対し異常に敏感なのである。

2つ目の問題は表示の遅れである。画像の表示の遅れは130ミリ秒に達する。アイコンの表示の遅れも50ミリ秒ある。一方設計指標はそれぞれ40ミリ秒と30ミリ秒である。頻繁に使用される普及型デジタルカメラの人に対する表示の遅れは体感できる場合があり、カメラの背面のLCDで構図を決めて走る子供を撮影する時、画像が不連続なのは言うまでもなく、ゆっくり撮影するといつもシャッターを押す時に子供はすでに画面から走り出ており、撮影されるのは子供の半分だけである。これに比べると、ソニーのCybershot DSC W80デジタルカメラのシャッターの遅れは150ミリ秒であり、最高級のニコンD3xは40ミリ秒に短くなり、伝説的なライカM4レンジファインダーカメラはカーテン式シャッターを採用しており、たった12ミリ秒である。家長にとってシャッターの遅れは腹立たしいだけのことだが、飛行員にとってはまさに戦機を誤り、あるいは飛行の安全を害すことにならざるを得ず、命に関わることなのである(頑住吉注:よく分かりませんが現実の映像と表示される映像のタイムラグと、銃においてロックタイムに相当するシャッターを押してから撮影されるまでのタイムラグは別ものではないでしょうか)。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「F-35のヘルメットディスプレイ装置が生じさせる画面に重ねられた符号」)

ヘルメットディスプレイシステムのクリア度も充分ではない。特に夜視状態では、満月の明るさの下でもおよそ350度の近視眼のレベルに相当するに過ぎず、一方伝統的な夜視鏡は100度にもならない近視眼に相当する。明るさが低下するにつれ、夜視カメラのクリア度は夜視鏡と比べてより速く低下していく。現在研究開発中の新世代もやはりビデオカメラであり、依然伝統的夜視鏡のクリア度には到達しない見通しである。しかも飛行試験までにはまだ一定の時間がある。

進度に影響しないために設計チームは2つのルートを行っているところだ。1方ではVSI社が現有の問題の解決を継続中であり、もう1方ではBAeに別種のヘルメットディスプレイシステムを選択肢として提供するよう要求している。BAeの設計は通常の夜視鏡を採用しており、ただし分布孔径システムの画像は表示できず、分布孔径システムの画像の表示能力を失うことはF-35のヘルメットディスプレイシステムの優越性を大幅に割引させる。だが現在まだより良い解決方法はないのである。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「BAEのF-35「ブツブツ」ヘルメット」 続いて2枚目。「BAEのヘルメットは通常の夜視鏡を装着して初めて夜視機能が実現できる」)

飛行機が着陸する瞬間の着陸装置に対する衝撃負荷は大きく、空母への降着は特にそうである。飛行機は最大離陸重量で安全に滑走し離陸できるが、最大離陸重量で安全に着陸することはできない。多すぎる燃料の投棄は重搭載機が着陸前に行うのが必須な事である。だがF-35の燃料投棄システムは、燃料が機体表面に付着する問題を解決できず、甚だしきに至っては着陸後にフラップ上にたまった燃料が地面に大量に流れ落ちる状況が起き、容易に発火する。特にSTOVLのB型では表面が高温になることが多く、垂れ落ちれば容易に発火する。高温のガスが吹き出ている場合は地上に垂れ落ちた燃料も容易に点火される。至る所に流れ落ちた燃料は維持修理、装弾、ステルス塗料層の修復にも面倒である。こうした問題のため、アメリカ海軍および空軍は思い切って緊急状況でなければF-35は空中で余った燃料を投棄してはならないと規定した。空軍のF-35Aに関して言えば重搭載着陸の問題はまだ比較的小さいが、海軍のF-35Cに関して言えば余計な弾薬を投棄して初めて着陸重量を安全に着艦できる状態まで減らせるのである。伝統的航空機は伸ばした1本の多孔パイプを使ってできるだけ機体から遠く離れた場所から余分の燃料を投棄する。だがステルス機が最も心配するのはまさにこうした長いものであり、現在まだ安全を保証しつつステルスにも影響しない解決方法はないのである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「F-35の放油口は左の翼の下にあり、放油時には左主翼下面と水平尾翼に燃料が付着する」)

(頑住吉注:これより3ページ目)

