中国の対戦車ミサイルの発達

 武直-19とも関係する中国の対戦車ミサイルの発達と現状について説明したページの内容の紹介です。

http://club.china.com/data/thread/1013/2741/58/80/4_1.html


国産対戦車ミサイルの昔と今を簡単に語る

中国の対戦車ミサイル武器システムの歩みが始まったのは遅くはなく、1950年代に北京工業大学がフランスのSS-10対戦車ミサイルを手本にして265-1型対戦車ミサイル武器システムの研究開発を開始した。そして2回の試射を行い、対戦車ミサイルの技術的原理をひとまず掌握した。1960年代に入り、部隊の対戦車火力強化のため、関係する部署が国外の対戦車ミサイルシステムの資料に基づいてJ-201対戦車ミサイル武器システムの研究開発を展開した。J-201の射程は2000m、速度は85m/s、破甲威力は120mm/65度だった。このミサイルには速度が遅い、威力が小さい、体積が大きい、重量が大きいなどの特徴があったため、部隊に大量装備されなかった。大量に部隊装備されたのは旧ソ連のAT-3をコピー生産した紅箭-73型だった。このミサイルは射程3000m、速度120m/s、破甲威力150mm/65度だった。このミサイルは性能が比較的先進的で、体積が小さく、コストが低かったため、大量に部隊装備でき、1979年の対ベトナム自衛反撃戦と1980年代の国境地域防衛戦に参加し、比較的良好な戦果を挙げた。このミサイルに存在する射手がコントロールする、訓練が困難などの欠点に基づき、関係する工場がこれに対し何度もの改良を行った。これにはテレビ角度測定装置、デジタル式コントロールボックスの採用が含まれ、しかも第2世代対戦車ミサイル武器システムのレベルまでグレードアップされていた。第3世代戦車、例えばT-72に対応するため、弾頭部の威力が増され、しかもタンデム式弾頭が採用され、もって反応装甲を装備した目標に対処した。ロケットモーターが改良され、速度は150m/sまで向上し、作戦能力が大いに向上した。しかも就役から今日までずっと、甚だしきに至っては中国陸軍最新の86A、92G、ZBD09などの歩兵戦闘車や空軍の航空降下兵のZBD03型歩兵戦闘車にも依然としてこの系列の最新改良型である紅箭-73Dが使用されている。その原因をつきつめれば、主要なのはこの系列のミサイル製造コストが安く、かつ威力が周辺国のT-72、M60A3、勇虎(頑住吉注:台湾のCM-11。アメリカ製M48パットンの発展型)などのメインバトルタンクに対処するにはこれでもう充分なことである。このため国家国防領域において投資の重点に変化が発生する状況下で、中国陸軍が紅箭-73系列対戦車ミサイル武器システムを装備し続けることは理解困難なことではない。

(頑住吉注:原ページのここにある1、2枚目の画像のキャプションです。「国産のJ-201型対戦車ミサイル」 続いて3枚目。「紅箭-73対戦車ミサイル武器システム(基本型)」 続いて4枚目。「改良後の紅箭-73対戦車ミサイル武器システム。テレビ角度測定装置が採用された。」)

