97式スナイパーライフル

 88式スナイパーライフルには5.56mmx45弾薬仕様の輸出バージョンがあり、これが97式スナイパーライフルです。以前「スイス銃器マガジン」がレポートしたのはこのバージョンでした。今回はこの銃に関するページを紹介します。

http://www.makewar.cn/wuqizhuangbei/2010779.html


中国の97式5.56mmスナイパーライフルを詳細に紹介

中国は1971年から5.8mm/小口径火器の研究開発を開始した。目下すでに5.8mm火器系列が形成されており、これにはQJY88式5.8mm汎用機関銃、QBU88式5.8mmスナイパーライフル、QBZ95式5.8mm自動小銃を基礎とした95式5.8mm分隊用機関銃や2003年12月に設計定型に至った03式5.8mm自動小銃が含まれる。1997年、香港駐留部隊が95式5.8mm自動小銃を装備するにつれ、中国の新世代小口径火器は世界の注目を集めた。国外の5.56mm弾薬を使用する需要に合わせるため、時機を失せず国際市場に5.8mm銃器の輸出型も投入された。この文で紹介する97式スナイパーライフルは88式スナイパーライフルを原形としたものである。この銃はプラスチック部品を多用し、外観は88式と基本的に同じであり、88式のブルパップ構造をそのまま使っている。精度が高い、信頼性が良好である、操作が便利である等の特徴を備え、現在世界第1の5.56mm口径スナイパーライフルである(頑住吉注:うーん、それはないでしょう)。

中国スナイパーライフルの発展

中国は建国したばかりの初期、ソ連のモシン・ナガンM1930スナイパーライフルを軍用制式スナイパーライフルとして使用していた。1956年、中国はソ連のSKS 7.62mm半自動小銃をコピーした56式7.62mm半自動小銃を制式化した後、その中から製造精度が良好で射撃精度が比較的高い銃を選んで、スコープを装備して部隊にスナイパーライフルとして支給した。

1970年代末から1980年代の初め、中国はスナイパーライフルの詳細な研究を進行させ、モシン・ナガンM1930はすでに老朽化していると判断して、ソ連のドラグノフスナイパーライフルのコピーを決定した。そこで53式7.62mm小銃弾を発射する79式7.62mmスナイパーライフルが1979年に設計定型に至り、1981年に部隊に装備された。

1985年、部隊の要求に基づき、79式スナイパーライフルに部分的な改良が行われ、改めて85式7.62mmスナイパーライフルと命名された。

中国の経済体制が改革され、また開放政策が深化するにつれ、中国北方工業社は79式、85式7.62mmスナイパーライフルの輸出型、すなわちNDM-86式スナイパーライフルを国際市場に出した。この銃はボルト回転式閉鎖機構、装弾数10発のマガジン、4倍のスコープまたは赤外線夜視スコープを採用し、コストが安い、堅固で信頼性が高い、操作が便利である等の特徴を備えていた。

85式スナイパーライフルが部隊に装備された後、使用を経て反動が大きい、銃の全長が長すぎて一般的な体格の中国の将兵が使用するのに適しない、機動性が劣る等の欠点が存在することが明らかになった。

中国は1971年から5.8mm小口径火器と弾薬の研究開発を開始し、後にDBP87式5.8mmx42普通弾薬およびこの弾薬を使用するQBZ87式5.8mm自動小銃が作られた。87式5.8mmx42普通弾薬を85式スナイパーライフルに使用する53式7.62mmx54R普通弾薬と比較すると、射程が短く、遠距離での殺傷力が劣った。このためこの弾薬を遠距離狙撃に用いることに反対する意見は非常に強かった。

1988年、中国は5.8mmスナイパーライフルと、遠距離での殺傷能力を持つ5.8mmx42機関銃弾薬の研究開発を正式にプロジェクト化した。5.8mm機関銃弾薬の研究開発中、尾部のすぼまりが比較的長い弾頭が採用され、亜音速飛行段階での空気の渦による阻力が減少した。また双弧形弾頭(先端に近い部分の弧の半径が比較的大きく、弾頭中部に近い部分の弧の半径が比較的小さい)が採用され、貫通効果が増強された。弾頭重量は普通弾の弾頭の1.2倍あり、存速能力を高めるのに有利とされた。銃の研究開発中、射撃精度、隠蔽性、人間工学という3方面の問題をめぐって組織的な重要問題への取り組みが行われた。1989年、新型スナイパーライフルの第1号試作品が作られた。6年の長きにわたる多数の試験と改良を経て、また5.8mmx42機関銃弾薬が1994年に国営射撃場での設計定型試験を通過したことを受けて、5.8mmスナイパーライフルは1995年に設計定型に至り、1996年に軍用制式に選ばれた。制式名称はQBU88式5.8mmスナイパーライフルとなり、弾薬の制式名称は88式5.8mm機関銃弾薬となった。名称中の「88式」は研究開発が正式プロジェクトとして立ち上げられた1988年をとって命名されたものである。