伝統的にはエンジンスターターシステム、発電機、冷暖房空調は各自独立したシステムである。F-35ではこの3者をまとめて一体化した総合動力システム(略称IPP)であり、重量が軽減され、操作や維持修理が簡略化されている。だがIPPの故障は主要航空電子システムの加熱による故障をもたらし、予備発電機が失われ、機載酸素コントロール能力やコックピットの加圧が失われる。空中で起きれば深刻な飛行安全問題をもたらす。IPPは無故障間隔が少なくとも2,200時間あるべきであるが、アメリカ空軍の試験飛行ではすでに11回の全交換を必須とする故障が起きている。このうち8回は12週間内に集中して起きており、無故障間隔を受け入れ不能な13時間に短縮させている。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「F-35のIPP空気取り入れ口と排気口」)

IPPの故障もストライキのように簡単なものではない。2011年8月3日の故障ではIPPに爆発が起こり、飛び出した部品が燃料タンクを貫通し、全てのF-35に2週間の飛行停止を強いた。問題を起こした部品をまるまる交換したが、どうやってIPPがひとたび爆発した時に燃料タンクが打ち抜かれるに至らないことを確保するのかについてはまだ方法が見つかっていない。IPPの交換工程も複雑すぎ、48時間連続の必死の作業が必要である。信頼性の低さに加え維持作業量の多さはIPPに全面新規設計を必要とさせ、すでに交付されたF-35に関して言えば、さらに1つ工場に返納するプロジェクトが追加される。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「IPPは小型ターボジェットエンジンである」)

艦載型F-35Cの尾部フックには、着陸して滑走している時に制動ワイヤーに引っ掛からない問題が起きている。レイクハースト海軍航空基地での試験時、8回フックを引っ掛けようと試みたが全て失敗した。問題の原因は次の通りである。1.主脚から尾部フックの接地点までの距離が短すぎ、主脚の車輪が制動ワイヤーを転がり過ぎた後、制動ワイヤーの元の位置への復帰がまだ間に合わず、まだ地上に張り付き、尾部フックが引っ掛かりにくい。2.尾部フックの形状が引っ掛かるのに不利である。3.尾部フックを下げるよう圧する機構が力不足で、尾部フックが容易に地面あるいは甲板の表面の平らでない部分によって弾き上げられる。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「主脚から尾部フックの接地点までの距離。F-35は無人機と比べてさえ短い」)

ロッキードは艦載機を設計したことがないが(頑住吉注:まじですか)、これが尾部フックの設計に問題が生じた原因であるのか否かは判断しにくい。典型的な艦載戦闘機の主脚から尾部フックの接地点までの距離と比べると、F-18Eは5.7m、F-14Dは6.7m、練習機のT-45は4.45m、前後に比較的短い無人機X-47Bでも3.1mある。だがF-35Cは2.2mしかない。F-35Cの尾部フックの形状は本来F-18Eから借用したものである。F-18Eの主脚から尾部フックの接地点までの距離はF-35Cの150%の長さで、車輪が制動ケーブルを地上に押し付け、弾き戻るのが間に合わないという問題はない。このためF-18Eの尾部フックの前縁は比較的鋭くなく、大頭革靴が付属したようなような逆フックであり(頑住吉注:意味不明ですが形状は原ページの画像で確認でき、何となく靴っぽい形状にも見えます)、制動ケーブルに引っ掛かった後で脱落しないことを確保している。だが同様の形状をF-35Cに用いれば悲劇であり、全く引っ掛からない。現在設計チームは尾部フックをより先鋭な楔形フックに改修しているところだが、このような形状は引っ掛かりやすいが容易に脱落もする。特に尾部フックの運動の減衰が不足で跳ねたり、あるいは制動ケーブルの張力が不均一な時にはそうである。尾部フックの制動は1つの典型的な動態反響問題であり、制動が比較的小さいことはスプリングが比較的柔らかいことに相当し、尾部フックが甲板にぶつかった時、最初の跳ね返りは比較的小さいが、その後の一連の跳ね返りの減衰は比較的遅くなる。制動が比較的大きいことはスプリングが固いことに相当し、後続の跳ね返りの減衰は早いが、最初の跳ね返りの幅は大きくなる。制動の大小は自動車のサスペンションを使って理解してもよい。制動が比較的小さいことはリンカーンに相当し、制動が比較的大きいことはBMWに相当する。制動と主脚から尾部フックの接地点までの距離は協調させて設定する必要があり、距離が短ければ比較的小さい制動しか使えず、距離が長ければ比較的大きな制動を使うことが許容される。だがF-35Cの設計は制動の設定をジレンマに陥れさせている。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「F-35Cの尾部フックの外形設計は不合理であり、制動ケーブルに引っかからない」 続いて2枚目。「赤線は改修が提案されている楔形の外形」 中国語の表現では何故か逆なようですが、鋭角をより鈍角に近くしようとしているわけですね)

