中国最新輸出型戦車総設計師インタビュー

 VT4、別名MBT3000戦車のチーフエンジニアである馮益栢という人物に対するインタビュー記事です。

http://military.china.com/important/11132797/20141206/19066009.html


VT4総設計師:国産125mm戦車砲は1,000mm厚の装甲を撃ち抜くことができる

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「VT4は今後必ずや中国軍事工業輸出の新たな象徴となる」 なおこの記事のキャプションは全てこれと同じです。)

先月終わった珠海航空展で、中国のVT4型メインバトルタンクが公開され明るみに出た。しかし一部の外国メディアは依然国産戦車の技術的パラメータに対し四の五の言い、二言目には湾岸戦争中イラクが装備した中国の69式戦車の惨状の話をし、中国戦車を買ったユーザーは全て騙されてカモにされたかのようである。この種の商売の競争相手を口汚く攻撃する言い方は当然事実ではない。中国兵器工業集団主宰の「現代兵器」誌はこの戦車の総設計師である馮益栢をインタビューし、総設計師はVT4戦車のいくつかの具体的状況を紹介した。総設計師は、国産125mm戦車砲が発射する新型徹甲弾はすでに1,000mmのスチール装甲を撃ち抜くことができると明らかにした。また我が国がすでに電化学砲、レールガンなど新概念火砲の研究開発作業を展開していることを暗示した。このため将来の新型戦車に140mm口径の伝統的火砲が採用されることはないだろうという。しかもVT4の機動、防御、情報化方面の性能も、すでに世界先進水準に到達している。

以下は2014年の「現代兵器」増刊航空展特別編集「VT4 我々が自主研究開発した最も良い輸出戦車」の一文の一部の内容の抜粋であり、もって読者の満足に供する。

VT4戦車は中国兵器工業集団が登場させた最新型の輸出戦車であり、非常に多くの読者は最初ネット上に伝わった「装甲の日」動画の中でこの戦車を知った。今非常に多くの観衆は珠海航空展現場でこの戦車の威力をはっきりと感じ取ることができる。読者がこの戦車をより多く理解できるようにするため、本刊記者はVT4戦車の総設計師馮益栢に特別インタビューし、馮益栢総設計師が我々のためにこの戦車の来歴を細かく語るのを聞いた。

研究開発の過程

記者:我々はVT4が対外貿易市場に照準を合わせた新型戦車であることを知っています。我々のためにまず中国輸出戦車の研究開発過程を整理していただけますか?

馮益栢総設計師:輸出戦車の発展過程の中では、85-II戦車が兵器集団輸出戦車発展のために功績を挙げたと言うべきです。

1980年代末から90年代初め‥‥(頑住吉注:中略という意味ですかね)我々は「風暴」戦車を研究開発し、そのコードナンバーが85式でした。惜しいことに変速ボックスの問題ゆえにこのプロジェクトは最終的に失敗しました。後に我々はまた85-II式輸出戦車を研究開発し、かつ国外の発注を獲得しました‥‥後に軍の注意を引き起こしました。当時まだ我々が第3世代戦車の研究開発を完成させておらず、部隊装備が早急なグレードアップを必要とすることを考慮し、そこで軍はこの戦車を国内に引き戻すことを決定したのです。この戦車は部隊の要求に照らし寒い地域での試験を補充し、かつ関連の改良を行った後、最終的に部隊に装備され、これこそ現在の中国陸軍の96式戦車です。

90-II戦車はMBT-2000戦車とも呼び、これは1980年代に某国が提出した要求により中国が研究開発した新型輸出戦車です‥‥我々は戦車の研究開発を完成させましたが、当時の国内の条件に制限され、90-II戦車の動力コンパートメントには最終的にウクライナの動力コンパートメントを採用せざるを得ませんでした。

記者:我々はいつからVT4輸出戦車の研究開発を開始したのですか? 当時の背景はどのようでしたか?

