艦対空ミサイルで対艦攻撃?

 意外に感じましたが特に珍しいことではないそうで。

http://military.china.com/important/11132797/20160325/22300178.html


海上の鷹撃:中国海軍は何故艦対空ミサイルを用いて水上目標を打撃しようとするのか

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「中国海軍沈陽号ミサイル駆逐艦」)

最近、ネット上に中国海軍沈陽艦がRIF-M艦対空ミサイルを利用して水上目標を打撃するとの報道が出現し、これは中国海軍初のこのミサイルを用いての水上目標打撃であり、中国海軍の水上艦艇打撃にまた1種類の手段が増えたことを示している。

この前のある情報は、アメリカ海軍もスタンダード-6艦対空ミサイルを用いて水上目標を打撃しているとした。このため多くの人はこの2つの情報の対比を行うことになる。いずれも艦対空ミサイルを用いての水上目標の打撃であるが、中米両国の海軍には本質的差異があり、中国海軍は全てが揃った対艦ミサイル体系を持ち、艦対空ミサイルの水上目標打撃は単に1つ手段を多く提供するに過ぎず、一方アメリカ海軍の対艦ミサイルの系列は相対的に不足し、スタンダード-6を持ち出して応急策とするしかないのである。

艦対空ミサイルの水上目標打撃は新鮮なことではなく、実際現代の艦対空ミサイルは基本的に全て水上目標打撃の能力を持っており、1960年代にアメリカ海軍はもうTalos艦対空ミサイルを用いて水上目標打撃試験を行ったことがあり、1980年代にはペルシャ湾でアメリカ海軍はスタンダード艦対空ミサイルを用いてイランのミサイル快速艇を攻撃した。さらにはNATOの演習の中で、アメリカ海軍空母がシースパローミサイルを用いてトルコの軍艦を攻撃した例さえ出現した。最近の1つの戦例は、ロシア・グルジアの戦いの中で、ロシア艦艇の艦対空ミサイルがグルジアのミサイル快速艇を打撃したというものである。

(頑住吉注:これより2ページ目。ここにある1枚目の画像のキャプションです。「アメリカ海軍巡洋艦はかつてペルシャ湾でスタンダードミサイルを用いてイランのミサイル快速艇を攻撃した」 続いて2枚目。「5発のスタンダードミサイルはいずれもイラン海軍のこのようなミサイル快速艇を撃沈しなかった」 「ミサイル快速艇」といって想像するものよりは大きなサイズっぽいですが。)

これまでの戦例から見て艦対空ミサイルの水上目標打撃の比較的大きな問題は威力が比較的小さいことで、当時アメリカ海軍はスタンダードミサイルを用いてイランのミサイル快速艇を打撃したが、5発中5発全て命中しても撃沈できず、最後にはさらにオート・メラーラ76mm砲を用いて追い討ちし、やっと問題を解決した。ロシアは艦対空ミサイルを用いてグルジア軍ミサイル快速艇を打撃したが、やはり目標に命中したものの、相手方は依然戦場から撤退できた。このため各国の海軍は迫られて止むを得ない場合を除き、一般に決して艦対空ミサイルを使用して水上目標を打撃しない。実際上述のいくつかの戦例の大部分は、対艦ミサイルが使用できない場合だからこぞ艦対空ミサイルを用いての目標打撃を採用したのである。このことは、艦対空ミサイルの水上目標打撃が比較的大きな局限性を持っていることをも説明している。

ならば中国海軍は何故それでも艦対空ミサイルの水上目標打撃能力を発展させようとするのだろうか? その原因はやはり中国海軍の相手方小型水上目標打撃能力を高めることかもしれない。現在見たところ、艦対空ミサイルの水上目標打撃は多くが相手方の小型快速艇が本艦を攻撃して発生している。小型快速艇は複雑な地形および海岸環境の援護の下で、大型艦艇の探知計測システムをかわし、それが目標を発見した時には、往々にしてすでに対艦ミサイルや艦砲の使用は間に合わなくなっている。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「中国海軍は遠洋に向かい、より複雑な環境に直面する必要があるかもしれない」です。)

