ロシア、無人機でも大きく後れを取る

 「米ロの衛星関連2題」では宇宙開発関連でアメリカが独走し、最近失敗が続いているロシアを引き離している、という内容の記事2つをお伝えしましたが、今回は無人機をテーマとして記事を2つ紹介します。ただし今回最新の無人機を登場させたとして話題になっているのはアメリカではなくカナダですが。

http://military.china.com/news2/569/20130722/17958391.html


カナダ、無人機空中監視システムを小銃に組み込みへ

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「Huggin X1ミニ無人機」)

戦闘中、ある小山の背後に敵が潜伏している可能性があるが、光学、レーザー、赤外線などの偵察機材はいずれも正確に判定できない。この時、指揮員は手中の小銃をいじり始める。すぐに1機のミニ無人機が山頂上空に飛び、視察された山の後ろの態勢が指揮員の小銃上のモニターに伝達される。その後、正確な火力打撃が落ち着いて始められる‥‥

以上は決してSF映画の中の場面ではなく、あるカナダの銃器会社が兵個人のために研究開発したネットワーク化空中監視システムの実際の機能である。このシステムは小銃とミニ無人機との間のネットワーク連結が実現でき、兵士に無人機からデータを取得させ、かつその飛行をコントロールさせる。

この技術は決して小銃に対しあまり多くの改良は行わず、小銃のグリップにワンセットの「目標採集システム」と呼ばれる部品を組み込むだけである。これは世界初の小火器プラットフォーム上で無人機がコントロールできる設備であり、オープンソースのネットワークデータインターフェイス、中央電源、GPS受信機、ナビゲーション装置各1を含む。

この設備に頼り、小銃の地理的位置および向いている角度をネットワークデータインターフェイスを通じて無人機上に送ることができる。歩兵は自らの照準情報を用いて無人機の偵察のために誘導を提供することができ、独立したモニターによって無人機が獲得したリアルタイムの情景を視察することもできる。また、無人機の監視コントロールデータはさらに兵士の携帯用パソコンあるいは付近の装甲車上に伝達され、歩兵分隊が集中した火力打撃を展開するのに支持を提供することもできる。

目標採集システムとつながる無人機はあるデンマークの会社によって生産される。これは「Huggin X1」という名のミニ無人機で、全幅0.5m、重量1.39kg、電池で駆動される。だが、この無人機はサイズは小さいものの能力を見くびることはできない。この機は25分連続飛行でき、飛行高度は海抜3,000m余りに達する。しかも、この機はGPS設備を搭載し、かつ各種のセンサー、例えばサーモグラフィー装置、光学撮影機などが搭載できる。

メーカーは、この無人機は歩兵が敵に対し実施する間接火力打撃を誘導できるだけでなく、さらにリアルタイムで敵サイドの戦損状況を視察できる、とする。しかも、任務完成後は小銃上のボタンを押すだけですぐに無人機を直接発進ポイントに戻らせることができる。

今年5月29日、CANSECカナダセキュリティー展において、メーカーはすでにこのネットワーク化された空中監視システムの原型製品を展示した。彼らは今後6〜12ヶ月以内にこのシステムに対するさらに一歩の細かな最適化を行い、1年以内には実際の製品が生産できると見られる。

メーカーはさらに、この製品は設計の中でいかなるアメリカにルーツを持つ技術も使用していない、とする。このことは製品のセールスが、アメリカ政府が制定した国際武器貿易規則の制約を受けないことを意味する。ひとたび生産に入れば、すぐに全世界向けにセールスできるのである。

当然、最も早くこの科学技術の成果を享受し得るのはやはりカナダ軍である可能性がある。もし一切の進展がスムーズなら、このネットワーク化された空中監視システムを追加装備した小銃はカナダ軍が現在装備する小銃と軽機関銃に取って代わることになり、銃器交換計画全体では8億アメリカドルが費やされることになる。現在、カナダ軍はこのシステムがより高い精度の提供、より小型軽量化の実現、兵個人が必要とする画面のリアルタイム切り替えなどの方面で研究を継続し改良されることを希望している。

だが、現在すでに少なからぬ専門家がこのシステムを高く評価しており、これが小銃発展、甚だしきに至っては兵個人作戦の「マイルストーン」になるかもしれない、と称している。兵個人がレーザー距離測定装置、光学スコープ、あるいは赤外線センサーに頼って戦場を視察することしかできなかった情景は歴史となり、空地一体で戦場の態勢を全面的に感知する時代が間もなく到来するのである。


