現在の中国人は毛沢東をどう評価しているのか

 生誕120周年記念日に合わせた記事です。ちなみに原文は聖書みたいに「毛沢東」を全部太字にしてますが面倒なので訳では太字にしません。

http://military.china.com/important/11132797/20131225/18242735.html


調査、85%の被調査者が毛沢東の功は過ちよりずっと大きいと考えていることをはっきり示す

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「今回の国内調査結果の説明図」)

【グローバル時報 記者 馬晴燕】 今年の12月26日は毛沢東生誕120周年記念日である。毛沢東は共和国で最も重要な基礎の確立者の1人であり、建国後の党の第一世代指導者集団の核心でもあり、毛沢東を核心とする党中央の指導の下に中国は、近代以来衰弱甚だしかった国家のイメージを一新し、独立自主、強権を恐れない発展の道を行ったのである。だが、毛沢東には新中国建設の方針、政策決定の上での重大なミスも存在し、国家に挽回できない巨大な経済損失および文化的損失をこうむらせた。では、改革開放開始から30年余り後の今日、中国民衆はいかに彼の功と過ちを取り扱うのか? 全体的に彼にどのような評価を与えるのか? これにつき、グローバル世論調査センターは中国大陸の7つの代表的都市の普通の民衆に対し調査を行った。

調査結果は次のことをはっきり示している。91.5%の被調査者は毛沢東に対し「尊敬」あるいは「尊重」の態度を持っている。85.1%の人は毛沢東の「功は過ちよりずっと大きい」と考えている。90.9%の人は毛沢東の時代は今日の中国に対し依然影響があると考えている。中国共産党中央党学校教授謝春涛は24日「グローバル時報」記者に対し、この結果は自分自身の心中の毛沢東に対する印象、および中央の毛沢東に対する評価と基本的に一致するものだ、と語った。これは中国社会の毛沢東に対する真実の評価の反映に違いない。

今回の調査にはCATI(コンピュータ補助電話)と会員データバンクオンライン調査が相結合した方式でのデータ収集が採用され、あらゆるサンプルはランダム抽出の方法で獲得された。調査時間は2013年12月23日から12月24日までである。調査は中国大陸の7大区域において7つの代表的都市である北京、上海、広州、成都、西安、長沙、沈陽が選出され、対象は18歳以上の普通の民衆である。12月24日までに全部で有効回答1,045件が得られ、このうち電話調査が264件、オンライン調査が781件である。今回の調査は単純なランダム抽出であり、95%の信用度の下で、サンプルの許される抽出誤差は3.0%である。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「中国国防建設の非常に多くの構想、計画は毛沢東主席の時代にすでにもう生まれていた。だが当時の客観条件に制限され、今日まで継続されてやっと徐々に実現し得ているのである。」です。)

「あなたは毛沢東に対しどんな態度を持っていますか」と問われた時、57.2%の被調査者は「尊敬」を選択し、34.3%の人は「尊重」で、両者の合計は91.5%である。6.9%の人は毛沢東に対し「批判的態度を持つ」とし、別に1.7%は「はっきりしない」とした。グローバル世論調査センターのこの問題の差異分析は、年齢が高い被調査者ほど毛沢東に対し「尊敬」の態度を持つ比率が多く、18〜29歳の青年グループ、30〜49歳の中年グループ、50歳以上の老年グループの毛沢東に対し「尊敬」の態度を持つ比率はそれぞれ48.3%、56.4%、67.5%であることを発見している(頑住吉注:私もう「老年グループ」なんだ‥‥)。学歴から見ると、高級中学、中等専門学校、職業高校の学歴の被調査者の毛沢東に対し「尊敬」の態度を持つ比率が最高で61.4%、4年制大学およびそれ以上の学歴の被調査者の毛沢東に対し「批判」的態度を持つ比率が最高で、8.9%である。

「あなたは毛沢東の『功は誤りよりずっと大きい』という説をどう見ますか?」という問題に回答する時、78.3%の被調査者は「同意」を示し、6.8%の人は「評価が低すぎる」と考え、両項目の合計は85.1%だった。「評価が高すぎる」と考える被調査者の比率は11.7%で、別に3.1%が「はっきり言えない」とした。あらゆる被調査者の中で、長沙市の被調査者が最も毛沢東の「功は誤りよりずっと大きい」との説に同意し、83.6%だった。北京の被調査者の同意率が最低で、70.4%だった(頑住吉注:毛沢東は長沙市の中学に通うなどゆかりがあり、巨大な銅像もあります)。

「あなたは毛沢東の最大の功績は何だと思いますか」と問われた時、複数選択可の状況下で、挙げられた率が最高だったのは「中国革命の勝利取得を指導し、完全独立自主の国家を建立し、半植民地で人に制せられる状態を終わらせた」で89.7%だった。その他挙げられた率が40%を超えた選択肢には、「人民のための奉仕を唱道し、社会公平の思想を人心に深く入らせた」(56.3%)、「中国の国際的地位を向上させた」(54.6%)、「中国社会の女性解放を促進した」(49.5%)、「両弾一星(頑住吉注:ミサイル、原子爆弾、人工衛星)の突破を実現し、中国を核大国クラブに入れた」(49.5%)、「晩年に中米関係の門戸を開き、後の改革開放のために道ならしをした」(47.5%)、「中国の完備した工業体系と国民経済体系の建設を推し動かした」(45.8%)があった。中国社会科学院マルクス主義研究院の研究員趙智奎は24日に「グローバル時報」記者のインタビューを受けた時、「社会公平」思想はまさに人々が毛沢東時代に対しまだいくつかの未練を持つ原因であり、「公平」は終始中国の一般民が党の業務を計る基準でもある、と語った。このことは執政党に警鐘を鳴らしている。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「新中国の成立は、毛沢東に代表される広大な中国人民の流血の犠牲、勇敢な奮闘の結果である。この歴史的功績に関し、毛沢東主席など広大な共産党員はその名に恥じない!」です。)

