フィリピンの中国提訴問題関連2題

 今年中に大きな動きがありそうですが。

http://world.huanqiu.com/exclusive/2016-03/8627487.html


フィリピンの議員、対中国経済制裁を提案 中東からの石油輸入ルートをふさぐ

【グローバル時報総合報道】 「日本は南海の航路に対し非常に関心を持ち、南海が中国の絶対支配下に置かれることを心配しており、このためあらゆる方法を講じて中国を牽制し、引き込める国は全て引き込もうとする。特にフィリピンと中国の矛盾は最大で、フィリピンにもまた需要があり、フィリピンを支持して中国を牽制することは日本にとって有利である。」 上海外国語大学日本文化経済学院の教授である廉徳瑰は29日「グローバル時報」記者に対し次のように語った。日本が南海でなす動作のもう1つの目的は東海の圧力を分散させることである。中国の東海における軍事活動は比較的頻繁で、太平洋に進出するには第一列島線を通過する必要がある。まだあるのは釣魚島問題にほかならず、我々は常態化された巡航を実現している。このことは日本にとって目の上のたんこぶのようなものだと言え、このため日本は南海で中国に面倒事を増やし、中国に譲歩を迫ることを企図している。また、これはアメリカの希望にも符合する。

米日の支持があり、フィリピン当局はいささか平常心を失っている。フィリピンのRapplerニュースネットの報道によれば、フィリピン外務大臣デル ロサリオは2月29日声明を発表し、中国の南海仲裁受け入れ拒絶を攻撃した。デル ロサリオは、フィリピンとその他の国は「国際ルールを基礎とする制度」の建立推進を希望し、「もし中国が我々の共同の呼びかけを聞かなかったら、これは中国が自らは法律を凌駕するものと考えていることを意味するのではないだろうか?」とした。

この前日、フィリピン大統領府スポークスマンのケロマは類似のアピールをなした。ロイター社は2月29日、ハーグ国際仲裁法廷は5月までにフィリピンが中国を告発した案件につき裁決を出すと見られる、とした。中国はフィリピンが提出した仲裁の承認を拒絶し、争いは双方の会談によって解決すべきであるとしている。中国外務大臣の王毅は先日のアメリカ訪問の期間に、フィリピンが仲裁を訴えたことは「政治的挑発」であると非難した。

「議員、フィリピンが中国に対し経済制裁を行うよう提案」 「フィリピン毎日質問者報」は2月29日この題をもって、フィリピンの議員であるルドルフ ビヤシュンはインタビューを受けた時、もし北京が国際仲裁の裁決を拒み遵守しなかったら、フィリピンおよびその同盟国は当然中国に対し経済制裁を行うことを考慮するべきだ、と言明した。ビアシュンは、フィリピンおよびその隣国は当然に連合し、EUが「モスクワのウクライナ侵入」に回答したように中国に対応するべきで、「この場合EUがウクライナの争いの問題の上でしたように〜主に経済制裁を実施し〜少しの政治的制裁をも含むかもしれない」と提案した。ビアシュンはさらに、中国に対し中東からの石油輸入のルートをふさぐなどの報復措置を採ることができ、自分はすでに日本の国会議員や外交官と関連の措置を「非公式に討論」済みであるとした。

ビアシュンの荒唐な提案は直ちに嘲笑を受けた。「フィリピン毎日質問者報」ウェブサイト上では、opinyonlangpoという名のネットユーザーが、「あまりにもびっくりだ。私が知るところによれば、フィリピンがより中国を必要としているのであって、中国がよりフィリピンを必要としているのではない。私はいかなる制裁も中国に対してに比べフィリピンに対しより大きな損害をもたらすだろうと予測する。どの同盟国が冒険的にフィリピンと共にこのようにしたがるだろうか?」と語った。ネットユーザーのdickbananaは、「これこそ私が何故我々の大統領、政治家、議員に対し知能テストを行う必要があると言うのかの理由だ。彼らは我々の国家と能力に対し甚だしく過大評価している。実際、外国人は私に彼らの眼中ではフィリピンは立ち後れた国であると教えている‥‥」と語った。

【グローバル時報駐日本、フィリピン特約記者 藍雅歌 李珍 付強 グローバル時報記者 張旺 甄翔】


http://military.china.com/news/568/20160303/21661372.html


ドイツの学者:もし南海仲裁が主権を侵したら中国は海洋法条約を脱退してよい

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「中国の軍艦が来襲する『ミサイル』に対し弾幕式阻止射撃を行う。」)

もし侵害を受けたら、中国は海洋法条約を脱退できる

ステファン タルモン(ドイツ)

長年来、中国はずっと「国連海洋法条約」の断固たる支持者である。しかし最近、中国はそれにもかかわらず「条約」、特にその中の強制性をもって争いを解決することに関する条項が、他国によって政治的目的から利用されるかもしれないことを体得するに至っている。領土の主権と海洋境界の争いが決して「条約」の争い解決メカニズムの管轄範囲にはないことは完全に知られているが、フィリピンはぞれでも「法律戦争」を挑発して引き起こし、中国との南海の領土争いを、「国連海洋法条約」付則7に照らして設立された仲裁法廷に提出し、強制仲裁を行うよう要求している。