主脚から尾部フックの接地点までの距離と尾部フックの長さとの関係は大きくない。ステルス性と重量から考慮し、尾部フックは完全に機内に収納する必要があり、このため長すぎてはならず、距離を増加するには尾部フックの取り付けポイントを機の後端に向け移動するしかない。だが尾部フックは少なくとも250km/hの速度で接地する、しかもほとんど20トンの重さがあるF-35Cを引き止め、数十m以内で停止まで減速する必要がある。受ける負荷は非常に大きく、取り付けポイントの選択と機体の全体強度には関係があり、軽易に移動することは不可能である。ひとたび移動すれば、機体の強度、疲労に関係する全部のテストをやり直すことになり、これは重大なことである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「F-35Cの尾部フックは短すぎでもある。正常な艦載機の尾部フックは着艦時、主脚より低くなければならない」)

(頑住吉注:続いて4ページ目)

公開されている報告の中で、第1大グループの重大問題の中の第5の欠陥は人の注目を引く空白となっており、機密版の付属文書にしか具体的内容がない。一般にこれはステルス性に関わるものと推測されている。これは火のないところに煙が立ったわけではない。報告の付録はあらゆる評価項目を羅列しており、「信号特性のテスト結果」は第1大グループで「メーカーのデータ」と「テストによるデータ」という2つの小グループになっているが、報告の中でこの大グループだけが空白で、一方その他のあらゆる大グループは記載されている。当然、真相は未来において秘密解除された時になってやっと分かるのであるが。

第2大グループの3つ目の問題は影響が重大であるが、日常の飛行の安全に直接影響するには至らない。具体的影響はまださらに一歩の試験飛行を必要としてやっと確定され得る。その中には渦を巻く流れの打撃、疲労寿命、試験飛行の進度が含まれている。

飛行機が空気中を飛行する時、気流は必ずしも平穏に飛行機の表面を流れ過ぎるわけではない。強大な渦を巻く流れが機体の一部に高サイクルの打撃を起こす可能性があり、構造疲労、甚だしきに至っては損壊を引き起こす。F-18Aは試験飛行中、渦を巻く流れが垂直尾翼に対し深刻な打撃を引き起こし、早期の疲労をもたらした。最終的に垂直尾翼の構造が強化され、かつ辺条翼上面に一対の流れを邪魔する板が追加され、渦を巻く流れの走る方向が改変され、やっと問題が解決された。F-22にもかつて類似の問題があった。渦を巻く流れの打撃は飛行機の振動を悪化させ、深刻な時は快適さに影響するだけでなく、飛行員の計器の読み取りや細かい操作動作にも影響する。ヘルメットディスプレイシステムは震動に対し非常に敏感であり、渦を巻く流れの打撃は非常に悪い情報である。F-35は試験飛行中に尋常でない渦を巻く流れの打撃現象が発覚し、これはまだ20度以上の仰角の試験飛行を開始していない状況でもそうである。大仰角の飛行時、渦を巻く流れの打撃はさらに深刻になる。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「NASAはF-18を使って飛行実験を行い、渦が垂直尾翼前で破裂する状況を証明した。そして以下2つの解決方案を採用した」 続いて2枚目。「F/A-18Aの辺条翼ブレード」 続いて3枚目。「F/A-18Aの垂直尾翼付け根部分に「パッチ当て」された補強片。F/A-18C/D後期ロットの途中で廃止された」)

