「DWJ」によるホローポイント弾テスト その1 リボルバー編

 「DWJ」2004年8月号に、2回にわたるホローポイント弾薬についてのテスト記事の第1回目、.38スペシャルおよび.357マグナムリボルバー弾薬に関する記事が掲載されていました。


実用テスト:ショートバレルのリボルバーから発射されたホローポイント弾はいかに作用するか。

総じて良好


新しい銃器法は、ハンドガン用のホローポイント弾および「設定破壊箇所」つきのセミジャケット弾の実用を可能にした。DWJの実用テストではいろいろな弾薬および弾丸構造の、ゼラチンに対する効果が調査された。ここから攻撃者に対するストッピングパワー、または「狩りにおけるとどめの一発」用適性に関する結論が引き出しうる。(頑住吉注:「設定破壊箇所」とは、一定以上の荷重がかかると壊れるように設定された部分のことで、ここでは弾丸が変形しやすいように入れられたジャケットの切れ目を指します)

イツでは長年にわたってダムダム弾薬が悪く言われてきたが、今ではハンターおよびプライベートな銃器携帯者が使用するための、ホローポイント弾を装備した効果的な弾薬が存在する。弾薬のバリエーションは、最も重要なハンドガン弾薬である.38スペシャル、.357マグナム、9mmパラベラム、.45ACPを含んでいる。これらの弾薬に関し、この2部構成の記事のためにテストを実施した。我々は第1回でまずリボルバー弾薬を紹介する。
 本来的にホローポイント弾はほとんど全ての領域において通常のセミジャケット、フルメタルジャケット、鉛弾より優れている。そのため、多くの国ではホローポイント弾薬がスポーツシューター、ハンター、警察官たちのいわば「スタンダード弾薬」の様相を呈している。弾丸メーカーの宣伝用パンフレットではホローポイント弾が明らかに多数を占めている。ホーナディの場合、ハンドガン用の48弾丸タイプのうち37がホローポイント構造であるし、Noslerの場合は19中15ですらある。

よりよいターゲット内弾道
 ホローポイント弾はターゲット内部におけるできるだけ高いエネルギー伝達を意図して設計されている。弾丸先端部の穴により(さらにしばしばジャケットに刻みが入れられることがこれをバックアップしている)、弾丸ができるだけ早くマッシュルーム化し、そのエネルギーを急速にターゲット内に伝達することが意図されている。このため多くの国の警察当局はその高い「即座効果」と周囲への危険性の低さを理由にホローポイント弾薬を使用している。弾丸はその全エネルギーをターゲット内に伝達し、たいていの場合他の人間に危険を及ぼす可能性がある射出口を生じない。
 だが、弾丸構造および口径次第で貫通力は程度の差はあれ大きくなる。この点ではメーカーがその弾丸に何を達成させたいかが問題である。ハンターは求める効果を達成するため、「重い獣」に不可欠な「深部効果」をももたらす弾丸を必要とする。例えば航空機護衛官が必要とする弾丸(つまり急速に、そして完全に砕けるもの)はハンターには有効でない。
 よい「狩りにおけるとどめの1発」弾薬に対する主要な要求はできるだけ高いエネルギー伝達である。しかし伝達されることの他にどこで伝達されるかが重要である。肩甲骨で完全に砕け、(頑住吉注:心臓内の)心室内部にすら突き進まないような弾丸はハンターには役立たない。その効果はただ表面的で、生命維持に必須な機能が妨げられない。「狩りにおけるとどめの1発」用としては一定の貫通力も無視できないのである。

