中国の専門家、重複使用可能なロケットを語る

 軍事的価値が大いにあるということですが。

http://military.china.com/news/568/20160509/22607982.html


ロケット軍の専門家:運搬ロケットの重複使用にはどんな軍事的価値があるか?

スペースシャトルの1回あたり5億アメリカドルという非常に高い発射費用に比べ、「ファルコン9」運搬ロケットの重複回収は経済的実行可能性が際立つ

朱紅巍 ロケット軍指揮学院軍事理論研究所副研究員で、作戦理論問題研究に従事、軍隊科学技術進歩三等賞2項目、ロケット軍軍事理論成果一、二等賞6項目を栄誉にも獲得している。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「作図:喩 萌」)

ニュースの提示

4回の試験失敗を経た後、アメリカの「ファルコン9」運搬ロケットの一段目が最近成功裏に海上での回収を実現した。宇宙科学技術領域において、アメリカはずっと世界の先行者で、去年12月アメリカはもう率先してロケット一段目の陸上回収を実現している。ある分析は、アメリカの陸/海回収試験の相次ぐ成功は、ロケットの多くの区域での回収、重複使用を可能にさせ、このことは未来の「載人返地」(頑住吉注:人を乗せて地球に帰る、つまり有人宇宙飛行のこと?)方面が新たな突破を取得することを意味している、と考える。

回収ロケットはどういった難題を克服する必要があるのか? ロケットの重複使用にはどんな軍事的価値があるのか? 今期我々はロケット指揮学院の朱紅巍研究員と対話した。彼の詳細な解読をご覧いただきたい。

海上回収に成功、ロケット回収、2.0時代を開始へ

問:宇宙船の回収はとっくに新鮮なことではありませんが、回収ロケットと宇宙船にはどんな差異があるのですか? どういった難題を克服する必要があるのですか?

答:現在、アメリカのスペースシャトルは全部で135回発射され、成功裏にのべ133機回収されています。スペースシャトルと衛星(宇宙船)の帰還部分は多くが長さ:径の比が小さい前端が鈍い形の再突入空力外形を採用し、一方ロケットの一段目はいずれも長さ:径の比が大きい細長い円柱体で、例えば「ファルコン9」運搬ロケットの一段目は長さ48m、長さ:径の比は13近いのです。細長い飛行物体ほど飛行姿勢のコントロールがしにくくなり、このため回収ロケットの難度もずっと大きくなります。

回収ロケットは二大難題を克服する必要があります。すなわち、1つ目はロケットの垂直回収で、ロケットは降着過程でずっと地面と垂直を保持することが必須で、このようだとロケットエンジンが推力調節可能、何度も始動するなどの機能を持つことが必要になります。2つ目はロケットの性能の保持で、すなわちロケットエンジン、燃料タンクなどカギとなる重要部品の使用寿命が充分に長く、重複使用に耐えることが必須で、このことはロケット本体の材料や工程に対し非常に高い要求を提出します。

問:今回「ファルコン9」運搬ロケットは海上回収方式を採用しましたが、陸地という場での回収に比べ、海上回収はどういった難題を克服する必要があるのですか?

答:陸地という場での回収に比べ、海上回収は難度がより高いですが、より多くの優勢があります。まず、回収地点の選択がより柔軟です。ロケット回収はリスクが極めて高い任務であり、海上回収を選択すれば、もし失敗しても人員の死傷をもたらさないでしょう。次に、より多くの有効搭載荷を搭載できます。ロケットは発射され上昇した後、決して垂直上昇ではなく、その飛行の軌跡は放物線状を呈します。ロケットの第一、二段目の分離後、陸上回収任務を執行する一段目は減速しかつ戻ってくることが必須です。回収地点は限られているので、一段目は垂直方向にも水平方向にも比較的長い距離飛行する必要があり、より多くの燃料を消耗するでしょう。一方海上回収を選択すると、一段目は重力を利用して自然に降下し、回収船舶が事前に予定の地点に機動し、ロケットが着陸する真下方向で待つだけで即OKです。

陸上回収に比べ、海上回収ロケットは降着地点が不規則に揺れ動く、海上の劣悪な気象が突発するなどの問題に直面します。自然の潮汐の運動により、海上はしばしば「無風三尺波」で、ロケット海上回収には着地の瞬間のロケットの垂直姿勢の安定および着地後のロケットの姿勢固定の問題が存在します。今年1月の「ファルコン9」海上回収失敗はまさに当時着陸支持架1つがロックできず、ロケット全体が回収船上に傾き倒れる結果をもたらしたのです。

(頑住吉注:これより2ページ目)

自主回収成功は、将来重要な軍事的価値を持つ

問:海上回収実現は、米軍にどういった軍事的価値をもたらすのですか?

答:運搬ロケット一段目の海上回収実現は、米軍の未来の作戦に重要な軍事的価値をもたらします。一方においては、米軍が「宇宙支配」を実現するのためのコストを下げます。ロケット発射コストの低下は、米軍が宇宙武器を配備し、宇宙の支配権を奪取するために有利な支えを提供します。もう一方では、米軍弾道ミサイル発射陣地のためにより多くの選択肢を提供します。ミサイルの一段目が人工密集地に落ち人員、財産の損害をもたらすのを防止するため、弾道ミサイル発射陣地の選択時、弾道の下方に大中の都市目標が出現するのを避けることが必須です。ロケット先端部が海上回収を実現すれば、ミサイル残体の落下点を有効にコントロールでき、米軍のミサイル作戦の運用をより柔軟にさせます。

回収は単なる始まりで、重複使用は多くの難題を解決する必要がある

問:「ファルコン9」運搬ロケット回収成功から次回の発射までの期間はどのくらい長く必要とするのですか?

答:今回「ファルコン9」運搬ロケットの回収成功は、ロケット1段目が条件の劣悪な海上で回収が行えることを証明したに過ぎず、この一歩の意義は重大ですが、次回の発射までにはまだ非常に長い行く必要のある道があります。例えば、ロケットエンジンの重複使用には多くの難題を解決する必要があります。ロケットの動力は燃焼剤と酸化剤の爆発的燃焼によって生じ、エンジンのラバルノズルの喉部に何千度もの高温が形成され、現在の工程材料ではノズルが高温高圧環境下で10分あまり信頼性をもって作動することが保証できるだけです。こんなに短い使用時間では明らかにロケット重複使用の需要を満足させることはできません。同時に、現在のロケットの多くの部品は「使い捨て」に照らして研究開発されており、もしロケットに対し何度もの重複使用を行おうとすれば、根本から重複使用可能な基準に照らしてこうした部品に新規設計を行うことが必須です。

問:ロケット重複使用にはどのくらいの価値の空間があるのですか?

答:「ファルコン9」ロケットが成功裏に回収を実現したことを、アメリカ航空宇宙局元局長のマイク グリフィンは、「回収後さらに『ファルコン9』が飛行の試練を受ける能力を検査する必要があり、かつ飛行回復合格検査引取試験を経て検証しまた飛行回復の自信を獲得する必要がある。」と評価したことがあります。明らかに、ロケットの重複使用はロケットの信頼性、維持修理コスト、寿命などの問題を解決することが必須で、こうした問題の解決後、ロケット重複使用の価値はやっと真に体現されるのです。


 中国はどのくらい進んでいるかの話がありませんが、たぶん言うほどの成果がまだないんでしょう。アメリカにしても再使用では思わぬトラブルが起きる可能性もあるでしょう。しかしいずれは部品の耐久性を高く作る、あるいは交換するコスト、想定される事故増加のコストまで含めても安上がりになるんでしょう。



















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