馮益栢総設計師:VT4戦車の研究開発は2009年に始まり、内モンゴル第一機械集団有限会社とその他のいくつかの機関によって合同で研究開発され、当時の主要な目標は中国に動力コンパートメントがない問題を解決することでした。

(1980年代の)90-II式の研究開発過程の中で、我々は相次いでいくつかのサンプル車を作り、その中のあるサンプル車はZFの変速ボックスと396Dエンジンを採用しており、後者はドイツから導入したエンジンでした‥‥外方(頑住吉注:意味不明ですがこの場合ドイツのこと?)の首相はこの戦車は「操縦するとまるでベンツのようだ」とさえ評価しました。ですが後にこのエンジンは中国で発生した政治動乱(頑住吉注:天安門)事件の影響を受けたため、もはや西側からは輸入できず、この法案は止むを得ず棚上げされました。

当時の国内的条件に制限され、90-II戦車は止むを得ずウクライナのエンジンを使用し、これは客観的には新戦車が成功裏に輸出対象国市場入りするために便利な入り口を開きました。ですが中国が自ら研究開発した戦車に自らの動力コンパートメントを装備する方法がないということ、これはずっと我々科研人員の心中のわだかまりでした。

我々は、きっと中国自らの動力コンパートメントを作り出すとの決心をしました!

後の2011年、我々は90-III戦車プロジェクトの中で自らの動力コンパートメントの研究開発を開始しました。実験中、伝動システムが難関を突破せず、故障率が非常に高く、戦車の走行試験が完成できないという結果がもたらされました。90-III戦車プロジェクトは最終的に失敗しました。(頑住吉注:この記事は明らかに一部内容が前後しており、後で出てくる黄色の文字にした部分は本来この次に入るはずのものと思われます。)

(頑住吉注:この部分は後に出てくる「機動」という項目の一部、もしくは「シャーシ」のような独立した項目だったのでは)記者:VT4の懸架システムには油気圧懸架システムが採用されていますか?

馮益栢総設計師:VT4が採用するのはトーションバー懸架システムで、油気圧懸架システムは採用していません。

油気圧懸架システムは決して新技術ではありませんが、現在一般にトン数が比較的小さい車両にのみ用いられています。この装置は加工技術に対する要求が比較的高く、加工および維持修繕のコストが比較的高く、いくつかの大型車両、特に戦車のような大トン数の車両には採用されることが非常に少ないのです。現在世界では日本や韓国など少数のいくつかの国の戦車だけが油気圧懸架技術を採用しており、これは主に戦車が山地で作戦する必要を考慮したものですが、この種の状況は戦車の作戦の中でごく少なくしか出現しません。

油気圧懸架システムはプラットフォームの俯仰と傾斜角を調節できますが、このことは戦車にとって意義が大きくありません。戦車は傾斜状態の時に傾斜角センサーによって戦車の姿勢に関する情報を出し、戦車の火力コントロールシステムはこうした情報を根拠に修正後の火力コントロール情報を自動で生成し、戦車は依然目標に対し正確な射撃が実施できるのです。戦車にとって、傾斜状態下での固定目標あるいは動態目標打撃は主要な訓練科目です。現在国内の油気圧懸架技術はまだあまり信頼性が高くなく、我々は戦車にこうした部品を使用することを提案しません。


防御

記者:VT4は全部でどういった防御措置を採用しているのですか? その防御レベルはどうなのですか?

馮益栢総設計師:‥‥VT4の防御には複合装甲+爆発反応装甲を採用しています。我々は戦車の前半部と両側に複合装甲+爆発反応装甲を装備し、後部にも爆発反応装甲を装備しています。VT4輸出戦車の複合装甲の防御レベルは500mm均質スチール装甲を超え、反応装甲をプラスした後は700mを超えます。この防御レベルは発展途上国にとってすでに充分です。

ですが我々は決してまだ放棄せず、当時の第3世代戦車大改良プロジェクトの助けを借り、科研人員のたゆまぬ努力、苦しい難関攻略、厳格な試験を経て、最終的に成功を取得しました。我々は勢いに乗って中国自らの新たな伝動システムを装備した戦車を登場させ、これこそ現在のVT4輸出戦車です。

