中国の携帯対空ミサイル発達史

 これまであまり取り上げてこなかったテーマですが。

http://military.china.com/history4/62/20140127/18319207.html


中国携帯式対空ミサイル発展史:「紅色天網」を編む

アフガニスタン戦争とイラク戦争の中で、米軍は空地一体化作戦を実施した。高空では戦闘機が轟音を響かせ、低空では武装ヘリがイナゴのような多さで、タリバン、イラク軍を打撃することむごたらしくて見ていられなかった。防空作戦はすでに各国の軍隊が現代の高度科学技術局地戦争に直面して真面目に解決に向き合うことが必須の問題である。新世紀に入り、精兵の道を行く中国軍は、世界の軍事の潮流の変化に緊密に関心を注ぎ、かつ我が軍の具体的状況を結合し、「新三打三防」訓練を展開し(頑住吉注:ステルス機、巡航ミサイル、武装ヘリを打撃し、正確打撃、電子妨害、偵察監視を防ぐ)、かつヘリなど低空目標に対応するため、大きな力を入れて多種の小型携帯式対空ミサイルを研究開発、装備し、作戦能力は顕著に向上している。現在我が軍が大量に装備する多種の携帯式対空ミサイル、車載低空ミサイルのあるものはすでに世界先進レベルに到達している。我が軍はすでにこうしたミサイルを利用して紅色天網を編み、一切の敵の「飛ぶイナゴ」の到来を落ち着いて待っている。筆者は公開されている資料を総合してこの文を書き、もって広大な軍事マニアの仲間たちと一緒に次世代の中国の携帯式対空ミサイルの発展状況を詳細に検討してみる。

中国第1世代携帯式対空ミサイル

「紅桜」-5(HN-5)携帯式対空ミサイル

「紅桜」-5地対空ミサイルは我が国がソ連の「サム」-7対空ミサイルをコピー生産してできた、我が国初の携帯式地対空ミサイルシステムであり、1984年の国慶節の閲兵式で初めて出現した。このシステムは兵個人肩撃ち超低空対空ミサイルで、目視条件下で追尾方式を採用して高速の飛行機を攻撃し、ヘリは正面から迎え撃つ方式を採用して攻撃する。誘導弾頭には赤外線誘導弾頭を採用し、メインエンジンは単室双推力固体ロケットエンジンである。後にさらにその改良型である「紅桜」-5A、「紅桜」-5B、「紅桜」-5Cが研究開発された。

「紅桜」-5A(HN-5A)携帯式対空ミサイル

これは「紅桜」-5携帯式対空ミサイルの改良型で、「紅桜」-5甲とも呼ばれ、ミサイル全長1.46m、ミサイル直径72mm、ミサイル重量10.2kg、発射重量16.5kgである。殺傷弾頭を採用し、弾頭の装薬は0.5kg、触発式信管で、動力装置は1台の単室双推力固体ロケットエンジンと固体ブースター1台である。赤外線パッシブ捜索の制御誘導を採用し、誘導弾頭は常温硫化鉛探知計測機を使用し、熱電冷却技術を採用し、探知計測距離を向上させている。ミサイルは高速の飛行機を正面から攻撃する能力を持つ。弾頭の重量は増加され、殺傷力が向上し、背景妨害に抗する能力もある程度向上している。速度260m/s(頑住吉注:時速936km)未満の飛行目標に対応でき、作戦距離は800〜4,400m、作戦高度は50〜2,500m、最大飛行速度は500m/s(頑住吉注:約マッハ1.47)である。

現在「紅桜」-5系列携帯式対空ミサイルは主に我が軍の第二線機械化歩兵師団(旅団)、高射砲連隊の中の対空ミサイル中隊、予備役高射砲部隊、東南の沿海の都市の民兵防空部隊と船舶輸送部隊に装備されている。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「『紅桜』-5(HN-5)携帯式対空ミサイル」)

「紅桜」-5C対空ミサイル

「紅桜」-5C型は車載型で、1986年研究開発に成功し、ミサイルは4x4の発射車上に搭載され、それぞれの車に2組、1組4発のミサイルで、車上にはテレビ、赤外線警戒・追跡システムが装備される。

(頑住吉注:これより2ページ目。1枚目の画像のキャプションは「『前衛』-1(QW-1)携帯式対空ミサイル」、2枚目は「『前衛』-1M携帯式対空ミサイル」です。)

