タンフォリオ「フォース99」

 イタリアのメーカーであるタンフォリオの「フォース99」については「sp−21その2」の項目でちょっとだけ触れました。この銃に興味があるんですが、残念ながら「フォース」そのもののレポートは手元の雑誌にはありません。まず、「Visier」2003年11月号に掲載された、チェコ製ライセンス生産品のレポートの内容をご紹介します。


「安くて良い品」
チェコのアルファ社が、驚くべきことにノリンコ製品とさえ競える安さの銃を作った。「Visier」はこの製品「コンバット」と「ディフェンダー」.40S&Wモデルをテストした。

 ハード(困難)な時代はハードな節約を強いる。ドイツ、オーストリア製の新しいプラスチックフレームピストルを買えば家計から600〜800ユーロ割かねばならない。これより明確に安い選択としては、従来まず第一にフランコニアが370ユーロで提供している中国製ノリンコ製品が考慮された。しかしこの銃はオールスチールで重く、コンシールドキャリーに最適ではない。今、倹約家たち向きの別の選択肢が現れた。420ユーロ代で買えるプラスチックフレームピストル、アルファ「コンバット」と「ディフェンダー」である。
 これらアルファピストルには技術的な新しさはない。原理的には、単にすでに存在するイタリア タンフォリオ社の「フォース99」をチェコでライセンス生産したものに過ぎない。タンフォリオ製品はタンフォリオ製品で全くのオリジナルではなく、基本的にはすでに古典的存在であるCz75(アルファ製品と同じチェコ製)をプラスチックフレームにしただけのものだ。加工の面でも一部Cz75の通常のスタンダードと一致している。だが、バレル、スライド、フレームの結合には明らかに遊びが感じられる。ただし、過度に風通しがいいとか全くのガタガタというわけではない。フレームと色がいくぶん違うスライドのマットブルーも良好な平面が出ており、ザラザラの加工はない。
 製品を操作してみて、「おおむね良好」と認められた。Cz75が握りやすいと感じる人なら「コンバット」も、そのコンパクトな姉妹品の「ディフェンダー」も握りやすく感じられるだろう。グリップの厚みはたった28mmしかなく、手の小さい人にもフィットする。
 サイトには課題が残った。フロントサイトは3.5mm幅、リアサイト溝は2.9mm幅で、両者にホワイトが入れられ、それを合わせることで薄暗いところでも素早く狙える。サイトの形もコントラストがはっきりして見やすい。両方の銃を調節せずに25mから撃った場合、それぞれ2、3cm上下の誤差が生じた。
 テストした銃のトリガーは作動時に軽い摩擦があり、プルは2kgを少し超える。このクラスでは普通だ。DAのプルは5kgでこれもこの枠組みでは普通だ。DA時のストロークは16mmと比較的長いが、抵抗があることの方がより大きな問題である。
 両者とも、シューティングレンジにおいてさまざまなフルメタルジャケット弾、SpeerのGold Dotホローポイント弾ともやすやすと消化した。Magtechの鉛製セミワッドカッターはこのピストルに使用してはいけない。全鉛弾は閉鎖不良を起こす。これ以外の用意したテスト弾薬においてほとんど問題はなかった。アルファの銃にはマガジンローダーを付属すべきである。両者とも同封されている.40S&W用マガジンにフル装填するのに非常に強い力が必要だからだ。
 テスト品のアキレス腱は命中精度である。25mからシッティング、依託射撃でテストしたが、「コンバット」の5発の最小グルーピングは74mmだった。コンパクトモデルである「ディフェンダー」は最小でも105mmとなった。両者ともSellier&Bellot製の弾薬で最もよく命中した。他のテスト弾薬の結果は非常に悪かった。15〜20cmという結果があまりに多すぎる。これは、初弾がしばしば大きくそれるからで、それを除けば受け入れ可能な60〜100mmという結果を台なしにしている。
 このような結果から、アルファのピストルは理想的にはセルフディフェンス目的および「Fangschuss」(狩における止めの1発)用のみに役立つ命中精度であることが確認された。計画的なスポーツ射撃に使用できる範囲は狭い。ただ、他の非常に高価なピストルで、アルファより命中精度がよくない銃は中国のノリンコ製品などしばしばある。しかし1911ベースの中国製品がまさにそれだが、必要および財布に余裕があればガンスミスの手で問題なくそれ相応のスポーツ銃にグレードアップできる。
 他メーカーの大部分のプラスチックフレームピストルは価格が(しばしば明らかに)高いが、命中精度も高い。この銃の命中精度があまりよくない原因はバレル内部の精度の問題でも、閉鎖状態のバレルの遊びでもなく、.40S&Wにおける5mmと極端に長い「Ubergangskonus」である可能性がある(頑住吉注:これは何のことか分かりません。「Ubergang」は「移行」など、「Konus」は英語のコーンです。「SW9M」の項目で登場した「フリーボア」のことではないかと推測しているんですが。ちなみに「U」はウムラウトです)。このようなケースでは問題の除去は全く簡単である。
 命中精度があまりよくないにしろ、「コンバット」と「ディフェンダー」はコストパフォーマンスの非常に高い本格的なピストルである。スポーツシューターならこの命中精度に満足せず、100ユーロ上乗せしてCz75を買うだろう。Cz75はオールスチールで重いので射撃の安定性が高い。あるいはもっといいスポーツ銃が欲しい場合ロングスライドの「スポーツU」を買うだろう。だがハンターのディフェンスガンとしてならアルファピストルが向いていると思われる。軽量な「コンバット」「ディフェンダー」は同種のメタルフレームの銃よりズボンのベルトに突っ込んでおく場合の負担がずっと小さい。H&KのP2000、グロック23の命中精度はチェコのプラスチックフレームピストルが足元にも及ばないほどだ。だがアルファも、使用者がミスしなければ15m先の普通のビアマグ用コースターを決して外さない程度の精度はある。デコッキングレバーがないことはハンターにとってさして重要ではない。これらのピストルはしばしばチャンバーにロードせずに携帯されるからである。アルファはグロック、SIGザウエル、H&Kなどに比べ200〜400ユーロ節約でき、この金でより有用な装備を買うことができる。例えば快適なサファリランドホルスター、オフロードカー用スペアタイヤのカバーなどである。