テストの判断基準
 初めに測定機器による弾丸速度の測定を行った。ターゲット内における高いエネルギー伝達を達成するためには、高い初速が不可欠である。弱装の弾薬はホローポイント弾を使っても非常に効果的なものにはならない。
 試射は典型的な実用銃で行われた。すなわち銃身長2および4インチのリボルバーとコンパクトなピストルである。というのは、ロングバレルのマッチガンや重いアーミーピストルを持ち歩く銃器携帯者はほとんど一人もいないからである。しかし、発射薬の種類次第だが、程度の差はあれショートバレルの銃から発射された場合、弾薬は大きくその成績を損なう。初速の計測は、どの弾薬種類がこうした銃に特に適しているか、そして一つの成績としてどれがより大きな発射音とフラッシュを発生させるかを示した。
 弾丸がマッシュルーム化する「ふるまい」はゼラチンブロックを使ってシミュレーションされた。そうしたブロックはターゲット内弾道学的要因の調査のために弾道学研究室では世界的に使用されている。それの抵抗値がソフトな獣や人間の組織と大幅に一致するからである。しかしゼラチンブロックだけでは非常に多くのことに役立つとは言えない。というのは生物はソフトな組織だけからできているわけではないからである。そういうわけで、第2のテストでは厚さ10cmのゼラチンブロック内に、射入口サイドから離してノロシカの肩甲骨、大口径の場合豚の肩甲骨を鋳込んだ(頑住吉注:第1のテストは初速の測定であり、ゼラチンのみの射撃は行われていません)。弾丸がこれでもスムーズに貫通すれば、「狩りにおけるとどめの1発」用として有効であると推測できる。
 正当防衛、「狩りにおけるとどめの1発」シチュエーションで普通の距離では、命中精度は「下位に置かれた」役割しか演じない。短いテストで10mからのグルーピングが調査された。ここにおける全ての使用弾薬が10cmの円内に収まり、これは役立つということである。よく考えるべきなのは、ポケットリボルバーまたはコンパクトピストルは非常に良好な照準設備を持たず、この理由からスポーツピストルのようなグルーピングはすでに期待できないのである。ある弾薬が10cmのハードルを越えられなかった場合、それ以後のテストは別の銃で行われた。結局、全ての銃が全ての弾薬でよい結果は残せなかった。しかし、いろいろな銃で役立つ命中精度を示さなかった場合、この弾薬種類はお勧めできない。というのは、ある程度正確な命中位置は、エネルギー伝達とは独立して依然重要だからである。ピストル弾薬は追加としてさらに少なくとも3つの銃器タイプで、特定の銃-弾薬コンビネーションが不確実な機能を危惧させる可能性がないかどうかテストした。過去のセミジャケット弾薬によるテストがしばしば示したように、多くのピストルはフルメタルジャケット弾薬だけで信頼性が高い(これについては次号参照)。

.38スペシャルによるテスト
 「恒久的同行者」(頑住吉注:常時携帯する銃)の選択において、ショートバレルのポケットリボルバーは相変わらず高く評価されている。操作に問題点がなく、セーフティも引き抜けるマガジンもなく、機能が確実で、命中精度が高いダブルアクションリボルバーは、高い火力が重要でない市民用として理想的なハンドガンである。ショートバレルのポケットリボルバーにはこの他にも高く評価される理由がある。銃を常に携帯する場合、それは大きすぎたり重すぎたりしてはならない。さもないとその銃はすぐ重荷になり、家に置かれたままになる。この種類の最も有名な代表機種は、1950年にマーケットに登場し、依然として最新流行機種でありつづけているS&Wのチーフスペシャルである。160mmx107mmx33mm(全長x全高x全幅)という寸法を持つこの銃は、スチール型でたった580gしかない。
 しかし、過去において少なくない数のハンターが、手負いのイノシシに.38口径は不充分な効果しか持たないことを確認させられてきた。ホローポイント弾薬はこの救済策になるだろうか。
 テスト銃としては2インチバレルを持つ.38スペシャル口径のモデルチーフスペシャルが使用された。最初の試射後、弾丸の非常に不満足なマッシュルーム化が示された。これが短い銃身長のせいであるかどうかを見るため、追加としてより長い4インチバレルを持つリボルバーが使用された。