中国第2世代携帯式対空ミサイル

「前衛」-1(QW-1)携帯式対空ミサイル

「前衛」-1携帯式対空ミサイルは我が軍の第2世代兵個人対空ミサイルで、後に久しく名声を博する「前衛」ファミリーの元祖でもある。「前衛」-1は双推力固体ロケットエンジンを採用している。その1段推力はミサイルを極めて短時間内に巡航速度に到達させることができ、第2段推力は巡航段階でこの速度を保持するのに用いられる。メインエンジンには電子遅延点火が採用され、ミサイルが射手から離れ安全距離まで飛んだ後で点火され、メインエンジンの尾部噴射炎が射手を火傷させるのを避けている。武器システムの重量は16.9kg、ミサイル全長1.532m、直径71mm、作戦距離500〜5,000m、作戦高度15〜4,000m、作戦傾斜距離500〜5,000m、作戦反応時間10秒、作戦温度摂氏マイナス40〜プラス60度である。現在連装ミサイル発射装置があり、その他の武器とコンビネーションしてより完備された防空システムを形成することができる。「前衛」-1携帯式対空ミサイルは比較的強い敏捷性と機動性を持ち、操作しやすく、「ファイアアンドフォーゲット」で、全方向攻撃能力を持ち、その性能はすでに名声が非常に高い米軍の「スティンガー」ミサイルの初期型を超越している。現在すでに我が軍の第一線部隊(例えばチベット山地歩兵旅団、成都快速反応部隊など)に装備されている。

提示しておくに値するのは、「前衛」-1携帯式対空ミサイルが国外で実戦の検証を経ており、戦績が非凡だということだ。パキスタン陸軍装甲部隊ナウェイデ ラーヘマン将軍の言によれば、1999年にインドとパキスタンがカーギル地域で武装衝突した中で、パキスタン陸軍は中国から導入した「前衛」-1型携帯式対空ミサイルを用いて一挙にインド空軍のミグー21およびミグー27戦闘機各1機を撃墜した。このミサイルの出色のパフォーマンスゆえにパキスタンは中国からこのミサイルの技術導入を決定し、中国のライセンスを得てパキスタンで生産している。パキスタン版「前衛」-1は「アンザ」Mk.2携帯式対空ミサイルといい、パキスタン軍に装備され、かつ第三国への輸出が準備されている。

「前衛」-1M携帯式対空ミサイルシステム

「前衛」-1Mは低空および超低空飛行目標を攻撃するのに用いる全方位システムで、極めて強い抗赤外線妨害能力を持つ。「前衛」-1M武器システムは重量18kg、飛行速度は300m/s(頑住吉注:時速1080km)以上、歩兵、装甲車両および砲兵野外防空作戦に用いることができ、あるいは要地防空に用い、その他の武器とコンビネーションしてより完備された防空システムを形成することもできる。

(頑住吉注:これより3ページ目。1枚目の画像のキャプションは「『前衛』-2(QW-2)兵個人携帯式対空ミサイル」、2枚目は「『前衛』-1A携帯式対空ミサイル」です。)

「前衛」-1A全天候対空ミサイル武器システム

携帯式対空ミサイルの作戦機能を向上させるため、兵個人携帯式対空ミサイルは発射前射手が必ず、できる限り上級や近くの友軍部隊から事前に敵機の情報を獲得し、もって射撃準備を整え、命中率を上げる必要がある。「前衛」-1A型対空ミサイルシステムは、実は「前衛」-1のために兵個人携帯式レーダー(重量30kg)1基を配備したもので、探知計測距離は15kmで、多くのミサイル射手のために早期警戒情報を提供し、射手の目標照準を助けることができる。作戦時の配置は小グループ形式で、すなわち2人あるいは数人が1つの火力小グループを組成し、このうち1人がレーダーを担当し、陣地到着後展開配置し、多くの目標に対応することができ、武器の反応速度と作戦機能が向上した。「前衛」-1Aミサイルは兵個人防空作戦のために新たな模式を提供した。電子ナビゲーションと位置決定施設により、このシステムはコンピュータレーダー捜索技術と兵個人対空ミサイル赤外線技術を結合し、「コンピュータ補盲システム」(頑住吉注:たぶん死角を補う、といった意味でしょう)を形成し、スマート化された情報処理が行え、肉眼による捜索が避けられる。ミサイル射手のために早期警戒情報を提供し、射手の目標照準を助けることができ、「前衛」-1A武器システムを装備する部隊に全天候攻撃能力を持たせ、自動的に計算し、かつ異なる目標を攻撃し、発射指令を伝送し、射手の操作と指揮プロセスを簡略化し、発射効率を向上させた。

