運ー20の意義はどこにあるのか

 最近4回目の試験飛行を行ったとされる期待の大型輸送機ですが‥‥。

http://military.china.com/jqsj/033/index.html


運ー20は過渡的機種か、それとも終点か?

外国メディア、中国が中国版C-5輸送機の研究開発を考慮している、とする

イントロダクション:最近ある外国メディアは、中国は将来米軍のC-5に類似した戦略輸送機を研究開発するかもしれない、とした。このためある人はこの前にメディアに大騒ぎされた運ー20輸送機は中国が大型機研究開発の経験を積むために製造された「過渡的」機種に過ぎない、と考えた。この説は正しいのか否か? 戦略輸送機を持つことは中国にとって必要性があるのかないのか? また中国が将来研究開発する戦略輸送機の性能はどんなものなのか?

中国は将来戦略輸送機を研究開発することになる

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「運ー20最新のディテール画像が明るみに」)

運ー20は決して「過渡的」機種ではない

伝統的に我々は大型輸送機を戦略輸送機と戦術輸送機の2種類に分ける。前者はアントノフー124、C-5で、その搭載重量は大きく、航続距離は長いが、滑走路など後方勤務支援施設に対する要求が比較的高く、このため中枢から中枢への空輸任務を多く執行し、その後さらにアントノフー12、C-130といった戦術輸送機あるいはその他の輸送手段が部隊を前線に送り届けるのである。このようにすれば時間の消耗が不可避的に増加し、このため戦略・戦術輸送機という概念が出現した。前者の大輸送量と後者の前線での発着能力を一体に集めたもので、直接大型武器装備を前線に送り届けることができる。典型的機種は例えばアメリカのC-17とロシアのイリューシンー76である。戦略輸送機は決して全能ではなく、戦略・戦術輸送機の果たす作用に取って代わることはできないのだ、ということが分かる。

運ー20戦略・戦術輸送機は優秀な輸送機能を持つ以外に、さらに大型空中早期警戒プラットフォームや大型給油機に改造されることができる。中国空軍が現在装備する空警ー200早期警戒機と轟油ー6給油機は機体が比較的小さいためいずれも性能は非常に限られたものである。このため運ー20戦略・戦術輸送機の未来の中国空軍に対する作用は非常に大きいと言える。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「米軍のC-5B戦略輸送機の輸送能力は非常に強い」)

戦略輸送機の中国に対する作用

外国メディアは、2013年パリ航空展でウクライナサイドはアントノフ社がかつて中国向けにアントノフー124およびアントノフー225戦略輸送機の販売を拒否したことを明らかにした、とする。もしこの情報が事実に属せば、中国軍にはやはり戦略輸送機に対する需要があるのだ、ということを説明する。だがある分析者は、中国には現在戦略輸送機の使い道がない、と指摘する。これは主に中国軍はグローバルな配備を行う必要がないからである。だが客観的に言って、戦略輸送機は軍事方面にしか使えないのではなく、さらに人道主義に基づく救援方面にも使える。1998年、ドイツ政府がアントノフー124戦略輸送機を賃借して中国のために大量の洪水対策物資を緊急輸送したことは、今に至るも人に深い印象を残している。また海外で突然緊急状況が発生した時も、戦略輸送機の強大な輸送能力はそれを現地の中国人撤収の利器とし得る。もう1つ非常に提示に値するポイントがある。それは中国政府がすでに将来海外に向け平和維持作戦部隊を派遣する可能性があると言明していることである。平和維持作戦部隊の重装備の輸送は、中国の未来の戦略輸送機に大いに腕前を見せる機会を与えることになる。1993年のソマリア危機の時、米軍のC-5戦略輸送機は18両のM-1エイブラムス大型戦車と44両のブラッドレー装甲戦闘車をソマリアに空輸し、米軍部隊が安全にソマリアを離れることを保証した。このことから、戦略輸送機の作用が非常に大きいということが見て取れる。このため、世界の大国としての中国は将来きっと自らの戦略輸送機を研究開発する必要がある。この点は疑いの余地がない。

