中国空母の艦載機は何か

 どっちかと言うと歴史的なネタの方が好きなんですが、気になる最新情報が多いんで最近そっちの方が多くなりがちです。今回はまた中国の空母に関する情報です。

http://mil.eastday.com/m/20120503/u1a6529460.html


韓国メディア:殲-15の未確認の試験飛行は、それが中国の未来の主力艦載機でないことを示している

東方ネット5月3日の情報。韓国の軍事ウェブサイト「新羅空軍フォーラム」で2012年5月2日に発表された文章は、中国国産艦載機、すなわち殲-15が「ワリヤーグ」号空母の試験航行時、試験飛行を行った疑いがあるという情報に対し分析を行っている。この文章は次のように考えている。中国当局はまだこの情報に関するコメントを発表していないが、このタイプの戦闘機の発展過程から見て、この時試験飛行が行われた可能性が比較的高い。だが殲-15は中国の未来の主力艦載機ではない公算が高い。重大な技術的改良を経た「飛豹」戦闘爆撃機があるいは未来の中国艦載機編隊の中で主力の役割を演ずるのではないか(頑住吉注:「飛豹」とは北朝鮮に輸出されるのではないかと韓国で騒がれた殲轟-7Aのことです)。

11日間の試験航行を経て、中国が改装を続けている「ワリヤーグ」号空母は4月30日に大連港に帰り着いた。今回の試験航行は予測より1日長かった。葫芦島興城市(この市は空母が試験航行した海域に距離が最も近い)住民の話によれば、今回の空母試験航行の期間、都市上空を戦闘機が横切る回数が明らかに増加し、しかも夜間の海上で頻繁に航空機のエンジンが轟音を立てていたという。このため、「ワリヤーグ」号の今回の試験航行で、あるいは中国が自ら研究開発した殲-15型艦載機が試験飛行したかもしれない。少し前、ネット上に中国が自ら研究開発した電磁弾射器が飛躍を成し遂げたとの情報が明るみに出た(頑住吉注:レールガンのことかとぎょっとしましたが、読むうちに電磁カタパルトのことだと分かりました)。この情報は実証できないが、中国の実際の需要から見て、その未来の主力国産空母は疑いなくアメリカが制式装備するものに似た通常発艦・着艦型の空母であり、一方殲-15はロシア製スホーイ-33のコピー生産品として、明らかにこの種の空母に搭載して使用することはできない。これに比べ、重大な技術的グレードアップを経た「飛豹」戦闘爆撃機があるいは中国の未来の艦載機編隊の主力となるかもしれない。

まず、電磁カタパルトが明るみに出たことは中国がアメリカ式空母を発展させようとしていることを示している。

ロシアの「潜望鏡」紙のリークによれば、中国はすでに空母搭載の電磁カタパルトの原型機を研究開発することに成功している。このことから、もし電磁カタパルトが過早に中国海軍に配備されることがなくとも、中国の初期の国産空母もアメリカ式空母寄りの方向に向かっていることを見て取るのは難しくない。すなわちカタパルトを採用して通常発艦・着艦を行うレイアウトである(頑住吉注:「ワリヤーグ」のようなスキージャンプ式ではないということです)。

目下アメリカ海軍が装備する空母の中で、「企業」号空母(頑住吉注:なんじゃそらと思いましたが、「エンタープライズ」のことでした)を除き全てが「ニミッツ」級原子力空母である。アメリカはこれに対し整然と秩序だてて程度の異なる技術的グレードアップを行うだけでなく、軍事費圧力に耐えて完全新規の「フォード」級空母の建造も開始した。また電磁カタパルトはまさにこの型の空母の標準装備である。こうした状況に直面して、性能がアメリカ空母よりずっと遅れている「ワリヤーグ」号は明らかに中国国産空母が直接参考にするお手本とはなり得ない。このため、初期の空母であっても中国はやはりアメリカ式空母の通常レイアウトを採用することが必然である。蒸気カタパルトを装備、使用するのと同時に、新世代の電磁カタパルトの研究開発と完璧化を加速し、それが完全に成熟したら既存の空母を換装し、あるいは新規建造される空母に装備するのである。中国海軍はこの種の確実性が相対的に比較的低い発展モデルによってのみ、やっと電磁カタパルトに代表される空母技術革命の中で、アメリカの空母発展に遅れずついていくことができる。こうした一連の発展を基礎に、アメリカ式空母が研究開発、建造される。

