殲-15の過去、現在、そして未来

 「遼寧艦」の艦載機となると見られる殲-15について解説したページの内容を紹介します。

http://club.china.com/data/thread/1013/2747/87/26/9_1.html


殲-15の過去、現在、そして未来

(一)殲-15の過去

殲-15の歴史を語るには、ロシアの現役大型艦載機スホーイ-33に言及せざるを得ない。スホーイ-33艦載機はスホーイ設計局がスホーイ-27を基礎に研究開発した第3世代双発単座艦載重戦闘機であり、主にソ連・ロシア空母艦隊に制空作戦能力を提供するためのものであり、かつ偵察執行および随伴給油などの任務が合わせ配慮されている。

1973年からスホーイ-27はソ連空母艦載機の選択候補の機種として考慮され、関係する事項、例えばカタパルト発進、スキージャンプ発進の初期論証が行われた。1978年になってスホーイ設計局はスホーイ-27K(T-10)のひとまずの設計を完成した。これは折りたたみ翼を採用し、降着装置が強化され、着艦フックが追加され、ナビゲーション設備が改良され、機体構造が強化され、動力装置と機載設備に防腐食措置が採られていた。1981年、ソ連総参謀部は新空母にスキージャンプ発艦模式を採用することを決定した。1982年、第3機目の原型機T-10-3がスキージャンプ甲板での試験飛行作業を開始し、後続の試験飛行の中でT-10にスキージャンプ発艦、制動による降着模式が実行可能であることがひとまず証明された。

1984年4月18日、ソ連共産党中央はスホーイ-27を基礎にスホーイ-27K対空防御艦載戦闘機を研究開発することを決定した。1985年2月、スホーイはスホーイ-27K(T-10K)の設計草案を完成させた。1987年、第1機目のサンプル機T-10K-1の組み立てが完成し、同年8月初飛行が行われ、半年後第2機目のサンプル機T-10K-2が初飛行した。

1989年11月1日、T-10K-2が初の着艦試験を完了した。同時にT-10K(スホーイ-33)はひとまずの生産段階に入った。事前生産型は7機で、コード番号はT-10K-3からT-10K-9までだった。そして国家定型試験が開始された。後にソ連解体のため国家試験は3年遅延し、1994年12月になってやっと真に鑑定作業が完了した。

1994年8月になって生産型のT-10Kが全部で24機引き渡され、1個連隊2個中隊が満編成された。1998年8月31日、ロシア大統領エリツィンはスホーイ-33をロシア海軍に装備する命令に正式に署名した。ここに至りスホーイ-33はスホーイ-27K(T-10K)の新たなコードネームになり、ロシア海軍に制式採用された。

(二)殲-15の現在

飛行機の研究開発と生産には特定の規律がある。このため殲-15の現在と未来を研究するのにスホーイ-33の研究開発過程を参考にしないわけにはいかず、我々が殲-15の研究開発過程を分析することに対し非常に重要な指導的意義がある。

1990年代、中国は古い廃品空母プラットフォーム「ワリヤーグ」を購入するのと同時に、その艦載機T-10Kも導入した。これはT-10K-3号機だったと伝えられ、前述のようにT-10K-3は事前生産型T-10Kの1号機で、同様に(頑住吉注:量産型ではなく)検証機に属す。中国がこのサンプル機を獲得した後、枕陽飛行機設計所は即このサンプル機に対する研究とコピー生産を開始した。

一般的に言って、コピー生産と研究開発は2つの段階であるはずで、第1段階はコピー生産段階で、ソ連のもの(T-10)に類似したものの論証段階で、この時期は主に基本理論と生産データの獲得のためである。筆者はこの段階は殲-11Bを基礎にT-10K-3のいくつかの技術的特徴を結合して生産が行われ、少なくとも3機の原型機(551〜553あるいは554)が製造され、このうち1機は静力試験(頑住吉注:静止状態で荷重をかける強度試験)に用いられ、他の2機は検証性の試験飛行に用いられたはずだと考える。これは「ワリヤーグ」のスキージャンプ甲板の設計に対し重大な意義を持つ。筆者はこの2機は地上で多くの理論的試験飛行を行い(頑住吉注:風洞実験とかのことですかね)、T-10同様空母の発着テストには用いられていないと推測する。

第2段階は研究開発段階である。ソ連のもの(T-10K)の研究開発段階に似てこの段階は主に現代の基準をもって新型空母艦載機を作り出すものである。スホーイ-33は結局のところ古すぎ、現代の技術を用いてこれに対し改良を行うことが必須である。現在殲-15の各種パラメータはまだ秘密保持状態にあるが、以下の4方面の改良があったことが肯定できる。1つ目は国産「太行」エンジンの使用(初期の検証機がロシア製エンジンを使用した可能性は排除されない)。2つ目は新材料の使用、重量軽減、構造強度向上、寿命延長、ステルス効果増強など。3つ目は現代の総合航空電子システム、例えばフェイズドアレイレーダー、新型火力コントロールシステム、電子対抗システム、現代の電動操作コントロールシステムなどの使用。4つ目は全体的な信頼性向上、防腐食措置強化で、もって海軍の標準的新型艦載機を作り出すのである。

