韓国国内におけるTHAAD反対論の根拠とは

 韓国議会選挙の結果が出る前の記述なんでちょっと古くなっちゃいましたがこの問題を理解する参考になる内容です。

http://military.china.com/important/11132797/20160413/22425837.html


韓国民衆、THAADの配備で中国を怒らせることを恐れる 朴槿恵、正しくない情報を聞いて信じることを恐れる

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「韓国民衆、THAADミサイルシステムの配備に抗議」 なおこの記事のキャプションは3ページ目までこれと同じです。)

「国際先駆導報」の文章 今年年初に北朝鮮が第4回核実験を行った後、韓国大統領朴槿恵は1月13日記者会見で、国家の安全と利益の考慮から出て、韓国政府は末端段階高空区域防御システム(THAAD)導入の件に関し研究することになるとし、初めて正式にTHAADミサイル防衛システムを朝鮮半島に配備する可能性を提示した。これに対し、中国サイドの態度はきっぱりとしており、不断にTHAAD配備反対の立場を重ねて言明している。

事実、韓国国内にもTHAADシステムを配備するか否かに対し、少なからぬ論争と反対の声がある。韓国国内のTHAAD問題をめぐる主要な反対の視点は4種に分けることができる。すなわち、THAADの機能に対する論争、THAADの北朝鮮に対する威嚇能力に対する論争、THAADが引き起こす電磁波の論争、THAADと中韓関係に対する論争である。

THAADの反対者には主に4種の依拠がある

まず、THAADの機能について言えば、アメリカ国防省およびTHAADを製造するロッキード・マーティン社は、THAADは2005年以後行った14回の対ミサイル試験で100%の成功率を達成した、と主張する。だがTHAADに反対する韓国の学者あるいはこの意見の領袖は、THAADのミサイル迎撃率は実戦の中でまだ検証されたことがなく、しかもロッキード・マーティン社が主張する試験内容も決して信頼できない、と考える。例えば、ロッキード・マーティン社は2012年10月に発表した試験報告の中で、彼らが初めて成功裏に中距離ミサイルを迎撃したと言っている。しかし後に、この試験は決して「地対地」ミサイルを迎撃する試験ではなく、飛行機が発射した「空対地」ミサイルに照準を合わせた迎撃試験だったことが分かった。このため反対者は、THAADの性能は現在までまだ充分な検証が得られておらず、全面的な実戦配置のためには依然少なからぬ時間を必要とし、このため現在までのところTHAADは韓国にとっては単なる無用のものに過ぎないと考える。

次に、THAADの北朝鮮に対する威嚇力に限りがあることが韓国国内のTHAAD反対者の核心的な根拠である。THAADの防御の上での実効性は、北朝鮮が高角度をもって空に向け発射するノドンミサイルを前提として建立されたものである。だが反対者は、北朝鮮はすでに「スカッド」ミサイルを含む無数の短距離ミサイルを持っており、このような状況下では「スカッド」を発射せず、高角度をもって空に向け発射する価格が高く、数が少なく、正確度が相対的に低い「ノドン」ミサイルで相互の間隔が遠くないソウル地域を攻撃することには全く道理がない、と考える。

(頑住吉注:これより2ページ目)

また、地理的特性から見て、韓国と北朝鮮は隣同士で、かつ防御の縦深が極めて短く、北朝鮮が発射するミサイルは3〜5分間以内に韓国領土に到達し、このように短い時間内に、正確にTHAADが必要とする「発射-探知計測-追跡-目標確認-迎撃」という全過程を達成するのは、実際上極めて困難である。

THAADが引き起こす電磁波汚染問題は、韓国国内のTHAAD配備に反対するまた1つの原因である。反対者の主張によれば、2012年4月16日にアメリカ陸軍が起草したあるレポートには、AN-TPY2(THAADのレーダー)に関する詳細な内容が含まれている。レポートによれば、レーダー地域前方130度、5,500mの地域が「出入り禁止区域」に指定され、かつ「作戦中無線の周波数、出力はアンテナ上と付近において脅威となる水準に達するだろう」、「無線周波数の電磁波は深刻な火傷と内部損傷を引き起こすだろう」とされている。AN-TPY2レーダーの発する電磁波が環境の安全に脅威を及ぼすだろうこと、しかも韓国領土内には実際上この装備を配備できる地域がないことにかんがみ、このため一部の韓国人、とくに環境保護関係者がTHAADに対し強烈な反対を表明している。

