HK121汎用機関銃

 久々にドイツ語の文章を読みました。H&Kの新しい汎用機関銃、HK121の紹介記事です。

http://strategie-technik.blogspot.de/2012/12/universalmaschinengewehr-hk121.html#more


汎用機関銃 HK121

「古い」NATO標準弾薬7.62mmx51仕様の新しい機関銃が世界的にトレンドである。ヘッケラー&コックはHK121をもってモダンな、そして多面的なシステムを提供する。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「歩兵用バレルと50発ベルトバッグが付属したHK121。色のトーンRAL8000は良好な迷彩性を提供する。PencottグリーンZone-MusterのSabre戦闘服はJKディフェンス由来である。」)

使用継続で真価を示す、MG42をベースとしたミドル機関銃MG3は決して終わろうとはしていない。一方においていろいろな努力家がこの銃にいくつかのアップグレード作業をしている。他方においては「MG5」と呼ばれる後継者として現在FN(MAGおよびMINIMI 7.62mm)、IWI(Negev 7)、そしてこのヘッケラー&コック(HK121)が話題となっている。S&T-ブログはここでファーストインプレッションをお伝えする。

背景:ドイツ連邦国防軍のマシーネンゲベールイニシアチブ

「MG5」プロジェクトは2008年から2009年への年の変わり目頃にドイツ連邦国防軍によってもたらされたマシーネンゲベールイニシアチブに属する。これは軽、中、重機関銃、および高い発射速度の中機関銃を要求した。

軽機関銃としては5.56mmx45仕様のHK MG4が使われる。重機関銃としては現在ドイツ連邦国防軍はFNブローニングM2を車載マシンガンとして、またFNブローニングM3Mをヘリコプターの武装として使用している。さらにオベルンドルフで(ただしHKでではなくラインメタルで)外部動力駆動の重いRMG.50が開発されており、これは性能向上型の12.7mm弾薬を射撃することができるものだ。新たな「MG6」としてドイツ連邦国防軍は「高い発射速度の中機関銃」を特殊部隊用に捜し求めている。これには現在テスト中の外部動力駆動のマルチバレル銃器Dillon M134-Dが有望な候補者に該当する。その際はHKがこのガトリング銃を販売し、技術的責任を持つ。

HK121のアイデア

しかしHK121誕生の原因はマシーネンゲベールイニシアチブにあるのではない。何故かと言うと、この伝統あるオベルンドルフの銃器メーカーヘッケラー&コック(HK)は、彼らの製品ラインナップをマシンガン領域において拡張することを2005年末にはすでに決定していたからである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「HK121(上)とMG4との比較」)

HK121はMG4(口径5.56mmx45。これまでにドイツ連邦国防軍とスペインに採用されている)に似た、モダンな7.62mmx51口径のユニバーサルマシンガンを誕生させようとしたものである。すなわち、アフガニスタンおよびイラクへの実戦投入から得られた実戦経験は、ドイツ連邦国防軍においてのみではなく、こうした古いNATO標準弾薬仕様の戦闘力の強い銃器の必要性を認識させたのだ。

2010年から、メッペンの第91防衛技術局においてテストが行われた。顧客の希望に基づいてさらにいくつかのモデファイが行われた。2012年4月、ドイツ連邦国防軍はこの銃の機能および作動信頼性(FuBeSi)に関し、現在量産に適するほど成熟していると説明した。

頑丈な構造

HK121はロックされた回転閉鎖ヘッド、ロングストロークガスピストンシステムを持つオープンボルトファイアのガス圧ローダーである。外観的にはなるほどMG4に似ているが、技術的には「妹」と異なっている。パテントが取得されたHK121の銃器アウターケース(頑住吉注:レシーバーですな)は金属薄板プレス部品でできているのではなく、鋳造されたスチールでできたケースを構成する2つの部分と、単一の結合ブロックから出来ており、同様にパテントが取得された方法で連結されている。HKはケースごとに50,000発の寿命を保証しており、これに関してはテストでずっと高い負荷限界が達成されている。

コールドハンマー製法で作られた4本ライフリングの、そしてスペシャルコーティングされたバレルには3つの長さがある。すなわちスタンダード(550mm)、歩兵用(「I」460mm)、組み込み銃器用(「EBW」 663mm)である。これらは強化された試射リズムで、ハードコア弾薬DM151を使ってさえ、1,500発の寿命に達する。MG3のバレルはノーマルな試射リズムで約400発、G8(頑住吉注:G3発展型機関銃)のバレルは1,000発、こうしたハードコア弾薬の発射に耐える。

高い安全性

ベルトによる給弾はMG3、MG4のように左から行われる。HK121の装填の作動は、MG4およびMG3のそれと広範囲にわたって同一である。だがこの新しいオベルンドルフの汎用機関銃は、この種類において世界初の銃として、どのロード状態であろうとセーフティオン、オフできる。これは両側から操作可能なピストルグリップ上の発射選択レバーによって行われる。

弾薬が装填準備位置に存在したらすぐにロード状態インジケーターが見て、そして触って確認できる状態でレシーバーカバーから突出し、さらなる安全性を提供する。さらにHK121は、たとえハードコア弾薬DM151で射撃しても、NATOスタンダードAC225/D14に応じた弾丸受け入れ能力を持つ。すなわち1発の弾丸がバレル内に詰まって残っても、これを次の弾丸が押し出し、その際バレルが破裂することはない。テストは繰り返してさえ行われたが、銃はその後さらに実戦投入能力を残した。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「HK121のバレル交換」)