1970年代、中国は第2世代メインバトルタンクの研究開発を開始し、砲から発射する対戦車ミサイルの配備を決定した。このため第2世代対戦車ミサイル武器システムの研究開発に着手した。第2世代対戦車ミサイル武器システムは依然メインバトルタンクに配備するのは難しかったため、このプロジェクトは砲兵によって引き継がれることになった。これが紅箭-8対戦車ミサイル武器システムである。紅箭-8の性能は比較的良好で、射程は3000m、速度は200m/s、破甲威力は静破甲(頑住吉注:装甲板と直角に、弾頭部を静止させて起爆した場合)800mm、動破甲(頑住吉注:確度をつけ高速で命中した場合)威力は180mm/68度だった。部隊装備後はやはり何度もの改良を経た。特に重要なのは初の国産機載対戦車ミサイル武器システムである紅箭-8Bに発展したことである。これは今に至るも依然中国陸軍航空兵の主要装備である。その他の改良には次のものが含まれる。タンデム式弾頭を採用して反応装甲に対応した。メイン弾頭の威力が1000mmまで向上した。射程が4000mまで延長された。特に重要なのは国外ユーザーの意見に基づいて行われた軽量化改良、潜望鏡式照準システムの採用で、射手の戦場での安全性を非常に大きく高め、したがって武器システム全体の機能を向上させた。大量に輸出されただけでなく、国外ユーザーは技術を導入して自ら生産も行った。海外の資料によれば、紅箭-8は何度も実戦に参加し、T-72メインバトルタンク破壊などの戦果を挙げ、このミサイル武器システムが良好な作戦機能を持つことをはっきり示した。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「紅箭-8対戦車ミサイルファミリー」 紅箭-8Aは最初の改良型で弾頭威力などが向上し、8Bはヘリコプター搭載専用、8Cは反応装甲に対応、8Eは上の黄色の字で示したタイプ、8Lは軽量化したものの威力は8Eと同等、ということらしいです。 続いて2枚目。「初期の紅箭-8射手はひざまづいて発射する形式を採用していた。射手の暴露面積が比較的大きく、生存能力が比較的劣った。」 続いて3枚目。「後期は潜望鏡式照準を採用し、生存能力が高められた。」)

1980年代後期、各国の第3世代改良型戦車が出現するにつれ、第4世代メインバトルタンクも発展中であり、同時に各国の地上部隊の火力制圧、機動作戦などの能力にも比較的大きな向上があった。このため関係部門は、2000年の作戦環境を背景として、新世代対戦車ミサイル武器システムの研究開発を決定し、より長い射程、より大きな威力を持たせることを要求した。つまり現在の紅箭-9対戦車ミサイル武器システムである。紅箭-9の紅箭-8と比べての最大の変化は、レーザーによる司令伝達が本来の誘導ケーブルに取って代わったことである。こうすればミサイルの飛行速度と射程が大きくなり、射程は5kmにまで向上した。同時に弾頭の直径が大きくされ、破甲威力が1200mmにまで高められた。紅箭-9は1990年代に研究開発が成功して部隊装備され、後にはユーザーの要求に基づき、ミリ波司令伝達を採用した紅箭-9A型に発展した。新世紀に入って紅箭-9は紅箭-8地上発射型に取って代わり始め、陸軍砲兵部隊の主要な対戦車ミサイル武器システムとなった。だが、紅箭-8B型機載対戦車ミサイル武器システムとの交代は遅々として行われ得なかった。その原因を究明すると、以下の数点があるかもしれない。紅箭-9は紅箭-8に比べ、司令伝達媒体に変化があるものの、その制御誘導体制は根本的に言えば元のまま変わっていない。このため、発射プラットフォームは目標を攻撃する時、依然として全行程にわたって目標を注視する必要があり、容易に敵の火力攻撃や制圧を受ける。この他もしも射程の中間に障害物があったら目標の攻撃は直ちに不可能になる。さらに複数目標の攻撃能力を持たない。このことは機動目標が増加した現代の戦闘では容易に戦機を誤らさせる。加えて紅箭-8Bは既存の威力と射程がすでに充分であり、こうした状況下で陸軍航空兵は紅箭-8B機載対戦車ミサイル武器システムの使用を継続しているのである。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「紅箭-9は我が国の新世代対戦車ミサイル武器システムであるが、その性能向上は限られている。」 続いて2枚目。「改良型の紅箭-9Aはミリ波司令伝達を採用している。白色のアンテナカバーに注意。」)

