イタリアの軍用リボルバー
http://www.ordonnanzrevolver.de/italien.shtml
イタリア
Pistola a Rotazione mod. 1874 |
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勤務時期 | 1874〜1943年 |
口径 | 10.35mm |
発火機構種類および構造 | DA/SA Lefaucheux-Chaineux方式 |
銃身長 | 160.0mm |
メーカー刻印 | 「Pirlot freres A Liege」または「G. Glisenti, Brescia; R. Fabb. D'Armi, Brescia」 |
メーカー | Pirlot Freres, Liege またはG. Glisenti, Brescia |
注釈 | モデル1874はスイスの制式リボルバーモデル1872のモデファイである。 モデル1874はイタリア海軍でも1876年から1910年まで使用が見られた。 |
Pistola a Rotazione mod. 1889 A |
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勤務時期 | 1889〜1945年 |
口径 | 10.35mm |
発火機構種類および構造 | DA/SA Warnant-Mariette方式のモデファイ |
銃身長 | 115.0mm |
メーカー刻印 | バレル左サイド |
メーカー | G. Glisenti, Brescia など |
注釈 | 初めて多くのモダンな構造上の特徴を1つの銃に統合した(これらは彼の発明ではない)Carlo
Bodeoの構造をベースとする。 1.Jean Warnantによるセーフティリバウンド発火機構 2.Abadieシステムのハンマースイッチオフ 3.バレルに巻かれたバンドに回転可能に固定されたバレル後端のエジェクター 4.トリガーガードを放棄しての折りたたみトリガーの使用 1885年、このモデルに変更が加えられた。ハンマーブロックの形の追加的セーフティが取り付けられた。このハンマーブロックはデコックされたハンマーの前に位置し、これにより意図しない前進を妨げる目的を持っていた。 これにより銃は落下あるいは衝突の際にも安全だった。 1898年、このハンマーブロックは発火機構構造内に含められ、追加的セーフティはフレームに移された。 |
Pistola a Rotazione mod. 1889 B |
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勤務時期 | 1889〜1945年 |
口径 | 10.35mm |
発火機構種類および構造 | DA/SA Warnant-Mariette方式のモデファイ |
銃身長 | 115.0 |
メーカー刻印 | バレル左サイド |
メーカー | G. Glisenti, Brescia など |
注釈 | モデル1889Aをベースとするが、固定されたトリガーおよびトリガーガードを持つ。 1895および1898年、モデル1889Aの場合と似た変更が加えられた |
イタリアの軍用リボルバーと言われても正直1機種も頭に浮かびませんでした。これを見てもあちこちから拝借したデザインで、イタリア人らしいデザインには感じられませんが、いくつかユニークな特徴は見られます。ちなみにいずれのモデルも「Pistola
a Rotazione」というのが名称についており、イタリア語は全く分かりませんが明らかに「回転ピストル」といった意味でしょう。
モデル1874はコルトSAA登場の翌年に制式採用されたにしてはモダンなスタイルです。
http://www.rocchi.org/fucili/schede/chamelot.htm
ここには右面の画像があります。文章が読めないので推測ですが、シリンダー軸にエジェクターが収納されており、これを前方に引き抜いてSAAのような位置にあるエジェクター用のレールに入れ、薬莢を突き出す、あるいはシリンダーを外して突き出すということのようです。これはあまりこなれた方法には思えず、部品を紛失する可能性が大きそうです。ローディングゲートは後方に回転するタイプで、この状態では装弾時のガイドとしても役立つようになっていたそうです。
1889A右面の画像はここにありました。
http://www.carabinieri.it/Internet/Arma/Ieri/Equipaggiamento/1861-1907/Le+armi/06+Revolver+Mod+1889.htm
護身用のポケットリボルバーにはいくつか例がありますが(リボルバーではありませんが「バー」もそうでした)、軍用の大型リボルバーにトリガーガードがなく、トリガーが折りたたみ式というケースは非常に珍しいと思われます。他に例がほとんどないということはダメだったということに他なりません。現に後継モデルでは通常の形態になっています。後継機1889Bの画像はありませんが、上に挙げたページの下の銃がこれに間違いないと思われます。モデル1889はシリンダー軸にエジェクターが収納されている点はモデル1874と同じですが、エジェクターがバレル基部のリングに取り付けられ、バレルをめぐって回るようになっていたようです。つまり前方に引き出し、SAAのような位置に回して使うわけです。ナガンも同じようなシステムでした。「Abadieシステムのハンマースイッチオフ」というのは、ローディングゲートを開くとハンマーが機能を失い、トリガーを引くことによって安全にシリンダーを空回しすることができる、というユニークなシステムでした。右手で銃を握り、トリガーを引きながら左手で装填していけるわけで、スピードアップの効果は確かにあったはずです。ただ、装填された銃のトリガーを発射以外の目的で引かせるのは望ましいこととは言えず、他の銃にはあまり真似されていません。リボルビングショットガンのストライカーは似た方式でしたが、「不快」と批判されています。
ちなみに「軍事的重要性」のページではイタリア陸軍のリボルバー採用は1861年のこととされ、これらのモデルが採用される以前のことなので、この前にもイタリア陸軍で使われたリボルバーがあったはずです。
http://www.vodice.it/pistole.html
このページも文章が読めませんが、明らかにイタリア軍のハンドガンを紹介するページであり、その最初に「Lefaucheux
mod.1861」というピンファイアリボルバーが紹介されています。採用年とモデル名が一致していますし、これに間違いないでしょう。スタイルは古臭いものの、アメリカ軍がパーカッション式のシングルアクションリボルバーを使っていた頃(日本ではまだ江戸時代)、イタリアではすでに金属薬莢を使用するダブルアクションリボルバーが使われていたわけですね。