既存の試験飛行データによれば、F-35は仰角が10〜20度でしかない時に、マッハ0.65〜0.9の範囲内ですでに広範に中程度の渦を巻く流れの打撃が起きており、一部の条件下では深刻な打撃もある。だがF-35の大仰角飛行時の飛行コントロールの安定性はまだ検証されておらず、大仰角試験飛行は2012年末になってやっと開始できる。一定時間の深く掘り下げた試験飛行を経てやっと大仰角での渦を巻く流れの打撃の影響が確認でき、最も早くて2014年になってやっと発表できる。その前には技術的不定性として処理できるだけである。もし空力あるいは構造設計の改修を必要とすれば、これもまた1つの工場に返送するプロジェクトである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「F-35Cの艦に接近する時の仰角は明らかにF-18より大きい」)

F-35の疲労試験はまだ開始されたばかりである。F-35の機体の設計寿命は8000時間であり、疲労試験は16000時間の飛行時間相当が要求される。現在までにF-35Aは3000時間相当の飛行時間を終えたに過ぎず、F-35Bは1500時間、F-35Cは2012年になってやっと疲労試験が開始される。だがこれらの限られた試験でもすでにいくつかの疲労問題が暴露されている。F-35Bの第496号バルクヘッドフレームにはすでに疲労によるクラックが発生し、新たに設計されたバルクヘッドフレームがすでに交付され、2012年初めに改めて疲労試験が開始される。F-35Aの主翼前縁のリブにも予定より早く疲労によるクラックが起きている。B型も同様の設計であり、やはり同様の問題がある。C型は異なる主翼の設計を採用しており、類似の問題があるかどうかまだはっきりしない。その他の部品にも設計寿命に達しないものがまだあり、これらの部品は疲労試験中にはまだクラックが起きていないが、F-35Aには24個のこのような部品があり、F-35Bには19個、F-35Cには15個ある。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「F-35Bの第496号バルクヘッドフレーム」 続いて2枚目。「F-35の主要な力を受け入れる構造部品」)

設計チームを心配させているのは、疲労試験がまだ開始されたばかりなのに、疲労試験の特性ゆえに後になるほど問題がどんどん多くなり、さらにより多くの構造部品に疲労問題があると見られることである。幸い部品の疲労は全て局部的問題であって、大部分は相対的に簡単な設計ミスが起こしたもので、改修は容易であり、未来において生産される飛行機に潜在的危険を残すことはない。問題はすでに低速で生産されている飛行機が比較的困りものだということで、試験飛行と疲労試験が全て完了した時にはすでに300機余りのF-35が交付されているに違いないということである。第1の方法は使用寿命短縮という現実を受け入れることだが、前もって代替の飛行機を注文することは全寿命分のコストを増加させざるを得ない。第2の方法は検査と維持修理を強化することだが、これも全寿命分のコストを増加させざるを得ない。第3の方法は工場に戻して修復することで、この方法は最も徹底しているが、初期投資も最大である。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「疲労試験」)

(頑住吉注:続いて5ページ目)

多くの技術的検証と設計の改修は全て試験飛行の進展を決定付ける。だがF-35の58,300にわたる試験飛行科目の中で完了したのは19%だけで。しかも基本的に全て容易な項目である。10,260にわたる軍の受領検査科目の中で、5%にもならない検査しか終了していない。艦載型のF-35Cの進度は特に遅れており、14,300にわたる試験飛行科目のうち2,000しか完了していない。全部で3つのタイプが全てまだ大仰角飛行試験あるいは兵器投下試験を行っていない。80%の極限レベルの積載、振動、渦を巻く流れの打撃方面の試験飛行科目は2014年にやっと完了でき、100%の極限レベルの当然すべき試験は少なくとも2015〜2016年になり、12,200m以上の高空試験も2015〜2016年になることを要する。アメリカ空軍のエグリン空軍基地とアメリカ海軍のレイクハースト基地の試験飛行の進度は計画要求に達しているが、進度は依然SDD原計画に比べて少なくとも8%遅れている。これは主に不断に発覚する新しい問題、不断に行われる改めての設計と工場への返送、さらに飛行機の信頼性、維持修理可能性やスペアパーツの問題のためである。例えばF-35Aの一般試験飛行がシステム試験飛行の足を引っ張り、F-35Bのリフトファンのハッチの故障が垂直降着試験の足を引っ張り、燃料投棄の問題があらゆるタイプの試験飛行の足を引っ張っている。

