18.4mm致命./非致命半自動防暴銃

 検索していて最初にこの銃の画像を発見した時、あやうく見落としてしまうところでした。外観が95式小銃にそっくりだからです。しかしよく見れば明らかに細部に違いがあり、実はショットガンであることが分かりました。

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暴動防止の先行者 18.4mm致命./非致命半自動防暴銃

現在国内外で採用されている半自動散弾銃に類別される防暴銃は、チャンバー圧力が比較的高い殺傷弾薬しか発射できない。チャンバー圧力が比較的低い非致命弾薬をも発射できるようにするため、一部の散弾銃は止むを得ずボルト系統の中にポンプ式装填方式を追加している。この種の構造は操作が煩雑であるばかりでなく、銃器の構造をもさらに複雑化させる。しかし遼寧寛甸猟銃工場は独自に道を開き、いかなる機構も増やさずに殺傷弾薬と非致命弾薬を同時に発射できる18.4mm半自動防暴銃を設計した‥‥。

国産新型18.4mm致命/非致命半自動防暴銃は対テロ、治安維持作戦の要求に対応して専門的に研究開発された新型武器である。この銃は大威力の殺傷弾薬を発射でき、武装反抗の平定に用いることもできるし、運動エネルギーが小さい非致命弾薬も発射でき、もって面倒事を起こす人の群れを追い散らすこともできる。一銃多能が実現されているのである。この他、この銃のバレル下方には35mm/38mm防暴弾発射器を追加的に吊り下げることもでき、使用用途がさらに広げられている。この防暴銃は2006年に研究開発が開始され、2010年10月に鑑定を通過した。

構造の分析 

18.4mm致命/非致命半自動防暴銃はブルパップ式構造を採用している。外形は95式小銃と似ており、操作者の訓練や使用に便利である。銃の全長は比較的短く、重量は軽く、携行や狭い空間内での使用に便利である。銃身長が銃の全長に対して占める割合は比較的大きく、発射薬のエネルギー利用率を高めるのに有利である。銃全体の重心位置は合理的で、後座軸線は肩と垂直で、マズルジャンプ抑制の助けになっている。

この防暴銃全体はいくつかの大部品に分かれる。これにはバレル、レシーバー、ボルトユニット、撃発機構ユニット、発射機構ユニット、マガジン、グリップ、上部ハンドガードおよびストックユニット、共用の付属品装着部等が含まれる。

バレル

バレルには高品質の合金鋼による製造が採用され、堅固で耐久性が高い。この防暴銃の試作過程で、バレルは何度もの高圧弾薬、強装薬弾薬等の試験を経たが、いずれに関しても故障が発生したことはなく、このことからきわめて高い使用安全性を備えていることが分かる。

レシーバー

レシーバーには硬質アルミ合金による製造が採用されている。レシーバー前端は節状カバーでバレルと連結されている。その下方後部にはマガジン挿入口設けられている。レシーバー内部にはスライドレールが設けられ、ボルトキャリアと直動式ハンマーの往復運動のガイドに用いられる。レシーバー後端には梃子式緩衝器が設けられ、ボルトキャリアとハンマーが後座しきった時、レシーバー後端の梃子式緩衝器にぶつかり、この緩衝器によって後座エネルギーが吸収され、後座力軽減の作用が引き起こされる。

ボルトユニット

この銃はボルト回転式閉鎖方式を採用している。ボルトヘッドには3つの閉鎖突起が設けられ、バレル尾端の閉鎖ミゾと組み合わさって信頼性の高い閉鎖が実現される。この種の閉鎖方式による閉鎖は堅固で信頼性が高く、通常は小銃に採用され、主に大威力の弾薬の発射に用いられる。この防暴銃にこの閉鎖方式を採用したことは、さらに一歩の安全性を確保した。

撃発機構ユニット


撃発機構ユニットはハンマースプリング、ハンマースプリングガイドバー、リコイルスプリングベース等の部品からなっている。ハンマースプリングガイドバーの下方には直動式ハンマーが連結されている。

発射機構ユニット

発射機構ユニットは発射機構ベース内部に装備されており、セーフティ、シア、セミオートシア、トリガー等の部品からなっている。

マガジン

この銃はスチール製マガジンによる給弾を採用している。マガジン装弾数は5発で、そのフォーロワはボルトストップの機能も兼ねている。

マガジン内の弾薬を発射し終わった後、フォーロワは最高位置まで上昇し、その片側の突起がいっぱいに後退したボルトを後方位置でさえぎって止める。コッキングハンドルも後方位置にあり、こうしてボルトストップ状態となって射手にマガジン交換の必要を示す。

グリップ、上部ハンドガード、ストックユニット


この3つの部品はいずれも高強度プラスチックによる製造が採用されている。ストック前部はレシーバーの蓋も兼ねており、内部には梃子式緩衝機構が置かれている。ボルトが後退しきった時、梃子式緩衝機構にぶつかり、緩衝機構は後座エネルギーの一部を吸収してボルトが後退しきった時のレシーバーに対する衝突を緩衝する。したがって射撃精度向上に有利である。ストック後端には2本のネジで柔らかいゴム製のバットプレートが固定されている。上部ハンドガードにはキャリングハンドルが設けられ、コッキングハンドルはキャリングハンドル内に位置している。

