ホローポイント弾

「Visier」2003年10月号に、「Loch im Kopf」と題する記事がありました。英訳すれば「ホール イン ザ ヘッド」つまり「頭の穴」という意味で、ホローポイント弾に関する記事です。今回は全体の要約を示してから個々の内容に触れる形ではわかりにくいので、いくつかに分割して内容を紹介していきます。


 ホローポイント弾には、命中精度の優越、最高のマンストッピング効果、スチールターゲットや射場のブレットトラップに対する適性、バレル内に鉛の堆積を残すことが少ないなど数多くのメリットがあるが、この国では長年、銃器法によって禁止されてきた。現在でもネガティブイメージがのこっているが、その迷いをとく必要がある。


 ドイツでは、しばらく前までフルメタルジャケット、レッドブレット(全鉛弾)、ソフトポイントといった弾だけが認められ、ホローポイントは違法だったということです。たぶん「残酷な弾である」とされていたためでしょう。警察用としてもフルメタルジャケットが使われていたことは「アクション4」の項目でお伝えした通りです。しかし、対人用としてフルメタルジャケット弾が不適当であるのは明らかで、そのために無関係な第三者に死者を出すという事件まで起こったわけです。警察用弾薬はこの事件をきっかけに変更されたわけですが、民間用のホローポイント合法化もたぶんこれと関連した動きでしょう。


ポイント1 命中精度
 ドイツのシューターは、ホローポイント弾の合法化を獲得して以来、それがフルメタルジャケット弾より命中精度が高いことを発見してきた。弾の前部に穴があるということは、フルメタルジャケット弾より重心が後ろに来ることを意味する。そのため、原則として弾道が安定する。同じく前部が軽くなる弾としては尖頭弾があるが、ホローポイント弾は「Fuhrungsflache」が長いため、命中精度上尖頭弾より有利である。
 ホローポイント弾は安価なフルメタルジャケット弾より一般に高価だが、命中精度は優れている。もちろん先端が円錐状で少しだけ平らになった形の高価なマッチ弾よりは劣るが、練習用には問題ないレベルの差である。


 私には意外だったんですが、ホローポイント弾はフルメタルジャケット弾より命中精度が高いというんです。その理由は「重心が後ろに来る」からだというんですが、私にはこれがよく理解できません。飛行機にしろ矢にしろ、普通飛行物体の重心は前寄りにあるもので、この方が安定しそうに思えるんですが。「Fuhrungsflache」は、実際には「u」と「a」の上に横並びの点々がついたドイツ語独特の「ウムラウト」になっています。この単語は「フュフルングス」(導くといった意味)と「フラッヒェ」(表面という意味)が合成された単語です。日本語や英語で何というのか知りませんが、これは弾頭がバレル内と接する部分を指すようです。

イラスト1 イラスト2 

 極端に示すと左のようにバレル内に接する長さが長い方が、右のように短いものより一般に命中精度が高くなりやすいというわけです。これはその方が弾の動揺が少なくなるはずで、分かるような気がします。セルフディフェンス用などの場合命中精度が多少高かろうが低かろうがあまり重要な意味はないと思いますが、例えば警察がMP5で50m以上離れた犯人を狙撃する場合などは少しでも命中精度が高い方が有利でしょう。