ポリマー「Cz75」(別扱いの囲み記事)
 ブルーノのアルファとならんで、イタリアのメーカー タンフォリオ(フォース99)、イスラエルの会社BUL(Cherokee)などによってほぼ構造が同じプラスチックフレームピストルが販売されている。これらは全て技術的コンセプトとしてはCz75をベースにしている。どこがどこにパーツを供給しているか、あるいは独力で作っているかといった事情はほとんど確かめるすべがないし、確かめたところでいつ事情が変わるか分からない。アルファは「コンバット」と「ディフェンダー」を9mmパラベラム、.40S&W、.45ACPの各バージョンで提供している。全く同様に、タンフォリオは「フォース99」を公用ピストル、コンパクトピストルの各サイズで供給しており、セーフティーレバーのタイプとデコッキングのタイプが選択できる。口径のバリエーションには9mmx21もある。BULは9mmのチェロキーと、オプションのカモ(迷彩)フィニッシュも提供している。何故Cz自身がモデル75のプラスチックバリエーションを作っていないのか実に理解困難である。DAOプラスチックフレームモデルのCz100およびCz101はオールスチール製の古典的なCz75とは全く類似していない。

データ
メーカー:アルファ 
モデル:コンバット
価格:424ユーロ
口径:40S&W
装弾数:12+1
寸法:全長205mm 全高145mm 全幅37mm
銃身長:114mm 
内径:山部9.90mm 谷部10.19mm
重量:850g(弾薬なし、マガジンあり)
型:プラスチックフレームのDA・SAピストル。ブローニングタイプショートリコイル。マニュアルセーフティ(デコック)は左のみ。マガジンキャッチは左右交換可。予備マガジンつき。