ソフトウェアの問題も試験飛行遅延の1つの原因である。F-35Aの6号機はソフトウェアの問題のため2週間飛行停止になった。だが任務システムのソフトウェアのグレードアップは不断に行われており、手直しや修正も次々行われ、より複雑な兵器とセンサーの整合部分のソフトウェアのテストもまだ開始されていない。秘密保持はエグリンとレイクハーストの間の意思疎通を思うように行かなくさせ、さらに一歩ソフトウェ問題の苦しみを増加させている。ソフトウェアのテストと試験飛行計画も対応しておらず、Block 3Fでは両者の日程が何と160日も離れている。

第3類は5つの中等程度に深刻な問題、対費用効果だが、累積すればやはり試験飛行しながらの生産に問題を発生させる。この中にはソフトウェア、重量超過、加熱、自動後方勤務情報システム、雷に打たれることに対する防護が含まれる。

現在戦闘機のソフトウェア研究開発はすでにどんどん事の成否に影響する重要任務となってきている。ソフトウェアは電子システムに知能を付与し、ソフトウェアのグレードアップの容易性もシステムの生命力を伸ばす。だがソフトウェアの「ソフト」が隠れたリスクを容易に発生させもする。ソフトウェアのテストと手直しは科学と言うよりも技術と言った方がよい。もし成熟したソフトウェアであれば、通常を超えた使用条件下でも不思議に思うようなことはたびたび起こらない。ウィンドウズはまさにその1つの例である。進度とリスクのコントロールのため、F-35のソフトウェアはいくつかの段階に分かれて研究開発されている。後続の研究開発はすでに成熟した先導の研究開発成果を基礎にグレードアップされる。すでに交付されたBlock 1Aソフトウェアにはナビゲーション、飛行コントロール、コックピット管理などの基本機能しかなく、2012年に交付されるBlock 1Bは簡単な空対空および空対地模擬攻撃能力を備え、訓練に用いることができる。2013年に交付されるBlock 2Aは複雑な空対空および空対地模擬攻撃に使え、2014〜2015年にやっと交付されるBlock 2Bで初めて作戦能力を具備し、搭載したAMRAAM中射程空対空誘導弾およびGBU-12「Paveway」あるいはGBU-32小直径制御誘導爆弾が発射できる。作戦能力を完備したBlock 3Fは2017年になってやっと準備できる。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「F-35の段階的計画。これも計画通り達成できるか否かが問題である」)

だが段階に分かれて交付されるソフトウェアには特有の問題もある。現在の試験飛行隊の中には、8つの主要ソフトウェアのバージョンがあり、このうち4つは任務システム、4つは飛行コントロールに属する。異なる開発時期のソフトウェアが同時に存在し、それぞれの開発時期の中の異なる機能にも異なる成熟程度があり、あるものは使いものになり、あるものは使いものにならない。このことはソフトウェアの使用、維持、手直し、グレードアップに極めて大きい困惑をもたらす。電子および搭載システム電子コントロールの設計の工場への差し戻しや空力、エンジン、構造の改めての設計がもたらす新機能とセルフチェックの要求はさらに一歩ソフトウェア研究開発の混乱を増加させている。ソフトウェアの機能増加はハードウェアの速度を使用に不充分とさせ、ハードウェアのグレードアップは新たなソフト・ハードウェア間の相互許容性の問題をもたらし、あるいはソフトウェア駆動機とインターフェイスの更新を必要とさせる。この他、ソフトウェアのテストも進度が遅れている。10月末、Block 1Bのテストが完了するべきだったが、25%しか完了しなかった。任務システムの整合も2.5か月遅れている。Block 2Aの任務システムの正剛は67%完了するべきであったが、実際に完了したのは35%だった。だが現在F-35設計チーム最大の心配はソフトウェアチームの力量不足で、多重バージョンや日々変わる要求に対応できないことである。

ソフトウェアはF-35にとって特別に重要である。F-22が初めて太平洋を渡った時に起きたことをまだ覚えているだろうか? 機がひとたび日付変更線を越えると、あらゆるナビゲーションシステムがダウンし、結果的に火力コントロール、ナビゲーション、燃料管理が全て崩壊し、随伴して飛ぶ給油機に先導されてハワイに戻るしかなかった。この問題はすぐに解決され、48時間後にはこれらのF-22は再び離陸し、日本へと飛んだ。だがこれにより証明された問題は重要である。現代の戦闘機のソフトウェアは高度に複雑であり、誰も思い至らなかった問題がどんな方向からもやってくる。だが問題なのはひとたび問題が起きたら、全システムの問題になるかもしれないということだ。もしこうした全面システムダウンの問題が戦闘中に起きたら、出動したその機の死は直ちに確定する。