新世紀に入り、周辺諸国が続々と新世代メインバトルタンクを開発、購入するにつれ、これらの戦車の火力、機動、防御性能はいずれもより良好になり、しかもいくつかは砲から発射するミサイルを装備し、ヘリコプターに対処する一定の能力を備えた。さらにアベンジャー、ツングースカのように先進的防空システムも導入され始めた。このため中国陸軍航空兵はより先進的で攻撃能力がより強い武装ヘリを持つことが必要になった。今世紀始め、中国は新世代の専用武装ヘリの研究開発作業を始動させ、この機のために射程がより長く、威力がより大きい機載対戦車ミサイル武器システムを配備することも日程に上った。これが藍箭-7対戦車ミサイル武器システムである(この名称は輸出用のものであるに違いなく、国内の名称を紅箭-10としている海外の資料がある)。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「国産の藍箭-7対戦車ミサイル。その外形と性能はいずれもアメリカのヘルファイアに近い。」 続いて2枚目。「藍箭-7は国産の専用武装ヘリの主要搭載武器である。」)

最近行われた第3回中国無人機大会で、中国兵器第203研究所は初めて藍箭-7対戦車ミサイル武器システムを公開展示した。公開されたデータから見て、その部分的指標はすでに世界先進レベルに到達しており、中国の対戦車ミサイル武器システムがまたしても新たな段階に足を踏み入れたことを示している。このミサイルの外形から見て、アメリカのAGM-114A「ヘルファイア」機載対戦車ミサイル武器システムに類似しており、しかも同じくレーザーセミアクティブ制御誘導方式を採用している。203所が公開した関係するデータから見て、藍箭-7の指標はヘルファイアとほぼ同じで、このうち全長は前者が1.75m、後者は1.77mで、直径はいずれも0.17m前後、重量はいずれも45kg前後、破甲威力はいずれも1.400mm以上、射程は前者が7km、後者は8kmで、明らかに中国陸軍航空兵にまた1種類、新しい対地攻撃用の優れた武器が加えられた。

以前の中国の対戦車ミサイル武器システムと比べ、藍箭-7の最大の特徴は間接発射モデルの支持が可能なことである。すなわち目標が障害物に遮られていても目標を攻撃することができる。ミサイルは発射後迅速に上昇し、空中でレーザー波束をとらえて目標を攻撃する。このためより長い射程とより大きな柔軟性を持つことができる。同時に外部システムの助けを借りて制御誘導が行えるため、ヘリコプターはミサイルを発射し終わるとすぐに離脱でき、戦場での生存能力が向上する。さらにもう1つの比較的突出したメリットは多目標攻撃能力の具備である。関係資料によれば、ヘルファイアは2種の多目標攻撃モデルを備え、1台のレーザー照射器を使い、1発目のミサイルの目標命中後迅速に2つ目の目標を照射する。さらにパルス発射があり、2台以上のレーザー照射器を使用し、レーザーのコードを相互に交換し、単一の制御誘導を行う。このモデルはより多くのミサイルを誘導でき、ヘルファイアは最多で4台のレーザー照射器を支持し、16発のミサイルの攻撃を支持できる。このためAH-64攻撃ヘリの比較的大きな弾薬搭載量を充分支持できる。203所が公開した資料の中では藍箭-7も4種のレーザーコードを持ち、最多で4台のレーザー照射器を支持できると見積もられ、その戦場での多目標攻撃能力には非常に見るべきものがある。