ホーナディXTP125グレイン
 XTPは非常に大きいホローポイントと、弾丸の先端まで達する前部が薄くなったジャケットを持つ。鉛のコアの硬度は弾薬スペックごとにその初速に合わせた固有のものになっている。前部のジャケットの薄い部分は早くマッシュルーム化し、マッシュルーム化のプロセスが増大するジャケット強度により低下するようになっている。これにより、メーカーは弾丸重量を維持してコントロールされた変形を達成することを意図している。.38口径ホーナディXTPには5.6グレインの細かい葉状火薬がロードされ、2インチバレルのチーフスペシャルから発射した場合220m/sの初速を達成する(頑住吉注:遅!)。この弾薬は4インチバレルからだと258m/sになった。この弾薬は2インチバレルからだとかなりのマズルフラッシュ(頑住吉注:直訳するとマズルファイアー)を作るが、それでもなお射撃は快適である。10mから50mmのグルーピングにより、この弾薬は充分な精度である。
 2インチバレルからだとXTPはほとんどマッシュルーム化しない。弾丸は前部が少しつぶれただけで、骨を貫通した。4インチリボルバーからだとこの事情は全く違う様子である。この場合弾丸は15mmまでマッシュルーム化した。これは4インチ銃のためには非常によい弾薬である。射撃は快適、命中精度もよく、充分な貫通力を持ちながらターゲット内で高いエネルギー伝達を行う。

ホーナディXTP158グレイン
 弾丸の形と構造はより軽い弾丸と一致している。158グレイン弾薬には5.4gの細かい葉状火薬がロードされ、2インチ銃から発射された場合220m/sの初速に達する。これはより軽い弾丸とほぼ同じ早さであるが、それに応じてより強い反動が起きる(頑住吉注:弾丸が重く、薬量もわずかとはいえ少ないのに初速が同じなのはちょっと不思議ですが、同じ表現をされているものの発射薬の質が違うんでしょう)。より長い4インチバレルからの成績は260m/sで、やはり125グレイン弾とほとんど一致した。だが、より重いホーナディ弾のグルーピング、直径60mmはより軽い弾よりいくぶん悪い。ただし、使用目的のためには依然充分正確である。しかし、より重い弾丸のジャケットはいくらか安定度が高く、あるいは鉛の硬度が高い様子である。というのは、ポケットリボルバーからだと弾丸が全く変形しないことが示され、4インチ銃からでも11mmしかマッシュルーム化しなかったからだ。骨はたやすく貫通された。これは4インチバレルつきの.38口径銃用として劣った弾丸ではなく、良好な「深部効果」を期待させる。

ウィンチェスター+P125グレインホローポイント
 メーカーはこの弾薬に弾丸先端が露出し、追加の「設定破壊箇所」を設けたクラシックなホローポイント弾をロードしている(頑住吉注:ジャケットが先端まで覆っておらず、柔らかいコアが目測で4mmくらい先端に露出し、ジャケットの先端には裂けやすいように切れ目が入っているということです。)。弾丸先端の穴は大きすぎないが、そのかわり鉛合金はむしろソフトである。この弾丸のためには5.4グレインの小さなリーフ状火薬がロードされている。ショートバレルで225m/s、ロングバレルで264m/sの初速は、これまでの弾薬より確かに速い(頑住吉注:ほとんど変わらんのでは)。この弾薬は明るいマズルフラッシュを作り、4インチバレルでもなお非常に明確なものとなった。リコイルは問題にならない。ウィンチェスターホローポイントは48mmのグルーピングにより非所に命中精度が高いと言える。ポケットリボルバーから11mmに弾丸直径が拡大するこの速い125グレイン弾の結果はこれまでのベストである。そして4インチからだとパーフェクトな15mmのマッシュルーム化となった。骨は貫通され、その後の侵入「ふるまい」もなお充分である。

Speerゴールドドット+P125グレイン
 Speerのゴールドドットはジャケットとコアが結合した弾丸であり、より少ない質量損失により大きな「深部効果」を達成するという。メーカーは製造にあたってまず銅のジャケットを鉛のコアに電気的にメッキし、そして弾丸を最終的な形状に圧縮して密着させる。このためジャケットとコアの分離は不可能である。ゴールドドットの場合ホローポイントは非常に大きく、そして深い。6.5グレインの細かいリーフ状火薬が125グレインの弾丸を、2インチ銃の場合235m/sに、ポリスポジティブの4インチバレルの場合268m/sに加速する。
 マズルフラッシュは非常に明るく、軽いS&W銃(頑住吉注:チーフスペシャル)の場合リコイルショックは明確に感じられる。5発のグルーピング44mmにより、Speerゴールドドットは.38口径のテスト内で最も命中精度がよかった。大きなホローポイントにもかかわらず、ゴールドドットはポケットリボルバーからの場合9.8mmの直径にしか変形しなかった。そのかわりこの弾薬はロングバレルからだと感銘を与える結果をもたらした。弾丸は16.2mmの直径にマッシュルーム化し、そしてその際重量を失わなかった。それに対応して「深部効果」が良好であった。骨はたやすく貫通された。4インチ銃からの射撃は、これがベストの効果を約束する非常によい弾丸であることを示した(頑住吉注:こんなこと書くとDr.Beat Kneubuehlに叱られますよ)。しかしポケットリボルバーのショートバレルからだと失望させられた。

