各国空母艦隊の戦力を比較

 「空母にまたがり釣魚へ」というペンネームの筆者による各国の空母艦隊の戦力比較です。

http://club.china.com/data/thread/12171906/2744/51/27/2_1.html


ワリヤーグは怒れる小鳥に過ぎず、アメリカ空母はやはり真の雄鷹である

ワリヤーグは間もなく就役するかもしれず、我々は中国の軍事マニアの中国初の空母に対する熱く大きな期待を理解することができる。このため一部の軍事マニアがワリヤーグ空母の戦闘力に対しいささか誇大に、甚だしきに至っては際限なくほらを吹くのも理解できる。軍事マニアがワリヤーグ空母を熱く褒め上げるのがもし単に快感のためだけならば、我々は強くとがめることはできない。だがもし本当にワリヤーグ空母が強大だ考えているならば、比類のない大間違いであり、一顧だに値しない。

まず我々は分析を行い、空母の戦闘力を決定する要素を確定する必要がある。

1.早期警戒能力。これには衛星による早期警戒能力、早期警戒機の機能の強弱、艦載レーダーシステムの能力などの方面が含まれる。

2.維持保護能力。これは主に空母戦闘群の人員の素質を指し、作戦経験、訓練レベル、技術水準などの方面が含まれる(頑住吉注:ダメージコントロール能力のことですかね)。

3.攻撃能力。艦載機、ミサイル、遠距離火砲などを含む武器システムの攻撃力である。

4.外周能力。空母のサポートに用いられる例えば護衛艦、駆逐艦、原子力潜水艦、保障艦等々の外周艦船の能力である。

5.電磁能力。空母群が強大な電子戦および対電子戦を行えるか否かも空母の戦闘力を決定する重要な要素の1つである。

6.対潜能力。空母戦闘群が敵サイドの潜水艦を発見し、対応する能力である。

7.防空能力。空母の対空砲火の強弱、対ミサイル能力、集中攻撃に対応する能力。

8.トン数能力。空母群が搭載する武器の数量、例えば艦載機、ミサイル等の数量であり、つまり我々が言うところの大型、中型、小型空母の別である。

9.航続能力。空母戦闘群に作戦持続を保証する時間の長短および作戦距離、海外軍事基地などである。

10.集群能力。複数の空母戦闘集群を組織し、もってその持久的な、広範な、多次元の打撃能力を保証できるか否かである。

以上の10大要素が空母の戦闘力を決定する要素である。そしてこの10大要素の中に、さらに主要なものと副次的なものの別があるに違いない。もし我々が百分率でこの10大要素を分配するなら、私は以下のごとき比率に従って分割するのが比較的合理的であると考える。

1.早期警戒能力25%。私は早期警戒能力が空母の戦闘力を決定する最重要の要素であると考える。空母戦闘群が強大な早期警戒能力を持ってこそ、有効に敵を先んじて発見し、敵に先んじて分析し、敵に先んじて攻め、また守り、システムの全面的情報計画と、完備され正確な作戦方案を作り出すことができるのである。たとえ話をすれば、ボクシング王タイソンはほとんど無敵だが、もし目が見えず耳も聞こえないタイソンならば、恐らく普通の人間でも彼を翻弄することができる。この時のタイソンが依然恐るべき鉄拳を持っていてもである。さらに例を挙げれば湾岸戦争中、イラクにも数機の高性能航空機があった。もし飛行機対飛行機の一騎討ちならばイラク機もひけはとらないはずだった。だがアメリカの強大な早期警戒感知能力の圧迫下で持てる力の使いどころがなく、一方的に叩かれて屑鉄になり果てるしかなかった。これこそ早期警戒能力が空母にとってこのように重要な根本的原因である。25%を早期警戒能力に割り当てることにさほどの意見の不一致はあり得ないと信じる。

2.維持保護能力12%。空母戦闘群の戦闘任務執行は、突き詰めればやはり人間の操作に頼る必要があり、千単位の人が有機的に一体化し、一糸乱れず整然と戦闘群全体の各項目の指令と任務に協調することに頼り、各種の突発事件を処理し、空母群に対し有効な維持保護と養生を行う必要がある。12%を空母の維持保護能力というこの要素に割り当てることに反対する人はいないと信じる。