藍箭-7はヘルファイア同様、武装ヘリ専用に多目標、快速攻撃能力が付与されている(頑住吉注:画像ありませんけど本来これキャプションだと思います)。

藍箭-7が新世紀の陸軍航空兵力の主力機載対戦車ミサイル武器システムとなり、陸軍航空の対地攻撃能力が極めて大きく向上し得たことを示すことは全く疑いない。しかもこのシステムはさらに攻撃機、無人操縦機などのプラットフォームにも使え、さらに一歩その使用範囲が広がる。ただし我々は、藍箭-7の技術がヘルファイア初期のAGM-114Aのレベルに相当するに過ぎないこともはっきりと見るべきである。これは依然国際的には第2世代半の対戦車ミサイル武器システムに属し、ヘルファイアのミリ波および赤外線成像を採用した後期型と比べると、以下の不足な点がある。レーザーは大気中を伝わる中でエネルギーの消耗が速すぎ、特に煙や埃がある、あるいは雨、雪などの劣悪な条件下ではそうである。このため全天候作戦能力は持たない。照射器が全射程の照射を提供する必要があるので、容易に相手方から探知計測、制圧される。特に新世紀になってレーザー警告システム、アクティブ防御システムが普及、成熟するにつれ、レーザー制御誘導兵器の作戦機能はより大きな制限を受けている。これも何故新世紀の対戦車ミサイル武器システムが赤外線成像制御誘導を多く採用しているかの重要な原因である。

それでは中国が研究開発している第4世代対戦車ミサイル武器システムは何故赤外線成像制御誘導体制を採用していないのか? 原因は以下のいくつかの方面にあるのかもしれない。まずレーザー制御誘導には欠点が少なくないが、技術的に成熟している、精度が高い、構造が簡単、製造コストが低廉などの突出したメリットもある。特に中国に関して言えば、総合的な国力は極めて大きく向上し、国防に関する投資に比較的大きな伸びがあるが、近代的武器装備の価格は非常に高く、このため部隊の品質的建設は依然、あるところに重点を置く方式を取るしかない。空導院(頑住吉注:中国空対空ミサイル研究院)の梁暁庚総師の話によれば、赤外線成像制御誘導ミサイルの価格は比較的高いため、将来の中国空軍の格闘空対空ミサイルは赤外線成像ミサイルと既存の多元赤外線制御誘導の併存という方法を採用するかもしれない。つまりハイ・ローミックスの装備体系である。部隊発展の重点である空対空ミサイルでもこうなら、重要性がこれに比べ低い対戦車ミサイル武器システムは当然コストがより高い赤外線成像制御誘導方式を取ることは難しい。もう1つの原因は、中国には赤外線成像制御誘導方面にまだ不足のところが存在することかもしれない。国防電子展の関係情報によれば、中国は赤外線成像部品方面でまだ中小部品陣から大規模部品に向けた過渡期の段階にあり(頑住吉注:この場合の「陣」の意味は不明です)、いくつかの基礎的部品はまだ国産化が実現していない。国外の同類空対空ミサイルがすでに部隊装備されている状況下で、国産の赤外線成像制御誘導空対空ミサイルはまだ未定型であり、これはすでに中国と外界の技術レベルの隔たりをはっきり示すものである。また赤外線成像制御誘導は国外で厳格に禁輸されている領域でもある。比較するとインドの国際環境はずっと良好である。これらを総合すると、中国が第4世代対戦車ミサイル武器システム発展において採用している技術レベルは相対的により低く、成熟性、経済性がより良好なレーザー制御誘導方式の使用は容易に理解できる。

藍箭-7の将来の発展に関しては、きっと第3世代のファイアアンドフォーゲットの方向に発展する。国内ですでにヘリコプター搭載ミリ波火力コントロールレーダー、小型戦術空対地ミサイル、たとえばC-701に使われるミリ波誘導弾頭がとっくに出現していることから、将来的にはまずロングボウヘルファイアに類似したタイプが出現する可能性がある。

国家の経済、技術的実力の増長につれ、国産対戦車ミサイル武器システムのレベルはどんどん高くなり、国家の安全を防衛する基盤となることを信じる。


 中国のこの方面における技術レベルはまだ低いことが分かります。原因の1つは民間にもごく近い技術がある無人機や航空エンジンと違い、純粋な軍事技術であるミサイルの制御誘導システムは誤魔化して西側から導入することが難しいことでしょう。インドの話なんて全く出てきていなかったのに突然、「比較するとインドの国際環境はずっと良好である」なんて文言が出てくるのは西側先進国の技術が導入しやすいインドが妬ましく、またもしインドが技術的に先んじてもそれは中国人の技術が劣るせいではないと言いたいからだと思われます。












戻るボタン