次に、殲-15艦載機はアメリカ式空母に有効に装備使用することができない。

フランス製「陣風」戦闘機(頑住吉注:現代戦闘機も詳しくないんでいちいち検索して調べなきゃいかんのがめんどいです。「ラファール」のことでした)の艦載型「ラファール-M」と空軍型「ラファール-A」という2機種の戦闘機を比較すると、両者の最もはっきりした差は前部着陸装置であるということに気付くのは難しくない。カタパルトで発艦し、引っ掛けられて着艦する通常発艦・着艦戦闘機として、前部着陸装置は極めて大きなカタパルトの引く力と着艦の衝撃力を受け入れる必要がある。このためその構造は空軍型戦闘機の前部着陸装置に比べて明らかにより太くたくましくなっている。別の例を挙げれば、ロシア製のスホーイ-33艦載機の前部着陸装置は空軍型スホーイ-27戦闘機とは異なり、一対の620mmx180mmの制動輪が、その前に使われていた単独の680mmx260mm車輪に換えられている(類似の改良は中国に輸出されたスホーイ-30MKK戦闘爆撃機にも見られた)。一方着陸装置の全体構造には補強は行われていない。中国の殲-15はスホーイ-33のコピー生産品であり、この技術的特徴をそのまま継承している。このため、少なくとも現段階では殲-15は依然スホーイ-33に似た滑走で発艦し、引っ掛けられて着艦するロシア系艦載機であることを見て取るのは難しくない。明らかにカタパルト発艦方式を採用したアメリカ式空母への配備、使用はできない。

もししばらくの間殲-15の技術性能は置いておき、その設計概念に対してのみ分析を行うなら、やはりそれでも有効にアメリカ式空母に配備することはできない。周知のように、殲-15は中国人がウクライナからT-10K(スホーイ-33艦載機の原型機)を導入した後に研究開発されたコピー生産品である。このため、その全体性能はスホーイ-33に近いにちがいなく、艦載制空戦闘機である。だが問題はこの艦載機の類型がすでに遅れていることにある。その象徴的事件はF-14「トムキャット」艦載機の退役に他ならない。無人艦載機が大量に就役するまで、F/A-18E/F「スーパーホーネット」が代表的戦闘爆撃機として空母艦載機の主力となる。アメリカ海軍のこの技術改変は、冷戦後の海上対抗に対する正確な解読を行ってからなされたものである。中等の空戦能力と中上等の対地、対艦打撃能力を同時に併せ持つことが、ある艦載機の総合技術水準を推し量る重要な指標となる。一方殲-15は初期の技術的制約を受けて(比較的大きい空虚重量、搭載レーダーの打撃モデルが単一、兵器装備と戦闘機の整合性が立ち遅れているなど)、明らかに合格点が出せる新世代艦載機にはなり得ない。一流空母編隊の創設を努力目標と見ている中国海軍は、明らかに一流空母に二流艦載機を装備させるはずがない。

もし視野を広げれば、次のことに直ちに気付くことは難しくない。1990年代初めから今に至るまでの20年の長きに渡る急速な発展を実現し、中国の軍備研究開発はすでにそれぞれの装備領域内で完全に独立した研究開発を行う能力を具備している。例えばメインバトルタンク、主力戦闘機、フリゲート艦などである。この他空母の領域では、中国は初期に導入した「メルボルン」号空母および2クラス全部で3隻のロシア製空母により、西側初期の空母に関する初級技術を獲得しただけでなく、徐々に大型空母建造の条件をも備えていった。このため、中国海軍はすでに外部から導入された装備技術の学習段階を基本的に完成させ、独立した研究開発と建造の段階に入りはじめた。この段階で装備を生産するにあたっての最も基本的な要求は、中国特有の装備体系と作戦思想に完全に適応させることである。殲-15はロシア製戦闘機のコピー生産品として、その意義は「ワリヤーグ」号が中国の空母の全体的発展に与える加速作用により似ているが、最終的に、本当に求められるのはやはり中国国産の多用途艦載機である。これまで長期間人々に軽視、甚だしきに至ってはないがしろにされてきた「飛豹」戦闘爆撃機は系統的な技術のグレードアップを経て、あるいは中国海軍の艦載機領域における最良の選択になるかもしれない。

