ソ連・ロシア原潜関連2題

 まずロシア原潜の事故に関する記事です。

http://www.hinews.cn/news/system/2015/04/09/017467981.shtml


ロシア原潜の事故絶えず 専門家:構造の欠陥と管理の緩みが根源

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「現地時間7日、ロシアの1隻の原潜が維持修理するドック内で出火した。(資料画像)」)

外国メディアの報道によれば、現地時間7日、ロシアの1隻の原潜が維持修理するドック内で出火し、現在死傷者に関する情報はない。報道は、これは全長155m、NATOのコードネーム「オスカー2型」(ロシアは949級と称する)の潜水艦で、出火は溶接時の絶縁材料の着火によって引き起こされた、とする。幸いなことに、この原潜の原子力エネルギー推進器と武器はドック入りして維持修理する前にもうすでに取り外されており、関連部門はさらに一歩火災の原因を調査しているところである。報道はさらに、ロシアはかつて何度も類似の潜水艦出火事件を発生させている、とする。ならば、このことはロシア海軍にどういった問題が存在することを暴露しているのだろうか? 関連の問題につき、記者は軍事専門家の尹卓にインタビューした。

出火は原潜に対する損害が非常に大きく、あるいは維持修理期間の大幅延長をもたらすか

報道は、失火した潜水艦は当初ロシア北方艦隊の一部分で、1992年12月に使用に投入され、2013年に検査修理を行い、2016年まで持続すると見られる、とする。だが尹卓は、今回の出火は艦体に対する損害が非常に大きく、維持修理期間は延長されることになる、と考える。

尹卓は次のように考える。報道によれば、事故を起こした潜水艦はロシア最大のオスカー2型巡航ミサイル原潜で、トン数はおおよそ1万トンあまりで、20発前後のSSN19全過程超音速対艦ミサイルを搭載できる。この原潜の今回の大修理は、その核反応炉だけでなく、燃料棒が全部取り出され、かつ電気回路システム、情報システム全部に検査修理を行うことを要し、これには武器システムの積み卸し、あらゆる電気機器システムや情報システム、光ファイバーなど全てを配置し直すことが含まれる。このような大修理は全面的な施工を必要とし、今回の着火は内部の改修を行っている時、いくつかの断熱材料、核反応炉にあるかもしれない燃えやすいものを含めて引き起こされた可能性がある(頑住吉注:この部分、たぶん話し言葉をそのまま文にしたためだと思いますがちゃんとした文になっていないようです)。これは決してロシア初の原潜検査修理に出現した火災ではなく、以前インドに賃貸したチーター号原潜にもこのような問題が出現したことがあり、しかも人員の死傷がもたらされた。今回の着火は原潜の艦体に対し深刻な損害をもたらしており、おそらくその大修理の時間は延長する必要があるだろう。

原潜の構造は複雑で、細微な手落ちがあるいは悲惨、重大な結果をもたらすかもしれない

ロシアには11隻の類似のオスカー2型原潜があり、2000年8月軍事演習中に爆発沈没した「クルスク号」原潜はまさにこのクラスに属し、当時艦にいた118人が全部死亡し、これはロシア史上死傷者が最も悲惨、重大な潜水艦事故の1つにもなった。尹卓は、原潜の操作は複雑で、艦内には燃えやすいものが多く、細微な手落ちでも悲惨、重大な結果をもたらし得る、と考える。

尹卓は次のように考える。原潜の維持保護はいくつかのクラスに分かれる。1つは通常大修理で、核燃料を全部交換する。2つ目は中修理で、武器システムに対してだけ改修を行う。3つ目は小修理で、例えばソナー、レーダーあるいは電子設備の維持修理である。大型維持修理は非常に複雑な工程で、費やされる時間はおおよそ艦の建造の1/2の時間に相当し、全武器システムの検査修理も非常に慎重に行われ、何故ならロシア原潜の武器システムとしては非常に多くの魚雷が装備され、クルスク号も含め爆発したのはまさに液体酸素がブースト剤とされていたからで、こういった全てが燃値(頑住吉注:検索してもスラング的用法ばかりでまともに意味を説明したページは見つかりません。カロリー?)の非常に高い材料で、ひとたび火災が発生したら、その爆発性は非常に強く、重大な人員の死傷や埠頭施設の損壊をもたらすだろう。このため、原潜全体の操作は非常に複雑で、もしひとたび管理が混乱し、交差して進行する工程があったら、容易に火災がもたらされるのである。