つまり、VT4プロジェクト立ち上げの初志は、90-II戦車を国産動力コンパートメントに換えるというもので(また当時のプロジェクト名はMBT2000グレードアップ改造と称しました)、我々は最終的に目標を完成させました。VT4戦車は完全国産化された新世代輸出戦車と言えます。


機動

‥‥馮益栢総設計師は戦車の動力システムの先進性能を紹介する時、VT4は総合液圧機械伝動変速ボックスを採用していて方向転換が非常に敏捷であるとした。50トン余りの戦車に高速走行状態下での快速制動を実現させることができる。新たな伝動システムは自動変速を実現しており、操縦員はハンドルを用いて戦車が操縦でき、戦車の操縦は自動車同様に容易である。(頑住吉注:何故かここだけ総設計師の発言の直接の引用ではないです。)

VT4の初のサンプル車では、この変速ボックスにはまだいくつかの問題が存在しましたが、我々の難関攻略を経た後こうした問題は解決され、その後の6,000km試験の中で、信頼性は予想を超えました。現在のVT4正規サンプル車にもこの変速ボックスが装備されています。一連の試験を経た後、現在検査修正の過程にあり、我々はこれを国外に運んでより厳格な試験を行うつもりです。今回の珠海航空展で我々が展示したのはVT4の初のサンプル車です。

‥‥VT4戦車はその場での方向転換能力(頑住吉注:超信地旋回のことでしょう)を持ちます。これは国際的にハイランク戦車の象徴的な能力です。その動力コンパートメントにはエンジン横置き設計を採用し、エンジンの出力は1,200馬力です。行動部分には新式鍛造キャタピラを採用しています(頑住吉注:従来は鋳造キャタピラで、重量が重く壊れやすかったようです)。その火力コントロールシステムはグレードアップを獲得しています。新戦車は新型遠隔操作武器コンパートメントを採用し、かつ外形設計を最適化しています。

(頑住吉注:これより3ページ目)

火力

記者:VT4の火砲は以前のMBT2000が採用した火砲と比べどんな差異があるのですか?

馮益栢総設計師:VT4は依然125mm戦車砲を採用し、徹甲弾、成形炸薬弾、殺傷爆破榴弾が発射できます。このうち、徹甲弾の威力は700mmに到達可能で、もし新型徹甲弾を採用すれば、装甲貫通威力は1,000mmに到達し得、世界のいかなる装甲目標をも貫通するに足ります。

記者:我々はユーザーの需要に基づいて戦車を120mm戦車砲に換装することはありますか?

馮益栢総設計師:技術的角度から言ってVT4は120mm戦車砲に換装でき、このことに何ら困難は存在しません‥‥私個人は、ユーザーが火砲を交換する必要は全くないと考えます。何故なら我々の125mm火砲の威力は強大で、120mm火砲を完全に超越できるからです。

記者:我々はより大口径の火砲の研究開発を考慮していますか?

馮益栢総設計師:我々はかつて1400mm火砲を開発したことがありますが、レールガンや電化学砲など新型火砲の出現と共に、現在すでに棚上げされています。私個人は、現在の125mm火砲の威力は現在の需要を満足させるに足りると考えます。

(頑住吉注:後で出てくる空色の文字にした部分は本来ここに入っていたのでは。)

記者:あなたはかつて砲から発射するミサイルはすでに必要のない装備になっていると言ったことがありますが、現在まだこのような視点を持っていますか?

馮益栢総設計師:‥‥個人的に砲から発射するミサイルの地位は低下しつつあると考えます。戦車はその先進的な火力コントロールシステムおよび高初速の制式弾薬に完全に頼ることができ、これでもう戦場の多数の目標を破壊することができるのです。

ですがユーザーの要求に基づき、VT4は依然砲から発射するミサイルを発射する能力を留保しています‥‥

情報力

記者:VT4は夜戦能力を持っていますか?

馮益栢総設計師:VT4戦車は第3世代赤外線夜視装置を装備しており、使用(方法)はスターライトシステムと同じです。VT4は兵器(集団)自身の赤外線熱成像システムを採用し、探知計測距離は2,000mに達します。

記者:VT4のデジタル化および情報化方面において全部でどういった技術を採用しているのですか?

