中国海警の武器使用関連2題

 注目を集めている中国海警はどの程度の武装をしているのか、武器使用はどこまで認められるのかに関する記事を2つまとめて紹介します。

http://military.china.com/news/568/20130727/17968176.html


専門家:中国海警は機関銃、機関砲を配備 不法船舶に対する刑事法執行が可能

人民ネット7月26日の情報 24日午前、中国の最近成立した海警局の4隻の海警船が釣魚島周辺海域を巡航した。軍事専門家李莉は中央テレビの「今日の関心」コーナーのインタビューを受けた時、海警局の法執行力量は機関銃、機関砲を配備し、我が国の管轄海域内の非合法船舶の非合法の行為に対し拿捕、拘留ができる、とした。

日本メディアの報道によれば、今月17日以後、すでに連続8日、釣魚島付近の海域に中国当局の船舶が発見されている。日本の官房長官菅義偉は、日本サイドは「警戒監視」を継続して実施していくことになる、とした。

「中国版の『沿岸警備隊』が正式に誕生した。この日を多くの人が期待して久しかった。」 李莉は、長期にわたり我が国の海上法執行力量は分散し、行政法執行がより多く、警備力量が欠けており、武器を配備せず、相手方の強硬な法執行に遭遇した時劣勢を呈した、とする。

現在、我が国は大きな力を入れた整合により、海監、漁政、海上警察、密輸取り締まりという4つの法執行力量を一体に合併させ、「拳」を形成し、しかも法執行船舶に目立つ新たな塗装を使用している。このことは将来の我が国の関連海域における権利維持に対する意義が重大である。李莉は、海警局の法執行力量は機関銃、機関砲などの武器を配備し、管轄区域内の非合法船舶の非合法行為に対し刑事法執行を行使する権利がある、と指摘する。過去我が国の海上法執行は不法に進入した船舶に対し証拠取得、追い払い、説得の方式しか取れなかったが、現在では拘留、拿捕などの措置が実施でき、このことは海警力量の海洋権益防衛に対し極めて重要で、非常に大きな突破である。(張潔嫺)


 小火器程度かなと思ったんですが機関砲も装備しているということで、また理屈上は尖閣周辺の海上保安庁の船舶を拿捕しようとする可能性もあるわけです。

http://military.china.com/important/11132797/20130725/17964109.html


中国海警が巡航法執行で「武力使用」できるのか否かには論争が存在する

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「日本が釣魚島の接続水域で撮影した中国海警船」)

海警局の看板は掲げられた。これとセットになる法律が追いつくことが必須

劉丹

7月22日に中国海警局の看板が掲げられ成立したことは世論の関心を引き起こした。実は国家海洋局の再編の前、まず立法を完備させるか、それともまず機構を整合させるかが一度論争の焦点となった。2013年の国務院の「大部制」(頑住吉注:大部門体制の略)改革方案は伝統的な漁政、海監およびその他の海上法執行力量を整合させ、かつ海警局の名義をもって巡航法執行を行わせるというものである。国内外の学会、軍事界、政界は我が国の巡航法執行力量の整合に対する評価の中で、浅い層ではこれは「行政資源の統一的計画配案、配置、運用に有利となり、法執行機能と奉仕のレベルを上げる」と考え、深層ではさらに「漁民、海警、海軍という海上の3段階の防衛体系を形成」し、さらに「国家間の摩擦の緩衝効果」を持つ可能性がある、と考える(頑住吉注:いきなり海軍が矢面に立って衝突するよりは、ということですね)。各界は海警局の巡航法執行に対し比較的高い期待感を持っている。筆者は、海上巡航法執行部門として、中国海警局は依然多くの法的問題と現実的挑戦に直面している、と考える。

一、中国海警局の職権的位置付けがなお不明確で、法執行隊伍の整合方案がより細かく明確化されることが待たれる。それぞれの海洋国家海上巡航法執行隊伍の位置付けは往々にして、平和な時期に海洋をコントロールし、かつ軍事力量が登場する前の緩衝に充当される、というものである。国務院改革方案は、「国家海洋局は対外的に中国海警の名義をもって法を執行し、公安部の業務指導を受ける」としているだけであり、中国海警局の職権のさらなる一歩の明確化が待たれる。一方中国海警局が今後いかにして海監、漁政、国境警備海上警察、海上密輸取り締まり警察という4つの隊伍を整合させるかも細かく明らかにすることが待たれる。

二、海洋権利維持法執行の刑事的管轄権の法律的明確化が待たれる。「国連海洋法条約」によれば、沿海の国は内海と領海において属地管轄権を享有し、排他的経済水域と大陸棚では職能的管轄権を持ち、接続水域では特定の事項に対する管轄権を享有する。我が国の国内法によれば、国家海洋局には刑事的法執行権はなく、中国漁政にも行政的法執行権しかなく、一方税関密輸取り締まり警察と公安部国境警備海上警察にはいずれも刑事法執行権がある。法的根拠が欠けているため、漁業行政法執行の実践は往々にして、我が国の海域に進入して不法に作業する外国漁民に対し罰金あるいは作業道具の没収などの行政罰で事を済ますことが多用される。我が国が外国漁民を逮捕し、漁船を拿捕し、甚だしきに至っては司法部門に引き渡して処理する案例には先例が少ない。多くの実践の中での具体的問題と実施細則は「海洋基本法」の中に長期に渡り欠けている。今後海警局が刑事法執行権を持つのか否かは、まだ法的な明確化が必要とされる。