中国式の近代化改造を経た後のスホーイ-33こそが真に遼寧艦空母艦載機となる殲-15なのである。筆者はこの型の検証機も2〜3機生産され(554あるいは555〜556)、主に空母での発着検証性の飛行に用いられたに違いないと考える。ネットに現れた画像から見て、556は殲-15の発着テストの主力である。

筆者は現在殲-15はまさに空母発着テストのカギとなる重要段階にあると考える。テスト期間は1年前後に達すると推測され、同時に遼寧艦と殲-15の国家テスト段階であり、未来の中国空母の建造と使用、および殲-15の量産に対しいずれも重要な意義がある。

(三)殲-15の未来

現在明らかになっている画像から、中国版スホーイ-33双発重艦載機殲-15が中国初の空母である遼寧艦の固定翼艦載機第一候補であることはすでに疑いの余地なくはっきり示されている。それでは殲-15の未来はどうなるのか?

(1)事前生産と装備数量

筆者は、遼寧艦の就役と殲-15の発着テストにつれ、殲-15の事前生産も行われることになり、第1ロットは6〜8機前後に違いなく、始動時期は2013年と予測されると考える。総生産周期は3年前後で、2015年までに全部で24機の殲-15が引き渡され、1個飛行連隊、2個飛行中隊が満編成される。同時に、遼寧艦に1個ヘリ中隊が配属され、遼寧艦は最初の作戦能力を形成する。

(2)殲-15の未来の改良型

ソ連解体につれ、ロシアは空母のような非常に高価な武器装備の使用がどうにもならなくなり、スホーイ-33の後続の改良作業はさらに論外で、ロシアの未来の海軍航空隊の技術的蓄積を保証するため、ロシアはインドを引っ張り出し、インドのためにミグ-29Kを生産し、鶏を借りて卵を生ませる目的を達成した。ロシア国防省は未来のロシア空母もミグ-29Kを採用することになると宣言し、スホーイ-33の命運は尽きた。この時からスホーイ-33はユーザーがいないため生産と改良が終わった。だが壊れた古いワリヤーグが中国で生まれ変わったのと同様に、スホーイ-33も中国で生まれ変わることになる。

中国の空母計画は遼寧艦たった1隻だけでは全くなく、中国が空母開発を急ぎすぎるのはよろしくないが、10年周期の空母建造なら実行OKで、こうなれば適した艦載機が必要となり、殲-15の後続の改良が必要となる。スホーイ-33設計の初志は、第3世代制空重艦載機で、ソ連は空母の攻撃機群はミグ-29Kが担当する構想だった。だがこのような設計は空母艦載機の種類を増加させ、保障の難易度を上げることになる。それなら殲-15に対する改良は戦闘機の制空特性を一部保持する他、殲-15の多用途特性も充分体現するものになる。

第1種目の改良型は殲-15S復座練習機であり、これは飛行員の訓練に必須な機種で、先行機種を引き継いで発展させるのにも重要な機種である。ロシアにはスホーイ-33の復座練習機はないので、スホーイ-25を艦載機飛行員の訓練機として使用するしかなかった。

第2種目の改良型は殲-15復座機を基礎に改良した多用途攻撃型艦載機である。攻撃任務の負担は重いので、2人による操作は飛行員の作業強度を非常に大きく軽減できる。優勢と必要性は非常にはっきりしている。

第3種目の改良型は殲-15/殲-15Sを基礎にしたカタパルト発進型殲-15Tである。カタパルト発進の優越性は非常に突出しており、このため中国の新型空母がカタパルト発進方式を使用するにつれ、艦載機に対しても必要な改良を行うことが要求される。

第4種目の改良型は電子戦能力を強化したEJ-15G、中国版グラウラー(頑住吉注:EA-18G)電子戦多用途艦載機である。複雑な電子環境下の作戦能力強化は殲-15の未来の改良における主要な課題であり、第3世代機が第4世代機の脅威に直面する時、依然対制圧能力を有する。

(四)まとめ

中国版艦載機殲-15が、ソ連が研究開発した艦載機の道を行ったのは正しかった。軍事マニアが中国艦載機の発展規律を研究する基本的方法でもあり、現在見たところ一切がスムーズである。当然より多くの軍事マニアは第4世代機の艦への搭載問題に関心を向け、枕陽飛行機の殲-31は1つの参考である。だが、現実一筋の視点は殲-15の発展方式と動向に要注意である。


 インドも使用することになると見られる比較的小型のミグ-29Kと殲-15ではどちらが有利なのかに関してはいろいろな意見がありますが、少なくとも「遼寧艦」よりだいぶ小さい「ヴィックラマディヤ」の場合ミグ-29Kを選ぶしかなかったようです。航続距離や搭載量などの面では大型機に優位性があるんでしょうが。

 「第3世代機が第4世代機の脅威に直面する時、依然対制圧能力を有する。」というのは例のEA-18GがF-22撃墜判定を受けた件を受けてのことでしょうが、これにはいろいろ疑問もあり、しかも中国の電子戦能力はまだ遅れていると考えられるので、それが大幅に向上したらあるいは、ということにしかならないでしょう。













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