ポイント2 人体内弾道 
 ホローポイント弾は、一般的にはその命中精度より、フルメタルジャケット弾よりターゲットに対する効果が優れている点で評判である。フルメタルジャケットの尖った先端は全ての自動火器に確実な送弾を約束する。しかしフルメタルジャケット弾は貫通力が大きく、跳ね返りや跳弾の危険が大きいため無関係の人を危険にさらす率も高いし、ターゲットに対する効果も失望させるものでしかない。9mmパラベラムのフルメタルジャケット弾を公用に使用した場合は悪評が大きいし、一般市民がセルフディフェンス用に使用した場合も有効な働きをしないことが多い。命中弾を受けた攻撃者が短時間で行動不能に陥らないケースがしばしば起こる。緊急時に敵の体のどこに命中弾を与えられるか予測は不可能である。だから理想的な部位にあたらなくても大きな効果が得られることがぜひ必要になる。
 小脳、幹脳といった重要器官に命中した場合をのぞき、敵を行動不能にする効果は直接的なものではない。傷の痛みや、出血による脳への酸素供給量の削減によって起こる。心筋自体に命中しても約15秒行動能力は持続する。どうしたら即時に行動不能にできるかは実践の場で常に問題となっている。
 大きな効果を得るために、弾丸の運動エネルギーを大きくすればいいというものではない。本来ハンドガンは威力と、携帯性やリコイルの強さなどとの妥協を強いられる存在だ。その条件下で弾丸は敵の体に全てのエネルギーを与え、大量出血によって早く行動不能にするものでなければならない。弾丸がターゲットにエネルギーを与える際には抵抗を受ける。ソフトターゲットである生体組織内では、弾丸にはいわゆる流体抵抗が働く。この抵抗は横断面積が大きくなればなるほど大きくなる。
 今日では「口径は大きければ大きいほどよい」といった単純な考えはとっくに廃れており、ターゲット内部でマッシュルーミングして横断面積が大きくなる変形弾に長所があるとされている。フルメタルジャケット弾はソフトターゲットに突入しても変形しないが、ホローポイント弾はターゲット内部の流体抵抗によって内から外へと変形するように作られている。このことによって貫通の危険は減り、弾丸の持つエネルギーはより効率的に敵の体に引き渡される。そして、敵をより早く行動不能にする効果が期待できる。理想としては変形はターゲット突入後わずかの距離で均等に起こることが望まれる。このためにはジャケットの強さ、コアの硬度、穴の形、深さなどが変形の早さ、程度が重要になる。
 変形弾には多くの技術的要求が出される。エネルギーの発散は早すぎ、急激すぎてはいけない。体の深部に到達しなくなるからだ。一方無関係の人を危険にさらさないため、できるだけ貫通しないものでなくてはならない。実践においてはさまざまな問題点が浮かび上がる。例えば薄い木や衣服を貫通したのちに人体に突入した場合、木片や繊維によってホローポイントの穴がふさがれてしまい、まるでフルメタルジャケットのように高い貫通力を示してしまうことがある。このように多くの問題があるため、マーケットに数多くの可能性を示す解答例が存在することに何の不思議もない。全てのケースにおいて理想的な弾薬などというものはないのだ。しかし構造、製品によって成績の差があるのも確かである。


 この部分は皆さんにとってもほとんど当たり前の一般論だと思いますが、1点だけ少なくとも私は知らなかった問題点が指摘されていました。人体突入前に薄いものを貫通するとホローポイントの穴がふさがれ、裸の人体に直接あたった場合より速度は落ちているのに貫通力が高まってしまうことが起こるということです。


ウィンチェスターのレンジャーSXTは、アメリカのマスメディアに忌み嫌われた「ブラックタロン」の後継である(タロンは猛禽類などの爪の意)。後継というより同じものといったほうが近い。ウィンチェスターは90年代の初めに世論の袋叩きに合って名称の変更を余儀なくされたのだ。「ブラックタロン」という名称はマスコミを刺激しすぎ、門外漢が「この弾は内蔵を引き裂くものである」などさまざまな非難を浴びせた。この名称は、弾丸に黒い皮膜をかぶせてあるという意味と、弾丸が変形した際にジャケットの拡張した部分が横方向に爪状に突き出す、という意味を複合したものだった。新しい商品名「レンジャー」はより悪意のないものとなった。この弾は構造上では強靭なジャケットが特徴である。先端部、穴の周りには6つの刻み目があり、これにそってジャケットが裂けるようになっている。この弾は、ゼラチンブロックの前にベニア、硬い繊維、漆喰の壁材などを置いたテストでは憂慮すべき結果が得られた。これはウィンチェスター製に限らず、他の多くのホローポイント弾も明らかに侵入深度が大きくなってしまっている。レーンジャーの場合、2割のケースでこれが起きた。ハードターゲットに対する貫通力は8gのフルメタルジャケットと同等で優れている。ただ、強化ガラスに対する射撃テストでは完全にズタボロになってジャケットとコアが分離してしまった。ただ、これも他の多くのホローポイントで同じ結果が出ている。


 「ブラックタロン」が批判されているという話はGUN誌などでも伝えられていましたが、実際には極端に他のホローポイント弾と異なるものではなく、名称を変更したら沈静化したということのようです。アメリカのマスコミは日本のマスコミよりはるかに銃器に関する知識があるはずですが、結構いい加減なもんですね。
 改名された「レーンジャーSXT」は、強靭なジャケットを持ち、ハードターゲットに対する貫通力は高く、あらかじめジャケットに切れ目があるためソフトターゲットに突入すると流体抵抗で先端が6つに裂けて大きなストッピングパワーを発揮するように考えられたもののようです。横方向に開いた硬いジャケットはまるで刃物のように人体内部を傷つけて出血を多くする、ということなんでしょう。非常によく考えられていると思いますが、ジャケットが硬いため、もし穴があらかじめ貫通した物体によってふさがれてしまうと、ほとんどフルメタルジャケットのような貫通力を示してしまう場合があるということです。難しいもんですね。また、硬いジャケットが特徴であるこの弾ですら、強化ガラスを貫通すると完全にズタボロになってしまうというのも意外です。「アクション4」が真鍮製でありながら強化ガラスを貫通すると9%も重量を減らしてしまうことがあるというのは意外でしたが、ガラスの貫通は想像以上に弾丸に負担を強いることのようです。