.38スペシャル−結論
 2インチバレルつきの.38口径ポケットリボルバーは、ホローポイント弾を使ってもより効果的なものにはならない。ショートバレルが達成する初速は弾丸をマッシュルーム化させるためには単純に低すぎる。4インチ銃の結果が示したように、ホローポイント弾が効果を表わすことができるには少なくとも250m/sが必要不可欠である。つまり、ポケットリボルバーの場合ホローポイント弾薬はベターではない。しかし当然だがノーマルなセミジャケットフラットノーズや鉛弾より劣っているというわけではない。
 この事情は4インチバレルつきの.38口径リボルバーの場合異なるようだ。4インチバレルならばテストした弾丸のうちいくつかはメーカーが約束する効果と、ほとんど口径の倍までのマッシュルーム化をもたらした。ウィンチェスターホローポイントは弾丸直径が15mm、SpeerゴールドドットとホーナディXTPは16mmにすらなった。つまり、ロングバレルを持つ.38スペシャル口径リボルバー用としてはホローポイント弾は推薦に値する。しかし.38口径リボルバーは使用するのがホローポイント弾であっても「重い獣」に対する「狩におけるとどめの1発」用銃器にはならない。達成するマズルエネルギーが足りないのはすぐ分かることである。

.357マグナムのテスト
 .357マグナムは1935年にウィンチェスターとS&Wの共同作業によって生まれ、S&Wの初のヘビーフレームリボルバーとともに発表された。この弾薬は実際上延長された.38スペシャルであり、しかしはるかに高い成績をもたらす。これは高いガス圧とはるかに多い発射薬によって達成される。カタログデータ上のその数値は強い印象を与える。弾薬メーカーは.357マグナムについて、マズルエネルギーが1000ジュールを超えると称している。もちろんこのデータはC.I.P.によれば150mmの長さを持ち、しかもシリンダーギャップがない計測用バレルによるものである。火薬はよく選ばれ、最大限に許されたガス圧が十分に利用されている。このため150mm(6インチ)の銃身長で100ジュールがたやすく可能なのである。100mm(4インチ)バレルの場合もはや約830ジュールになる。
 強力なマグナムリボルバー弾薬は、長銃身の銃向けに設計されており、そしてそれに対応した段階的な、つまり燃焼速度の遅い火薬がロードされている。そのような弾薬は実際上バレル全体を燃焼チャンバーとして利用している。短すぎるバレルの場合火薬のうちかなりの部分がバレル前方で(頑住吉注:つまりマズルを出てから)燃焼し、もはや弾丸に作用できない。マズルフラッシュを除いて射手がそれによって得るものはわずかである。ショートバレルのリボルバーにおけるマズル前方のより大きなファイアボールには価値はなく、.357マグナム弾薬は高い成績をもたらすのではなくむしろその反対である。
 マグナムリボルバーにおいては、、まさに弾薬選択が大きな意味を持つ。その上リボルバーには構造に制約されたシリンダーギャップがあり、発射時にここから燃焼ガスの一部が漏れ、当然これはもはや弾丸の動力として使用されない。そういうわけで、.357マグナムの成績を「ほぼ」活用するためであってすら少なくとも4インチの銃身が必要である。4インチバレルを持つリボルバーは、2.5インチバレルを持つリボルバーに対していくらか重く、長いが、その代わりよりよい成績を持ち、射撃がはるかに快適である。
 テストには4インチバレルを持つS&Wのハイウェイパトロールマンを使用した。