F-35のソフトウェアの現有の問題は次のものを含んでいる。

●2400万を超えるコード

●機載システムが950万コードを超える

●F-22の3倍を超える

●F-18Eの6倍を超える

●コードが2007年以来37%増加した

●典型的な増加は30〜100%なので、F-35の増加はまだこれで全部ではない

●半分を超えるソフトウェアはまだ全体連調試験を行っていない。これは最も恐怖の試験であり、部分的なコードが全く良好でも全体を連結すれば問題百出というのは大型ソフトウェア開発に常にあることである。

●任務ソフトウェアのハードウェア、ソフトウェアが「 immature and unproven at this time」とは一体どんな時なのか? (頑住吉注:「未熟で現時点においてプルーフされていない」でしょうか)原計画によれば現在すでに全速で生産され、IOCに到達しているはずである(頑住吉注: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%B6%E5%BE%A1%E3%81%AE%E5%8F%8D%E8%BB%A2 私にはチンプンカンプンですがこれのことでしょうか?)。

●任務システムの能力が4%しか検証されていない

●全状態作戦テストは2017年になってやっと開始されることになっている

●全速生産は2019年になってやっと開始できることになっている

GAO報告野中ではF-35ソフトウェアチームの低い生産性は1つの大問題であるとも指摘されている。これは個々人の数を多く雇用すればすぐ解決できるものではなく、ましてやアウトソーシングで解決できるものではない。

ソフトウェアを別にしても、F-35の現在完了している試験飛行は全て基本的な耐空性、操作コントロールのクオリティ、速度、上昇限度、基本的な機動性に関するものである。アメリカの航空科学技術をもってして、本来最高性能を追求しないF-35なのにこんなことが完了できないというのは「豆腐の角に頭をぶつけて死ね」である。低空、大仰角、兵器投下試験こそハードなのであるが、いずれもまだ開始されていない。兵器投下試験は最も早くても2015年にやっと開始される。

飛行機は重量超過を最も恐れるが、F-35の重量超過問題は影のように離れずつきまとっている。2004年に多くの人を動員して第一次の重量軽減運動が行われ、同時に厳格な重量管理制度が制定された。F-35Bは配備時までの重量増加が3%を超えてはいけない、F-35AとCは2.5%を超えてはいけない、と規定された。つまり、毎年の重量増加はそれぞれ平均0.33%および0.28%を超えてはいけないということである。2010年、F-35 計画が再度整頓された時、すでに非常に大きく規定された毎年の重量増加余地を超過しており、2015年にはもう許容される全部の重量増加余地を使い切ってしまうと予想されている。だがこの時試験飛行と設計の改修はまだ終わっていないのである。

典型的な戦闘機は初飛行から配備までの間に平均3.5%重量が増加する。F-18E/Fは成熟した技術を大量に採用し、2.5%しか重量増加しなかった。F-22ではそんな幸運はなく、5%重量が増加した。F-35の重量増加の許容限度はより過酷であるが、F-35は特別に重量増加のコントロールを必要とする。STOVLのF-35Bは垂直降着時、エンジンが提供する推力に完全に頼ることになる。(頑住吉注:F-35に搭載されるエンジンである)F135はF-22のF119エンジンの基本技術を採用しているが、F135の推力はF119に比べ25%近く増加している。推力増加の余地を使い切っているだけでなく、エンジンの極限作動状態が正常な作動状態となり、信頼性と寿命が低下する。リフトファン駆動という追加の要求はさらに一歩低圧圧縮機の負担を重くする。このため、F-35Bは重量増加に対し特に敏感なのである。F-35Bはまだ23.6kgの重量増加を許容するが、すでに63.5kgの重量増加要求が待っている。ただし113kgの重量軽減可能性もある。見通しのついた0.44キロニュートンの推力増加を算入すれば、重量増加の余地は64.4kgにまで増えるが、やはり余裕があるとは言えない。もう1つの問題は重量の分布である。重量を前方に移動すればリフトファンのトルクの極限を超えるが、現在重心はすでにやや極限を超えており、実際上使える重量増加の余地を圧縮している。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「F-35Bは重量増加に対し特別に敏感であり、エンジンには余分な推力はもはやない」)

