中国の極超音速滑空ミサイルの意義は

 「速いことじゃないの?」と思いますが、実はそうではなくむしろ逆らしいです。

http://military.china.com/news/568/20140116/18292931.html


専門家:中国の極超音速武器は空母打撃のための技術的可能性を提供する

中国の極超音速武器の謎

新華ネット特別原稿:ネット上のある報道は、アメリカの「ワシントンフリービーコン」が1月13日に報道を行い、アメリカ国務省のある当局者が、中国は1月9日極超音速滑空搭載具をテストしたと言った、と提示したとする。ネット上でアメリカメディアも含めてこの極超音速滑空搭載具を報道している時、具体的にどんなものなのかは言葉が簡単すぎてよく分からなかった。ネット上でも各種各様の解読が行われたが、いずれもはっきりと語ってはいない。アメリカの報道に関し、我々の当局メディアも事実だとの確認を行っておらず(頑住吉注:中国国防部のコメントは出ています。次の記事参照)、我々もこの件自体に評価や事実確認を行うことはできない。だが我々は極超音速滑空搭載具自体から着手して、それが一体どんなものなのか、意義はどこにあるのか、何に用いるのかを語ってみることはできる。

極超音速武器とは一体何者なのか?

アメリカの「ワシントンフリービーコン」の報道から見て、極超音速滑空搭載具は、実際には弾道ミサイルの弾頭に違いない。普通の弾頭と異なるのは、それが実際上揚力体であり、ミサイルの弾頭の末端において滑空により、本来の弾道式の弾道を飛行航行式弾道に変えさせることができることだ。例を挙げると、この前ある報道が、ロシアのいくつかの新型大陸間弾道ミサイルは弾道飛行段階と飛行航行段階という2種の飛行状態を持つ、と報道している。弾道ミサイルは何故飛行航行式弾道を持つのか? 極超音速滑空搭載具を見れば、すぐこの謎を明らかにすることができる。

極超音速武器の核心的秘密は何なのか?

一般的に言って、弾道ミサイルは大気圏に戻る前に弾頭を放出するが、これは単一弾頭かもしれないし、分離誘導の多弾頭の可能性もある。弾頭の外部には大気圏再突入の搭載器があり、原理的に言うと神舟宇宙船の大気圏再突入の時のものにやや似ている。材料の外殻が劣悪な環境を受け入れられ、弾頭が飛行過程を完成させられるよう保護することが要求される。弾頭は通常、弾道式飛行の弾頭であると言え、過去の意味で言えば自由放物線式の弾頭であり、固定された弾道通りに飛行した。だが現在、極超音速滑空搭載具ができてからは、弾頭はひとたび大気圏に進入すると、進入したばかりの希薄な大気層であってもすぐ揚力が発生し(頑住吉注:速度が速い方が大きな揚力が働くので)、まるでグライダーのように大気圏内を飛行航行式弾道に照らし、末端段階の飛行を完成させるのである。

極超音速武器最大の意義は結局のところ何なのか?

アメリカが懸命にプッシュするミサイル防御システムは、相手方のミサイルの迎撃準備がしたければ、まず早期警戒の問題を解決する必要がある。弾道ミサイルの固定式の弾道は、ちょうどよく反応時間のために1つの反応の余地を残している。何故なら固定された弾道は、いかなる一点の弾道の位置および速度位置などのパラメータを正確に計測できさえすれば、すぐ全体の弾道が推算でき、末端段階での迎撃のために充分な反応時間を残すからである。だがひとたび滑空式搭載器を採用すれば、弾頭が大気圏に触れるや弾道はすぐに変わり、固定された弾道通りに飛行するわけではなくなる。コントロール可能な飛行航行式のミサイルの飛行中、このような弾頭に対し迎撃を行おうとすれば、反応時間は失われるのである。理論的に言うと、もしマッハ10以上の極超音速に到達しようとする搭載器だったら、現有の末端段階対ミサイルシステムにとって基本的に全て迎撃不可能なものに属すると言える。このため、極超音速武器最大の意義は、対ミサイルシステムの末端段階迎撃を有効に突破する核心技術なのである。

極超音速武器はどういった付属的なメリットをもたらすのか?

このような滑空式搭載器はいくつかの付属的メリットをもたらすだろう。まず、ミサイルの有効射程が延長できる。飛行航行式の弾道飛行の飛行距離は本来の自由落下の方式に比べずっと長いだろう。このことはミサイルの射程が大幅に延長できることを意味している。ミサイルはやはり本来のミサイルであり、ロケットもやはり本来のロケットであり、このような弾頭を使うよう改めさえすれば、ロケットの射程が大幅に延長できる。少なくとも理論的にはこのような実行可能性を持っている。これは明らかに非常に大きなメリットである。

極超音速武器は空母打撃のために技術的可能性を提供した

もう1つのメリットは、飛行航行式の方式を用いて完成させる以上、正確な位置決定の問題の解決を必要とし、ある一点を正確に打撃することが必須だということである。このような弾頭は正確な末端段階制御誘導システムを持つことが必須である。このような飛行方式自体が、正確な末端段階制御誘導システムの使用のためにある可能性を提供している。大陸間弾道ミサイルの弾頭は突入段階において飛行速度がマッハ20以上になり得る。このような高い速度で大気圏に再突入する時、弾頭と大気圏の空気との摩擦は高温高熱を生じさせ、弾頭外部にプラズマを形成し、あらゆる光電子信号を遮蔽し、伝統的な方式で末端段階制御誘導を行うことはできない。これはちょうど我々が神舟宇宙船の回収過程で一時期ブラックアウトの期間があったのを見たようなもので、ひとたびブラックアウト期間に入ると、無線電信、ビデオ信号はいずれも中断する。だが現在におけるこの種の極超音速の滑空式搭載器は、大気圏に進入するや抵抗が増加し、素早く速度をマッハ十何、二十何から下げ、ブラックアウト期を回避し、弾道ミサイルの末端段階正確制御誘導を可能にし、しかも目標を打撃する能力を持たせる。この意義は相当に重大で、このことはこの種のミサイルが有効に海上目標を正確に打撃できることを意味している。例えば空母打撃のために技術的可能性を提供している。

極超音速武器は宇宙飛行機上で使えるのか?