「前衛」-2(QW-2)兵個人携帯式対空ミサイル

「前衛」-2は「前衛」-1の改良型で、軍事基地、政治や工業の中心地およびその他の重要施設のために有効な防空の保障を提供できる。この武器システムは携帯に便利、機動が敏捷、操作が簡単、「ファイアアンドフォーゲット」などの特徴を持つだけでなく、さらに先進探知計測技術を採用している。特に最新の抗赤外線妨害技術を採用し、「前衛」-2を有効に、比較的強い人為的妨害および複雑な環境妨害の中から目標の信号を識別し、かつ有効に妨害信号を除去できるようにさせ、全方位で空中目標を攻撃する能力を持つ。最大射程は6,000mまで延長され、最低射撃高度は10mまで下がり、武装ヘリや巡航ミサイルなど低空目標に対応する能力が向上した。全システム重量は18kgまで増加し、ミサイル重量は11.32kg、弾頭重量は1.42kgである。ミサイル全長も1.59mまで延長され(このことは決してミサイルの使用にいくらの不便ももたらさない)、直径は72mm、作戦高度10〜3,500m、作戦傾斜距離500〜6,000mである。制御誘導模式はパッシブ赤外線捜索で、システム反応時間は5秒未満、ミサイルの速度600m/sである。「前衛」-2は当時世界最も有効な兵個人携帯式対空ミサイルで、性能は「スティンガー」や「ミストラル」を超えた、とされる。

(頑住吉注:これより4ページ目。画像のキャプションは「『前衛』-3(QW-3)レーザー制御誘導対空ミサイルシステム」です。)

「前衛」-3(QW-3)レーザー制御誘導対空ミサイルシステム

兵個人携帯式対空ミサイルの実際の飛行高度は往々にして3,000mに満たないが、現在の作戦機の正常な飛行高度はいずれも8,000m以上、対地攻撃機の飛行高度も多くは3,000m以上である。このため、多くの状況下でこの種のミサイルは全く敵の飛行機を打撃できない。イラク戦争とアフガニスタン戦争の中で、米軍の攻撃機は往々にして相手方の兵個人携帯式対空ミサイルの射程外から攻撃を発起し、相手方の兵個人対空ミサイルに腕の振るい場所をなくさせた。我が国が新たに研究開発した「前衛」-3レーザー制御誘導対空ミサイルはこの問題を解決した。

「前衛」-3のミサイル本体後部には比較的太いロケットブースターが追加され、大幅にミサイルの射程と飛行高度がアップした。探知計測距離、正面から攻撃する能力、抗妨害能力を向上させるため、「前衛」-3はレーザーセミアクティブ制御誘導方式を採用し、レーザー距離測定装置/指示器によって目標に照射した反射光を捜索し、あらゆる光電子および電磁妨害に対抗できる。「前衛」-3はミサイル全長2.1m、ミサイル重量23kg、速度750m/s、作戦傾斜距離800〜8,000m、作戦高度4〜5,000m、単発命中率85%前後である。レーザー近接信管プラス着発信管を採用し、弾頭の殺傷半径は3mである。「前衛」-3は強大な超低空防空/対ミサイル能力と全方位攻撃能力を持ち、構造が簡単で、体積が小さく、重量が軽く、装備が容易で、コストが低く、大規模使用に適し、小型車載システムで機動防空あるいは要地防空/対ミサイル防御を遂行するのに用いることができる。

以上の「前衛」ファミリーの各タイプのミサイルはとっくに研究開発に成功し、一部の製品はすでに我が軍のエース部隊の中で使用されている。

「前衛」-4熱成像制御誘導携帯式対空ミサイル

「前衛」-4携帯式対空ミサイルシステムは我が国が研究開発中の新型携帯式対空ミサイルで、報道によれば熱成像制御誘導を採用することになり、空中目標を独立して迎撃でき、あるいは目標情報システムの援助の下に迎撃任務を完成させることができる。車両あるいは艦船上に装備して機動することもでき、極めて強い画像識別および抗妨害能力を持ち、遠距離探知計測および大空域作戦の特性を持つ。「前衛」-4型携帯式対空ミサイルの作戦距離は500〜6,000m、作戦高度は4〜4,000m、ミサイルの速度はマッハ2になると見られる。

