日米の中国に対抗する動き

 新たなレーダー配備などについて詳しく論評しています。なおいつもそうですが訳文の中の「日米」、「米日」の並び順は原文通りです。

http://military.china.com/news2/569/20141030/18911667.html


アメリカ、日本に秘密のレーダーを配備し中国のミサイルを制約 位置は故意に覆い隠されている

日米間の一連の中国に照準を合わせた軍事協力は最近新たな高まりを迎えている。間もなく展開される「キーンソード」大規模島奪取演習、第2の対ミサイルレーダーの京都定住、およびアメリカの日本に向けての対ミサイル型「イージス」艦増派、軍事宇宙協力計画はほとんど全て中国に照準を合わせている。ある分析は、こうした計画の実行後、米日の中国のミサイルに対する防御能力はさらに一歩向上し、軍事宇宙協力領域でも全面的展開が達成されることになる、と考える。

中国に照準を合わせ大規模軍事演習を行う

日本の共同通信社の報道によれば、日本の防衛省は11月8〜19日、コードネーム「キーンソード」の日米合同軍事演習を行うと言明した。演習には離島が武力攻撃に遭ったという仮想を含み、両国の合同軍事行動のスムーズさを確保し、かつ島嶼防御能力を強化する。報道は、約3万名の日本の自衛隊員、30隻の艦船、260機の飛行機と1万名の米軍兵士が演習に参加し、鹿児島県奄美大島付近の無人島である江仁屋離島で島奪取訓練を実施する、とする。NHKテレビ局は22日、日本の自衛隊は毎年11月にいつも大規模軍事演習を行う、とした。今年沖縄県知事選挙が11月に行われ、また沖縄県で上陸演習を行うことは中国を刺激する可能性があるため、これにかんがみて自衛隊は今回の軍事演習は沖縄県を避けて行うことを決定した。だが日本の防衛省は、「地点の変更は新たな環境を創造し、自衛隊の軍事対応能力を高めるために過ぎない」と説明している。

またアメリカの「グローバルセキュリティ」ウェブサイトの報道によれば、米日の「利剣」系列演習は1986年から開始され、2年に1度行われ、米日間の最大規模の実兵演習の1つである。この演習は通常隔年の11月から12月に行われる。一般にその年の演習のコードネームは次の年の年号で、例えば「キーンソード-2013」は実際には2012年に行われた。この演習は当初主にソ連に照準を合わせていたが、冷戦終結後地域衝突に照準を合わせ始め、北朝鮮は一度この演習の重点目標となった。ここ何年か、中国の釣魚島に照準を合わせる意味が徐々に高まっている。

ロシアの地縁問題研究所副所長のシフコフは、中日両国間の東海の島嶼の争いを考慮すると、今回の「キーンソード」という名の合同演習は、明らかに中国に照準を合わせた意味がある、と考える。シフコフは次のように言う。「この演習はダブルの重大な特性を持つ。一方においては海空の上陸島奪取に関し合同演習を行い、他方では、もし中国が日本から「島を奪う」ことを企図したら、アメリカには日本が論争ある島嶼を保護する方面において確固たる立場がある、と中国に公示しているのだ。当然、中国は相応の外交照会を発し、自らのこうした島嶼に対して持つ主権を確定させようとするだろう。演習区域には、若干隻の中国艦船が出現し、旗を見せ、かつ軍事偵察を行うかもしれない。」

対ミサイルレーダー京都に定住

虚勢を張る演習に比べ、アメリカ第2の対ミサイルレーダーの日本の京都定住は、中国に対する実際の脅威がより大きいようだ。共同通信社の報道によれば、米軍は21日早朝に対ミサイル早期警戒用「X周波数帯レーダー」を京都府の丹後市の米軍経之岬通信所に運び込む。このレーダーは年内に正式に使用が開始されると見られる。経之岬通信所は近畿地方唯一の米軍基地で、青森県津軽市車力通信所に続く第2のX周波数帯レーダー配備地であるとされる。レーダーの配備に合わせ、日本の国土交通省は11月1日から通信所周辺に飛行制限空域を画定する。制限空域は通信所を中心とし、半径6,000mの半円柱状を呈し、大部分は通信所北側の日本海上空に位置する。

「読売新聞」は、米軍第14ミサイル防御中隊始動式が22日京都で行われたとする。「この部隊の駐屯地は米軍早期警戒レーダー通信基地である。対ミサイルレーダーは21日にすでにこの基地に搬入され、かつ正式に組み立てられ、12月に使用開始されると見られる。」

