中国航空機への複合材料の応用状況

 小火器分野では世界水準かそれ以上の応用がなされているように見えますが‥‥。

http://military.china.com/news/02/11078237/20121030/17499637.html


中国戦闘機の複合材料使用量は10%に満たず カギとなる重要技術の難関突破は困難

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「アメリカ軍は新式戦闘機に複合材料を大量使用して重量軽減の目的を達成している。図はF-22戦闘機の表面。」 何かキングジョーとかウィンダムとか思い出しますけどこんなんでいいんすか)

複合材料産業化の技術的迷い

基礎研究の不足、カギとなる重要技術でまだ難関突破が実現できていないことが、複合材料産業の発展が停滞し前に進まない根本原因である。

「我が国の複合材料は応用と産業化方面において、国外に比べ少なくとも10年以上遅れている。」 先日召集開会された中国国際先進複合材料・工程技術フォーラムにおいて、中国工程院のアカデミー会員劉連元は、国内の複合材料の非常に多くの製品は難関突破ができておらず、技術および性能の安定性がいずれも指標に達していないことを明らかにした。

国務院の「『十二五』国家戦略性新興産業発展計画」の中の重点発展3大新材料の1つである複合材料の産業化が注目を浴びている。

しかし、多くの専門家は「中国科学報」のインタビューを受けた時、複合材料産業の発展は基礎研究の発展を先導とすることが必須であり、産業の発展は完全に需要に頼って牽引されて動くことはあり得ないのだとしている。

複合材料産業:生産能力あり、生産量なし

多くの技術の普及の道のり同様、複合材料は最初航空宇宙および軍事領域で応用が開始され、その後民間用領域に転じた。

先進国に比べ、複合材料の我が国航空宇宙および軍事領域における使用量は決して高くない。先進国の複合材料の一部軍用機への使用量はとっくに50%を越えているとされるが、我が国の軍用機への最大使用量はまだ10%に満たない。民間用方面では、アメリカの大型旅客機ボーイング787の複合材料使用量はやはり50%を越えているが、我が国初の自主知的財産権を持つ支線旅客機ARJ21が使用する複合材料は飛行機の構造重量の2%しか占めない。

かくのごとき少ない使用量であっても、我が国の複合材料産業は依然国内の需要を満足させられない。

「我が国にはすでに生産能力はある。だが生産量はまだ需要を満足させられない。高品質、高性能の繊維はまだ難関を突破していない。」 中国工程院のアカデミー会員で中国複合材料学会副理事長の杜善義は言う。

基礎研究不足、カギとなる重要技術でまだ突破が実現できていないことは、複合材料産業の発展が停滞して前に進まない根本原因である。「我が国の基礎研究のレベルは全体的に国外との隔たりが比較的大きく、高水準の研究成果が現れることは少なく、産業の発展を制約している。」 劉連元は言う。

「我々の需要による牽引は往々にして科学による押し動かしよりも大きい。科学はまだ成熟しておらず、技術度はまだ一定の程度に到達していない。応用領域へ急いで入ることは、容易に一連の問題を引き起こす。」 杜善義は言う。

構造効率と信頼性の技術的矛盾

複合材料研究領域の科学および技術的難題の中で、材料構造効率と信頼性の矛盾は最も解決が難しい。

「多くの材料同様、複合材料構造の高い効率と高い信頼性を併せ配慮するのは非常に難しく、1つの矛盾を構成する。」 杜善義は言う。複合材料の性能の分散性と服務環境の不確定性は複合材料および構造工程化応用を制約する最大の問題であり、複合材料の「急所」でもある。

理解されているところによれば、アメリカが2011年に研究開発した「ファルコン」級超音速技術飛行機の2号機(HTV-2)テスト失敗の根本原因は、設計過程における飛行環境負荷と材料使用性能の不安定性に対する認識不足だった。

我が国は1980年代から複合材料プロジェクトを展開し、後に安定性が劣ったことにより放棄を迫られた。「複合材料の応用が停滞し前に進まないのは、安定性が悪すぎ、離散性が比較的大きいからである。」 劉連元は不本意気に語る。「このロットの製品の性能が合格でも、次のロットはまたダメなのだ。」

安定性のコントロールは複合材料界の世界的難題である。イギリスのノッテンガム大学教授李曙光は力を尽くして複合材料を海洋プラットフォームと海底オイルパイプラインに応用している。「1つの海洋プラットフォームのカーボンファイバー使用量は20機のボーイング787の使用量に相当する。海底オイルパイプラインの使用量はさらに大きい。」 しかし、非常に高い費用と信頼性問題ゆえに、複合材料は海洋プラットフォーム建設領域において依然高い地位を占められずにいる。

難題解決のためには繰り返し基礎研究を行うべき

複合材料の基礎研究から着手し、産業発展の技術的難題を根本的に解決する、これはインタビューを受けた専門家の一致した心からの声である。

「我が国の複合材料の基礎研究は底が浅く、産業の発展は少し功を焦っている。」 中科院化学研究所の研究員徐堅は、産業の発展は基礎研究を重視すべきと考える。

杜善義は考える。科学界は力学の新理論、新たな方法を発展させ、複合材料の離散性と就役条件下の不確定性という難題の解決を提供する必要がある。

基礎研究特有の投資が大きく、リスクが高く、研究周期が長いという特徴は、我が国の複合材料に関する基礎研究が薄弱で、技術の独創性に乏しいことをもたらしている根本原因である。

「政府は複合材料産業の発展をレイアウトし、政策を用いて基礎研究を推し進めるべきである。」 劉連元は言う。政府の業界に対する規制は複合材料の産業化を制約する重要な要素であり、「科研、生産、応用を結合する切れない線を堅持することが必須である。」

「科学研究は先取りした発展を必要とし、どんな材料を装備する必要があるかという時を待ってやっと研究を開始したのではもう間に合わないのだ。」 杜善義は言う。


 やはり航空機関連での応用の難しさは小火器の比ではないようです。ただ日本もかつて「基礎研究タダ乗り」批判は受けていたわけで、中国がこの分野で今後大きく改善する可能性はもちろんあるはずです。









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