「飛弩-6(FN-6)兵個人携帯式対空ミサイル

「飛弩」-6ミサイルは我が国が新たに研究開発する兵個人携帯式対空ミサイル武器システムである。「飛弩」-6対空ミサイルはパッシブ赤外線捜索制御誘導を採用し、全デジタル赤外線探知計測装置およびパルス式追跡システムを採用し、その探知計測範囲は拡大し、かつ追跡の正確性が向上した。コンピュータの助けを借りて情報の分類、信号処理、抗妨害ロジック判断を行い、このミサイルに全方向攻撃を可能にさせ、かつ比較的良い背景および地上目標の妨害に抗し、赤外線デコイおよび赤外線変調妨害に抗する能力を持つ。その鋭く尖った金字塔型誘導弾頭はややフランスの「ミストラル」に似ている。このミサイルの非常に良い空力レイアウトは、このミサイルに優良な高速性および機動性を持たせ、その機動過負荷は18G(Gは重力加速度)で、性能が非常に優良な兵個人携帯式肩撃ち対空ミサイルである。基本作戦ユニットはミサイル、発射筒、地上動力システムを含み、付加可能な設備には光学照準具、敵味方識別器が含まれる。作戦訓練の要求を満足させ、作戦機能を改善するため、さらに作戦、照準、発射訓練設備および総合テスト車が配される。「飛弩」-6ミサイルシステムの総重量は17kgで、ミサイル全長1.495m、ミサイル重量10.77kg、ミサイル直径71mm、作戦距離500〜5,500m、作戦高度15〜3,800m、ミサイルの速度は600m/sを超え、システムの反応時間は5秒未満である。マレーシアにすでに「飛弩」-6兵個人携帯式対空ミサイル導入の意向がある、とされる。

(頑住吉注:これより5ページ目。画像のキャプションは「FLV-1型車載近距離小型対空ミサイルシステム」です。)

携帯式ミサイルも車載される

これまで我が軍が装備、および新たに研究開発するいくつかの種類の携帯式対空ミサイルを簡単に紹介した。これらのミサイルは性能上それぞれ長所があるが、これら全てにいくつかの共通の弱点がある。第1は野戦機動能力が強くなく、兵士が非常に重いミサイルをかついで行軍、作戦する必要があることで、第2は対空偵察捜索能力が限られ、作戦機能の発揮に影響することである。この2つの問題の解決のため、設計人員はこれらのミサイルシステムを小型の輸送搭載車と結合し、携帯式対空ミサイルの車載化を実現した。携帯式対空ミサイルを車載化すれば、搭載車は多連装の発射架を搭載でき、多数のミサイルを発射して多くの目標を攻撃できる。車上に装備されたレーダーなどのセンサーはできるだけ早く目標を発見、追跡でき、反応時間も短縮でき、さらには運動中に目標を射撃できる。実践は、車載対空ミサイル武器システムの性能は携帯式の性能に比べ非常に大きく向上することを証明している。特に兵個人携帯式ミサイル多連装発射装置を車載すると、車載近距離小型対空ミサイル武器システムを形成し、あるいは火砲と結合してミサイル・砲結合型対空武器システムを形成する。この種の武器システムは携帯式ミサイルの制御誘導精度が高い、体積が小さい、重量が軽い、作戦と配備が高度に柔軟、コストが相対的に低いなどの特徴を保持しているだけでなく、搭載車、探知計測システム、火力コントロールシステムなどが増加しており、ミサイルの機動能力、目標探知計測能力、多数回迎撃能力、全天候自動化作戦能力、作戦機能が向上する。車載型ミサイル武器システムの開発はすでに国内外の制御誘導武器装備発展の1つの方向になっている。

212ジープ車車載兵個人ミサイルシステム

テレビの軍事チャンネルの中で我々はしばしば、我が陸軍のそれぞれの機械化歩兵師団(旅団)高射砲連隊(大隊)編成内の対空ミサイル中隊が、大量の北京212軍用オフロードジープを持っているのを見ることができる。テレビ画面の中にはしばしば、我が防空軍戦士がこの車に乗って高速機動演習するシーンが出現する。戦士とジープの上にはいずれも偽装網がかぶせられ、発射陣地到達後にミサイル射手がミサイルを肩に担いで車両内に直立し、空中目標を照準してミサイルを発射する。ある時は1両の車に2名のミサイル射手が乗ってそれぞれ兵個人ミサイルを肩に担いで発射準備する。遠くない将来、我々は「東風鉄甲」あるいは「沈飛狩鷹」高機動性オフロードジープが携帯式対空ミサイルの搭載車として使われるのを見ることができるかもしれない。