ウィンチェスターのシルバーチップはアルミをジャケットに使った初めての弾薬であり、1986年のいわゆる「マイアミ銃撃戦事件」でFBI捜査官が殉職した事件とのつながりで悲劇的な悪評を得た。当時アメリカの連邦刑事当局は115グレインのこの弾を公用として使っていたが、この弾は軽すぎ、極端に変形しすぎだった。この事件を通して人体への侵入深度が浅くなり、ストッピングパワーが不足することが証明されたのだ。
 今回テストに使用した「シルバーチップHPU」はその名に反して最初の世代のシルバーチップとはほとんど共通点がない。現在使われているのはオランダ黄銅にニッケルメッキしたジャケットで、外観は銀色に輝いている。そして貫通力は大きめに、変形は少なめにされている。しかし、それでも充分ではないようで、テスト結果では驚くほど貫通力が低かった。


 名称が変わって内容がほとんど同じものである「ブラックタロン」と対照的に、「シルバーチップ」は名前は同じながら最大の特徴であった「アルミのジャケットを使い軽量高速で変形しやすい」という点はすでに放棄され、別物になっているということです。すでに何度も書いたように、軽量の弾は高速で人体に突入しても急激に減速してしまい、貫通力が低くなる傾向があります。極端に変形するものはなおさらですね。一時シルバーチップが対人用弾薬として決定版であるかのように書いている国内の専門誌もありましたが、これではダメだということがすでに証明されてしまっているわけです。しかしそれなら素直に非を認めて絶版にすればよさそうなものを、性質上全然別ものの弾にわざわざニッケルメッキして同じ名称で売るというのはちょっとメンツにこだわりすぎのような気がします。
 ちなみに「オランダ黄銅」とは聞きなれない物質ですが、これは私の辞書で「Tombak」の訳語がそうなっていたのでそう書いたものです。真鍮「Messing」と明らかに区別されていますが、合金の比率の違いで、おおよそ近いものだと思います。ちなみに「オランダ黄銅」で検索してもヒットなしでした。


ゴールデンサーベルはレミントンが「ブラックタロン」に対抗して発売したものだ。この弾のディテールは興味深い。ジャケットは普通のオランダ黄銅ではなく、非常に硬い真鍮(CuZn30)でできている。ジャケット先端部には刻み目が見えるが、これは表面だけでなく穴の内側まで貫通したスリットになっている。ジャケットはプレス加工で作られ、先端部は折り重なっている。硬いジャケットが圧縮された先端のため、高い貫通力を示す。弾丸は最大径部分が長く、これにより命中精度が高まる。ソフトターゲットに撃ちこむとジャケットは丸ノコのような形に開き、鉛のコアより直径が大きくなる。強化ガラスを撃つとジャケットとコアの結合はますます固くなる。
 スタンダードなものは124グレインだが、今回は147グレインの亜音速弾もテストした。この弾はハードターゲットに高い貫通力があるだけでなく、ゼラチンに対しても充分な貫通力と拡張によるエネルギー発散の良好なバランスが得られた。ジャケットはめくれかえるように変形し、コアはそれとは別個に変形した。このような角の尖った弾は危険のように見えるが、外科医の証言によればピンセットで摘出しやすく、丸くなめらかな弾丸の方が処置が困難であるという。この点は他の大きく変形する弾丸でも同じことが言える。
 この弾丸はバランスがよく、万能弾薬として推薦するに値するが、唯一漆喰やベニアなどを貫通することで穴がふさがれ、高い貫通力を示してしまうことがあるのが難点である。


 先端部の作り方はちょっとわかりにくいですが、要するに円筒形のジャケット先端部に複数のスリットを入れ、ダンボールを閉じるときやるように順に重ねる形で先端を作っており、浅い刻み目がある通常のものとは異なるということです。よく見れば先端部が重なり合っているのが分かりますが、他の弾頭と大差ない形に成型されています。ブラックタロンに対抗したものというだけあって、硬いジャケットがハードターゲットに対して高い貫通力を示し、ソフトターゲットに対しては大きく開いて高いマンストッピング効果を示す点は似ています。ただ、デザインの違いから強化ガラスには強く、すでに説明した理由により命中精度が高いという長所があるようです。ただ、やはり穴がふさがれて高い貫通力を示すケースがあるという問題点はあるわけです。


