日本の「先進技術検証機」を評する

 正直私もあんまり過大な期待はできんだろうなと思ってますが。

http://www.chinanews.com/mil/2016/01-22/7727734.shtml


中韓の第5世代戦闘機、急速に発展 日本、自ら第5世代戦闘機を研究開発し争いに対応

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「日本の『心神』戦闘機」)

最近あるメディアは、日本が初めて自主研究開発する第5世代戦闘機「心神」の初飛行計画が再度遅延し、2016年第一四半期に行われると見られる、と報道した。以前、「心神」にはかつて何度も初飛行の情報が伝えられたが、いつも各種の技術的原因ゆえに遅延し、「心神」戦闘機プロジェクト始動以来、発展の道はずっとあまりスムーズではない。

アメリカはすでに日本が42機のF-35戦闘機を購入することに同意しているが、日本は依然自らの第5世代戦闘機の研究開発を堅持し、この中には戦闘機の発展をアメリカによってしっかりとコントロールされている局面から離脱し、日本航空工業を再興させるという心づもりもあるし、一段と力を入れて戦いに備えるという現実的な必要性もある。

設計上の要求は低くないが、作戦機能はあまり高くないだろう

日本の防衛省技術研究本部によって研究開発が率いられ、三菱重工によって設計製造が担当される第5世代戦闘機「心神」、コードネームATD-X、この意味は先進技術検証機プロジェクトXである。つまり、「心神」がもし研究開発に成功しても戦争に用いるのではなく、主にこの戦闘機によって、日本が長年来苦心して事前研究してきた第5世代機の設計技術、ステルス技術、高い推力:重量比のベクトルエンジン、火力・飛行・推力一体化コントロールシステム、総合電子システムなどを一体に整合し、第5世代戦闘機開発の実行可能性を検証するのである。

まさに「心神」というこの名前同様、日本は自ら設計、製造した第5世代戦闘機を持つことに対しひたすら思い焦がれているというべきである。アメリカが世界初の第5世代戦闘機F-22を研究開発した時、「先んじて発見、先んじて攻撃、先んじて破壊」の能力を持つ必要があると提示したが、日本も「心神」に対しこのような要求を提出している。

機動能力を保証するため、「心神」は通常レイアウトを採用し、テーパーのきつい台形の主翼、ダブル垂直尾翼、全体が動く形式の垂平尾翼、附面隔層道(頑住吉注:意味分かんないですが知識ある人は漢字から推測できるでしょう)が付属した2D空気取り入れルートを持ち、2台の推力ベクトルエンジンを装備する。だが「心神」は全長14.2m、全幅9.1m、全高4.5m、空虚重量約8トンで、体積はアメリカのF-16に比べさらに小さく、標準的な軽戦闘機に属する。これにより、それは作戦半径が大きくなく、滞空時間が長くなく、弾薬搭載重量が多くない第5世代戦闘機であって、作戦機能はあまり高くないかもしれないと判断することができる。

ステルス方面では、「心神」が独創したものは多くなく、それは非常に多くのF-22、F-35の設計理念を参考にしており、「心神」はブレンデッドウィングボディ空力レイアウトを採用し、機体前部は菱形、ダブル垂直尾翼V字型レイアウトで、S字型空気取り入れルートを採用し、機の腹部下には内部埋め込み式武器コンパートメントが設けられている。また、この機はさらにカーボンファイバー複合材料とステルス塗料を採用している。だが分段式キャノピーには機体との一体化設計が行われておらず、2つの弓形金属フレームが非常に目立ち、非常に高く突起したバブルキャノピーは視界良好を保証できるが、それにもかかわらず「心神」のステルス設計上の欠陥を暴露している。

「心神」のエンジンは2台の日本の石川島播磨重工社が設計製造したXF5-1エンジンで、1台あたりの重量は650kg、推力は49.5キロニュートン、推力:重量比7.8、尾部ノズルには偏流板推力ベクトル技術が採用されている。データは、これが中等推力エンジンに過ぎないことをはっきり示している。我々は、第4世代戦闘機F-16のF100-PW-229エンジンの最大推力とアフターバーナー使用時の推力でもそれぞれ79.18キロニュートンおよび129.4キロニュートンに達することを知っている。エンジンは飛行機の「心臓」であり、動力不足では「心神」が高い機動性や超音速巡航能力を持つことを保証することが非常に難しい。