アルファ コンバット .40S&W

弾薬 初速(m/s) 初活力(ジュール) 集弾(mm)
American Eagle 155grs VM-KSt 403 605 190(124)
Federal 165grs VM-KSt 309 510 168(110)
PMC 165grs VM-KSt 286 437 151(82)
Leader 170grs VM-KSt 324 578 174(148)
Leader 180grs VM-KSt 265 409 168(108)
Sellier&Bellot 180grs VM-KSt 289 487 74(70)
Speer Gold Dot 180grs HP 294 504 190(124)

アルファ ディフェンダー .40S&W

弾薬 初速(m/s) 初活力(ジュール) 集弾(mm)
American Eagle 155grs VM-KSt 325 530 168(110)
Federal 165grs VM-KSt 288 443 155(121)
PMC 165grs VM-KSt 269 387 124(80)
Leader 170grs VM-KSt 301 499 198(102)
Leader 180grs VM-KSt 248 359 223(126)
Sellier&Bellot 180grs VM-KSt 277 448 105(60)
Speer Gold Dot 180grs HP 276 444 262(118)

※25mから5発、シッティング、依託射撃の結果。括弧内は初弾を除外した数値。VM-KStはフルメタルジャケットフラットノーズ。HPはホローポイント

アルファとライバルたち

メーカー モデル 寸法(全長x全幅x全高さ・mm) 重量(g) グリップ素材 トリガー/セーフティ 装弾数(発)※以外は.40S&W 価格(ユーロ)
アルファ コンバット 205x37x145 850 プラスチック DA/SA:マニュアルセーフティ 12+1 424
アルファ ディフェンダー 185x37x135 750 プラスチック DA/SA:マニュアルセーフティ 10+1 428
CZ 75(9mmパラ) 202x36x140 990 スチール DA/SA:マニュアルセーフティ ※16+1 499
CZ 75BDコンパクト(9mmパラ) 184x36x132 720 アルミニウム DA/SA:デコッキングレバー ※14+1 539
ノリンコ NZ85B(9mmパラ) 210x38x140 1040 スチール DA/SA:マニュアルセーフティ ※15+1 369
タンフォリオ フォース99 205x37x145 850 プラスチック DA/SA:セーフティ・デコック選択可 12+1 約500
タンフォリオ フォース99コンパクト 185x37x135 750 プラスチック DA/SA:セーフティ・デコック選択可 10+1 約500
BUL チェロキーコンパクト 188x35x135 750 プラスチック DA/SA:マニュアルセーフティ 13+1 約560
グロック 22 202x31x137 730 プラスチック セーフアクション 15+1 619
グロック 23 186x31x127 680 プラスチック セーフアクション 13+1 619
H&K USP 171x33x128 700 プラスチック DA/SAまたはDAO:セーフティ+デコック 12+1 699
タウルス PT609ポリス(9mmパラ) 158x31x132 670 プラスチック DAO:マニュアルセーフティ ※12+1 539
ワルサー P99 180x31x135 710 プラスチック DAO、クイックアクション、DA/SA、DA/SA+デコック 12+1 699

 続いて「DWJ」2004年2月号に掲載された「フォース」シリーズのバリエーション、「フォース レーザーコンバット」のレポートです。


タンフォリオ製公用ピストル .45ACP ウェーバーレール付き
Nachteule頑住吉注:英語ならナイトアウル。フクロウ、転じて夜型人間、夜に強い人)
軽い、パワフル、モジュール装着可能、これが新しいタンフォリオ「フォース レーザーコンバット」だ。この銃は治安部隊が夜間でも使用できる。フレームにウェーバーレールが組み込まれているので、レーザーサイトやフラッシュライトが取りつけられる。