中国のCQW-2対空ミサイル武器システム

中国のCQW-2対空ミサイル武器システムは国産「前衛」-2型携帯式対空ミサイルの車載型である。この武器システムは4x4高機動多用途装輪式装甲車を採用して搭載シャーシとしている。CQW-2対空ミサイル武器システムは捜索レーダー1基、1セットの光電子追跡距離測定装置、方向・位置決定システムと連動する火力コントロールシステム、および通信、電力供給などのサブシステムを装備する。車上には8連装の「前衛」-2ミサイルが装備され、弾薬スペース内にはさらに8発の予備ミサイルがある。CQW-2対空ミサイル武器システムは捜索レーダーに頼って遠距離で目標を探知計測し、かつ目標の情報を光電子指揮システムに伝達する。光電子追跡システムは目標キャッチ後、追跡システムが方向転換し、ミサイルを目標に指向させる。レーザー距離測定システムが目標のパラメータを確定した後、火力コントロールシステムによってミサイル発射区と発射条件が計算され、かつ適時に2発あるいは4発の発射筒に装備されたミサイルに電力、ガスが供給される。ひとたび目標が発射区に進入し、ミサイルが発射条件を満足させた時、射手は戦時の状況を根拠に1発のミサイルの射撃あるいは2発のミサイルの一斉射撃を実施することができる。CQW-2対空ミサイル武器システムは車長、射手、操縦手の3人で操作され、自動化の程度が比較的高く、反応速度が高く、機動能力が強い。攻撃区内において侵入する目標を何度も迎撃、打撃でき、しかも武器システムは行進間発射および全天候の作戦能力を持つ。CQW-2対空ミサイル武器システムは主に低空、超低空で侵入する固定翼機、武装ヘリ、無人操縦飛行機、巡航ミサイルなどの空中目標の攻撃に用いられ、機械化部隊の機動防空および野戦防空任務を引き受けることができ、あるいは都市、飛行場、橋梁、港、軍事要塞など要地の防空任務を引き受ける。

(頑住吉注:これより6ページ目。画像のキャプションは「212ジープ車車載兵個人ミサイルシステム」です。)

FLV-1型車載近距離小型対空ミサイルシステム

現代陸軍の快速機械化作戦の要求に適応するため、我が国はさらにFLV-1車載近距離小型対空ミサイルシステムを研究開発した。このシステムは主に野戦防空任務を引き受け、野戦随行防空と陣地防空に適用される。この武器システムは単一車両集成の防空システムで、シャーシにはやはり4x4高機動多用途装輪式装甲車が採用され、その上に捜索、追跡、発射、位置決定システムが集成されている。すなわちレーダー、三者合一(テレビ、熱成像、レーザー距離測定機)光電子システム、発射待機ミサイルとGPS位置決定システムであり、単一の車両で作戦できる。車内には指揮コントロールシステムがあり、操作手は指揮コントロールシステムを通じてミサイルを発射できる。FLV-1防空システムの中で、レーダーが主に捜索作用を果たし、車上レーダーの捜索距離は18km以上で、一方光電子探知計測装置は主に追跡作用を果たす。作戦時、レーダーが目標を捜し当てると、目標を光電子探知計測装置に渡し、これによって追跡と誘導が行われ、ミサイルが目標を打撃する。

FLV-1型近距離対空ミサイルシステム発射架には8発の発射待機ミサイルが装備され、車内にはさらに8発の予備ミサイルがあり、パッシブ赤外線捜索制御誘導あるいはレーザーセミアクティブ捜索制御誘導の2種のミサイルが発射できる。車上の「前衛」系列ミサイルは8連装の形式を採用している。何故なら携帯式対空ミサイルは特別に大きくはなく、もし装備数が少なかったら、システム全体の威力が不足になるからである。できるだけミサイルの搭載数を増加させるわけで、このようにしてこそシステム全体の作戦威力が発揮できるのである。

FLV-1システムの車載ミサイルは下ろして兵個人に使用させることもでき、車載発射の優勢も保持され、また肩に担いでの作戦の特徴も失われない。FLV-1の車両重量は11トンで、最大速度は時速95km、最大航続距離は600km、システムの反応時間は8秒未満である。この対空ミサイルシステムは異なる破壊メカニズムを持ち、すなわち「正確打撃」と「弾幕迎撃」である。システムは総合指揮・コントロールを行うことができ、非常に高い作戦機能を持つ。主に巡航ミサイル、武装ヘリ、固定翼機、無人操縦飛行機などの目標に対抗するのに用いられ、要地防御あるいは前線陣地や行進中の部隊の保護を行うことができる。このFLV-1防空作戦車は汎用化されたプラットフォームで、国内の携帯式対空ミサイルは全てこの発射車上で発射できる。現在採用されているミサイルには「前衛」-1、「前衛」-2、「前衛」-3があり、将来は改良を経て「紅桜」系列、「飛弩」系列もこの武器プラットフォーム上で発射できるようになる。