フェデラルハイドラショック158グレイン
 ハイドラショックはFBIの実戦使用弾薬として開発され、今日アメリカでは多くの警察署で使用されている。マッシュルーム化のプロセスをあやつるため、フェデラルは知恵を絞って考え出したホローの形を使っている。ハイドラショックは非常に速く反応を示すが、完全に砕けたりはせず、確実な「深部効果」も達成する。フェデラルはこの弾薬に12.5グレインの細かい球状火薬をロードしている。テスト銃からだとこの弾薬の弾丸は初速378m/sとなり、5発のグルーピングは非常に良好な38mmとなった。ゼラチンブロック内部における効果は非常に良好である。ハイドラショックは急速かつ確実にマッシュルーム化し、非常にわずかな重量しか失わず、極度の「深部効果」を持つ。骨(テストでは体重60kgの豚の肩甲骨が使われた)はスムーズに貫通され、弾丸はゼラチンブロックを完全に貫通した。マッシュルーム化した弾丸は13mmの直径となり、ほとんど重量を失わなかった。すなわち弾丸は高いエネルギー伝達とよりよい「深部効果」を持つ。

Speerゴールドドット125グレイン
 125グレインの軽量な弾丸の後方には18.5グレインの小さなリーフ状火薬がある。4インチ銃から408m/sの初速であり、ゴールドドットは非常に高速である。31mmのグルーピングはファーストクラスであり、リコイルは限度内である。ゴールドドットは非常に速く拡張し、ハイドラショック同様ほとんど重量を失わない。マッシュールーム化した弾丸の先端は15mmとハイドラショックよりいくらか大きいが、「深部効果」が非常に大きいとは言えない。それを得るにはいくらか重い弾丸重量が必要である。158グレイン弾の方が「深部効果」は確実に良かった。それでもこれは.357マグナム用としてよい弾丸である。

ウィンチェスターPartition Gold180グレイン
 この弾はNolser−Partitionハンティング弾薬と同じ技術で機能する。前部にはホローポイントのある柔らかい鉛製コアがあって急速な拡張と高いエネルギー伝達を行うよう配慮され、弾丸のジャケットによって分けられた後部の硬度の高い鉛製コアが非常に高い「深部効果」をもたらす。Partition Goldは丈夫な隔壁を持つ真の「2チャンバー弾」である。その上180グレインと重い弾丸重量が「深部効果」をさらに強めている。
 Partition Goldはアメリカで好まれ、法律で許されたハンドガンによるハンティング用に開発された。アメリカでは重い、ロングバレルのリボルバーにしばしばスコープが装備され、有蹄類へのハンティングに使用されている。ウィンチェスターはこの弾薬に13グレインの細かいリーフ状火薬をロードしている。原則的にこの弾丸はロングバレルのハンティングリボルバー用に設計されているが、我々のテスト銃の(頑住吉注:4インチの比較的)短いバレルでもなお340m/sをもたらした。これは重い弾丸としては比較的速い。命中精度は22mmとエクセレントである。ゼラチンへの試射でPartition Goldはメーカーの主張通り機能した。短い前部は拡張し、ついで変形した重い弾丸が深く貫通した。この際骨は大きな障害にならなかった。これは極度の「深部効果」を持つ、「重い獣」への「狩におけるとどめの1発」用として卓越した弾丸である。

レミントンゴールデンサーベル125グレイン
 この弾は警察の実用向けに開発されたものであり、可能な限りの命中精度、速いエネルギー伝達、高い「深部効果」が得ようと努められた。ゴールデンサーベルは弾丸の後部のみがライフリング内で圧縮される。一方前2/3はライフリングの谷の直径とされている。このためゴールデンサーベルはライフリング内に入ることにより、パーフェクトな中心出しが行われ、ライフリング内で斜めに圧縮されることはありえない。しかし! この形式は弾丸とライフリングの谷の直径の製造公差によっては、長い誘導長を持つ形式よりむしろ斜めに圧縮される可能性がある。
 高い「深部効果」を達成するために、レミントンは非常に硬い真鍮製弾丸ジャケットを使い、高い弾丸の速度と組み合わせたという。レミントンはこの弾丸においてほとんど100%の残存重量を約束している。ジャケットのホローポイント領域には「設定破壊箇所」が設けられ、弾丸前部の反応を早めることが意図されている。レミントンはゴールデンサーベルに8グレインの小さな葉状火薬をロードしている。
 この燃焼速度の速い火薬は非常にわずかなマズルフラッシュを作り、4インチ銃からでも125グレイン弾に著しい410m/sという速度をもたらす。命中精度は22mmとファーストクラスである。この弾丸はゼラチンブロック内で非常に速く反応し、問題なく骨を貫通し、高い「深部効果」を持つ。ただしハイドラショックのようにブロックを完全に貫通するには至らなかった。ゴールデンサーベルは15.1mmの直径までマッシュルーム化した。