 使用銃器の選定は重要である。何故なら個々の警察官がそれに従い、公務においてその銃を使用することを強制されるからだ。これは否定できない事実である。当然だが、デザートイーグル.50AEにレーザーサイト、フラッシュライトを装着したものを使用すれば、アラベスク模様のエングレーブで飾られた口径6.35mmのガレーシーを使用する場合よりはるかに大きな威嚇効果を発揮する。こうした光学機器はそれだけですでに戦術的、そしてひいては戦略的メリットをもたらすのである。
 このような認識が、メーカーが警察用にレーザーサイトや小型で高性能のフラッシュライトを装備できる新しいハンドガンを開発することの背景になっている。こうしたテクニックは周知のものであるし、すでに非常に広く普及している。このため低予算でもこうした銃器を揃えられる可能性が生じている。だがこれは公用マーケット向きのみのことだ。銃のアクセサリーとしてのみ使用が想定されるような種類のライトは、ドイツでは禁止されている。
 イタリア、Gardone Val Trompiaの兄弟商会タンフォリオもすでに昨年、基本的には彼らのプラスチックフレームピストル「フォース」シリーズのモデルチェンジであるこの種の銃を開発した。フレーム前下部にウェーバーレールが組み込まれ、これによりエレクトロニクス使用の光学サイトが装着可能になり、この結果銃は明るさに関係なく24時間の使用が可能になった。

ライトおよびモジュールの取りつけ
 口径.45ACPで、11連発で(10発はマガジン、1発はチャンバー)、バレル下に光学サイトを装着して、1200g以下の重量ならば、その銃は優れた製品と評価される。タンフォリオの新製品は、ライトとレーザーサイトを合わせ持つ「Streamlight M6」を装着して、たったの1000g強しかない。未装填状態では実に900gだ。筆者は去年、ファイアパワーと重量の関係をよりよく表現できる銃器の判断基準を考案した。この立場では重量というファクターが重要になる。この基準により、ある銃の重量を計測し、それをより適切に表現した価値の段階が示せるようになった。
 この公式は単純で、全ての銃器に適用できる。装填した銃の総重量を使用するので、弾薬の重さも算入される。たいてい、すぐれたオートピストルは数値が3〜4の間になる。プラスチックフレームのモダンな銃は5を越えることがある。これに対し、.44マグナムリボルバーは重量が重いというだけのために数値が2.5にしかならない。タンフォリオ「レーザーコンバット」は10+1という装弾数なので数値が5.6にもなる。これに対し極端な例を挙げると、S&W M29の4インチバレルモデルは約2.8になる。治安維持領域への使用に適した銃も高い数値を示す。重量とファイアパワーの比率が良好であるということだ。もちろん、これは単独で防御火器の決定的な判断基準にはならないということを述べておく必要があるが。