三、巡航法執行を行う海域と範囲に現実的に困った状況が存在する。我が国は黄海、東海、南海にいずれも程度の異なる海洋をめぐる争いが存在するため、海洋の境界の衝突が深刻である。南海を例にすると、かつてある海洋法学者は、「中国は南海の周辺国と南沙諸島をめぐる領土争いを解決した後でしか南海海域の境界画定問題を日程に上げることはできない」と予測した。我が国が黄海、東海、南海海域全てに周辺国との海洋の境界画定をめぐる紛糾が存在することにかんがみれば、海警局の巡航法執行の「境界」をめぐる「困惑」は依然長期的に存在することになる。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは本文の一部の要約なので省略します。)

四、中国海警の巡航法執行に「武力使用」ができるのか否かには論争が存在する。2009年の「新星号」事件(頑住吉注:同名の船がロシアの領海を侵犯し、警告に無反応だったためロシアの警備船に発砲されて沈没)、2013年5月のフィリピンによる台湾の「広大興28号」漁船員に対する射撃事件は、いずれも海上法執行過程での武力使用に関わって引き起こされた外交および法律的紛糾である。内陸でなく海域での法執行は国際法の調整を受ける。海上法執行の中で武力使用できる状況には2種類がある。1つは自衛目的から武力を使用して反撃するもの。2つ目は法執行が妨害に遭遇し、武力を使用して排除を行うもの。多くの国際司法機構の判例は、海上巡航法執行過程では「できる限り武力使用を避けよ」としており、これは武力の使用は例外でしかあり得ず、法執行の中での常態ではない、ということを意味している。実践の中で、海上巡航法執行人員は、どんな国内の法律法規の授権があり、いつどんな種類と程度の武力を使用するか考慮する以外に、さらに一歩国際法が境界を定める条件を根拠に、武力行使が実施可であるか否か、および適用の程度を考察する必要がある。

五、外国の軍事および準軍事活動に焦点を合わせた海洋権利維持の問題。「Impeccable」号に代表されるアメリカの軍事測量船の南海、黄海、東海の排他的経済水域における軍事測量活動はかつて何度か我が国の漁政船による迎撃を受けている。これらの測量船は海軍の補助船に属し、海底地形、水文、水中音響、深海の海流等の情報の収集に用いられ、表面的に見れば武器装備はなく、塗装は軍艦らしくなく、船員の多くは文民で、軍事船舶であるのか否かの境界が模糊としている。「国連海洋法条約」は外国の排他的経済水域において軍事活動に従事する権利があるのか否かに関し簡潔すぎてよく分からず、このことは外国の軍事および準軍事活動に対する我が国の海洋権利維持に難度をもたらしている。この種の海洋権利維持問題は我々に、海洋の実力と発言権の国際海洋法規を作り出すことに対する重要性を再認識させる(頑住吉注:要するにアメリカには力があるから自分たちの都合のいいルールを作っており、我々も負けないくらい力をつけて中国に有利なルール作りをすべきだ、ということですね)。

中国海警局の巡航法執行が直面する突出した法的問題に対し、筆者は次のように提案する。まずできる限り早く海洋戦略を制定し、「海洋基本法」など海に関わる法律法規の立法、改正作業を推進し、中国海警局の職権的位置付けを明確化し、徐々に巡航法執行の管轄権と範囲などの問題を解決する。特にできる限り早く我が国の海上法執行専門の法律、規則を制定する。次に、目的性を持って巡航法執行における武力使用の細則を研究し制定すべきである。武力使用が引き起こす突発事件の予測と処理のため、実務部門と学会はさらに海上法執行の国際司法判例に対応し、各国の巡航法執行をめぐる紛糾の典型的案例に対し細緻な研究を行う。最後に、外国の軍事測量船舶の我が排他的経済水域における測量、偵察、騒擾活動に対し、我が国は国際法の道理を根拠に外交的抗議を提出し、国際的な場で非難を行う。軍事的対応の上では早期警戒と監視を強化し、異常を発見したら遅れず艦艇、飛行機を派遣して近距離での追跡、監視を行ってそれに対する圧力をかけ、必要な時は適当な対抗策を取るべきである。今後条件が成熟した時には、中国が適当に相手方の水域に行って対等の偵察を行うことも妨げられない。(筆者は上海外国経済貿易大学準教授)

(頑住吉注:以後のページのキャプションは本文の一部を切り取ったものか要約したものなので省略します。)


 法的裏付けが不充分で武力使用できるか否かに論争がある組織に機関砲を持たせるというのはやはり先進国ではないんだなと感じざるを得ません。法的な整備がないと現場の人間が勝手な解釈で行動する恐れがあり、危険極まりないです。











戻るボタン