スピアーのゴールドドットは90年代に開発されたものだ。これまで紹介してきたものと異なり、この弾は厳密にはジャケッテドホローポイント弾ではなく、電気的に銅メッキされた全鉛弾である。穴はプレス加工で作られ、その後メッキされている。この製法によってコストは下がり、「コア」と「ジャケット」の密着性は高くなる。穴には6つの刻み目がつけられ、均等に変形する。この弾はハードターゲットに対する貫通力が高く、ガラスを撃っても重量を失わない。


 この弾の場合メッキにどういう意味があるんでしょうか。バレル内に鉛がこびりつきにくいというのはあると思いますが、これは威力とは直接関係ないことです。メッキすることによってハードターゲットに対する貫通力やガラスへの耐性が少しは高くなるんでしょうか。ガラスに撃った場合、真鍮製の「アクション4」ですら8〜9%の重量を失い(この場合はガラスの厚さなどの条件が異なるのかもしれませんが)、強靭なジャケットを持つレンジャーSXTもズタボロになるのに、銅メッキしただけの全鉛弾が重量を失わないというのはいまいち納得いかないんですが。


 天才の頭は弾丸を変形させるのに必ずしも穴を必要としない。今回のテストではすでに一般市民に普通に使われている穴のない変形弾薬も参加させた。
 ダイナマイトノーベルの青いプラスチック弾薬は、当然ハードターゲットにもソフトターゲットにも高い貫通力を期待できるわけがない。この弾は重量を減らし、急減速してエネルギーを発散することを狙っている。この弾は薄い金属板も貫通しないので航空機護衛官の武装としてすでに試験的に使われている。しかし今回の結果によればこの弾がその重要な任務に耐えるかどうかは疑わしい。この弾は服を着せたゼラチンにまったく侵入しなかったからだ。


 ごめんなさい。「アクション4」のとき、「ダイナマイトノーベルがRUAG Ammotecと改名した」と訳しましたが、これは誤りだったようです。この記事ではダイナマイトノーベルとRUAG Ammotecが両方登場していますので。私のドイツ語力不足でよくわからないんですが、「アクション4はRUAG Ammotecがダイナマイトノーベルから引き継いだ」ということでしょうか。
 この「青いプラスチック弾薬」というのは、たぶん「別冊GUN Part2」の特殊弾薬に関する項目で紹介されているものだと思います。弾性が低い粘土には大きな穴を開けていますが、服を着せたゼラチンにまったく侵入しないということです。これでは顔面に命中しない限り効果は期待できず、ここで指摘されているようにちょっと頼りなすぎでしょう。


 フェデラルは数年前から興味深い新弾薬を提出している。EFMJ(エクスパンシブフルメタルジャケット)だ。この弾は鉛のコアと平らな先端を持つフルメタルジャケット弾だ。変わっているのは、先端のジャケット内部に柔らかい樹脂が内蔵されていることだ。テストでこの弾が安全弾薬であるとの評判が正しいことが裏付けられた。ソフトターゲットに対する貫通力は低く、エネルギーの発散は大きい。ハードターゲットに対しても貫通力は低く、鉄や石に命中すればほとんど粉々になり、無関係の人に危険を与える可能性が小さいため、セルフディフェンス向きである。この弾は穴がないので穴がふさがれて貫通力が高まってしまうということはない。


 今回の記事でいちばん興味深かったのはこの弾です。イラストで示しますが、記事には使用前と使用後の写真があるだけなので想像をまじえたものです。

EFMJ使用前EFMJ使用後 

 青い部分がジャケット(色から見てたぶん銅)、灰色の部分は鉛のコア、ベージュの部分に柔らかい樹脂が詰まっています。命中すると、それがハードターゲットであろうがソフトターゲットであろうが樹脂を内蔵した部分がつぶれてぺちゃんこになり大きく拡張します。実際にはこの樹脂は白く、当たり前ですが裂け目からぶにゅっと飛び出して、ちょっと気持ち悪いです。これなら当然穴がふさがれて貫通力が高まってしまうことはないわけです。実際にはかなり敏感で、一定以上ハードなものにあたると粉々になる安全弾薬として販売されているようですが、もっとジャケットをハードにして貫通力を高めることも可能でしょうし、逆にコアを少なくしてジャケットも思い切り薄くし、命中すると1枚の板みたいになってしまうものにもできるはずです。後者は薄い金属板に直接あたっても貫通しにくいEMB−A以上の航空機内用弾薬になりうるんではないでしょうか。この弾は今後伸びてくる可能性大だと思います。