1970年代に「国連海洋法条約」をめぐって行われた談判の過程で、中国はもうその中の争い解決の条項に対し関心を提示し、こうした条項は「決して適当ではなく」、条約に含まれるべきでないと考えていた。当時中国は、こうした条項を別に分け、もって各国がこの種の強制性の争い解決メカニズムを受け入れるか否か自ら決定するのに便とするよう提案した。妥協と折衷を経て、談判が最終的に達成した協定は、某いくつかの争いは「条約」の強制性争い解決メカニズムの枠組み内には含まれないと規定した。その他の争いに対し、各署名国は声明を発表して受け入れないと宣言することができる。後者の中には主に、海洋境界、歴史的所有権、主権あるいは陸地または海の島の領土に関するその他の権利、軍事活動および法執行行為に関する争いが含まれる。2006年8月25日、中国はまさにこの規定に依拠して国連事務総長に対し書面の声明を提出し、上述のこうした争いに対する、いかなる国際司法あるいは仲裁の管轄も受け入れないとした。つまり、中国との間に存在する海洋問題の争いに対し、もはや裁判制度は適用されず、直接中国と関係国により協議によって解決されることになる。

だが国連海洋法条約第288条第4項の規定によれば、法院あるいは法廷が管轄権を持つか否かに関しもし争いが発生したら、この問題は争いの双方によって決定されるのではなく、この法院あるいは法廷が裁定をもって解決すべきである。これこそが関連の締結国に非常に大きなリスクと不確定性をもたらし、特に「司法能動主義」を堅持する仲裁法廷に遭遇した時にはである。この方面の現実の例こそ、2015年10月29日に、フィリピンの一方的請求に応じて建立された南海仲裁案件仲裁法廷がなした、管轄権および受理可能性問題に関する裁決であり、この案件を継続して開廷し審理すると裁定した。国際法の中に定義される争いは関連各方の間に「真の対立」が存在することを要求しているが、南海仲裁案件の仲裁法廷は実際には決してこの対立が真のものか否かを確定することはできず、「推論」によって争いの存在を確立した。しかもひとたびこのようになるや、元々領土主権と海洋境界に属する争いも、この仲裁法廷によって海洋の地形地貌と海洋権益を源とする争いと改めて定義づけられてしまった。まさにこの仲裁法廷が指摘するように、中国はまだこうした問題の中で詳細に立場を明らかにしていない。

もし南海仲裁案件の仲裁法廷が2016年後半になすことがあり得る裁決の中で、中国の南沙の島嶼の領土主権を侵害する方式をもって法廷により「再定義」された争いに判決を下したら、中国は「国連海洋法条約」脱退の可能性を考慮してもかまわない。「条約」第317条の規定によれば、締結国は国連事務総長に書面で通知し本条約を脱退することができ、かつその理由を説明することができる。理由を説明していないことは脱退の効力に影響しないべきである。脱退は通知を受け取った日から1年後に効力を発生すべきこととされている。脱退を理由にその締結国だった時にすでに生じていた義務を解除することはできないが、それにもかかわらず中国は将来ベトナム、インドネシアあるいはマレーシアの南海に関する、および日本の東海に関する類似の訴えの拘束をもはや受けないことができる。

(頑住吉注:これより2ページ目)

もし「国連海洋法条約」を脱退したら、中国はこれにより何らかの深刻に不利な影響を受けるのか否か? 簡単に言えば受けないだろう。中国は継続して「国連海洋法条約」がもたらす大多数の有利な条件を享有することになるだろう。何故なら現在この条約の絶対多数の条項はすでに習慣国際法の組成部分と見なされているからである。唯一の例外は「条約」の中の「区域」に関する条項かもしれず、例えば深海鉱産採掘(第XI部分)、海洋技術の開発と移転(第XIV部分)および強制性争い解決に関する条項(第XV部分)である。アメリカを例にすると、過去33年来ずっと「国連海洋法条約」の締結国ではないが、アメリカが何らかの深刻な問題に遭遇したことは全くない。ちょうど逆に、アメリカは「条約」の枠組みの下の大部分の有利な条件を享受しており(例えば航行や飛行の自由、排他的経済水域および大陸棚の権益等)、一方いかなる「条約」が要求する責任も担う必要はない。もし「条約」を脱退したら、中国はもはや国際海洋法法廷の裁判官の席を持たず、もはや大陸棚境界委員会に向け代表を派遣、駐在させることはなく、もはや国際海底管理局のメンバー国でもなくなる。中国は習慣国際法を根拠に対外的に大陸棚およびその資源の権益を主張するかもしれないが、そのエネルギー関係の会社はこの「区域」の探査と開発活動の外に排除されるだろう(彼らが別の締結国によって登録および資金援助されていない限りは)。

中国が最終的に、継続して「国連海洋法条約」締結国となろうと考えるか否かは、司法および政治領域の「コスト収益」分析結果によって決まることになる。「条約」自体が中国のために脱退の道を提供しており、もしその領土主権が「条約」を根拠に設立された仲裁法廷がなす裁決の侵害を受けたら、中国には直ちに脱退の理由が生じる。(作者はドイツのボン大学国際法研究所所長、オックスフォード大学聖アンナ学院兼職研究員、本文は王暁雄によって翻訳された)


 どんな裁決が出ようとも中国が受け入れず直接の実効性がないことは分かっているわけですが、本来武力衝突に発展しかねない争いを法的な手段で解決しようとするのを「政治的挑発」だとする主張はおそらく世界のどこでも共感を得ないでしょうし、採決を無視し続ければ中国の国際的イメージが低下することになり、まったくノーダメージでは済まないはずです。














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