関心を注ぐに値するのは「心神」の電子設備で、その機体表面には三菱重工が研究開発中の「スマート外皮」技術が採用されることになる、とされることである。この先進技術は「心神」のいくつかのシステムの前端センサーデバイス、例えば通信システムのアンテナをミニ化した後飛行機の外皮上にはめ込むあるいは付着させることになるかもしれない。また、この外皮を用いて電磁信号を検査測定し、風速、温度、圧力の変化を感じ取ることもできる。

日本の第5世代機の雄大な志は先進技術検証段階に止まらないだろう

報道によれば、日本は「心神」の研究開発を完成させた後、さらに「心神」を基礎に継続してF-3戦闘機を研究開発、発展させるだろう。だが外界にはこの説に対しずっと異論が存在し、ある人はこれは日本がアメリカを脅し、自らにアメリカがより大きな技術支援を与えるようにさせる策略に過ぎないと考える。だが非常に多くの兆しは、日本の第5世代戦闘機の雄大な志が先進技術検証段階で歩みを止めることはないだろうことをはっきり示している。

現代の戦闘機の発展はそれぞれのシステム技術に対する要求がどんどん高くなっており、投入されるマンパワー、マテリアルパワー、ファイナンシャルパワーのコストもどんどん高くなり、それに付随するリスクもどんどん大きくなっている。リスクを下げ、技術と経験を累積するため、アメリカなどの国はある戦闘機の研究開発プロジェクト正式立ち上げ前、いつもまず技術事前研究と検証を行う。類似の経験を根拠にすると、「心神」が成功裏に検証された後、すぐ続いてより大きな発展計画があるはずである。

現実の需要から見て、日本には「心神」を基礎に継続して実戦型F-3を発展させる動力もある。現在、中日、韓日間にはいずれも島嶼をめぐる争いが存在し、日本はこのため一段と力を入れて戦いに備え、大きな力を入れて先進的な軍事装備を発展させつつある。日本はすでにアメリカの第5世代戦闘機F-35の購入を開始しているが、対地攻撃をメインとするF-35は日本の天空を支配する要求を満足させ難い。また、中国と韓国の第5世代戦闘機も急速に発展しつつある(頑住吉注:中国は分かりますけど韓国のなんてまだ構想段階では)。

実は、今世紀初めに日本が次世代主力戦闘機F-Xのため機種選定をする時、一心にアメリカのF-22戦闘機の購入を望んだ。だがアメリカ議会は1998年には早くも立法してF-22の対外販売を禁止していた。だからこそ日本は止むを得ず退いてその次の選択肢であるF-35を求めたのである。

また、日本にはさらに自分なりのそろばん勘定がある。長年来、日本はずっとアメリカと協力して戦闘機を研究開発しているが、日本は決していつも小学生をしていることに甘んじない。近年来、日本の朝野は一心に戦後体制からの離脱を願い、新安保法通過を強行し、集団的自衛権を解禁し、「武器輸出三原則」を放棄し、不断に「平和憲法」の制限を突破し、軍国主義には復活の勢いが大いにある。だが日本政府が希望する「富国強兵」の理想状態に到達したければ、重要な武器装備の自主研究開発能力がなくてはダメなのである。日本の戦闘機など主要装備開発の主導権はずっとアメリカの手中にしっかりと握られ、「心神」および未来のF-3戦闘機は日本が主要航空装備の完全自主化を推進する重要な試みとなる。

「心神」からF-3に至ることは順風満帆ではあり難い

日本の第5世代戦闘機研究開発には少なからぬ優勢があるが、非常に多くの技術的難関もある。

長年来アメリカと戦闘機を合同研究開発してきたことはその最大の優勢の1つである。日本の以前のF-1およびF-2戦闘機はいずれも日米合作で研究開発されたものである。日本が装備する213機のF-15J/DJ戦闘機は、最初の14機を除きその他は全て三菱重工によって組み立てられた。長年来アメリカとの協力を通じ、日本は非常に多くの戦闘機研究開発、生産の技術と経験を獲得したと言うべきである。