バレル交換(これは約250発発射後に行われるべきで、バレルの寿命を高めるためである)もまた、すでにドイツ連邦国防軍で使用されているMG4と同じである。すなわち保持グリップを上に開き、バレルロック解除レバーを押し、バレルを保持グリップ部分を持って少し左に回して引き抜く。次いで新しいバレルを、保持グリップを持ってガス取り出し部とチャンバーをケースに入れ、バレルロック解除レバーを押し、バレルを少し右に回して固定し、保持グリップをパタンと下ろす。全ては数秒の早さで、そして耐熱グローブなしに行える(頑住吉注:MG42、MG3では耐熱グローブが必要でした)。

効力

HK121のレシーバーカバー上の長いNATO-STANAG 4694レールは全ての常用される機械式、および光学サイトを受け入れ、これには夜視アタッチメントが含まれる(頑住吉注:夜視サイトではなくアタッチメントです。これは通常の光学サイトの前に設置して夜視能力を持たせるものなので、レールが長くないと搭載できません)。

この銃の主要戦闘距離は約600mで、銃架に乗せた状態では1,200mである。HKは現在常用されるスタンダードのソフトコア弾薬DM111A1を使って、10発、セミオート、距離100mで30cmのグルーピングを保証する(頑住吉注:いやちょっと低すぎませんかね)。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「発射速度の調整」)

HK121はM13/DM60崩壊式供給ベルト用に最適化され、ベルトを引く力の強さが際立っている。発射速度は調節可能なガス取出し部で工具なしに毎分600、700、800発に調節可能である(頑住吉注:調節幅が狭すぎませんか)。これによりMG3(1,200発)と比べると低いことになる。しかしこれはより良い耐久性と命中正確性というメリットを提供する。HKプロダクトストラテジーのリーダーであるMarc Rothは言う。「フルオート火器は肩当て射撃姿勢の場合、毎分約700発を越えると実用上もはや命中精度が高い状態でコントロールすることはできなくなる。だから高い発射速度は銃が銃架に据えられて使用される時だけ意味を持つということになる。歩兵小隊の戦闘持続性を考慮すると、HK121の適度な発射速度は弾薬の浪費も防ぎ、味方を傷つけるリスクもかなり減らすことができる。」

モジュラー性

レシーバーカバー上のNATO-STANAG 4694レールとならんで、銃器ケース前部の3つのさらなる3時、6時、9時方向のポジションがさらなるモジュラー性を提供する(頑住吉注:分かりにくい表現ですが、レシーバー前部左右と下に短いレールが付属している、というだけのことです)。それだけではなくこの銃自体が「構造ケース原理」に基づいている。すなわちこの銃は工具なしでいくつかの型に改装できる。このため射手はこの銃をそのつどの実戦投入目的に最適に合わせることができる。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「HK121の諸バージョン。ユニバーサル(U)、インファントリー(I)、スペシャルフォース(S)、組み込み銃器(EBW)」)

古いMG3の付属品はHK121に相変わらず使用することができる。特にHK121は全てのMG3用に作られた車載および地上銃架に適合する。HKは彼らの121を性能向上バレル、および閉鎖センサーが付属した組み込み銃器用グリップ付きの組み込み銃器としても提供する。閉鎖センサーは「遠隔操作可能な銃器ステーション」(FLW)の操作器具に、閉鎖機構がどの位置にあるかを表示する。性能向上バレルはより高いマズルエネルギー、より長い射程(1,500mまで)、より高い貫通力を提供する。さらに450発ベルトを銃に取り付けることができる。

ファーストインプレッション

そのデザインおよびグリップ・ポッド・アサルトグリップや多機能キャリングベルトのようなオプションパーツに基づき、HK121のバージョンにより異なる9.9〜11.2sの重量でも非常に携帯しやすく、1人の兵でも非常に良好に操作できると分かった。この銃は全てのポピュラーな射撃姿勢、すなわち立射、膝射、伏射で快適に射撃できる。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「立射状態のHK121」)

G28で導入された色のトーンRAL8000(グリーングラウン)の焼付塗装は良好な迷彩性を与える。HK121により、時代に合った、そして将来有望な、パワフルなNATOスタンダード弾薬7.62mmx51仕様の銃が使用できるようになった。この銃はMG3と似た、そしてMG4とほとんど同一の操作ができる。そしてプルーフされた統一汎用機関銃のドイツ式原理が確認された。さらに、安全な装填可能性や完全なNATO弾丸安全性(頑住吉注:バレル内に弾丸が留まっても次の弾丸で問題なく押し出せるというやつです)などのようなドイツ連邦国防軍の説得力ある技術的基本要求に基づき、この銃は「MG5」の最も有望な候補に該当する。

HK121諸バージョン

HK121U HK121I HK121EBW HK121S
作動原理 ロックされた回転ヘッド閉鎖機構を持つオープンボルトファイアのガス圧ローダー
口径 7.62mmx51NATO M13/DM60崩壊式ベルトリンク
発射の種類および発射速度 600/700/800発/分 フルオート どの装填状態でもセーフティをかけることが可能
サイト バレル上の折りたたみ式夜光フロントサイト
機械式あるいは光学式リアサイト(丸1日、および野戦能力用)
重量 11,200g 9,900g 10,000g 12,100g
銃身長および重量 550mm
3,000g
460mm
2,500g
663mm
3,240g
550mm
3,000g
全長(最少/最大) 960/1,160mm 1,060mm 1,055mm 1,012mm
銃口初速度およびエネルギー 810m/s
3,100J
785m/s
2,912J
849m/s
3,334J
810m/s
3,100J
戦闘距離 600m
銃架に据えれば1,200m
600m 1,500m 1,500m

 まああんまり面白味はないですけど、手堅くまとめた銃のようです。MG42誕生から70年、いよいよ後継機に道を譲ることになるんでしょうか。ただ車載型などではMG3の高い発射速度が威力を発揮する場面も多いような気もします。






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