実際にはレーダーの配備地点は難なく捜し当てられ、それは京都府東北部の海辺に位置し、google地図上ではここはほとんどあらゆる建築物がモザイクで隠されている。

ロシアのタス通信社の評論は、このシステムの配備はまず北朝鮮のミサイル計画に対応するものだったが、それは同様に中国やロシアに対して用いることができる、とする。ある中国の専門家は、レーダーは京都地域に配備され本州島中部に位置し、日本海に近く、この角度から見て日常戦備当番は明らかに対北朝鮮に照準を合わせている、と考える。説明によれば、AN/TPY-2は主に目標探知計測と追跡、脅威の分類、弾道ミサイルの落下点の見積もりを担当し、かつリアルタイムで迎撃ミサイルの飛行を誘導し、迎撃後の損傷効果を評価する。それはアンテナ、電力システム、冷却システム、メイン動力システムという4つの部分からなり、レーダーアンテナの面積は9.2平方m、発射/受信ユニットの数は25,334個である。アメリカ国家科学院のレポートは、このレーダーの有効探知計測距離は1,500kmであると指摘するが、目標の具体的なレーダー反射断面積を挙げてはいない。国外の専門家は、この指標は過大評価されており、ミサイルの弾頭に対する探知計測距離は1,000kmに達しないだろう、と考える。

(頑住吉注:これより2ページ目)

だがどうであろうと、AN/TPY-2レーダーの探知計測範囲は北朝鮮全体を完全にカバーでき、北朝鮮のミサイルが100kmの高度まで飛んでもレーダーによって追跡され得る。大多数の弾道ミサイル早期警戒レーダーとは異なり、AN/TPY-2は機動性が非常に強いレーダーで、レーダー車の重量はS-400の照射制御誘導レーダーにさえ及ばない。自ら戦術機動が実施できる他、さらにC-17あるいはC-5輸送機によって空輸でき、非常に素早く南部の中国と対面する基地まで機動することができる。ここでこのレーダーは理論的に中国東北、華北、東南の沿海のミサイル発射を探知計測できる。当然このレーダーの120度という探知計測角度の制限を受け、しかもレーダーは機械的回転によるスキャンが行えず、単一のレーダーでは中国大陸を同時にカバーすることはできないが、2基のレーダーが同時に中国に照準を合わせて配備されれば、中国東部の100kmの高度以上の大部分の空域をカバーすることになり、これは第2のTPY-2レーダーが日本に定住する重要な意義でもある。

実際にはAN/TPY-2の本業は決して単独のミサイル早期警戒レーダーではなく、本来は「THAAD」対ミサイルシステムに正確な火力コントロール情報を提供するためのものである。アメリカが「THAAD」システムのミサイル部分を一緒に配備しない理由は、主に「THAAD」の価格が非常に高いことにある。

ロシア社会政治研究センターの主任イェフシェイェフは、アラスカから日本、韓国、台湾を経てオーストラリアまで、ペンタゴンは「対ミサイルの弧」を作り出しつつあり、その目的は中国を制約することにある、と考える。中国外交部スポークスマン華春瑩は定例記者会見で次のように語った。「個別の国家がアジア太平洋地域ミサイル防衛配備を推進し、一方的な安全を図ることは、地域の戦略的安定と相互信頼に不利であり、東北アジアの平和と安定に不利である。」 彼女は、関係国は口実を利用して「他国の安全、利益に損害を与えること」をすべきでない、とした。

2層の対ミサイル網を完備

陸上対ミサイルレーダーを積極的に配備するのと同時に、アメリカはさらに2隻の対ミサイル能力を持つ「イージス」駆逐艦を派遣して日本に配備し、もってその陸海融合の2層の対ミサイル能力を高める、と言明した。アメリカのAP通信社は22日、この2隻の「イージス」艦は「ベンフォールド」号と「ミリアス」号で、満載排水量はいずれも8,950トンであり、将来日本の横須賀の「前線配備海軍部隊」の一部となる、とした。

アメリカ海軍は、この2隻の駆逐艦は基地変更の前にあらゆる中期近代化グレードアップを完成させることになる、とする。それらは最新の「イージス」ベースライン9作戦システムを配備することになり、このシステムは最も先進的な防空、弾道ミサイル防御、水上水中作戦能力を持つ。その他のグレードアップには完全集成艦橋、ダメージコントロール台の装備、機械装置の改良および高級厨房や商用オフザシェルフ計算設備の配備が含まれる。

アメリカ海軍は、「イージス」作戦システムの一部分として、それぞれの艦艇はMK-41垂直発射システムを装備して多くの機種の制御誘導ミサイルを発射し、かつ航空機、巡航ミサイル、弾道ミサイル、水上艦艇、潜水艦、地上目標に対し防御と進攻作戦行動を展開する能力を持つ、とする。この2隻の艦艇の派遣と海軍第7艦隊前線作戦力量の強化の他、アメリカ海軍はさらに2016年初めにさらに日本に向け1隻の「イージス」駆逐艦を派遣する計画である。