中国海軍に関しては、現在すでに近海防衛作戦から遠海機動作戦に向けてモデルチェンジしていると言え、中国海軍水上艦艇艦隊は相手方の近海まで接近して作戦任務を執行する可能性がある。例えば東南の沿海で国家統一作戦任務を執行する(頑住吉注:台湾攻略)、南海で国の海洋権益を維持保護する作戦任務を執行すれば、いずれもこのような情況に遭遇するだろう。周辺国や地域の海軍の発展情況から見て、全て大きな力を入れてミサイル快速艇を発展させ(頑住吉注:日本はしてませんね)、より先進的な対艦ミサイルを配備し、甚だしきに至っては超音速対艦ミサイルもあり、このため沿海の複雑な環境を援護とし、ミサイル快速艇を利用して多ルート突撃を行う。これは中国海軍がしばしば直面する問題となるかもしれない。このため中国海軍にとって、小型水上艦艇の打撃能力を発展させる必要があると言える。

(頑住吉注:これより2ページ目。ここにある1枚目の画像のキャプションです。「ミサイル快速艇は周辺の国や地域が重点的に発展させる武器装備である」 続いて2枚目。「複雑な環境の援護の下、ステルスミサイル艇+超音速対艦ミサイルには比較的大きな脅威がある」)

実際中国海軍はすでにこうした方面の作業に着手しており、最も代表性を持つのは直ー9D対艦ヘリの研究開発と装備で、それはTL-7小型空対艦ミサイルを配備し、メインは相手方の小型水上目標の打撃である(頑住吉注:直ー9は比較的小型のヘリなんでまあ大型の艦の攻撃には使い難いでしょう)。将来直ー20艦載ヘリもこのような武器を配備する可能性がある。だが対艦ヘリは発進、目標探知計測から攻撃までに一定の時間を必要とすることを考慮すると、目標に対し素早く反応するのに不利であり、このため艦対空ミサイルを利用して小型目標を打撃することも中国海軍の1つの選択なのである。

(頑住吉注:これより5ページ目。画像のキャプションは「中国海軍が装備する直ー9D対艦ヘリ。小さい画像はフル搭載状態。主に相手方の小型水上艦艇を打撃する」です。)

関連の資料によれば、RIF-M艦対空ミサイルはTVM制御誘導を採用し、このためミサイルは受信した電波を搭載艦に送って処理を行う必要があり、レーダー視距離内の水上目標しか打撃できず、このためその作戦能力を制限している。一方国産の紅旗-9艦対空ミサイルは末端段階アクティブレーダー制御誘導方式を採用し、このようだと外部における目標探知計測と目標指示システムのコンビネーションの下、水平線を飛び越えてのレーダー視距離外水上目標打撃ができ、したがって迎撃ラインを外側に推進し、艦隊の小型水上目標に対する防御能力を高める。このため中国海軍は対艦ミサイル、ヘリ搭載対艦ミサイル、艦対空ミサイルを含む多重の水上打撃体系を形成し、もって艦隊の制海能力を高めると推測することができる。

(頑住吉注:これより6ページ目。画像のキャプションは「RIF-Mは超視距離打撃能力を持たず、この点は海紅旗-9艦対空ミサイルと比較できない」です。)

このためこのニュースは実際上、中国海軍がすでに遠洋作戦が直面する複雑な環境と多様な脅威を重視し始めていることを反映しており、実際祖国大陸を遠く離れた環境で作戦任務を執行するには、中国海軍が現有の武器の多種の任務を執行する能力をより重視する必要があるのかもしれない。例えば艦対空ミサイルは単に対空防御を行うだけでなく、水上目標を打撃し、さらに地上目標を打撃し、艦隊のために素早く相手方の海岸縦深目標を打撃する能力を提供する必要があるかもしれない。このようにしてこそより良く作戦任務が執行できる。


 撃沈できなくても攻撃続行を物理的にできなくさせるか撤退やむなしと判断させることができれば目的は達成されるわけですからね。しかし三次元の高速機動目標を想定して作られた対空ミサイルを艦艇の中では高速とは言え飛行機とは比較にならないほど遅く二次元の機動しかしないミサイル艇に対し使用するのはコストパフォーマンス的には良くないでしょうね






















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