ウェイトの鋳込み

 プラキャストは非常に軽い素材なので、内部に既成の銃のメカを組み込むタイプを除き、何かしらウェイトを鋳込まないとスカスカに軽いものになってしまいます。このため昔からいろいろウェイトを内蔵する方法を考えています。型の中にウェイトを単純に放り込んで流し込めばいいなら簡単ですが、こうすればウェイトは表面に露出してしまい、表面処理に問題が出ます。
 以前東急ハンズで化学実験用亜鉛粉末というのを見つけ、これを混入した「HWプラキャスト」の実験を行ったことがあります。しかし結果はさほど重量が増えないうちに極端にもろくなって実用に耐えないという結果でした。合金や樹脂同士の混合と違い、樹脂に金属を混入しても一体にはならず、境目からはがれやすい状態になります。金属粉を混入したHW樹脂は、いわばこのはがれやすい面が内部いたるところにあることになるわけです。トイガンメーカーはベースの樹脂にナイロン系など粘りのある強度の高い樹脂を使っているようですが、それでもABSよりもろいのはご存知の通りです。ましてベースに元々強度の低いプラキャストを使ったのでは強度不足になってしまうのは当然ですね。


 私が内部に既成の銃を使わないキットとして作った製品第一号はコルトNo.2デリンジャーです。

ウェイトの鋳込み1

 No.2デリンジャーではこういう方法を使いました。原型に3mmスチロール丸棒を植え込んで型取りします。型(空色の部分)にはこれに対応する凹ができます。ここに3mmスチロール丸棒(灰色の部分)を差しこみ、この先端にはウェイトとなる鉛玉()青い部分をつけておきます。ここにプラキャストを流し込めば(黄色い部分)ウェイトが鋳込まれた複製品ができるわけです。
 この方法では、鉛玉に穴を開けてスチロール棒を接着する手間、複製品から突き出しているスチロール棒を切断して整形する手間がかかり、面倒すぎるのでこの1作で止めました。


 最近まで最も多用していたのはこういう方法です。

ウェイトの鋳込み2

 まず、あらかじめ原型に穴を開けておき、穴のある成型品(黄色い部分)を作ります。ここに鉛玉などのウェイト(青い部分)を入れ、さらにプラキャストを流し込んで(緑の部分)封入するわけです。この方法は前の方法ほどではないとはいえ手間がかかりますし、原則としてグリップの裏など外部から見えない部分にしか使えません。


 PSSピストルではこういう方法を使いました。

ウェイトの鋳込み3

 外部に露出しない部分にウェイトを鋳込んだ別体のウェイトブロックを接着するという方法です。ブロックは単に型にウェイトを放り込んでプラキャストを流し込んだだけのものなので外部にウェイトが露出していますが、グリップに隠れる部分であり、表面処理の必要はないので問題ありません。


 そして九四式「擬似ブローバックモデル」では新たな方法を2つ使いました。まず、複製品の形状によってウェイトを外部に露出してもかまわない一定位置に保持するという方法です。

ウェイトの鋳込み4ウェイトの鋳込み5
ウェイトの鋳込み6


 ウェイトの鋳込み7

 次はもっと汎用性のある方法です。ウェイトを「リードクッキングペーパー」にくるんで鋳込みます。これならウェイトが露出することはなく、基本的にどんな場所でも使えるはずです。後処理の必要もありません。ウェイトの鋳込みによって弱くなりやすいパーツを強化する効果も期待できます。ウェイトの位置はあまり正確に決められませんが、これはたいていの場合ほとんど問題ないはずです。






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