リボルバー用ゴム弾に対する批判

 人権問題にも配慮して相手を傷つけない弾丸も発射できるようにしたと思われる中国の新リボルバーですが、ゴム弾に対して批判もあるようです。

http://www.ngjc.com/viewthread-131813

 なお、ゴム弾によりこんなにひどい怪我を負う可能性がある、という趣旨で、ショッキングな画像が含まれますのでご注意ください。


XX市公安局、リボルバー用ゴム弾の使用を禁止

大規模な調査研究、論証を経て、XX市公安局は決定した。本市の交通巡邏警察官がリボルバー用ゴム弾を使用することを禁止する、と。現在この市の交通巡邏警察官のリボルバー用に支給されているゴム弾はすでに回収された。この決定は、中国警察の警察用武器装備の使用に関する理性と成熟ぶりを体現している。公安機関が人を根本とし、公衆の権利を保護し、使用者(公安人民警察)の前途を大事にし、法律法規の厳格な順守と犯罪容疑者の生命権を尊重することを体現している。

XX市公安局がリボルバー用ゴム弾の使用を禁止した主要な根拠は以下の数点である。

1.リボルバー用ゴム弾は非致命弾薬では全くない


非致命弾薬は少なくとも2つの要素を同時に持っていなければならない。すなわち1つは致命的殺傷を生む可能性がないこと。2つめは永久的に残る傷を作らないことである。だがリボルバー用ゴム弾は5m以内の距離で頭部等致命部位に命中した場合、致命傷となる可能性がある。少なくとも25m以内の距離で人間の目に命中すると永久性の傷を残す可能性がある。リボルバー用ゴム弾は非致命に必要な2つの要素のうち1つも備えていない。

2.リボルバー用ゴム弾は違法な犯罪行為を制止することができないし、警察官自身の安全を保護することもできない。

リボルバー用ゴム弾を支持する人は、この弾が犯罪容疑者を制圧でき、さらにその命を奪うこともないと誤って考えている。実際にはこれは全く幼稚な笑うべき考えであり(画像1を見よ)、頭のおかしな人の夢のようなものである。運動エネルギーを利用するいかなる武器も、威力と停止作用は正比例する。犯罪容疑者の犯罪行為を真に制止するには、銃弾の威力を増大させることが必須なのであって、威力を下げることが必要なのではない。適時に犯罪容疑者の犯罪行為を制止でき、命を奪うこともない、というのは、わずかに化学あるいは生物効果を使用すれば可能だが、運動エネルギーを使用する武器では永遠に実現不可能である(頑住吉注:理論上ガスで可能、というのは分かりますが、即効性があって致命的になりえない生物兵器ってあり得るんでしょうか)。

リボルバー用ゴム弾はいかなる実用的意味もないだけでなく、人民警察の法律執行リスクを増大させた(死傷と武器濫用の増加)

リボルバー用ゴム弾はいかなる実用的意味もないだけでなく、人民警察の法執行リスクを増大した(死傷と武器濫用の増大)。

この種の効果はターゲットを制圧できないだけでなく、ターゲットの怒りをさらに増し、犯罪行為を加速するだけである。人民群衆の生命財産の安全や警察官自身の安全を保証することはない。さらに目に命中すれば永久的な傷を残す可能性がある。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「この種の効果は目標を制圧できないだけでなく、目標をさらに激怒させ、犯罪行為の実施を加速するだけであり、人民群衆の生命財産の安全と警察官自身の安全も保証しない。かつ、目に命中すれば人に永久的な傷を残す可能性がある。」)


3.リボルバー用ゴム弾の使用は、銃で射撃してよい条件に符合しない犯罪容疑者の生命権を深刻に侵害する

国連の「法執行人員による強制力および火器使用の基本原則」の中には、「不必要な傷害を引き起こす、あるいは不必要な危険を生む可能性のある火器および弾薬の使用禁止」が明確に規定されている。

リボルバー用ゴム弾では非致命弾薬を使用したことにはならない。この弾薬の射撃目標は、比較的罪の軽い犯罪容疑者であるべきである。だがリボルバー用ゴム弾は非致命性の要素を1つも備えてはいない。5mの距離内で頭部など致命部位に命中すれば命を奪う可能性があるし、少なくとも25m以内の距離で目に命中すれば永久的な傷を残す可能性がある。リボルバー用ゴム弾の使用は、その罪が命を奪うべきでない犯罪容疑者の生命権を重大に侵犯する。

4.リボルバー用ゴム弾の使用は直接的に違法である


装備部門が認めて購入した弾薬ならばその使用は合法的である、と考えることはできない。実際のところ、研究開発者は関係法規について無知である。いかなる部門規定も、法規との衝突の発生を許しはしない。

全く非致命的ではないゴム弾では非致命弾薬を使用したことにはならず、銃で射撃する条件に適合しない目標に対して射撃すれば、「中華人民共和国人民警察警察機械および武器条例」に直接違反する。

リボルバー用ゴム弾は、「50mの距離内で非合法に集まった群衆を追い散らすのに用いる」ものであるとその性質が決定づけられている。周知のように群集性の事件は人民内部の矛盾に属する。リボルバー用ゴム弾の使用は、「群集性事件の処置における銃の携帯および使用に関する規定」に直接違反する。すなわち、「3つの使用自制原則」に違反し、流血死者不発生の最低ラインを破る。