推力:重量比が不足なので、F-35AおよびCも重量増加に対して敏感であり、空戦性能に影響するだけでなく、航続距離にも影響する。F-35Cの重量はさらに着艦重量、着艦速度、剰余燃料の量にも影響する。F-35Aには31.3kgの重量増加の余地があり、F-35Cには11.8kgの重量増加の余地があるが、着艦重量には比較的余裕があり、さらに200kgの重量増加の余地がある。F-35Cの試験飛行開始は最も遅く、すでに29.5kgの重量増加要求も順番を待っているが、14.5kgの重量軽減可能性もある。F-35の重量問題は努力してどうにかコントロールし得ているが、さらに一歩の試験飛行と設計改修は容易にこのわずかな重量増加の余地を食ってしまうだろう。

(頑住吉注:これより6ページ目)

F-35の飛行員と地上勤務員は、コックピットと電子設備スペースの空調が不足であると報告している。幅広いヘッドダウンディスプレイは過熱のためシャットダウンする可能性がある。F-35BはSTOVL状態においてさらに空調不足になり、もし飛行員が寒冷水域の救命装具を身に着ける必要があれば、暑さは耐えられなくなる可能性がある。空調システムは燃料を熱交換の媒体としているが、燃料の温度が標準を超えれば熱交換不足をもたらす。もし空調不足がエンジンの全自動デジタルエンジンコントロール装置の過熱をもたらせば、エンジンの停止がもたらされるかもしれない。

F-35Bにはこの他にまだ特有の過熱問題がある。ディスクブレーキが容易に過熱し、F-35Aのディスクブレーキを使えば問題は解決できるが、重量が41kg増加せざるを得ない。リフトファンのクラッチは正常な飛行時に冷却不足であり、補助冷却システムの追加装備が必要である。ロールコントロールアームの噴射ノズル作動機構は高温の圧縮空気漏洩のため過熱する可能性があり、現在は防熱耐熱ブランケットを採用してひとまず対処しているが、新規設計が待たれている。F-35Aにおいてアフターバーナーの推力を長時間使用すると、構造の過熱が起きる可能性がある。F-35Aが初めてマッハ1.6に到達した時、アフターバーナーを数分間オンにしたところ、水平尾翼の塗装層に泡が発生して剥がれ落ち、一部のエンジンの防熱板にも破損個所があった。問題が解決される前にはあらゆるF-35の試験飛行はマッハ1を超えられず、アフターバーナーの使用は1〜2分を超えられなかった。幸い現有の加熱問題は全てさほど深刻な問題ではなく、適切な新規設計によりすぐ解決できる。

F-35が装備する自動後方勤務情報システム(略称ALIS)は総合的セルフチェックと維持修理情報の管理に用い、検査、修理が必要な部品を自動的に報告し、残された寿命を予報するだけでなく、維持修理の記録を自動的に保持する。だがALISは2011年12月になってやっと交付が開始され、それまではやはり旧式な半自動システムが用いられる。現有の試験飛行隊の15機は2012年12月になってやっとグレードアップを完了できる。この期間において人間による記録と自動記録が併存し、情報の矛盾と漏れが増加する。ALISは人員の訓練記録も管理し、誰がどんな訓練を受けたか記録する。またある一部のシステムにどんな操作や維持修理が行われたかも記録できる。だが試験飛行隊の人員は種々入り混じっており、ALISは作戦中隊の要求に照らして管理することはできず、この部分機能はテスト、使用することができない。だがその他の問題と比べ、ALISの問題は大きくなく、あまり便利ではないというだけに過ぎない。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「F-35のALISのインターフェイスは空気取り入れ口の右側にある」 続いて2枚目。「BAEが設計したALISのソフトウェアは軍用タブレットPCにインストールされている」)

飛行機が空中でもし雷に打たれたら、それは不幸な出来事である。F-35は複合材料での製造を採用しており、雷に打たれると帯電を時を移さず放出することがさらに容易ではない。構造の損傷を避けるため、F-35は能動防雷システムを採用している。具体的な原理は漏れてきていないが、問題はこのシステムのテストにおける有効性があまり良好でないことである。現在F-35は雷の区域の周囲、半径46.3kmの空域に進入することを禁止する命令があるだけで、2014〜2016年のシステムのテスト完了後にやっと解禁できる。エグリン空軍基地が所在するフロリダの天気は雷雨が多く、25〜50%に達する試験飛行が影響を受ける可能性がある。