構造の欠陥、管理の緩みがロシア原潜の事故頻発をもたらす

ロシアは何度も類似の潜水艦出火事件を発生させている。2013年9月、「トムスク」号原潜は維持修理の時に出火したが、爆発あるいは放射線漏れのリスクはなかった。2011年12月、「エカテリンブルグ」号原潜が維持修理時に出火した。尹卓は、これはロシア原潜自体の構造的欠陥、かつ管理が緩んでいるためにもたらされた、と考える。

尹卓は次のように考える。ソ連海軍の開始から、その海軍の安全にはずっと問題が存在した。当然、ソ連海軍は唯一の原子力艦艇を沈没させた国ではなく、アメリカ、イギリス、フランスの原潜も全てかつて事故を発生させたことがある。今まで、5つの核大国の中で艦の沈没あるいは人員の深刻な死傷事故を発生させていないのは中国の原潜だけである。ロシアの原潜事故が相対的に多いのはその反応炉の型の選択と関係があり、核反応炉の自然循環能力がやや低く、ひとたび電力供給に問題が出現すると、核反応炉の温度はすぐ急激に上昇し、核反応炉溶融のたぐいの火災事故が発生しやすい。この他、ロシアの原潜は習慣的に酸素のたぐいの物質を使用し、ひとたび漏洩が起こると火災がコントロールできなくなる。また、ロシアの軍事費削減、人員の流出、特に軍人の収入の低下ゆえに、その内部で軍人精神を緩ませ、かつて十何年か内にロシア海軍の兵員の質が大幅に低下し、部隊管理は緩み、これによってもロシアの軍事事故多発期となっている。最近の一定の時間、プーチンが権力を掌握した後、ロシア海軍は向上しつつあり、徐々に良い方向に向け発展しているが、管理の上では依然非常に多くの手落ちがある。(記者 紀夢楠)


 師匠格のロシアに対してえらい上から目線ですが。建築物でも火災による熱は鉄骨や鉄筋を劣化させ強度を下げることが多く、この原潜もあるいは長い時間をかけて修理しても構造的に弱くなって潜水深度の限度が浅くなるなどの後遺症が残り、根本的に直すくらいなら新たに建造した方が合理的なんてことになるかもしれません。「プーチンが権力を掌握した後、ロシア海軍は向上しつつあり、徐々に良い方向に向け発展」と言ってますが、プーチンが最初に大統領に就任したのはもう15年も前の2000年のことですからね。

 次は弾道ミサイル原潜に関する「歴史秘話」的記事です。

http://www.hinews.cn/news/system/2015/04/16/017488209.shtml


ソ連の原潜の世界記録:3分間で16発の大陸間弾道ミサイルを一斉射撃

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「『ノヴォモスコフスク』号原潜が水中で大陸間弾道ミサイルを連続発射するシミュレーション画像」)

ロシア大統領プーチンは最近クレムリン宮殿で、連続した軍事建設と防御ポテンシャルの強化は人民の平静な生活と国家主権発展の保証である、とした。海軍原潜部隊はずっとロシア軍事建設の重点であり、こうした潜水艦は追跡し難いだけでなく、さらに瞬間的に一国を壊滅させる威力を持つ。ロシア海軍現役の667BDRM型ミサイル原潜を例にすると、かつて3分以内に16発のミサイルを一斉射撃する世界記録を創造し、今に至るもこれを破った者はいない。

意外にも姉妹艦が取って代わる

1989年、潜在的相手を威嚇するため、旧ソ連は667BDRM型原潜「エカテリンブルグ」号を派遣し、8月初めに「河馬行動」を実施し水中で全部のミサイル(16発)を一斉射撃することを決定した。しかしこの行動の直前、「エカテリンブルグ」号に突然ミサイル燃料漏洩事故が発生し、「河馬行動」の中止が迫られた。