システム「フォース」のモデルチェンジ
 タンフォリオ「フォース」ファミリーは昨年非常に大きく成長をとげた。タンフォリオはこれまで、「フォース99」のさまざまなバリエーションとならんで、「フォース」、「フォースコンパクト」そして「レディーフォース」を提供している。「レディーフォース」のフレームはいろいろな色つきのものが選べる。だがバラ色のフレームを持つバリエーションは治安部隊には絶対ふさわしくない。
 9x19mmから.45ACPまでの多様な弾薬仕様が提供され、治安部隊の全ての要求をカバーしている。ただし、9x19mmはイタリアでは民間向けには禁止されており、輸出用のみである。
 「フォース」シリーズはそのプラスチックフレームによってスポーツ用、ミリタリー用と考えられるタンフォリオの他のシリーズと区別される。セルフディフェンス用の銃は、軽く、耐用年数が長いことが望ましい。「フォース」はプルーフされたブローニングシステムを使用し、比較的背の低いスライドを装備している。スライドレールは前後に別れた頑丈な2つのブロックにあり、プラスチックフレームに鋳込まれている。後ろのブロックはトリガーモジュールを内蔵している。タンフォリオの「フォース レーザーコンバット」のプラスチックフレームは、同社の「フォース」をベースにしている。
 言及するに値するのは、このフレームは従来型を加工したものではなく、まったく新規に作られ、強化されたものだ、ということだ。しかし、グリップが滑りにくく改良されているにしても、その変更は微々たるものである。したがって、従来型の使用者がその経験を新型の使用にあたって生かすことができるのは明らかである。従来のシリーズとの主要な差異はウェーバーレールである。これはフレーム前下部にモールドとして作られている。
 これにより、タンフォリオが投入した新型銃「フォース レーザーコンバット」の主要な長所は光学サイト類の装着によって「24時間銃」となることであると言える。
 R&D(ドイツの技術監査協会にあたるイタリアの組織)はこのシステムをテストしてきた。使用者はプラスチックのフレームにモールドとして作られたウェーバーレールに、素早く光学サイト類を装着できる。さらなる賢い利用法は、素早く操作できる着脱メカニズムをそれ自体に備えた「Streamlight M6」(およびM4、M5)のような製品を使うことである。銃は常に照明装置を取りつけて持ち運ばなければならないものではない。こうした製品を使えば、ユーザーは数秒以内に「裸の」銃(この場合は通常型のサイトを使用する)を光学サイト付きに強化することができ、また元に戻すこともできる。
 どんな使用をするケースでもお勧めなのは例えばFucecchioのRadar社が販売している一連のシリーズのようなホルスターだ。これは合成繊維製で、ベルトのいろいろな位置に固定できる。
 「フォース レーザーコンバット」とホルスターのセットの使用マニュアルは、銃に特殊なレーザー照準装置などを取りつけ、夜間目立つことをしてはいけない旨禁止している。標準装備のホルスターおよびマガジンポーチは特殊な素材で作られている。
 Radar社はさらに「フォース レーザーコンバット」用としてブラックまたはグリーンの特殊繊維製ホルスターを提供している。これは使用者がいろいろな位置に固定でき、またショルダーホルスターとしても、腿に固定するホルスターとしても使える。

バッテリーの正しい選択が重要
 ヨーロッパで販売されているレーザー、光学サイト類はほぼ全てアメリカで生産されたものである。こうした機器はデリケートな部分を含み、全てむらのない電力供給を要求する。ハロゲン、そして最近加わったXenonランプは実に低い電圧しか要求しない。純粋なレーザーシステムはたいてい3.6ボルトの電圧で作動する。ミックスシステムなら3ボルトだ。多くのシューターは実用上「Sonnenschein」(頑住吉注:英語のサンシャイン)、またはフランスメーカーの「Saft」を指定する。どちらの場合もバッテリーは専門店で入手できる。だが、3ボルトの小型バッテリーは価格が高い。このタイプは通常のカメラ機材にはほとんど使われないからである。
 バッテリーの問題は重要である。「Streamlight M6」のようなシステムの場合、レーザーとライトを同時に点灯すると1個のバッテリーで1時間以下しか機能しない。バッテリー自体は1日中でも使用できるのだが、これはレーザーのみ使用した場合に限られる。ライトを使用した場合の使用時間の不足は誰もが感じることだ。