 小銃に装備する必然性があるのか、またこの装備は全員に装備する性質のものではないのではないかという疑問がありますが、非常に面白いアイデアですし、技術的ハードルは高くなさそうなのでこの記述通り近い将来登場する可能性は高いでしょう。気になるのはアメリカに文句を言われることなく全世界にセールスできる、という点で、民間用という建前で武直ー10用エンジンを中国に売ろうとしたカナダのことですからこれを中国に輸出しようとする可能性は充分あるでしょう。

 ロシアに関する記事は7月20日のコラムで紹介した記事と同じテーマです。

http://military.china.com/news2/569/20130722/17959376.html


ロシア、アラブ首長国連邦の大型無人機の購入を求める ロシア軍および国防工業批判を受ける

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ロシアはアラブ首長国連邦の『United-40』大型無人機を気に入っている。」)

まさにアメリカの無人機がほしいままに全世界を盗撮している時、もう1つの航空大国であるロシアは逆に止むを得ず長い航続時間の任務に適した無人機をあちこちから探し求めている。イスラエルの「国土安全」ウェブサイトが21日に明らかにしたところによれば、ロシアの無人機購入が至る所で壁にぶつかっているため、無名のアラブ首長国連邦のADCOMシステム社がアブダビ安全保障業務展で公開した「United-40」大型無人機さえもが意外にもロシア国防省の濃厚な興味を引き起こしている。

報道は、ロシア軍が気に入っているのは「United-40」のBlock5バージョンで、この機は何ヶ月か前に初飛行したばかりだという。説明によれば、「United-40」は中高空長航続時間無人機に属し、作戦偵察、評価、通信中継、ないし対地攻撃任務が執行でき、ワンセットの無人機システムの販売価格は2〜3億アメリカドルである。この機は造形がユニークで、機体はS字型を呈し、前後にそれぞれ一対の主翼があり、最大離陸重量は1,500kg、最長120時間連続飛行できると見られる。攻撃任務執行時、「United-40」無人機は10発の空対地ミサイルが搭載できる。

大型無人機はすでにロシア武装戦力の「心の痛み」となっている。2008年におけるロシアとグルジアの衝突の中で、信頼できる空中情報が欠乏していたため、ロシア軍は実戦条件下で多機種の国産無人機をテストしたが、何と1機種も命令された任務全てを完成させたものはなく、ロシアは止むを得ず有人操縦偵察機を派遣した。その結果はグルジア軍によって撃墜されるというもので、損失は悲惨、重大だった。戦後ロシア国防省は気付いた。国内の軍事工業企業は相当長い時間内、現代の戦争の需要に符合する無人機を自ら製造することはできず、イスラエルに助けを求めるしかない、と。何度もの価格交渉を経て、イスラエルはロシア軍向けに3種の近距離および中距離無人機を提供することに同意し、その総額はおよそ5,000万アメリカドルだった。しかしロシア軍が最も欲しいのは航続距離が1,000kmを超える遠距離無人機だった。だがイスラエル人は「NO」と言った。アメリカの圧力を受けたため、政府のロシアへの総額15億アメリカドルに達する「Heron-TP」大型無人機販売の談判は凍結された、とされる。

航空大国および核大国であるにもかかわらずロシアは軍用無人機領域で深刻に西側に立ち後れている。アメリカとイスラエルがすでに広範に戦略無人機から兵個人用無人機までを含む各種無人機を使用している時、ロシア軍が装備するのはまだ時代遅れの「ストリーシュ」および「航程」無人機である(頑住吉注:「航程」は航続距離という意味で、検索しても無人機の航続距離に関するページばかりヒットし、この機の固有名詞は不明です)。最も新しく就役した「ジープチャック」砲兵射撃修正用無人機の作戦距離はやっと40kmで、イスラエルの1世代前の「パイオニア」無人機の1/3に過ぎない。ロシア中央科学研究所所長ウラジミール ロストプーチンは、現在ロシア国防工業は容易ならざる局面にいる、と考える。すなわち高い機能を持つ殺傷兵器は研究開発できるが、偵察、観測設備がないためにこれらの兵器は「盲人」と同じで、さらに加えて軍指導者の無人機軽視があり、ロシア国防工業が実際上相応の開発への積極性を喪失する結果がもたらされている。ロストプーチンは、「腕の振るい場所がないからこそ、我が国の無人機科研人材が流出しつつあるのだ」と断言する。(蕭蕭)


 状況はかなり深刻のようで、今後無人機が非常に重要な役割を占めることは確実と見られることから、ロシアのこの失策はあるいは想像以上に効いてくるかもしれません。














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