中国の未来の戦略輸送機を推測

中国には将来戦略輸送機を研究開発する必要がある。ならば中国の将来の戦略輸送機の性能はどんなものなのか? 戦略輸送機の研究開発は多種の方面の考慮を必要とする。例えば科研レベル、コスト、用途等々である。もし中国が将来戦略輸送機のエンジンの難題を克服したとしても、コストや用途などの要素を考慮すれば中国の将来の戦略輸送機は搭載重量や航続距離の方面でアメリカやロシアの同類機より小さいものになる可能性が高い。中国が将来研究開発する戦略輸送機の最大搭載重量は120トン前後に達するはずである。こうであってこそ2両の99A2式メインバトルタンクを搭載する能力を持ち得る。その巡航速度は時速750km前後、満載に近い時の航続距離は4,000km前後に達し得るはずである。また中国のここ何年かの電子システムの発展の趨勢を根拠にすると、中国が将来研究開発する戦略輸送機に用いられる電子制御システムはロシアの現在のアントノフー124戦略輸送機の電子制御システムに比べより先進的になると見られる。

指摘しておくことが必要なのは、戦略輸送機は遠距離戦略輸送を実現する1つのキャリアに過ぎないということだ。ある国の戦略輸送機の性能上の要求および具体的用法は、その国の戦略の意図および目的と相互に影響し、相互に補完して成り立つ。未来の国際環境の変化と中国の未来の戦略上の目的の調整と共に、中国が研究開発する戦略輸送機の性能上の要求にも相応の調整がなされることになる。

米ロの現役大型輸送機の簡単な紹介

ロシアのアントノフー124戦略輸送機

アントノフー124はソ連のアントノフ設計グループによって設計され、1980年代には世界最大の飛行機だった。アントノフー124は1974年に生産停止されたアントノフー22大型輸送機に取って代わった。アントノフー124のあだ名は「Ruslan」で、これはロシア民話のある英雄の名である。ソ連の瓦解により、アントノフ設計集団はすでにウクライナ共和国アントノフ航空科学技術連合体に変わっている。全幅73.30m、全長69.10m、全高21.08m、主翼面積は628.00平方m、貨物室は長さ36.0m、幅6.4m、高さ4.4m、使用空虚重量は175.000kg、最大搭載重量は150.000kg、最大燃料重量は230.000kg、最大離陸重量は405.000kg、最大巡航速度は865km/h、正常巡航速度は800〜850km/h(高度10,000〜12,000m)、着陸速度230〜260km/h、離陸滑走距離2,520m、着陸滑走距離(最大着陸重量)900m、最大搭載での航続距離4,500km、最大燃料での航続距離16,500kmである。

アメリカのC-5戦略輸送機

C-5「ギャラクシー」はアメリカのロッキード・マーティン社が研究開発した亜音速遠距離軍用輸送機である。1963年に研究開発が開始され、1968年6月に原型機が初飛行し、1970年に装備が開始された。C-5は米軍の搭載重量最大の軍用輸送機であり、アメリカの陸軍、空軍、海兵隊の各種大型武器装備を全世界の各地に輸送でき、例えばM1A2メインバトルタンクやMH-53ヘリなどである。湾岸戦争など何度もの局地戦争の中で、C-5は戦略兵力投入の上で重要な作用を発揮した。全長75.54m、全高19.85m、全幅67.88m、主翼面積576.0平方m、容積985.29立方m、空虚重量169,643kg、最大ペイロード118,387kg、最大燃料重量150,815kg、最大離陸重量3,779,657kg、最大着陸重量288,415kg、最大水平飛行速度919km/h、最大巡航速度908km/h、経済巡航速度833km/h、実用上昇限度10,895m、離陸滑走距離2,530m、着陸滑走距離725m、最大搭載重量での航続距離5,526km(5%の燃料の余裕をもって)。