 この後記事は結論に入ります(あまり興味深くない弾薬については省略しています)が、使用目的や自分の銃器との相性、反動が制御しやすいかなど総合的に検討して決めろといった全然面白くない一般論なので省略します。
 最後にテスト結果を示しておきます。数値は順にA(裸のゼラチンへの侵入深度)、B(服を着せたゼラチンへの侵入深度)、C(1mmスチール板の貫通枚数)を示します。ここに示すのは全て9mmパラベラムの数値です。

ゲコ フルメタルジャケット 8g A 42〜45 B 40〜45 C 5

ウインチェスター レンジャーSXT 147グレイン(9.5g) A 37 B 33 C 4〜5

ウインチェスター シルバーチップ 147グレイン A 27 B23 C 2

レミントン ゴールデンサーベル 147グレイン A 26 B 22.5 C 4

レミントン ゴールデンサーベル 124グレイン(8.0g) A 26.5 B 27 C 資料なし

スピアー ゴールドドット 147グレイン A 28 B 資料なし C 4

スピアー ゴールドドット 124グレイン A 17 B 資料なし C 4

IMI サブソニックフルメタルジャケット 10.2g A 52 B 50 C 3

ダイナマイトノーベル ペネトレーター 7.1g A 42 B 42 C 9

ヒルテンベルガー EMB 5g A 18 B 18 C 5〜6

RUAG/ダイナマイトノーベル アクション4 6g A 25 B 23 C 5

ダイナマイトノーベル PT(プラスチック弾) A 4 B 侵入せず C 貫通せず

フェデラル EFMJ+P 124g A 21.5 B 22.5 C 2

 最初に挙げたのは比較の基準となるべきフルメタルジャケットの結果です。ホローポイント弾は一般にフルメタルジャケットに比べ、鉄板への貫通力は大差ないのにゼラチンへの侵入深度がはるかに浅いものが多いのが分かります。これはもちろんゼラチンのようなソフトターゲットにあたると大きく拡張し、鉄板のようなハードターゲットにあたってもあまり拡張しないためです。その中でシルバーチップのみ鉄板への貫通力が極端に低いのは、鉄板にあたってもジャケットとコアが分離して完全に壊れてしまうためだそうです。
 EFMJはハードターゲットにあたっても大きく拡張するので、鉄板への貫通力がシルバーチップ同様低くなっています。
 ここでは比較的薄い衣服を貫通した後にゼラチンに突入した場合なので裸のゼラチンより極端に深く侵入しているものはないようですが、これは平均値であり、数発に1発これが起きる、という場合には数値に大きく反映しない、ということもあるようです。それにしても穴がふさがれて高い貫通力を示すことがないはずのEFMJが服を着せたゼラチンにわずかとはいえ高い貫通力を示しているのは何故なのか不思議です。
 IMIのサブソニック弾は通常よりずっと重く、低速なフルメタルジャケット弾です。本来の意図ははサイレンサー使用時に衝撃波による音が発生しないということです。この弾はゼラチンに対する貫通力が非常に大きいのに鉄板に対する貫通力が低く、この点は興味深いです。一方、ダイナマイトノーベルのペネトレーターは真鍮製のいわば徹甲弾ですが、この弾は比較的軽量です。この結果鉄板に対する貫通力は通常のフルメタルジャケットの倍近いのに、ゼラチンに対する侵入深度はフルメタルジャケット以下だというのも興味深いです。複雑なもんですね。
 ヒルテンベルガーのEMBはEMB−Aの原型になったものですが、写真で見る限り両者は区別がつかないくらい似ています。たぶんEMB−AはEMBと形状等はほとんど同じで、合金の比率を変えて柔らかくし、極端に素早く拡張するようにしただけのものではないでしょうか。これなら開発期間が短くても驚くことはないですね。EMBも硬い材質でできた軽量高速弾で、ゼラチンに対する侵入深度は少なく、鉄板に対する貫通力はフルメタルジャケット以上になっています。やはりこのことから、EMB−Aも金属板に直接あたったら大きな貫通力(ひょっとしたらシルバーチップやEFMJ以上の)を示してしまうのではないかという疑念を強めました。
 さて、こうして見ると、ソフトターゲットに対する貫通力が大きすぎず、小さすぎず、ハードターゲットに対する貫通力はフルメタルジャケットと同等で、強化ガラスを貫通しても重量の1割以下しか失わず、人体突入前に何を貫通しようが穴がふさがれて高い貫通力を示してしまうことがないというアクション4はきわめて優れた弾薬なのだなとあらためて思いました。


  

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