97式スナイパーライフルの構造

97式5.56mmスナイパーライフルはブルパップ式構造を採用しており、内部構造はソ連のAK47アサルトライフルと似ている。この銃はガスオペレーション式作動原理、ボルト回転式閉鎖機構を採用しており、ピストン、シリンダーはバレル上方に設置されている。

撃発、発射機構の形状と作動方式は大筋AK小銃にならって設計されているが、ブルパップ構造を採用しているため、トリガーを除く撃発、発射機構全体は機構ケース内部に収納されている。

しかし97式スナイパーライフルは直接AK小銃の機構をコピーして組み込んであるわけではない。中国独自の改良、改造部分が多く見られる。最大の改良点は機構ケースがストック内に収納され、グリップがマガジンの前方に設置されたブルパップ式設計である。機構方面にも多くの改良が加えられ、主なものはボルトキャリア、ブッシュロッド、ピストンの設計である。この3者はAK小銃のような一体式ではなく、独立した3つの部品になっている(頑住吉注:ご存じのようにAKのボルトキャリアとガスピストンは一体であり、「プッシュロッド」というのは両者を結合する細い丸棒状の部分のことを指しています)。この3つの部品の独立配置は、ボルトとボルトキャリアの後座速度と後座運動エネルギーを減少し、ボルトとボルトキャリアが機構ケース後端に猛スピードで衝突することを防止することができる。この他、ピストン、シリンダー前方にはガスレギュレーターが増設され、シリンダーに進入する火薬ガスの流量を調節できる。この機能は単純化を主要目的に設計が進められたAK小銃にはないものである。ガスレギュレーターはシリンダーに進入する火薬ガスの流量をコントロールでき、汚れがたまることによって銃内の機構作動が不調となった時、故障排除の作用を果たすことができる。チャンバー内圧力が異なる弾薬を使用する際にもガスレギュレーターは機能を発揮できる。異なる弾薬工場で生産された同一種類の弾薬のチャンバー内圧力規格は必ずしも同一ではなく、ガスレギュレーターを利用してシリンダーに進入する火薬ガスの流量を調節することは、小銃の正常作動を保証する上で非常に有効である。中国は地域が広く、異なる地区の温度差が大きい。特に異なる季節での気温差はさらに大きく、気温の違いは火薬ガスの圧力に変動を生じさせる可能性がある。このため小銃の作動が不調となる。こうした時、ガスレギュレーターも小銃の信頼性を高める作用をすることができるのである。

正確な照準のために、97式スナイパーライフルはバレル(頑住吉注:「銃全体」の間違いでしょう)のおおよそ中間の位置にスコープマウントベースが設計されている。このマウントベースはプッシュロッドとボルトキャリアの接合部も兼ねており(頑住吉注:そんなわけないでしょう)、さらにボルトキャリアのガイドロッドの支えの役割も果たしている。

97式スナイパーライフルのハンマースプリングはAK小銃のハンマースプリング(3本のスチールワイヤーをより合わせたもの)とは異なり、1本のスチールワイヤーから作るよう改められている。これは強力なテンションを持つハンマースプリングが生む振動が小銃の発射前の振動を引き起こし、このために射撃精度に影響する可能性があるからである。ただし1本のみのスチールワイヤーを使うことはハンマースプリングのテンションを弱め、撃発力を失わせる可能性がある。これを防止するため、97式スナイパーライフルは比較的太く、重量が比較的大きいファイアリングピンを採用している。暴発を防止するため、この銃はファイアリングピンを(頑住吉注:通常のようなボルト上ではなく)ボルトキャリア上に装備している。ボルトキャリアが定位置に復帰する前には、ファイアリングピンがボルト表面から突出する可能性はなく、したがって暴発を避けることができる。

ブルパップ設計を採用したため、トリガーは機構ケース前方のバレル下方に設置されており、トリガー軸によってスコープマウントベース下方のトリガー支座上に固定されている。比較的長いトリガー連結バーは後方に伸び、シアと連絡している。この種の構造は以下の欠点を持つ。

(1)一定数量の弾薬を連続発射した時、バレルの熱がトリガーに伝達され、トリガーの温度がそれほど高く上昇するわけではないにせよ、射手の注意力の集中を妨害する。このため97式スナイパーライフルのトリガーはプラスチックでカバーされている。

(2)バレルの熱がトリガー連結バーに伝達され、トリガー連結バーをわずかに伸ばす。比較的長いトリガー連結バーは本来トリガーの作動を正確に伝達することが難しいが、軽微な伸長後はトリガーの作動の正確な伝達がさらに難しくなる。

(3)トリガーは細いトリガー軸によってトリガー支座上に固定されているが、長期使用後、軸と軸穴の摩擦が間隙を生み、トリガーの作動がシアに正確に伝達されることがさらに難しくなる。