ホーナディXTP140グレイン
 ホーナディは.357マグナムにおいて125、140、158グレインという3つの異なる重量の弾丸を提供している。テスト用にはミドル重量の弾丸を使った。ロードされた16.2グレインの火薬は弾丸に384m/sの初速をもたらした。命中精度は31mmと良好である。リコイルは限度内である。素早い連射も問題ない。試射において140グレインのXTPは速い反応と良好な「深部効果」を示した。マッシュルーム化した弾丸は理想的な15mmの直径を持った。

.357マグナム−結論
 軽量な125グレインの弾丸はディフェンス弾薬と思われる。そのより少ない侵入深度でのストップ効果ゆえに(この場合射出口が生じることは背後への危険のため望ましくない)ディフェンス用にも良好に適している。しかし獣への射撃、特に手負いの場合は前提が全く異なる。せいぜいレミントンゴールデンサーベルがまだ勧められるという程度である(頑住吉注:125グレインの.357マグナム弾2種のうち「深部効果」小さいゴールドドットは手負いの獣に対抗するには失格、ゴールデンサーベルならかろうじて合格、ということです)。これらの158グレイン弾に対する長所はより小さいリコイルショックである。リコイルに敏感な人はここに強力な成績を持ち、射撃が非常に快適な弾薬を見出す。
 重量領域158グレインの特殊弾丸はより大きな「深部効果」をはっきりと示す。トップに位置するのは明らかに、ベストの「深部効果」を持ち、それにもかかわらず非常に速く反応し、そして良好にマッシュルーム化するフェデラルハイドラショックである。ハンドガンハンティング用にコンセプトされた180グレインのウィンチェスターPartition Goldは完全に貫通のため設計されている。この頑丈な弾丸は非常に高い「深部効果」を持ち、弱い獲物ならあっさり貫通する。猟犬を使うハンターならこの弾丸を獲物の捜索の際に使用したいと考えるべきである。弱い獲物に使用する際には、ハイドラショックや140グレインのXTPを使う場合よりエネルギー伝達が明らかに少なくなる(頑住吉注:充分エネルギーを伝達する前に貫通してしまう、ということです)。全体として、高性能のホローポイント弾薬を使用する.357マグナムリボルバーは、ショートバレルの.38口径リボルバーとは対照的にかなり優秀なものになりうることが示された。特に知恵を絞って考え出された特殊弾は、ソフトターゲットに対する非常に高い効果と、それだけではなく「狩におけるとどめの1発」目的に充分な高い「深部効果」を持つことを示した。テストにおけるベストの結果はフェデラルハイドラショックであった。

.38スペシャルのテスト結果

弾薬 2inバレル初速(m/s) 2inバレル初活力(J) 10mグルーピング(mm) マッシュルーム化(mm) 骨の貫通 4inバレル初速(m/s) 4inバレル初活力(J) マッシュルーム化
ウィンチェスター125gr 225 205 48 11 貫通 264 282 15
ホーナディ125gr 226 207 50 10 貫通 268 291 16
ホーナディ158gr 220 248 60 せず 貫通 260 346 11
Speerゴールドドット125gr 235 224 44 9.8 貫通 268 291 16.2

.357マグナムのテスト結果

弾薬 初速(m/s) 初活力(J) 10mグルーピング(mm) マッシュルーム化(mm)
レミントンゴールデンサーベル125gr 410 681 22 15.1
ウィンチェスターPartition Gold180gr 340 674 22 12.8
ホーナディXTP140gr 384 669 31 15.0
Speerゴールドドット125gr 408 674 31 15.0
フェデラルハイドラショック158gr 378 7313813.0