共用の付属品装着部

この防暴銃には多くの箇所に付属品装着部が設けられており、実戦の必要に基づいて異なる付属品が追加装備できる。例えばキャリングハンドル上に光学サイトが追加装備できるし、フロントサイトベースにも付属品装着部が設けられている。この装着部は実は一体のバー状の部品であり、ネジでフロントサイトベースに固定される。その後端左右両側に2本の短いレールがあって、それぞれレーザーサイトやフラッシュライトが追加装備できる。バレル下方にはさらに35mm/38mmスムーズボアあるいはライフリングありの防暴弾発射器を追加で吊り下げることができ、武器の機能と作用範囲が拡張されている。

ガス導入の調節 異なる弾薬種類の使用に適する

18.4mm致命./非致命半自動防暴銃はガスオペレーション式自動原理を採用しており、ガスの導入量は大小の調節ができる。この機構はまさにこの銃を大威力殺傷弾薬の発射も、非致命防暴弾薬の発射も可能にさせる、この銃の設計上の一大ハイライトである。

目下、国内外の半自動防暴銃/散弾銃は殺傷弾薬しか発射できず、チャンバー圧力の比較的低い非致命弾薬を発射する時は自動サイクルを完成させる方法がない。この問題を解決するため、一部の半自動防暴銃/散弾銃はその中にポンプ式操作系統を増設している。例えばイタリアのM3スーパー90散弾銃やアメリカ軍が採用したM1014 散弾銃がそうである(頑住吉注:ベネリM3はそうですが、M4およびその米軍バージョンM1014はオートのみのはずです)。殺傷弾薬発射時は半自動装填方式を採用し、非致命弾薬発射時はポンプ式装填方式を採用する。この種の、ダブルの装填系統を採用した散弾銃は構造が複雑化するばかりでなく操作も比較的煩雑となる。ダブルの装填系統の採用は、殺傷弾薬および非致命弾薬の発射能力を兼ね備えるためにやむを得ず取った方法と言うべきである。

18.4mm致命./非致命半自動防暴銃はガスオペレーション式作動原理を採用しており、しかもバレル上方にガス調節器が設置されている。この種の設計は良好に上述の問題を解決している。ガス調節器は自動火器にあっては非常によく見られるもので、ガス導入系統に進入する火薬ガスの流量を調節することによって発射速度を調節する作用を達成する。しかし新型の18.4mm致命./非致命半自動防暴銃が採用したガス調節器の目的は銃弾の発射速度の調節のためではなく、ガス導入系統に進入する火薬ガスの流量を調節することによって、殺傷弾薬、防暴弾薬の射撃の自動サイクルを実現することにある。この銃のガス導入系統の調節栓には大小2つのガス導入ミゾがあり、しかも他の銃のピストンの断面積と比べてずっと大きいピストンが採用されている。チャンバー圧力が低い非致命弾薬発射時はガス調節器を大きい方のガス導入ミゾに調節する。すると充分多い火薬ガスがピストンに作用することができ、ショートストロークピストンは充分なエネルギー量を獲得してボルトをいっぱいまで後退させる。半自動装填、発射の目的が達成されるのである。チャンバー圧力の高い殺傷弾薬を発射する時は小さいほうのガス導入ミゾを使用する。火薬ガスのガス導入系統への進入流量を制限し、異なる弾薬種類の際の後座運動エネルギーを基本的に一致させ、自動機構がいっぱいまで後退する速度を一致させる。したがって武器の信頼性が保証され得るのである。

テストを経て、18.4mm致命./非致命半自動防暴銃は殺傷弾発射時、距離50mにおいて厚さ25mmの松板を貫通でき、距離100mでは単張膠合板(頑住吉注:べニアのことですが、「単張」の意味がはっきりしません。1枚ではべニアにならないので2枚のみ貼り合わせたものでしょうか)を貫通できた。非致命のゴム防暴散弾発射時は、距離10mにおいて25mm厚の松板標的を貫通できず、距離50mにおいて厚さ0.1mmのクラフト紙を貫通できた。非致命の催涙弾発射時は、距離40mにおいて普通のドア用窓ガラスを貫通でき、距離20mにおいて自動車用ガラスを貫通でき、催涙剤を放出し、有効に群衆を追い散らす目的が達成される。

不断の改良 人間工学的向上

18.4mm致命./非致命半自動防暴銃は試用に投入された後、研究開発側はユーザーからのフィードバックを基に必要な改良を行い、さらに実戦要求に適合するものとした。この銃はM16小銃と類似したボタン式マガジンキャッチを採用している。当初はマガジンキャッチがレシーバー右側に設置されていたが、マガジンはグリップの後方に設置されているので、右手でグリップを握って操作する時、右手をグリップの位置から後方、マガジンの位置まで移動させる必要があり、マガジン交換が不便だった。人間工学的向上のため、後にマガジンキャッチをレシーバー左側に改めた。マガジン交換が必要な時は、グリップを握った右手は動かさず、左手を使ってマガジンキャッチを押してマガジンを取り外し、そのままコッキングハンドルを引いて装填するのである。操作はスムーズで、便利で素早くできる。

