ジャイロジェットピストル左側面

スライドオープン

 実銃のジャイロジェットピストルは、アメリカのMBAというメーカーが1960年代の初めに作ったロケット弾を発射するユニークなハンドガンだ。反動、発射音がほとんどない未来のハンドガンとして注目され、映画「OO7は2度死ぬ」にも登場した。本体はダイキャストのモナカ構造で、マガジンは着脱できない固定式だ。普通のオートピストルと似て見えるスライドは下からスプリングで押されるロケット弾の単なるフタであり、発射時には動かない。ハンマーはロケット弾の前方にあり、トリガーを引くと後方に倒れて弾頭を叩く。すると後方の固定撃針に底部の雷管が当たって発火、噴射が始まる。ロケット弾はハンマーを押しのけることでコックしながら発射される。複数の噴射口は斜めになっていて、ロケット弾は自転しながら飛行し、弾道が安定する。一番上のロケット弾が飛んでしまうと次のロケット弾が下から押し上げられて次の発射が可能になる。このように外観は普通のオートピストルに似ているが、構造やシステムはまったく異なっていた。
 一時は注目を集めたジャイロジェットピストルだったが、弾薬が高価、命中精度が低い、至近距離では加速が不充分で威力が低いなどの問題があり、短期間で消えていった。これらは無誘導のロケット弾には宿命的なもので、これ以来ロケットハンドガンが開発されたという情報はない。ちなみにアームズマガジン誌デスクの毛野ブースカ氏がアメリカでジャイロジェットピストルの実物がショーで売られているのを見たそうだ。生産中止になってから長い年月が経ち、有名な珍銃だけにプレミアがついて何千ドルにもなっているかと思って値段を聞いてみると「たしか700ドルくらいだった」という答え。これでは一流のフルサイズオートを新品で買うのとかわらない。ちょっとがっかりだ。でももちろん国内で入手しようと思ったら頑住吉のキットしかない。

 キットはマルシンのシンプルガスガン、PPKのガスタンクのみ流用する。BB弾ではなくプラキャスト製の実物大ロケット弾を単発で発射する。連発できないことを除き実銃とほとんど同じ操作ができる。

当時の価格:キット10,000円 完成品:22,000円


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