より大きな問題は燃料タンクの不活性ガスの保護にある。燃料タンクに燃料が半分満たされている時、空いた空間には燃料が揮発した気体が充満している。もし空気と混合すれば自然発火、自爆が容易に発生する。そこで不活性ガスで空間を充填する必要があり、通常使われるのは窒素ガスである。この他、燃料タンクの壁面の面積は大きく、燃料タンク内の圧力は環境より高くして空気が入ることを防止すべきであるが、圧力差は大きすぎてはならず、さもないと燃料タンクの壁面を非常に大幅に補強しなければならない。問題は空気の密度が高度により変化することで、このため燃料タンクの圧力をこれにつれて変え、もって設計上の圧力差を保持する必要がある。燃料タンクと環境圧力の間には一方通行の平衡バルブがあり、燃料タンクの圧力が高すぎる時は窒素ガスを少し放出する。燃料タンクの圧力が低すぎる時は機上で窒素ガス源を補充する。空気中のおよそ20%は酸素で、その他の80%のほとんどは窒素である。現在採用されている機載酸素制御システムは酸素を制御するのと同時に窒素を制御しながら取り入れ、過去の酸素ボンベに取って代わっている。だがF-35の窒素制御能力は不足で、全速での急降下時、空気が燃料タンク内に入る結果をもたらす可能性があり、危険が生じる可能性がある。設計チームは一方においては機載窒素制御能力を高め、他方では一方通行の平衡バルブを新規設計し、漏れを阻止している。

多くの深刻な、そして中程度に深刻な問題ゆえに、「F-35連合打撃戦闘機を試験飛行しながら生産する問題の緊急評価」報告はF-35の設計はまだ充分な安定に到達していないと考え、もはや固定的な時間表により全速での生産開始時期を決定せず、研究開発と試験飛行の完了程度によって決定するよう提案している。この他、すでに低速での生産に入り、またすでに交付されたF-35に関し、アメリカ空軍とロッキードは苦しい談判を終えたばかりで、双方が手直しの費用の半分を負担し、それ以前のあらゆる工場への送り返しの費用は全て軍が負担することになった。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「F-35の各タイプの性能規格表」 続いて2枚目。「F-35の兵器搭載能力」)

日本がF-35Aの調達を決めた時は、ちょうど報告がリークされた時だった。日本はやはりこのため数日遅れてやっとF-35Aの調達は報告内容を研究した後に改めて決定すると発表したが、当然最終的にはやはり予想した通りにF-35の調達を決定した。興味深いのは、日本のF-Xに対する評価基準は50%が性能、22.5%が価格、22.5%が技術移転、5%がアフターサービスであり、技術的リスクに対してのみなんの考慮もされていないことだ。これは不可思議なことであり、特にF-35の問題が周知されている状況下ではそうである。米日の間に一体どんな取引が成立したのか、神のみぞ知る、である。

ロッキードP-38「ライトニング」は第二次大戦における名機の1つであり、ブーゲンビル島上空から山本五十六の乗機を撃墜しただけでなく、アメリカが唯一第二次大戦の開戦から終結までずっと生産した戦闘機でもある。F-35が「ライトニング」の名を再びつけたその本意はもちろんP-38の栄光を再現する必要である。だがF-35の留まるところを知らない問題は生産の加速を大きく遅れさせ、ロッキードの生産能力を遊ばせ、トップクラスの供給商はすでに待ち続けることができないため生産転換し、甚だしきに至っては倒産している。ロッキードの資金回転も影響を受け、現在最もホットな無人戦闘機や次世代爆撃機の研究開発に投入できなくなっている。「ライトニングII」はロッキードを撃墜するまでにはならないかもしれないが、最も議論のある戦闘機の王座にはしばらく坐らねばならないかもしれない。


 私は知識不足で、これをどうとらえるべきなのか判断がつきません。中国にとってF-35はさほど脅威ではないのだ、と希望的観測で自分に言い聞かせているという部分もあるかもしれませんし、批判がそのまま当たっている部分もあるかもしれません。ここでは、中国にはこんな意見もあり、広くネット上に伝播している、という事実のみを皆さんに提供するだけです。











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