今後何年かで、アメリカのF-35戦闘機の生産、製造の上で、日本は依然アメリカ軍事工業企業との密接な協力を保持することになる。日本が購入する42機のF-35は大多数が三菱重工によって国内で組み立てられ、こうした飛行機の非常に多くの部品も日本企業が生産する。2015年11月5日、日本の石川島播磨重工はさらにアメリカのプラット&ホイットニー社とF135エンジンを共同で生産する契約を締結した。アメリカと協力してF-35を生産することは、極めて大きく日本の第5世代戦闘機研究開発のスタートポイントを高めることになるだろう。

また、日本は科学技術強国であり、マイクロエレクトロニクス技術、コンピュータ技術、ネットワーク技術、材料技術など多くの領域で非常に先進的である。戦闘機の機載武器方面でも、日本には非常に良好な基礎がある。長年来日本はアメリカの機載武器を使用するのと同時に、不断に機載武器を自主開発してきた。日本が自ら研究開発したアクティブレーダー制御誘導空対空ミサイルであるAAM-4と赤外線成像制御誘導空対空ミサイルAAM-5は、アメリカのAIM-120およびAIM-9Xとの比較に堪える。

だが日本が第5世代戦闘機を研究開発するのに存在する困難も非常にはっきりしている。「心神」先進技術検証機の研究開発は2000年にはもう開始されていた。2005年9月〜11月、日本はかつて「心神」の原寸大模型を秘密裏にフランスに運んで一連のステルス効果試験を行った。これにはレーダー反射断面積、機体の電波吸収性能、エンジンの赤外線輻射などが含まれた。2006年5月、日本の防衛省は「心神」原寸大模型の試験の画像を公開し、その後2010年にこれを基礎に「心神」先進技術検証機を研究開発すると宣言した。

だがその後全工程の進度は緩慢で、2012年3月になってやっと三菱重工は正式に「心神」の組立を開始した。2014年7月、「心神」が完成し工場を出た後、初飛行計画は再三遅延した。日本が先進的な戦闘機を研究開発、発展させたくても、まだ非常に重大な困難が存在すると言わざるを得ない。

第二次世界大戦後、日本はずっと独立して戦闘機を研究開発したことがない。日本はずっとアメリカから学習してきたが、学習はその身をもっての実践に取って代わることはできない。多くの新技術から構成される先進的な戦闘機はけっして先進技術の単純な積み重ねではなく、いかにして多くの技術を合格点の出せるシステムに整合するか、多くのシステムを合格点の出せる飛行機に整合するかには、多くの機種で累積された工程の経験が必要で、これはまさに日本に欠乏しているものである。

先進的な戦闘機の誕生を背後で支えるのは国の強大な機械工業、航空工業、電子工業、航空宇宙工業である。日本が「心神」の原寸大模型をフランスに運んで試験したことから見て、日本にはまだ高性能戦闘機の研究開発に必須な非常に多くの試験手段が欠乏している。例えば大中小型、高中低速の各種風洞などである。

また、日本には第5世代機研究開発の上でまだ非常に多くの登る必要がある高い山がある。航空エンジンは機械工業の中の最も複雑な部分で、研究開発の難度は想像をはるかに超える。日本はすでにまだ完備されていない中等推力エンジンXF5-1を研究開発し、かつすでに構想上の推力146.8キロニュートンの大推力エンジンの研究開発に着手しているが、「中等推力」から「大推力」まで至るのは決して小さなエンジンをそのままの比率で拡大すればもう実現できるというものではなく、それは材料、設計から製造、試験まで、どの項目が薄弱でも全てダメなのである。また、第5世代戦闘機の必需品である火力・飛行・推力総合コントロールシステム、総合航空電子サブシステムなども、日本が一連の重大な技術的難関を攻略することを必要とする。このことから、「心神」からF-3に至る道はでこぼこに満ちているだろうと判断することができる。

(作者は張文昌 機関:空軍装備研究院)


 必要な技術はある程度アメリカから提供を受けられるでしょうが当然限度もあるはずです。しかし日本にアメリカの次世代機にも応用できるような高度な技術が一部でもあれば技術移転に関する交渉を有利に進められるかもしれません。






















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