この銃のコッキングハンドルはキャリングハンドル内に設置されている。試用過程で酷寒地域のユーザーが、射手が綿入れの手袋をしている時にコッキングハンドルの操作が不便であると表明した。設計人員はユーザーのフィードバックを基に、この防暴銃にコッキングハンドル転向バーを配備した。これは便利にコッキングハンドル側面にかぶせて装備され、これを取り付けると手をキャリングハンドル内に入れる必要がなくなり、コッキングハンドル転向バーを握ってコッキングハンドルを後方に引けばよくなる。この他、コッキングハンドル転向バーの装着位置は左右互換で、したがってコッキングハンドルは左、中(頑住吉注:コッキングハンドル転向バー未装着状態)、右の3つの方向から引くことができ、左右の手による操作が便利で、人間工学的に向上した。

設計は斬新 勤務性良好

国産の新型18.4mm致命./非致命半自動防暴銃は設計に大胆な新機軸が見られ、成熟したガスオペレーション式作動原理を借用しながらそれを発展させ、1挺の銃に異なる弾薬種類を使用するという技術的難題を解決した。しかも武器の外形および操作方式は95式自動小銃と類似しており、操作及び訓練、メンテナンス上さらに使用が便利である。

18.4mm致命./非致命半自動防暴銃主要諸元

全長 790mm
全体重量(空マガジン含む) 3.5kg
発射方式 セミオート
マガジン装弾数 5発
使用寿命 3000発以上
使用される弾薬の種類 18.4mm系列の弾薬


 硬度および密度が非常に高いタングステン製の散弾を、散弾銃としては非常に高い初速で発射することにより、画期的な威力、特に貫通力と長射程を持たせることに成功した09式ほどではないものの、面白い特徴を持つショットガンであることが分かりました。

 外観は95式とよく似ていますが、ハンマーが直動式である、シリンダーが異様に太い、マガジンキャッチがボタン式であるなど大きな差異があり、部品互換性もほとんどないと思われます(あれば長所として挙げられるでしょうし)。

 一番の特徴はガスの2段階切り替えにより殺傷弾薬、非致命弾薬双方をオートで射撃できることです。これまでガスの2段階切り替えができる中国製の銃器をいくつか紹介してきましたが、それらはいずれも通常の環境では小さい方のガスルートを使い、酷寒、砂塵の多い環境などによって正常に作動しない時に大きい方のガスルートを使う、というものでした。おそらくこの銃の場合、ガス調節の幅がそうした通常の銃より大きくなっており、低圧の弾薬でも動くようになっているんでしょう。太いシリンダーも低圧で動かすためと思われますし、あるいは直動式ハンマーも、回転式ハンマーとボルトの間に生じる摩擦抵抗をなくし、また長距離にわたってゆっくりコックすることによってより弱い力で動かしやすくするためかもしれません。非常にうまいアイデアですが、疑問もあります。まず非殺傷弾薬といってもいろいろ種類があるわけで、それらを全て大きい方のガスルートを使って発射できるのか、という問題です。非殺傷弾薬は比較的連射の必要性が低いと考えられますし、大きい方のガスルートの代わりにガスをカットして手動で連発する形でもよかったのではという気もします。もしジャムが頻発したらスムーズな手動連発より発射速度が遅くなってしまう可能性もありますし。次に、緊張した実戦の中で、うっかり大きい方のガスルートを使って殺傷散弾を発射したら事故になるのではないかという問題です。この点ガスカットならば間違えても事故にはならないはずです。

 09式にもボルトストップが設けられていましたが、この銃のボルトストップはそのようなメカニズム的に高度なものではなく、昔ハンドガンに多用されていたもののもうとっくの昔に絶滅したかと思われた、フォーロワでボルトを止める方法です。ないよりましかもしれませんが、ハンドガンのボルト、スライドより重そうなボルトがぶつかり続けることによるフォーロワの変形等も心配です。

 取ってつけたような、というかそのまんま取ってつけただけの「コッキングハンドル転向バー」はちょっとスマートさを欠くアイデアという印象です。非常に引っかかりやすそうですし、G36のように通常は前方にあって左右どちらにもスイングできるような形の方がいいでしょう。そのままではキャリングハンドル内に収まらないでしょうが、キャリングハンドルをやや前方に延長する、あるいはいっそフロントサイト部と一体化させることは容易なはずです。ちなみに詳しい説明が一切ないのでサイトはごく簡素なものでしょう。フロントサイトガードの上に穴があるので、少なくともフロントサイトの高さは調節可能ではないかと思いますが。

 個人的にはやはりフル・セミオート可能で、ドラムマガジンも選択できるようにしてほしかったところです。

 この銃が09式と共存していくのか、あるいはより優秀な09式の登場によって装備されないことになるのか、ちょっと気になるところです。






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