我が国の携帯式対空ミサイルの発展状況を理解したところで、我々はさらに国外の同類製品と簡単に対比してみよう。対比を通じ、ロシアの「サム」-16肩撃ち式ミサイルの作戦空域が最大で、中国の「前衛」-1ミサイルがその次、アメリカの「スティンガー」ミサイルが最小であることに気付く。中米ロ三国の兵個人肩撃ち対空ミサイルの反応時間はいずれも5秒前後で、反応能力は相譲らず伯仲している。武器システムの総重量方面では、三者いずれも15〜17kgの間で、「スティンガー」が最も軽く、「サム」-16と「前衛」-1はやや重いが、1〜2kgの重量ではミサイルの機動性に対する影響は大きくない。最大飛行速度は「スティンガー」が優れており、マッハ2.2はこれに速度がより速い目標を攻撃する能力を持たせる。一方「サム」-16と「前衛」-1ミサイルはいずれもマッハ1.8の最大速度しかなく、最大速度が300m/sを超えない目標しか攻撃できない。全体性能から見て、アメリカの「スティンガー」は比較的バランスがとれており、作戦空域は「前衛」-1および「サム」-16ミサイルに及ばないが、その抗妨害性能は優勢を占める。このため、この3種のミサイルの中で「スティンガー」の作戦機能が最も良いかもしれない。「前衛」-1は研究開発時期が比較的遅かったので、全体性能はロシアの「ニードル」式に比べやや良いが、我が国の工業的基礎の制約を受けているため、作戦機能上「スティンガー」に比べるとやや弱いかもしれない。

だが我が国が新たに研究開発する「前衛」-2兵個人肩撃ち対空ミサイルは、その性能にまた新たな向上があり、最大作戦距離は6,000mにまで増加し、最小作戦高度は10mまで低くなり、最も重要なのはミサイルの誘導弾頭がさらに一歩改良され、赤外線光学成像技術を採用したことで、極めて強い抗妨害能力を持ち、作戦機能は大幅に向上し、性能はアメリカの「スティンガー」とフランスの「ミストラル」携帯式対空ミサイルを超越している。

まとめると、筆者は我が国が研究開発する小型低空防空ミサイルシステムは、決して外国製品に比べて劣らない、と考える。もし将来対侵略、対分裂の戦場で不幸にして米軍と交戦したら、我が軍の各タイプの兵個人肩撃ちミサイル、車載近距離小型対空ミサイルシステムは、きっと敵に深い印象を残すことができる。現代の空襲作戦の中で、米軍の空中作戦プラットフォームの武器投射距離はどんどん遠くなっており、我が軍の近距離対空ミサイルはそれでも作用を発揮できるのか? と言う人がいるかもしれない。私は答えはイエスだと思う。何故なら現代の防空作システムは遠、中、近距離、高、中、低空が相互に組み合わさった多層の総合防御体系から組成され、このうちのいかなる1部分が欠けていても防空作戦で利を失う結果がもたらされるからだ。未来の防空作戦の中で、遠距離の空中目標に対処するのは我が軍の「紅旗」-2改、「紅旗」-9型、S-300系列遠距離対空ミサイルの作戦範囲である。中距離の敵機に対しては我が軍の「紅旗」-61、「狩鷹」-60、「紅旗」-7型、「フェイメン」-90と「道爾」などの中距離対空ミサイルなどがそれらを待ち受けている。各タイプの兵個人肩撃ちミサイル、小型自走対空ミサイル発射車は我が軍の近距離防空システムの末端防御システムであり、主要に対応する目標は僥倖にも前面の多層の防空網から逃げ延びた、網から漏れた魚である。このため、中国の「紅桜」、「前衛」、「飛弩」系列対空ミサイルは、やはり敵軍の各種低空目標を打撃することができるのである。


 現時点では西側兵器にやや劣るかもしれないが、開発中の機種は勝ることになる、という評価ですが、果たして正しい認識なんでしょうか。抗妨害云々には言及されていますが、ステルス機に対する能力には触れられていませんね。まあステルス機は通常低空攻撃をしないからかもしれませんが。

























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