第3、改良型「飛豹」はあるいは未来の中国の艦載機の主力になるか

周知のように、中国が装備する各タイプの戦闘機の中で、「飛豹」は人々に熟知されておらず、甚だしきに至ってはしばしば軽視されてきた装備である。だが、もしこの戦闘機の発展過程を詳細に回顧するなら人々は気付くだろう。この機の履歴の中には多くの「初」が含まれていることに。すなわち中国初の独自研究開発による大型戦闘機であり、中国初のコンピュータ補助設計を採用した戦闘機であり、初の搭載弾量が世界先進水準に到達した中国戦闘機であり、初の最高レベルの対艦打撃能力を具備する中国戦闘機である、等々である。このため、殲-11に代表されるロシア製戦闘機を換骨奪胎した国産戦闘機に比べ、中国人は疑いなく「飛豹」戦闘機の全体構造をより熟知している。しかもこの機を使用した経験もより豊富である。この他、「飛豹」を現在の世界最先端の艦載機(すなわちF/A-18E/F「スーパーホーネット」)と対比するとさらに以下のことに気付くだろう。「飛豹」戦闘機は艦載機として極めて適しているだけでなく、その具備するいくつかの技術性能はアメリカ製艦載機が努力しても追い付けないものでさえあることに。

「飛豹」と「スーパーホーネット」はいずれも胴体両側から空気を取り入れる設計を採用している。ただ「スーパーホーネット」は大型の辺条翼レイアウトを採用しており、このため肋部からの空気取り入れにより類似しているに過ぎない。「スーパーホーネット」は長期にわたる使用過程で成功を収めたことが表明され、この機の空気動力的レイアウトは艦載機が真っ先に選択するものである。胴体前部の強度方面では、この機のレイアウトは明らかに胴体前部下から空気を取り入れるレイアウト(アメリカ製F-16戦闘機に代表される)の傾向が強く、しかも吊り下げ搭載能力の上で、この機は胴体後部下から空気を取り入れるレイアウト(ロシア製スホーイ-27やフランスの「ラファール」戦闘機に代表される)よりも優れている。このため、「梟竜」戦闘機(頑住吉注:殲轟-7Aに関する記事で筆者が北朝鮮により適しているとして推薦していたFC-1のことです)に類似した大型の辺条翼構造を採用すれば、「飛豹」戦闘機の全体的空気動力レイアウトのレベルは「スーパーホーネット」に接近、あるいは超えさえする。

この他、さらに一歩この2機種の戦闘機を対比すると次のことに気付く。しばしば人に軽視される重要技術性能上、「飛豹」は明らかに「スーパーホーネット」より優れている。それはエンジンの直径に他ならない。「飛豹」戦闘機が最初に装備した動力装置はイギリス製の「スペイ」エンジンだった(頑住吉注:ロールスロイス製だそうです)。その直径は1093mmで、アメリカのF-15戦闘機が採用したF-100やF-16戦闘機が採用したF-110の系列の大推力エンジン(直径1181mm)に近い。一方「スーパーホーネット」は設計の初めから中推力エンジンに立脚しており、それが採用しているF-414エンジンは最新型であるが、それでも直径は889mmしかない。現段階において中国のエンジン関係の技術水準はなおアメリカに匹敵し得ていないが、「飛豹」戦闘機は疑いなく動力装置グレードアップ方面において「スーパーホーネット」より優位性を持っている。このことは、何故最新の「飛豹」-Aの最大搭載弾量がすでに11,600kgと、F-15E「ストライクイーグル」大型戦闘爆撃機(11,800kg)と同クラスに達しているか、という問題も説明する。これに比べ、最新型の「スーパーホーネット」でもその搭載弾量は終始9,000kg前後を徘徊している。搭載弾量およびこれが重要な指標となる戦闘機のグレードアップポテンシャルが艦載機にとって重要な意義を持つことは言うまでもない。

「スーパーホーネット」との対比により、次のことを見いだすことは難しくない。「飛豹」は巨大な技術的ポテンシャルを持つ戦闘機である。信頼性や自主研究開発の艦載機領域をより重視すれば、この機は疑いなくコピー生産品である殲-15より信任に値する。しかも、殲-7、殲-8、「梟竜」、殲-10、殲-11、そして殲-15等の戦闘機に対して研究開発とグレードアップを行うことにより、中国はすでに「飛豹」に対し系統的グレードアップ、さらには新規設計を行う技術能力さえ完全に備えている。この他、グレードアップポテンシャルが巨大な、完全自主知的生産権を具備した戦闘機として、「飛豹」は疑いもなく中国国産のアメリカ式空母に搭載し、無人戦闘機大量装備まで中国艦載機編隊の主力に充当するのにより適している。


 北朝鮮が殲轟-7Aを装備したら日本の一部も攻撃範囲に入るという記述がありましたが、中国空母に搭載されれば当然日本のどこでも攻撃できるようになるわけで、まあ気持ち良くはないですな。










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