マニュアルセーフティレバーはストック下面、マガジン後方に設置され、360度回転できる(頑住吉注: http://www.gun-world.net/china/sr/qbu88/hk51_6.jpg これは結構珍しい特徴だと思います)。セーフティレバーを前方の「0」の位置に置いた時は、シアはロックされてセーフティ状態となり、後方の「1」に置いた時は発射準備状態となる。

97式スナイパーライフルとQBU88式5.8mmスナイパーライフルは同じ着脱式3〜9倍可変倍率スコープを使用する。接眼レンズ前方のスコープ本体筒にあるリングを回すと倍率が調整できる。スコープ本体筒上面と右面にはスコープの微調節ネジが装備され、カバーをねじって外し、工具でネジを回して微調節を行う。微調節後、ターゲットとスコープ内のレティクル上に表示されているマークの頂点(すなわち照準点)を重ね合わせ、着弾点の矯正を行う。レティクル上の「A」型のマークの頂点の右側には1-2、4、6、8の数字があり、100〜200m、400m、600m、800mを表している。スコープ底座後面には3つの1.5V電池が収納され、電源スイッチを入れるとスコープ内のレティクルと数字が緑色に発光する。暗い時、夜間の狙撃中にはっきり見やすい。スコープ底座左側のロックレバーを操作すればスコープの着脱ができる。

97式スナイパーライフルは可変スコープを標準装備としているが、同時に機械式サイトも設けられている。これはスコープが破損した時、あるいは失われた時に応急的に使用するものである。フロント、リアサイトとも折りたたみ式で、スコープ装着時はたたまれる。リアサイトを立てた時、回転式の円盤は前面に位置し、リアサイト体の縦向きのスリットと円盤の横向きのスリットが重なってできた四角いピープをリアサイトとして照準を行う。この円盤が回転する際にリアサイト体の後面中央の丸い穴に数字が表示されるが、この数字は100m単位の射程を表示している。フロントサイトはポスト型でリング状のガード内に設置されている。フロントサイトは専用工具を使って回転させ、高く、あるいは低くして調整が行える。この専用の調整工具と分解されたクリーニングロッド等は一緒にグリップ内の工具ケースの中に収納されている。フロントサイトガードの後面上部にはほのかに光るドットが設けられ、リアサイト体頂部の2つの同様のドットと対応し、夜間作戦照準用に供される。当然機械式サイトをスコープと比べれば、射撃精度はある程度下降する。

この銃にははさんで締める方式の着脱式バイポッドが装備され、照準補助装置としてこのバイポッドは伸縮式となっており、引き伸ばすこともできるし、バレル下方にたたむこともできる。


 使用弾薬以外ほとんど同じ88式については今まで何度か触れましたが、これまでにない内容も含まれていました。ただまあいくつか納得しかねる点もあります。

 ガスレギュレーターについての説明は一応もっともらしいんですが、これがないAKの信頼性に関する評価は非常に高いわけですし、それなら何故95式小銃系列にはないのか、という問題が説明できないでしょう。 (頑住吉注:後に訂正:95式にもガスレギュレーターはありました)

 ハンマースプリングが複数のワイヤーをより合わせたものならばテンションが高く、単一のワイヤーから作られていればテンションが低い、‥‥ってそんなことないですよね。テンションを低くしたいならより細いワイヤーをより合わせればいいだけのことです。より合わせたワイヤーによるスプリングはハンマーダウン後の振動、というか震えを生むためかなとも思ったんですが、これはまあ誤差範囲でしょう。主な理由はコストダウンではないでしょうか。ワイヤーをより合わせたスプリングには折れにくい、万一1本折れても即機能を失わない、というメリットもあるのではないかと思われますが。ちなみにテンション低下を補うためファイアリングピンを重くしているとありますが、これも厳密には命中精度上マイナスになるはずです。この銃は珍しい特徴としてファイアリングピンがボルトキャリアに設置されていますが( http://www.gun-world.net/china/sr/qbu88/d10.jpg )、これは不完全閉鎖での撃発防止のためとされています。しかし別にファイアリングピンが重いと不完全閉鎖での撃発が起きやすいということはないと思うんですが。ボルト前進時に慣性でファイアリングピンが前進して暴発することを防止するというなら分かるんですが、その場合ファイアリングピンをボルトキャリアに設置することは対策にならないと思います。どうもよく分かりません。

http://www.gun-world.net/china/sr/qbu88/pkk50.jpg

 スコープに関しては着脱用レバーを除きこの画像が分かりやすいと思います。接眼レンズ前方に倍率を調節するリングがあり、この状態は6倍ということのはずです。さらにその前方の上部および右面には調節ネジのカバーがあります。その下の四角いブロック状部分が「スコープ底座」と呼ばれているものでしょう。後部にバッテリーを入れる部分があり、本文中に説明がないですが前面にあるのが電源スイッチと思われます。

 個人的には輸出用として5.56mmx45仕様にするなら、M16のマガジンが使用できるようにした方がアピール力が増したのではないかと思います。













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