3.攻撃能力12%。先進的艦載機、強大な進攻型ミサイル、突出した遠距離火砲を持つことは、疑いなく空母戦闘群の最重要の能力の1つである。だが私は10大能力の3位に位置できるだけだと考える。私は台湾のスーパーネット仲間YSTが艦載機の能力を首位に置いた考え方は偏っていると考える。

4.外周能力10%。空母の出動時はいつも他の艦に取り囲まれてもったいぶった様子である。だが空母のこうした従者、例えば駆逐艦、護衛艦、潜水艦等々の必要性が高いことを我々は皆知っている。1隻だけで従者のない裸の空母は非常に危険である。

5.電磁能力10%。電磁戦能力に関しては多くを語る必要はない。我々はアメリカの最近の対外戦争からすぐに見て取ることができる。アメリカの敵は戦闘中アメリカの電磁戦によって目くらましされ、じたばたもがいても何の助けにもならない。中国も1996年の台湾海危機の時アメリカの電磁戦がもたらす苦い結果を味わった。幸い中国はその後痛みから教訓をくみ取り、現在では一人前になったと評価できる。この10%の電磁戦能力への割り当てには非難すべきところはない。

6.対潜能力10%。潜水艦の空母に対する巨大な脅威は、現在世界各国が採る空母に対する不対称作戦の最重要の根拠でもある。強大な対潜能力なしでは、空母はいつでも巨大な危険の中に身を置くことになる。

7.防空能力9%。現代における進攻型武器の大量出現と使用投入は、空母の防空能力に巨大な試練をもたらした。特に中国の神秘的な対空母弾道ミサイルの出現は、さらに現代空母の防空に巨大な抜け穴を作り出した。ここ20年以内に対空母弾道ミサイルは一層空母上空の巨大な暗い影として空母を覆うことになると信じる。この暗い影は空母上空に存在するだけではなく、さらに空母大国の心の中の恐るべき悪夢としても存在することになる。

8.トン数能力5%。大型空母は巨大な数量の各種武器を搭載し、その強大な破壊力は敵の心胆を寒からしめるに足る。100機近い艦載機、数千発のミサイル、無数の遠距離ロケット砲弾が天地を覆い隠すように敵に向けられた時、中等力量の1つの強国はたちまちのうちに壊滅する。空母のトン数能力は、大面積を火力でカバーする必要がある状況下では特に重要性が際立つ。

9.航続能力4%。空母は超強力な航続能力を持つ。これは遠海作戦実現能力に対し非常に重要である。中国が真の遠洋海軍という目標を実現する必要があるなら、強大な原子力空母を持つことが必須である。さもなければ一切が空論である。

10.集群能力3%。複数の空母からなる空母群は疑いなく中規模以上の海戦に必須な条件となり、2つの相互支援共同作戦を取る空母群の戦闘力は絶対に1+1は2より大きいという概念である。さもなければ中国の軍事専門家が提出した、中国は6隻の空母を必要とするという視点もあり得ない。2隻が任務を執行し、2隻が帰航し、2隻がドック内で維持メンテナンスを行う、その視点はまさに空母戦闘群形成に基づく最低限の要求である。

これらをまとめると、我々は世界に現存する空母の戦闘力をクラス分けすることができる。私個人の評価によるクラス分けは以下の通りである。

アメリカ空母96%

私はアメリカ空母の攻撃能力はやや不足が目立つと考える。何故ならアメリカの艦載機はすでにやや遅れが目立ち、またその最新型である第4世代艦載機F-35にも各種の欠陥が存在する。この点に関し、私は台湾のYSTの分析は非常に合理的であると考える。さらにアメリカ人はその艦載機の能力に重点を置き、一方対艦ミサイルなどのミサイル類の攻撃武器の発展に対しては投資が不足している。このため空母攻撃力という方面において、アメリカ空母が12%中8%を得るというのが比較的合理的である。