射撃テストは合格
 まだ暗闇の中でオートピストルを射撃したことがない人が初めてこれを行う際は、慎重さとリラックスと冷静さが要求される。それは経験豊かなシューターでも、その人が夜間、ナチュラルなトレーニングを積んでいない限り結局同じことである。「フォース レーザーコンバット」のような銃を使う利点はそこである。この場合シューターはターゲットのみに集中することができ、ターゲットの照明に神経を割く必要がない。このため彼はターゲットを目で捕らえ、1つの、または複数の方向に対応することができる。これは非常に大きな長所である。他方、完全な暗闇の中で闇に目が慣れる前に発射しなければならない場合、レーザーとライトを点灯していれば、.45ACPのマズルフラッシュ(これは周囲の明るさとの相対的なものである)を耐えやすくすることができる。また、こちらのライトのフラッシュは元々闇にいる敵の目をくらませ、何秒かの間戦闘不能状態に置き、射撃を妨害することができる。
 だが、より注目すべきことに、タンフォリオの「フォース レーザーコンバット」を使用した警察官が暗中で「Streamlight M6」を作動させた場合、旧来のフロント、リアサイトは過去のものとなり、使う必要がなくなる。この場合も命中が非常に正確であることが分かっている。シューターはこの銃を片手、または両手で、胸の前で、胸の高さで保持する。この場合、目を開けてレーザーの光点をターゲットにぴったり合わせるだけでよいのだ。警察官はタンフォリオ「フォース レーザーコンバット」を、目とターゲットの間に保持することに苦労する事なく、意のままに発射できる。この方法で彼は良好な集弾を得ることができる。
 「Streamlight M6」の機能は際立っている。光束の大きさは使用者の意向によって大きくも小さくもなる。この器具はタンフォリオのフレームのレールに良好に適合する。
 実際の使用時、M6の光束をいっぱいに絞れば、25mから1人の人間の体を照らすことができる。レーザーの光点はこの調節可能なライトの光の中央に位置し、上下左右に調節でき、5mから50mの距離に対応できる。
 「フォース レーザーコンバット」を真っ暗な屋外で、15mの距離から成人の背丈大のスリムなシルエットを使って実射テストした。この使用条件は現実にあり得る使用条件の非常にリアルなシミュレーションになるはずだ。完全に暴露されたターゲットを、6秒以内に10発射撃した。全ての命中弾が10点圏内に入っていた。結果はこの銃器システムの性能を物語っている。良好な特殊トレーニングを行えば、夜間、50m以内の距離で、昼間通常のサイトを使用したのと等しい結果が得られるだろう。

DWJの結論
 「フォース レーザーコンバット」はプラスチックフレーム装備のタンフォリオ製銃器中最高のシリーズである。この銃は光の条件が悪い中での射撃という新しい使用分野のためにデザインされている。ここにあるのは.45ACP仕様だが、メーカーは短くコンパクトな型、9mmx19、9mmx21、.40S&Wといったより小さな口径の製品も提供している。軽量、ファイアパワー、効力など、価格以外の全ての面においてこの銃器のトータルシステムはこのカテゴリーにおけるイタリア製最高級品である。
 .45ACP用のマガジンはフレーム同様改良が加えられ、アダプターを介して上下逆にレール部に取りつけ、フォアグリップとして使用できるようになっている。この改良は効果的なライトシステムと結びつき、夜間における考え得る限り最高の速射と大きな命中精度向上を可能にする。この銃はその新しい目的も非常に良好に満たしている。


 タンフォリオは以前からCz75のコピー品を作っています。IMIの「ジェリコ」もタンフォリオの協力を得て作られたもので、外観はデザートイーグルの小型版風ですが、内容はCz75コピーと言っていいものです。「ジェリコ」が限界に来て新たなプラスチックフレームピストルとしてIMIが作ったのがsp−21ですが、これは内容的にCz75とは大きく異なる銃です。しかしIMIは同時にジェリコのプラスチックフレームモデルも作っています。「Visier」は触れていませんが、これも「プラスチックフレームのCz75」に近いものだと思われます。一方タンフォリオはCz75をほとんどそのままプラスチックフレームにしたような「フォース」シリーズを販売しています。