のっけからの不吉な前兆だったが、ソ連は決して元々定めた計画を放棄することはなく、最終的に「エカテリンブルグ」号の姉妹艦である「ノヴォモスコフスク」号原潜によって「河馬行動」を継続して執行させることを決定した。「ノヴォモスコフスク」号は旧ソ連が建造した最後の667BDRM型原潜で、16発の射程8,300kmの「Sineva」ミサイルが搭載でき(頑住吉注:「死ねば」って)、それぞれのミサイルは4発の分離誘導核弾頭を搭載できた。

1991年8月6日、「河馬行動」は再始動した。行動の成功を保証するため、「ノヴォモスコフスク」号は密集した試験と検査を行った。ソ連海軍北方艦隊司令サリニコフ少将と北方艦隊潜水艦大隊長マジイェフ上佐は艦に搭乗して自ら現場入りした。「ノヴォモスコフスク」号の艦長イェゲロフ中佐の昇進手続きもわざと先延ばしにされ、一切全ては「河馬行動」の結果を見て決まることになった。

ミサイルの発射はまるで花火の打ち上げ

予定の水域への進入後、「ノヴォモスコフスク」号潜水艦と水上観測船との間の通信にあいにく故障が出現し、原潜は観測船の音声を聞くことができたが、観測船は潜水艦の将兵が何を言っているのか聞き取れなかった。操作プロセスによれば、この種の状況下ではミサイルの発射は禁止である。ひとしきりの斟酌を経て、艦隊司令サリニコフ少将は果断に最終決断した。「艦長同志、『Sineva』ミサイルを発射してよし!」

事実、「河馬行動」執行前、「ノヴォモスコフスク」号はかつてある演習の中で8発の「Sineva」ミサイルを連続発射したことがあり、その間にいかなる問題も出現せず、このため艦長のイェゲロフには行動の成功に対しやはり一定の自信があった。果たして、艦長の予感は間違っておらず、発射ボタンを押すと16発の巨大な「Sineva」ミサイルが全部成功裏に発射された。イェゲロフは、「まるで花火の打ち上げのようで、ただ我々が発射したのが打ち上げ花火ではなく、重量70トン余りに達する大陸間弾道ミサイルだっただけだった。」と回想した。

まさにソ連最後の国防大臣ヤーゾフが言うように、これは人類史上空前絶後のミサイル一斉発射であり、16発の大陸間弾道ミサイルが10秒に満たない間隔をもって「ノヴォモスコフスク」号から空へと舞い上がり、全部で費やした時間は3分間に満たなかった。だが演習計画通り第1発目と最後の1発のミサイルだけ地上に落ちて爆発し、その他の14発のミサイルはいずれも飛行過程で指令により自壊した。イェゲロフは、「16発の核ミサイルの威力は驚異的で、それらの爆発は第二次世界大戦の期間に使用されたあらゆる弾薬の合計に相当し、いかなる標的場もそれらの爆発の威力を受け入れることはできないことを知る必要がある。」と語った。ソ連軍上層部は密かに「河馬行動」を「終末の日のリハーサル」と称していた。

この「リハーサル」が「ノヴォモスコフスク」号にもたらした奨励も尋常ならざるものだった。発射完了後、潜水艦大隊長マジイェフ上佐は直接指揮室で、すでになっているべきだった海軍上佐の階級をイェゲロフに与えた。基地に戻った後、「ノヴォモスコフスク」号は軍楽隊の道の両側での歓迎を受け、基地の食堂には伝統通り潜水艦将兵に子豚の丸焼き一頭が準備され、ソ連国防省はさらに皆に向け勲章と物質的奨励を与えた。だが皆を意外にさせたのは、「河馬行動」終了後たった2週間で、モスクワにもう「8.19」事件(頑住吉注:ゴルバチョフに対するクーデターでエリツィンの権力掌握につながる)が発生し、ソ連がまもなく急速に解体し、上級が約束した奨励もこれと共に空手形となったことである。(張暁紅)


 これを読んでもやはり危なっかしげな雰囲気が伝わってきますね。


















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