日野式拳銃製作記

これは日野式拳銃の製作情況をリアルタイムでお知らせしたものです。なお、他のページと重複する画像は削除しました。


 日野式拳銃はブローフォワード、オープンバレルファイアという作動システムを持つ世界的にも有名な珍銃で、過去に無可動モデル、リアルなモデルガンとして再現されたことがあります。頑住吉が作るのは従来とは全く違う形式のモデルです。構造はまったくのオリジナルでリアリティは低いですが、

@バレルが前進位置にあり、リコイルスプリングで後退するテンションがかけられているが、トリガーによって直接止められている。
Aトリガーを引くとトリガーとの噛みあいが外れてバレルは後退する。
B後退しきって後ろにぶつかると、反転して前進を開始する。
C前進開始直後に排莢する。 
Dバレルが前進し、@とほぼ同じ位置で停止する。


という、ほとんど実銃と同じ動きを再現する予定です。PSSや九四式と同じ、スプリングのテンションのみによるシステムで単発だけですし、ここに至る準備作業はリアルではありません。 この他グリップセーフティ、マガジンキャッチの機能も再現する予定です。

2月28日
 ブローフォワードでも、もしシュワルツローゼのようにバレルが後退、閉鎖した状態から作動が始まるタイプならPSS、九四式の応用で可能なはずです。バレル内にスプリングを入れ、カートをチャンバーに入れてバレルを後退、閉鎖するときこれを圧縮し、前進しようとするスライドをトリガーで止め、他にごく弱いスプリングでバレルに後退のテンションをかけておけばいいわけです。トリガーを引くとバレルは内部の強いスプリングで前進し、前進しきる寸前でバレルと一体のエジェクターがカートを蹴って排出し、この後ごく弱いスプリングでバレルが後退するようにすればいいわけです。ちなみにこういう構造のシュワルツローゼを作ってみたいという気持ちはあり、ドイツの銃器雑誌にほぼ充分な資料があるんですが、まあ売れないでしょうね。
 しかし日野式の場合は通常のブローバックでのオープンボルトファイアにあたる、オープンバレルファイアですからこの方法は使えません。しかも通常の銃ではある程度スライドやボルトが動いて勢いをつけてからカートのリムがエジェクターに当たって蹴り出されますが、日野式の場合動き始めに蹴り出され、しかも排出方向は真上です。実銃の場合は問題ないかもしれませんが、模型としてはよほど精密に作って高速で動き出す形にしないとうまく排出されないはずです。率直に言ってガレージキットでは不可能でしょう。
 このため、日野式はスプリングのテンションのみで作動させるという点は同じですが、PSSや九四式とは全く異なるシステムになり、また排莢方法は実銃ではありえない全くのオリジナルになります。まあかなりの人が「なめとんのか」と怒るだろうトンデモな方法ですが、これ以外の方法は考えられませんでした。上に書いたように作動の外観はほとんど実銃通りになるはずなんでお許しいただきたい、というか許せない人は買わなきゃいいだけのことです(笑)。
 詳細はまだ秘密ですが、カートなしでも作動するシステムであり、バレルがごく弱いスプリングの力で後退してぶつかることによって強いスプリングで前進しようとしているパーツのロックが外れ、バレルを押しながら前進する、というシステムです。バレルを前方に引っぱり出すことによってコックする操作も再現します。作動に必要なメカがグリップ内に入るため、マガジンは先端部のみしか再現できません。でもマガジンキャッチはライブで、先端部のみしかないマガジンには役割を持たせます。暇な人はどういうものか推理してみてくださいね。
 原型完成まで1ヶ月はかからないと思います。価格は九四式と同じくらいを予定しています。

3月7日

 全ての機能が出揃い、あとは造形だけです。メカについてはまだ秘密、というか今回は完成まで発表しないで置こうかとも思っています。ちょっと中身が見えちゃってますし、想像つく人もいるでしょうが。
 構造がまったくリアルでないとはいえ、作動は確実に行われるはずで、特に排莢不良はまずありえないと思います。ただ、システム上排莢方向が垂直より前よりになってしまいます。最初45度以下の角度で前に飛んでしまいあまりに変なので、いろいろ修正をして現在60度くらいというところですが、これ以上はちょっと無理みたいです。
 この銃は形は単純なんですが、造形しにくい鈍角のエッジが非常に多く、仕上げ段階でかなり苦労しそうです。

3月20日

 いろいろな問題点の修正に手間取り、予想よりちょっと進行が遅かったですが、何とか仕上げ段階に入ろうかというところです。フレームはどうやっても型で抜ける形にできないのではないか、このパーツの固定が構造的に無理なんではないか、ここはこれしか肉厚が取れないが、これでは持たないのではないかなど、いろいろな問題が生じ、これはもう無理かなと思うこともありましたが、幸か不幸かそれぞれギリギリの打開策が見つかりました。ただ、あまりにリアルから遠い構造なので受け入れてもらえるか不安ですし、実物と同じ動きといっても同じ太さのバレルが一瞬で前後動するアクションは横から見てもはっきり分からず、当然ながら銃をちゃんと構えている射手には全然見えません。大丈夫かこれは、という感じもありますが、がんばって完成させようと思います。

3月27日追加

 仕上げの最終段階です。二式拳銃のときと同じく、ぶっつけ本番でグリップのチェッカリング(というか筋と言うか)を彫るのは不安なので、いったんプレーンな状態で型取りして複製し、複製品に彫るつもりです。この間に他の部分の作動の確認や修正もできますんで。
 ちなみにグリップパネルを片側2本のネジで止めているタイプはイメージと違うかもしれませんが、実在しています。

4月7日追加

 予想より時間がかかりましたが、今日試作第一号が完成しました、ということで

 作動の信頼性、耐久性は問題なさそうな感じです。
 予定通り実銃と外観上ほぼ同じ作動になりましたが、やや変わった部分もあります。まず、ダミーカートが前方に飛ぶ傾向をいくらかでも矯正する目的で内部のパーツ形状を変えたため、ストロークが実銃よりかなり短くなってしまいました。たぶん実銃の2/3くらいだと思います。また、当初はバレルを後方に押して作動用の強いスプリングをコックし、その後バレルを前方に引き出してバレルをコックする予定でしたが、作動用のスプリングは別の方法でコックすることにしたため、バレルを実銃どおり引いてコックする必要はなくなりました。ただ、いったんトリガーを引いてバレルを後退させ、あらためてコックすることは可能ですし、実銃のマニュアルにあったという、銃口方向に銃を強く振ることによってバレルをコックする方法も可能です。
 ダミーカートが前方に飛ぶ傾向はちょっと気になりますが、システム上排莢不良ということはまずないはずです。グリップセーフティ、マガジンキャッチの機能は実銃通りです。
 製品には実物型取りの.32ACP薬莢3個を付属し、前作の九四式と同程度の価格で4月下旬発売予定です。




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