アメリカ空母のその他の能力に関しては、アメリカ人が空母を扱ってきた長い歴史、熟練した技術、完備されたシステム、専業の人員等々各種の創始者クラスの先天的優勢により、私は満点を与える。あえて不適当だと言う人はいないと信じる。

このため、アメリカ空母は96%の高得点をもって世界空母の実力の絶対的トップの地位にあり、これを揺るがせ得る者はいない。

ロシア空母69%

1.早期警戒能力15%。毛子(頑住吉注:何度か出てきましたが「毛唐」に近いロシア人の蔑称)のあの空母にはカタパルトがなく、早期警戒機はかの老いて歯抜けになったKa-31しか使えない。初歩的な早期警戒能力を備えているとしか言えず、ギリギリ15%の合格点を出せるというのが合理的である。

2.維持保護能力10%。毛子は旧ソ連時代数隻の空母を扱っていたが、現在ではクズネツォフ号空母1隻しかない。また維持保護や補充のための金もない。だがその空母作戦人員の素質はまだ健在である。このため10%という比較的高いパーセンテージを獲得できる。

3.攻撃能力8%。毛子のクズネツォフ号はそのミサイル方面の能力が突出し、その他の方面はややアメリカに劣るが、それでもアメリカと同じ8%を獲得できる。

4.外周能力9点。毛子空母の外周艦も比較的完備されたものだが、やはり金がないという問題ゆえに維持保護が乏しく、このため1%割り引いて9%である。

5.電磁能力6%。毛子は電子技術方面においてこれまでずっと実力が乏しく、さらに思想的に遅れ、電磁戦の重要性に対する認識が乏しい。このため6%しか与えない。

6.対潜能力6%。アメリカには比肩し得ないが、結局のところ旧ソ連の基礎を引き継いでおり、やはり比較的強い対潜能力をを有している。6%与える。

7.防空能力9%。毛子の防空は(頑住吉注:意味不明)、アメリカに比肩するに足りる。このため満点を与える。

8.トン数能力3%。毛子のクズネツォフ号は中型空母であり、3%与えてもすでに相当甘い。

9.航続能力3%。結局のところ原子力動力ではなく、遠海作戦能力は制限を受ける。

10.集群能力0%。クズネツォフ号1隻しかないため、0%しかない。

イギリス、フランスの空母84%

1.早期警戒能力20%。早期警戒機はアメリカと大差なく、衛星早期警戒能力はやや劣り、艦載レーダーはやや劣るが、ロシアに比べればやや強く、20%を与えるのが合理的である。

2.維持保護能力10%。ロシアに近いが、アメリカと競うのが不可能なことは間違いない。10%を与える。

3.攻撃能力8%。アメリカに近い。何故なら彼らの攻撃システムは同じ系列だからである。

4.外周能力10%。アメリカと同系列である。

5.電磁能力9%。アメリカと同系列で、アメリカに近い。

6.対潜能力9%。アメリカと同系列だが、アメリカに比べればやや弱いに違いない。

7.防空能力8%。アメリカと同系列だが、アメリカに比べればやや弱い。

8.トン数能力4%。ロシアと同ランクというのに異議はない。

9.航続能力4%。原子力動力の航続能力は強大で、満点を与える(頑住吉注:イギリスは原子力空母を持っていませんが)。

10.集群能力1%。短期間内に2つ以上の空母集群が形成できるが、長期間維持はできない。1%を与える。

インド空母52%

1.早期警戒能力12%。早期警戒機はロシアに近いが、機載レーダーおよび衛星早期警戒能力が劣る。12%は合理的である。

2.維持保護能力。ずっと数隻の壊れた空母をいじくり回し、一定の維持メンテナンス能力がある。カギとなるのは進んで金をつぎ込むことで、その能力はロシアに近づく。10%を与える。