 アルファ製品に関してはドイツへの輸入業者のサイトに画像があります。どういうわけかここはこの銃の紹介ページへ直接行けないようになっています。
http://www.leader-trading.com
このトップページから、「Waffen(銃)→Kurz(短い)→Pistolen(ピストル)」の順にポイントして「ALFA」をクリックするとこの銃の紹介ページが表示されます。このサイトは「Visier」の記事の最後に紹介されているものなので、ここでの価格が「コンバット」424ユーロ、「ディフェンダー」428ユーロということなんでしょう。サイトには「マガジン2個、クリーニングブラシ付き」とあります。何故かフルサイズのほうがわずかに安いんですね。
 タンフォリオ公式のサイトの「フォース99」紹介ページはここです。
http://www.tanfoglio.it/sportandcompetition/force99.htm
 「DWJ」で紹介されている「レーザー コンバット」というタイプは公用オンリーで市販されないということなのか、ここにはありません。しかし外観はフレーム前下部にウィーバーレールがついただけでほぼ同じです。このレールは金属のレールを外付けしたようなものではなく、フレームと一体で整形されたプラスチック製です。
http://www.streamlight-flashlights.com/m-6.html
 そしてここが記事で紹介されている「ストリームライト」の公式紹介ページです。これはライトとレーザーサイトが一体になったもので、ロックを指で圧しながらレールに差し込み、放すだけでロックでき、またワンタッチで外せます。レーザーサイトの精度は複数のネジで締めこむものより理屈上劣るはずですが、実用上はまあ問題ないんでしょうし、着脱してもほとんど狙点が変わらないはずです。これは「フォース レーザーコンバット」専用ではなく、グロックなど他のハンドガンや長物にも装着できます。カッコいいし、便利そうですし、レーザーとライトがセットになって300ドルならまあ多少高いけどしょうがないかなと思いますが、「DWJ」の指摘通りやはり両方点灯するとバッテリーが1時間しか持たないというのはちょっと短い気がします。例えば地下通路で犯人を捜索する、といった場合、いざというときにちょうどバッテリー切れなんてことになりそうです。
 ちょっと話が本題からそれますが、国によっていろいろ変な法規制があるもんですね。ペッパースプレー「APSディフェンダー」の項目にあったスイスで警棒が禁止というのも意外でしたが、ドイツで銃のアクセサリーとしてしか使えないタイプのライトが禁止されているというのもちょっと意外です。シュアーファイアーのようなフラッシュライト自体は当たり前ですが禁止されておらず、こうしたものをマウントリングなどで銃にマウントすることが禁止なのかどうかは分かりません。もう一つ、これはすでにご存知の方が多いと思いますが、イタリアでは軍用制式の9mmx19の一般市販は禁止されており、これよりずっとパワフルにできる9mmx21は販売できるわけです。
 これも本題と直接の関係はありませんが、「装填した銃の総重量とファイアパワーで銃の価値を示す判断基準」というのは面白いですね。数式自体やその名称が書かれていませんし、「ファイアパワー」が具体的に何を示すのか不明ですが、例えば

マズルエネルギー×最大装填数
――――――――――――――
 装填した銃の総重量

とし、この数値が大きいほうが望ましい、とすることが考えられます。マズルエネルギーを使えば銃身長も計算に入るわけです。この筆者も書いているようにこれだけで決定的な判断基準にはなり得ませんが、たくさんの基準のひとつとして判断材料にする価値はあるかもしれません。ちなみにこの人が使っているのはエネルギーではないと思います。何故なら低速の.45ACPはエネルギー自体はさほど大きくなく、一方装弾数は比較的大きいこの銃でも11発に過ぎず、この銃の数値が9mmx19を使用するグロックなどに比べて特別に大きくなることはないはずだからです(ちなみに「MARSOC」も含めガバメントなら非常に小さい数値になりますね)。たぶん.45ACPの数値が9mmx19などよりずっと大きくなる数値(KOPFか何か?)を使っているんでしょう。

 「レーザーコンバット」の精度には問題ないようなんで、アルファ製品の精度が低いのは基本設計のせいではないと思われます。全幅はスチールフレームのCz75より大きいですが、グリップは厚さが28mmしかなく、Cz75より5mmも薄いということです。
 日本ではまだあまり知られていないはずですが、全体的にかなりいい銃ではないでしょうか。「CZの近況」の項目に追加したように、Cz75を軽量化したアルミフレームモデルではフレームの耐久性不足が問題化したわけですが、プラスチックフレームならより軽量で耐久性の高いものが簡単に作れそうな気がします。「Visier」も指摘しているように、CZ自身がプラスチックフレームのCz75バリエーションをいまだに作っていないのは本当に不思議ですね。

 

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