リボルバー用ゴム弾の使用は、国連の「法執行人員による強制力および火器使用の基本原則」(基本原則第9、10、11条)に直接違反する。

リボルバー用ゴム弾の使用は関係法規に直接違反するので、人民警察がリボルバー用ゴム弾を使用して問題が生じた際、法律の助けは得られない。

5.リボルバー用ゴム弾の使用は、リボルバー用実弾の使用に比べさらに難しい

ゴム弾はどんな目標を射撃するのに使用するのか? どんな時期に射撃するのか? 射撃の目的は何なのか? 射撃により目標にどんな傷害を発生させる可能性があるのか? 目標あるいは群集に傷害を発生させたのち、どんな法的責任を引き受ける可能性があるのか? 等々、これらはいずれも不明確である。実際のところ、ゴム弾使用の難易度は致命弾薬の使用の難易度よりさらに高いのである。銃を発射してよい目標に対しては制止あるいは制圧する作用は得られず、銃を発射してはいけない目標を射撃したらしたで「中華人民共和国人民警察警察機械および武器条例」に違反する。ゴム弾の使用は人民警察を抜き差しならぬ立場に追いやる可能性がある。使用目的も達成できず、武器濫用の追及も受けることになるという。

さらに、ゴム弾と実弾の混用は面倒なことでもある。もしゴム弾のみを装填して深刻な暴力犯罪に遭遇し、より強い強制力を行使しなければならなくなったら、まず全部のゴム弾を排出し、その後に改めて実弾を装填することになる。これでは戦機を失う可能性があるのは必然である。実弾と混装したら、ゴム弾を射撃すべきときに実弾が発射され、あるいは実弾を射撃すべきときにゴム弾が発射される可能性がある。

6.国外の教訓の取り入れ

ゴム弾は現在最も議論の対象となっている弾薬である。

2005年8月2日の連合朝刊の報道によれば、軍が非致命武器と考えているにもかかわらず、広範に使用されているゴム弾はすでに数十名のパレスチナのデモ参加者を死亡させ、数百人から千人を負傷させている。ゴム弾は致命殺傷力を有しているので、人々はさかんにゴム弾を群集の暴動鎮圧のための「安全」手段とすべきでないとアピールしている。目下イスラエル軍、警察は「暴動を防ぐ」活動においてすでにゴム弾を放棄している。

70年代以来、イギリスもすでにゴム弾を放棄している。軍が北アイルランドで安全確保のための活動を行った25年間の間で、約12.5万発の非致命ゴム弾が発射された。この結果17人が死亡、重傷者は数百例にのぼった(多くの人は失明した)。2001年4月、連合朝刊インターネット版は報じた。ロンドン大都会警察局の局長でナイトの称号を持つスチーブンソンは、警察は今後ゴム弾をデモ参加者に対し使用しないと表明した。彼か語るにはイギリス警察はいまだかつて本土でゴム弾を使用したことはない。彼だけがゴム弾の使用を命令できる。ただし彼はこの先例を作る気はないと表明した。

アメリカ警察は関係する授権部門のみに23DSビーンバッグ弾およびその発射装置を支給し、かつその使用操作規定とセットで支給している。アメリカ警察はゴム弾を全く使用していない。

XX市公安局がリボルバー用ゴム弾使用の禁止を決定したことには、道標的な意味がある。西側の国家は十数年を要してやっとこの問題を認識した。この市では1週間という使用時間ですぐに誤りを正した。

筆者は一部の交通巡邏警察官に電話インタビューした。全員が一致してリボルバー用ゴム弾使用禁止を支持した。その上、「中華人民共和国人民警察警察機械および武器使用条例」、公安部の「群集性事件の処置に関する規定」、「公安機関の公務用銃器管理使用規定」をさらに真面目に勉強し、厳格に順守することにする、と表明した。銃を発射するたびごとにそれを全て法律規定に適合させ、銃の使用を真に犯罪に対する打撃とし、人民のためのツールを保護し、人民の党と人民を安心させることを保証すると。


 この記事は今年2月の比較的新しいものです。何故「XX市」と伏せられているのかはよくわかりません。

 「この決定は、中国警察の警察用武器装備の使用に関する理性と成熟ぶりを体現している。公安機関が人を根本とし、公衆の権利を保護し、使用者(公安人民警察)の前途を大事にし、法律法規の厳格な順守と犯罪容疑者の生命権を尊重することを体現している。」という記述、「西側の国家は十数年を要してやっとこの問題を認識した。この市では1週間という使用時間ですぐに誤りを正した」という記述(言うまでもないですが誤りの先例があるなら最初から導入しないのが当たり前なわけです)、最後のプロパガンダ臭の強い記述など、ちょっとストレートに受けいれ難いですが、従来よりも人権問題に敏感になりつつあるのは確かだと思われます。

 批判の内容自体に関しては私も大筋同意見で、もっと大きくて重いものならともかく9mmのちっぼけなゴム弾が役に立つ場面が多いとは思えず、日本の警察にゴム弾を導入する必要があるとも思いません。ただ、ペッパースプレーの中身を充填したペイントボール弾のようなものなら、場合によっては役に立つ可能性があるのではないかと思いますが。












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