ホーナディの公式サイトはここです。
http://www.hornady.com/

「ウィンチェスター+P125グレインホローポイント」として紹介されている弾薬はこれに近いようです。
http://www.winchester.com/products/catalog/handgundetail.aspx?symbol=USA38JHP&cart=MzggU3BlY2lhbCArLVA=
非常によく似ているんですが、このページでも「JHP」とされているのに何故か先端に穴がありません。

http://www.winchester.com/products/catalog/handgundetail.aspx?symbol=S357P&cart=MzU3IE1hZ251bQ==
こちらはPartition Goldの紹介ページで、断面の写真によって途中に隔壁がある「2チャンバー弾」という構造が非常によく分かります。

Speerゴールドドットの公式紹介ページはここです
http://www.speer-bullets.com/default.asp?s1=3&s2=6&s3=1

フェデラルの公式サイトはここです。
http://www.federalcartridge.com/default.asp?br=1

レミントンゴールデンサーベルの公式紹介ページはここです。これがいちばん詳しくて後部のみライフリングにかむなどの特徴がよく分かります。
http://www.remington.com/ammo/pistol_revolver/goldnsaber.htm


 ドイツ人のテストは非常に緻密なものが多く、このテストもゼラチンに獣の肩甲骨を鋳込むあたりは非常に良く考えられているんですが、やはり個人差はあるということか、たぶん支持なしのたった10mからの射撃によるグルーピングで命中精度を云々したり、ゼラチンに何cm侵入したか、深度によってどれだけのエネルギーを伝達したかに関する記述がないなど、この記事は例えば前回紹介した「狩におけるとどめの1発」に関する記事よりおおざっぱな感じがします。せっかく鋳込んだ肩甲骨ですが、結果は全て貫通ですから意味が薄い気がします。ちなみに本当は4インチの.38口径リボルバー、.357マグナムの表でも「骨の貫通」の項目があって全て「ja」(英語のyes)となっているんですが、2インチの.38スペシャルで全て貫通している以上それらは全て貫通に決まっているので省略しました。「狩におけるとどめの1発」に関する記事のように骨を鋳込んだ場合と鋳込まない場合を比較したりすればまだ意味があったんですがね。

 .38口径2インチリボルバーの初速の極端な遅さ、そしてそのためにホローポイント弾を使ってもたいして変形せず、あまり意味がないという結果は意外でした。最近いわゆるサブコンパクトサイズのオートピストルが人気を高めていますが、確かにプラスチックフレームのサブコンパクトピストルはサイズや重量からしてチーフと大差がなく、銃身長は1.5倍くらいあって弾丸のエネルギー量もかなり大きく、装弾数も倍かそれ以上あるわけですから、信頼性にさえ問題がなければチーフ(サイズのリボルバー)より好まれるのは当然かなという気がします。

 「マイアミ銃撃戦事件」の反省もあるのか、少なくとも今回紹介された弾丸は浅い深度で砕けたりせず、マッシュルーム化しつつも重量を保ったままある程度深くまで到達するよう工夫されたものが多いようです。軽い物体は抵抗によって減速しやすいので、砕けるなどして重量を減らせば深部まで到達しなくなるわけです。特にハンティング用に開発された貫通力重視のPartition Goldは軽量な.45ACPに近い180グレインという重さになっています。しかもジャケットによってコアを前後に分け、前は柔らかくてホローがあり、後ろは硬いという性質の違う鉛を使用しています。比較的小規模にマッシュルーム化しつつ深く貫通するというコンセプトです。
 しかし私にはいまだに理解できないんですが、もしドイツで主流の「効力とはエネルギー伝達である」という考えが正しいとするなら、ハンティング用は別としてそれほどの貫通力が不要な対人用にどうして重量弾が必要なんでしょうか。軽量な125グレイン.357マグナム弾の「深部効果」が低すぎるというなら変形度を抑制することで対応できないんでしょうか。いや、もっとずっと軽量な全真鍮、全アルミ弾でも形状次第では人体の深部程度には到達するんじゃないんでしょうか。これなら反動はずっと小さくなって正確な連射もしやすくなるはずです。













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