専門家の評論

中国軍事問題専門家リチャード フィッシャー:中国は真の戦略輸送機を研究開発することになる

アメリカのシンクタンク「国際評価・戦略センター」は最近中国軍事問題専門家リチャード フィッシャーの文章を発表した。この文章は、ひとたび中国の国産大バイパス比ターボファンエンジンの研究開発が成功し、かつ運ー20機に応用されたら、運ー20の最大搭載能力は65トンにまで向上すると見積もられ、また中国は現在あるいは米軍のC-5クラスの新型戦略輸送機の研究開発を考慮しているかもしれない、としている。文章は、中国の運ー20戦略輸送機は10年の長きにわたる努力と研究開発を経て、2013年1月26日に初飛行した、とする。運ー20プロジェクトはウクライナのアントノフ社の援助を獲得しただけでなく、さらにロシア製D-30KPターボファンエンジンを使用している。戦略輸送機用航空エンジン発展方面では、中国は現在少なくとも4機種の大バイパス比ターボファンエンジンの計画を発展させており、これらのエンジンは将来未来の中国の戦略輸送機のために動力を提供することができる。

国防大学戦略研究部教授梁芳:運ー20は将来中国軍の戦局のコントロールを助けることができる

「運ー20のような機の最大の特徴は速度が速いことで、その他の輸送手段に比べ輸送速度は数倍、甚だしきに至っては数十倍を超え、地形水文条件の影響を受けず、このことは我が国にとって非常に重要である。国家利益の開拓展開につれ、海外利益の維持保護(これには海外在留者、大型施設の輸送が含まれる)において大型輸送機はいち早く我が人員、装備を早急に必要とする地域に送り届けることができる。将来の局地戦争と危機のエスカレートと共に、迅速に兵力と兵器を早急に必要とする地域に送り届け、戦局のコントロールを達成し、後続の部隊の増援と展開のために時間を勝ち取りることもできる。これぞこの種の大型輸送機のもたらす便利とメリットである。

ネット仲間の調査

あなたは下のどの説が正しいと思いますか?

運ー20は戦略輸送機を研究開発するために行われる準備に過ぎない 24.69% 407票

運ー20は将来中国唯一の大型輸送機となる 1.76% 29票

中国にはさらに戦略輸送機を研究開発する必要はない 1.22% 20票

運ー20はすでに中国の将来の需要を完全に満足させられる 4.19% 69票

運ー20と将来研究開発される戦略輸送機は同等に重要である 67.5% 1,113票

その他 0.67% 11票

総票数 1,649%

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ロシアが研究開発したアントノフー124型戦略輸送機」)

結び

中国が将来戦略輸送機を研究開発する可能性は非常に大だと言える。だが客観的に見て、戦略輸送機にはその輸送量が大だというメリットがあるが、長所があれば短所もある。運ー20は未来の中国空軍にとってかけがえのない作用を果たす。もし未来の中国が戦略輸送機を研究開発できたら、中国が戦略型の空軍を建立することに対し非常に大きな助けになる。


 中国人にとってオリジナルの大型機運ー20は非常に大きな誇りであり、軽視することはできない一方、客観的に見て真の戦略輸送機とは評価できないのも確かで、将来大国たる中国が強大な戦略空軍を建設するためにはさらに大きい真の戦略輸送機を開発する必要があることも否定できない、という微妙な心理が見えます。読者アンケートの選択肢2、3、4は基本的に同じ「運ー20があればそれで充分」という意味で、こうした意見を分散して数を少なくしようという意図が見えます。そしていつも通り中国人の読者の大部分(2/3以上)は誘導された先である「運ー20と将来研究開発される戦略輸送機は同等に重要である」を選択していますね。総票数は比較的少なく、やはり直接戦闘用の装備に比べると地味な題材のようです。













戻るボタン