「あなたは毛沢東の主な誤りは何だと思いますか?」という問題に対し、多複数項目選択可という状況下で、77.2%の被調査者が「文化大革命を発動した」を選択し、その次は「経済的規律に対し熟知しておらず、大躍進を行うことなどを尊重しなかった」の挙げられた率が60.2%だった。その他の選択項目の挙げられた率はいずれも50%未満で、これには「階級闘争を大本とする方式で社会矛盾を解決」(46.8%)、「個人崇拝を行い、民主集中制原則を破壊した」(46.3%)、「反右翼運動を発動した」(41.1%)、「三年自然災害に対する措置に入れる力が足りなかった」(31.4%)が含まれる(頑住吉注:「三年自然災害」とは1959〜61年の、大躍進政策、農業を犠牲にして工業発展を優先したことなどによる食糧不足、荒廃で、「自然災害」は主たる原因ではなかったようです)。シェンジェン大学現代中国政治研究所所長黄衛平は「グローバル時報」に、現在毛沢東に対し否定的態度を持つ人は主に、現在の先鋭的社会現実の矛盾が、人々の文化大革命に対し合理化するイメージを引き起こすことを心配しているのだ、と教えた。

毛沢東時代の今日の中国に対する影響を問われた時、47.9%の被調査者は「依然一定の影響がある」と考え、43.0%は「依然切っても切れない影響がある」と考え、両者の合計は90.9%を占めた。「何の影響もない」と考えた人の比率は8.0%で、別に1.0%が「分からない、うまく言えない」とした。この問題に対する差異の分析は、18〜29歳の青年グループの、毛沢東時代は今日の中国に対し影響が依然あると考える比率が最高で96.1%であることをはっきり示している。謝春涛はこれにつき分析して、今日の若者の視野は比較的広く、彼らの毛沢東の晩年の過ちに対する体得は決して深刻なものではないのだ、とする。だが全体的に見るとこの調査は、中国社会各界の毛沢東に対する認識はより理性的な方向に向かっており、より多く毛沢東はこの民族と国家に影響ある1人の政治家であると考えていることを説明している。趙智奎は、毛沢東時代の今日の中国に対する影響は明らかに分かることで、中国共産党90年余りの歴史、その基本的政治制度は全て毛沢東時代に固められたものである、と語る。人々の毛沢東に対する認識は実際には中国共産党に対する認識を含んでおり、これは脈々と受け継がれているものなのである。

(頑住吉注:4ページ目)新中国は戦争につきまとわれ、劣悪、複雑な国際環境の中で発展してきた。今日の我々の、国家の発展、建設のプロセスの中での毛沢東主席の歴史的功績の評価は、この歴史的大きな背景から切り離すことはできない。画像は中国人民志願軍が朝鮮の戦場に赴いた真実の歴史写真。

(頑住吉注:5ページ目)中国は世界でこれまで唯一、アメリカ、ソ連という2つのスーパー大国と戦場で戦い、かつ成功裏に国家の権益を防衛した国である。画像は珍宝島の衝突の中での中ソ国境防衛軍人の「肉弾戦」。(頑住吉注:日本も米ソ両方と戦争しましたが「成功裏に国家の権益を防衛した」とは言えません。アフガニスタンもちょっとそうは言えそうにないですね。)

(頑住吉注:6ページ目)画像中のかのごく小さな島嶼こそ当時中ソの軍隊が戦闘した地、珍宝島である。この島嶼は今も依然として中国の不可侵にして神聖な領土である。

(頑住吉注:7ページ目)中国の今日までの発展、多くの歴史的成就は、毛沢東主席時代に打ち立てられた堅実な基礎と切っても切れない。

(頑住吉注:8ページ目)中国は現在全く新しい発展段階には至っていない。過去の発展の歴史を回顧することは、我々が自らの国家をうまく建設することにより有利である! 申し分のない、満ち足りた生活を過ごすことは、広大な開国の功績者たちの理想であり、今の我々中国人全体の共通の願望でもある。


 大前提として言論の自由がない国の世論調査にはまともな民主主義国の世論調査と同等の価値はなく、また先日中国製の日本語入力ソフトが勝手に情報を送信していたことが判明したというニュースがありましたが、中国の被調査者も党中央に反対するような回答をした者のデータが収集されて後日不利に働くことがないとは確信できないと思われ、この調査結果はあくまで1つの目安と見るべきでしょう。また都市部に絞った調査である、年齢、職業、収入などに偏りが出るネットによる調査が大半であるなど技術的にも全中国人の意識を正しく反映しているか疑問があります。

 しかし年齢が若いほど「尊敬」する率が低い(しかし逆に「毛沢東時代は今日の中国に対し影響が依然ある」と考える率は高い)、高学歴者の「批判」的態度を持つ率が高い、首都北京の「功は誤りよりずっと大きい」との説に同意する率が最低、というのは興味深いと言えます。

 「『社会公平』思想はまさに人々が毛沢東時代に対しまだいくつかの未練を持つ原因であり、『公平』は終始中国の一般民が党の業務を計る基準でもある〜このことは執政党に警鐘を鳴らしている。」は、現在の不平等社会を批判する、中国における限界ギリギリの表現でしょうか。













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