馮益栢総設計師:VT4のデジタル化および情報化レベルは非常に高く、先進的な戦車が普遍的に採用しているデジタルコンピュータ制御技術、デジタル通信技術、データバス技術などを採用し、1つの完全情報化された車両電子システムを組成し、情報収集、処理、交互、分発の自動化を実現しています。VT4はそばの友軍戦車との間および指揮車との間での情報伝達を実現できます。

また、我々はユーザーの要求に基づいてVT4の情報化配置を増減することもできます。

(頑住吉注:これより4ページ目)

(頑住吉注:これも本来多分「機動」もしくは「シャーシ」の一部でしょう)記者:国外戦車の発展状況によれば、混合動力シャーシが発展方向のようですが、我々はこの種のシャーシを研究開発する能力を持っていますか?

馮益栢総設計師:我々はこの種のシャーシを設計する能力を持っています。関連の試験も進行中で、その性能は予期される要求に到達しています。


中国の未来の輸出戦車

記者:輸出戦車の今後の発展構想と考え方の筋道を語ってください。

馮益栢総設計師:近年来、戦車の発展には比較的曲折があったというべきです。戦車はかつて陸戦の王と呼ばれましたが、空中戦力の不断の発展および壮大化と共に、戦車に対する脅威もどんどん大きくなり、戦車無用論が一度流行し、特にコソボ戦争後になると戦車は時代遅れの武器とさえ見なされました。

私は個人的に、コソボ戦争はやはり対等な戦争とは呼べないと考えます。米軍とユーゴスラビアの実力差はまるで象と蟻です。この戦争後米軍も戦車の発展を決して停止しておらず、かつM1A1を基礎にM1A2を登場させています。現代の戦車は依然陸軍で最も強大な兵器であり、戦場で依然有用です。特に衝突が絶えない中東地域では、戦車の地位は依然突出しており、陸軍がありさえすれば、戦車は依然地上で最も強大な武器なのです。私は戦車、特に輸出戦車の発展の前途の見通しは依然良好と考えます。我々は国際市場においてすでにMBT2000戦車を有し、今さらに性能がより良いVT4戦車を登場させ、これは継続して我々の市場を開拓しようとするものです。

また、我が国の戦車の発展は今になってやっと世界先進レベルに到達したばかりです。全世界に戦車を自主研究開発および生産する能力を持つ国はいくつもなく、戦車工業は多くの関連の業界、入新材料(頑住吉注:意味不明で検索してもヒットせず)、光機械電気業界などの発展と関わり、ある国の工業レベルを向上させることに対する意義は重大です。この意味から言うと、我々も新戦車の研究開発を停止するべきではありません。もし我々が強大な工業能力を持ち、世界先進レベルの戦車を生産し、さらに現在の情報技術の助けを借りれば、きわめて大きく我が部隊の作戦能力を向上させることができます。

作戦の角度から見ると、非常に多くの国の陸軍は決して廃止されず、通常戦争を行っています。通常戦争の中で、戦車は必要不可欠です。新たな戦車概念が出現する前、戦車は依然現在の車体+砲塔という構造です。これを基礎にいくつかの新技術を採用し、戦車の作戦能力を向上させるのが未来の発展の方向です。

(頑住吉注:これも本来多分「機動」もしくは「シャーシ」の一部でしょう)我々は新型動力システムを研究開発することができ、例えば混合動力の採用あるいはその他の燃料駆動システムの採用であり、戦車の加速性能を改良し、戦車の機動能力を高めるのです。

我々は戦車のために新概念武器を研究開発することができ、例えばレーザー武器で、レーザー武器をアクティブ防御に用いれば、来襲する弾薬を有効に迎撃できます。

我々はさらに情報化の発展が提供する条件を利用して、新型のスマート化戦車を研究開発することができます。


 内容以前に記事の前後がバラバラなことが気になってしょうがありませんがそれはさておき、中国戦車の進歩の様子がある程度読み取れると思います。砲から発射するミサイルが不要だというのはたぶん西側に近い考え方なんでしょうが、ミサイルの方が遠距離では有利になるのではないかとも思われ、不要とする理屈がいまいち分かりません。















戻るボタン