3.攻撃能力。艦載機はロシアに近いが、ミサイルが力不足である。6%を与える。

4.外周能力。あるべき物は全て持っているとしか言えず、さらに原子力潜水艦も力不足のため7%だけである。

5.電磁能力。インド空母は基本的に電磁能力に関してはお話にならず、象徴的に1%与える。

6.対潜能力。ロシアに及ばず。5点を与える。

7.防空能力。初歩的な防空能力を備えているとしか言えず、3%を与えてよい。

8.トン数能力。ロシアに近く、3%を与える。

9.航続能力。ロシアに近く、3%を与える。

10.集群能力。イギリス、フランスに近く、1%を与える。

中国空母70%

1.早期警戒能力15%。早期警戒機はロシアと同じで、衛星、艦載レーダーもロシアに近い。15%を与える。

2.維持保護能力7%。中国発の空母の維持メンテナンス能力はきっとロシア、インドに及ばない。7%を与える。

3.攻撃能力10%。中国の殲-15、ミサイル、遠距離火砲はいずれも出色だが、艦載機はカタパルト発進できず、満載できない。10%を与える。

4.外周能力9%。外周能力はやはり比較的出色で、アメリカにやや劣るだけである。9%を与える。

5.電磁能力8%。1996年台湾海危機後、電磁能力の悪い点は補われ、イギリス、フランスに近づいたに違いないが、アメリカに比べればやはり少し隔たりがある。8%を与える。

6.対潜能力6%。ロシアに近い。6%を与える。

7.防空能力8%。ロシアに近い。8%を与える。

8.トン数能力4%。ロシアに近いが、改造後艦載機がやや増えた。4%を与える。

9.航続能力3%。ロシアと同じ。3%を与える。

10.集群能力0%。1隻の空母は戦闘集群を形成できないので0%。

私は以上のパーセンテージは中国のワリヤーグ空母の真の戦力を比較的現実的に反映しているに違いないと思う。この空母の戦力はロシアのクズネツォフ号と等しく、第3グループに位置する。だがアメリカの第1グループおよびイギリス、フランスの第2グループより弱く、インドの第4グループより強い。例えばタイのたぐいの空母となると、ここで検討する必要がない(頑住吉注:イタリアやスペインもですかね)。

中国空母最大の欠点はカタパルトがないことである。もしカタパルト問題の解決が得られれば、中国空母は早期警戒能力で10%多く得点し、攻撃能力で2%多く得点し、こうなった時中国空母は82%の成績となって第2グループに入ることができ、イギリス、フランスの空母と同クラスとなる。

ここで止むを得ず日本に触れよう。日本はアメリカの制限を受けて真正の空母を持たない。だが我々は皆知っている。日本は第二次大戦の時期空母大国であった。敗戦後はさらにアメリカの従者をし、アメリカ空母に関しても比較的理解している。このためもし日本が自分の空母を持つことができたら、日本の空母はしばらくの間外周能力(原子力潜水艦)、早期警戒衛星、集群能力といったいくつかの、建設に時間を要する方面においてアメリカに比べやや劣るはずだが、時間の推移につれ、最も長くとも10年の時間があれば日本はアメリカと比べるのでも足りないほど完備された、世界最高クラスの空母レベルに達すると信じる。振り返って中国はと自問すると、10年後中国の空母はアメリカ空母のレベルに到達し得るか否か?


 初の空母就役近しの情報に高揚し、これを過大評価する軍事マニアが多い中、「空母にまたがり釣魚へ」というペンネームから見て中国なりの「愛国者」だと思われるこの人は比較的冷静にその限界を指摘していますが、これでもちょっと中国に甘い評価であるように感じられます。蔑称で呼ぶことで分かるようにこの筆者はロシア人が嫌いらしく、中国空母艦隊の実力をロシアのそれよりわずか1%上としているのが微笑ましいですが、私は長年の空母運用経験を持つロシアより、その中古空母を初めて手探りで、しかも多くの分野に遅れを残す技術で改装した中国の空母を中心とする艦隊の実力が上だというのはちょっと信じ難いです。

 日本に関する記述はもう日本人からしたら苦笑するしかなく、67年前に空母大国だったからやろうとすればすぐ世界トップになれるというのが本当なら、とっくに世界最高水準の戦闘機を作れていなきゃおかしいんでは。中国と違って民主主義の日本では、莫大な予算をかけて空母艦隊を建造しようなどと主張する政党が議会で多数を占めるとも思えませんし。








戻るボタン