最後に、THAADが中朝関係に対しネガティブな影響をもたらすだろうことも、反対の声の1つの重要な原因である。周知のように、THAADの運用範囲は一部中国の領土をカバーし、中国サイドはすでにこれに対し明確に断固反対の立場を表明している。このためTHAADの反対者は、中国は韓国の重最要の戦略パートナー国であり、このように密接な関係がある国に非常に大きな威嚇をもたらし、性能が不明のTHAADを配備するのはメリットよりデメリットが大きい、と主張する。しかも、中国は将来朝鮮半島統一に対し非常に大きな影響力を発揮し得る国であり、もし「友好な中韓関係を保持」と「THAADがもたらす可能性がある北朝鮮に対する防御力」という両者の間で選択するならば、韓国サイドはより後者を捨て前者を取るに値する。

(頑住吉注:これより3ページ目)

THAADを配備するか否かには、朴槿恵個人の判断が非常に重要である

ならば、反対の声は韓国がTHAADを配備するか否かの決策過程に影響し得るのか否か?

4月13日、韓国は国会議員選挙を行う。選挙前、いかなる国会議員候補者もTHAADのようなデリケートな問題に言及したがらない。だがもし選挙の結果の中で、THAADの配備を支持する韓国新国家党が過半数以上の議席数を占めたら、上述の反対の声は韓国のTHAAD配備に対する決策には影響し難い。逆に、韓国の三大野党、すなわち共同民主党、国民の党、正義の党はいずれもTHAAD配備に反対しており、このため彼らが過半数の議席を占めた時、反対の声が韓国の決策に影響する可能性は高まるだろう。

もう1つの考慮を必要とする要素は、THAADを配備する地域の問題である。もしTHAADが韓国に配備されたら、配備されるだろう地域は駐韓米軍基地がある大邱市あるいは平澤市の可能性が高い。だが最近この両地域内にはいずれもすでにTHAADの現地配備に反対する声が出現している。言い換えれば、現地の論争の焦点は、THAAD配備が必要か否かではなく、どこに配備するかの問題であるかもしれないが、THAAD問題をめぐる論争はよりヒートアップし、反対の声が影響力を発揮する余地も拡大するだろう。

(頑住吉注:これより4ページ目。画像のキャプションは「THAADミサイルシステム」です。)

また、朴槿恵大統領の意志も非常に重要な要素である。韓国の決策構造の下では、朴槿恵大統領のTHAAD配備に対する判断が決定的作用を果たすだろう。特に北朝鮮が第4回核実験を行って以後、青瓦台は対北朝鮮政策方面でより大きな影響を発揮している。だが問題は、朴槿恵大統領に上述のTHAADに反対する意見を聞き取る機会が非常に少ないことである。彼女に外交関係の諮問を提供する人々の大部分は親米傾向の人物で、しかも周辺の国会議員は全てTHAAD配備を支持する韓国新国家党の党員である。このため、国内のTHAADに反対する声は選挙を通じて議会の決策に影響する可能性があるが、朴槿恵大統領のTHAADに対する態度を直接的に改変する可能性は事実上高くない。

言い換えれば、韓国のTHAADに対する政策は選挙により体現される国内世論によって決定されるだけでなく、かつ朴槿恵大統領個人の判断もはなはだ重要なのである。指導者の外交政策に対する判断では、鮮明かつ具体的な一次情報は抽象的理論の性質の材料に比べ通常より大きな作用を果たし、首脳会談は指導者が個人の接触により一次情報を入手する重要な機会である。このため、中米指導者の会見あるいは首脳会談は、韓国大統領の立場に対し重大な影響を生じさせることになるだろう。言い換えれば、中米韓三国間のTHAADをめぐる矛盾を解決するためには、忌憚のない相互の意志疎通が必要不可欠である。中米韓三国ができるだけ早くこの機会を探し出し、理知的にこの危機を克服することを希望する。


 与党だけがTHAAD配備賛成で、主要な野党が揃って反対とは知りませんでした。結果として与党は大敗しており、アメリカの高官が影響はないと発言したとの記事をコラムで紹介しましたが、これではたとえTHAADの選挙の争点としての比重が小さかったにしても大きく影響することは避けられないでしょう。本筋と関係ありませんけどこれ読んで中国人は対立する野党がそもそも存在せず、本国の「決策過程」に直接影響を及ぼす手段が全くない自分たちの立場に疑問を感じないもんなんですかね。














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