駐日米軍公式ウェブサイトの資料によれば、現在駐日米軍の水上艦艇は主に2隻のタイコンデロガ級「イージス」巡洋艦、7隻のアーレイ・バーク級「イージス」駆逐艦を含み、このうち5隻は弾道ミサイル防御能力を持ち、弾道ミサイルに対し中段迎撃が実施できる。このことから、2隻の「弾道ミサイル防御型イージス」艦が増加すれば、その艦隊対ミサイル能力は4割向上することが見て取れる。アメリカ海軍は、この挙は北朝鮮のミサイルに対する防御能力を強化するためであるとしているが、分析は完備された2層の対ミサイルシステムの構築は、中国に照準を合わせる意図がより顕著である、と考える。

また、最新型「イージス」艦の加入は、配備されたばかりのAN/TPY-2レーダーの機能を大幅に高め、「THAAD」迎撃ミサイルが暫時日本本土に配備できない苦境を解決することになり、日本の2層の対ミサイル体系作戦機能のさらなる一歩の向上に有利である。

宇宙偵察協力の強化

対ミサイル配備の大きな力を入れての強化の他、米日はさらに宇宙偵察領域の協力を強化し、もって「中国の対衛星攻撃に対抗」する計画である。「朝日新聞」22日の報道によれば、日米は宇宙監視協力強化の内容を今年年末に改訂が完成する「日米防衛協力指針」の中に含めることを確定した。このことは日本の宇宙研究開発機構と米軍の間の真の情報共有を実現させることになる。「朝日新聞」はさらに、中国の衛星攻撃能力は不断に向上しているので、日米は宇宙空間の安全保障がどんどん大きな脅威に直面していると意識するに至り、宇宙監視協力の強化を決定した、とする。

実際、10月8日に発表された「日米防衛協力指針」改訂作業中期報告の中では早くもすでに、日米は「宇宙領域」の協力を強化すると強調されていた。これまで米日には宇宙領域、特に宇宙情報偵察領域に協力が存在したが、全体的にはアメリカが独断専行で、日本の宇宙に関する実力は隔たりが大きすぎ、双方は不平等な役割にある。

「平等協力」の基礎を固めるため、日本は新たな対地観測衛星網を作り出しつつある、。「日本経済新聞」は今月のやや早い時期、日本政府は来年から高精度情報収集衛星の開発作業を展開することになり、2021年には、地上を行く自動車の種類が識別でき、画像の分析度が25cm以内の正確さにまで到達するこの新型衛星の発射を計画している、とした。またさらに大容量の画像データを有効に送る中継衛星の開発を展開し、かつ2019年の発射を計画している。この挙の主旨は独立した監視能力を強化し、もって「不断に核兵器およびミサイルの開発を推進する北朝鮮と海洋進出を加速させる中国」に対応することにある、とされる。現在日本は全部で4つの情報収集衛星基地局を持ち、これには2つの電波観測のレーダーによって成像できる衛星基地局と2つの晴天時に使用する光学基地局が含まれる。レーダー衛星の画像識別精度は約1mで、光学衛星は約60cmである。現在日本は精度50cm以内の人工衛星を開発しつつあり、来年これと同時に行われる新型衛星の識別精度はさらに一歩向上することが有望である。

ある分析は、今回発表された衛星計画は高精度情報収集衛星や中継衛星などの類型を包括し、それらはいずれも1つの目的をめぐってのものであり、それは日本の対地観測能力の向上に他ならない、と考える。計画が研究開発する識別率25cmの光学偵察衛星はアメリカの光学偵察衛星の性能に肉薄する。中継衛星も偵察衛星のために画像転送の問題を解決する。

分析は、日本の光学偵察衛星の発展は、日米宇宙協力の中で日本の発言権を高める助けになり、日本の宇宙計画が「少しの金を費やして多くのことをなす」ことをも助けられる、と指摘する。これは日本のアメリカとの宇宙協力のための1つの分銅を増やすだろう(頑住吉注:日米のバランスの天秤を日本側に傾ける力、というような意味ですね)。アメリカは日本の廉価な衛星を利用して中国、北朝鮮の挙動を偵察でき、一方日本はアメリカの成熟した技術の助けを借りてミサイル早期警戒、電子偵察などの衛星を開発し、その衛星の種類を完備させ、研究開発のリスクとコストを下げ、同時にアメリカの衛星情報利用方面でより高い権限が獲得できる。


 金がない中で増大し続ける脅威に対抗しなければならないんだから大変ですけど、可能な範囲のことは進めていると思っていいんでしょうかね。














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