アメリカメディアの報道から見て、主に弾道ミサイルに用いられ、主に使われるのは中距離弾道ミサイルである。これまでの報道から見て、ロシアの技術が比較的先んじており、大陸間弾道ミサイルにも用いられている。原理的に言って、これはさらに宇宙飛行機から投射する攻撃武器にも用いることができる。何故なら宇宙飛行機が宇宙を飛行している時、もし投射された弾薬が採用するのが滑空式だったら、同様の効果が達成できるからである。このような極超音速滑空搭載具、別の言い方をすれば突入器は、将来の対ミサイル技術の迎撃の打破、そして未来の戦略武器の正確打撃、打撃範囲、防御突破能力いずれの向上に対しても相当に重大な意義がある。この角度から言うと、これは未来の弾道ミサイルの発展が広範に採用し、また突破の取得を必要とする重要な技術でもある。


 速度が低下すれば迎撃しやすくなる別の要素もあるとは思いますが。また我々としてはレーザー兵器の発達でこうしたものが迎撃できるようになることを期待したいところです。

 もう1つ関連の記事を紹介します。

http://military.china.com/important/11132797/20140120/18299984.html


ロシアの上将:中国の極超音速ミサイルの研究開発は米ロに決して追いついていない

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「これは中国が建造した世界で唯一のJF12極超音速衝撃波風洞である。この風洞は中国に、極超音速武器研究開発方面においてアメリカ、ロシアいずれに比べてもより良い空力研究の条件を持たせる。」)

人民ネット1月20日の情報 「ロシアの声」ウェブサイトの報道によれば、ロシア戦略ミサイル部隊総司令部の元司令イエシン上将は「インターファックス-ABH」に対し、中国は最近極超音速ミサイルの試験を行ったことを事実確認し、ミサイル技術領域で重要な一歩を踏み出したが、中国がロシアとアメリカに先んじていると言うのはまだ時期尚早だ、と語った。

中国が極超音速ミサイル試験を行ったことに対しイエシンは評論し、「見たところ中国人はアメリカ人およびロシア人にまだ追いついていない。何故なら彼らは極超音速ミサイルに対し初の試験を行っただけだからだ。歴史の経験は、ミサイル武器の研究開発の上では奇跡は存在しないことをはっきり示している。」と語った。

イエシンは、「もしアメリカメディアの、中国が極超音速ミサイル初試験を行ったことに関する報道が事実に属せば、中国はアメリカとロシアの直後にぴったりつけている。だがロシアとアメリカは今世紀初めにもう類似のミサイルの研究開発に従事していた。」と語る。イエシンは補充し、「中国の研究開発の成功性に対して評価を行おうというのは不可能だ。何故なら試験結果の情報を獲得する可能性がまだないからだ。」と語る。

アメリカメディアの報道は、1月9日に中国軍は初めてマッハ10のスーパー武器を試験し、「目的はアメリカのミサイル防御システムの突破だ」とした。15日午後、中国国防部は回答し、我々が国境内で計画通り科研試験を行うのは正常なことで、こうした試験はいかなる国家や特定の目標に照準を合わせたものでもない、とした。(黄子娟)

(頑住吉注:2ページ目)ロシア軍の極超音速武器はまだ試験中であり、現在まだシステム全体の試験を行ったことがあるとの報道はない。実は、現在ロシア軍が構想するグローバル打撃武器システムは大陸間弾道ミサイルの核弾頭を通常弾頭に交換したものである。専用の極超音速武器であるのか否かに関しては知り得ない。

(頑住吉注:3ページ目)もし大陸間弾道ミサイルの弾頭を極超音速打撃武器に交換したら、これは全く新しい戦略打撃武器システムに違いない。だが大陸間弾道ミサイル発射のデリケートな性質のため、もし通常極超音速打撃弾頭が配備されても、実際の効果をさらに複雑なものにする。(頑住吉注:着弾してみるまで核弾頭か通常弾頭か分からないので相手国やその同盟国が過剰な反応を起こして問題が拡大するおそれがある、というようなことですかね。)

(頑住吉注:4ページ目)アメリカメディアの報道は、中国が試験した極超音速武器の飛行速度はマッハ10で、大陸間弾道ミサイルによって搭載されて発射される、としている。これはアメリカサイドの視点である。

(頑住吉注:5ページ目)米軍には多くの極超音速打撃武器の開発計画がある。だが今までにX-51Aだけが成功を獲得している。

(頑住吉注:6ページ目)アメリカの極超音速飛行機の想像図。これも比較的適した米軍のグローバル快速打撃武器である。

(頑住吉注:7ページ目)米軍はB-52戦略爆撃機を利用してX-51Aを搭載し、すでに相当に高い武器工程化の程度を有している。

(頑住吉注:8ページ目)将来、新世代のステルス爆撃機によって成熟した極超音速打撃武器が搭載され、この両者の結合はあるいはより実行可能性の高いグローバル打撃作戦方式かもしれない。


 私のこの分野で中国がアメリカに先行しているというのはちょっと周辺の種々の技術の隔たり等から考えにくいと思います。アメリカに危機を煽る発言があるのは、1つには予算削減の中でより多い予算を獲得したいからでもあるでしょう。しかしこのままでは差が詰まっていくばかりだというのは確かです。














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