アメリカメディア、最近の中ロ兵器貿易を評する

 中国がロシアから戦闘機、爆撃機、潜水艦を輸入しようとしているとの情報をアメリカのメディアが評している、という記事です。

http://military.china.com/important/11132797/20130126/17654982.html


アメリカメディア:中国の外部からの戦闘機購入はあるいは殲ー20戦闘機の研究開発がすでにボトルネックに遭遇したことを暗示しているか

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「殲ー20の誕生は中国が以後もはやその他の先進技術を導入しないことを決して意味しない」)

アメリカの国防ニュースネット1月24日の文章は、現在中国はロシアと超音速のツポレフ-22M3「バックファイア」戦略爆撃機、スホーイー35戦闘機、1650型「アムール」級潜水艦購入につき談判しているところだ、とした。中国の戦闘機調達プロジェクトに関して言えば、一部の分析家は中国が先進的戦闘機を購入するのは、その殲ー20および殲ー31戦闘機の研究開発がすでにボトルネックに遭遇しているからだ、と考えている。だが文章はワシントンのシンクタンクの2049プロジェクトの高級研究員ロジャー クリフの話を引用し、これは殲ー20および殲ー31戦闘機の研究開発に費やされる時間が予期したものより長かったからかもしれない、とする。

「バックファイア」爆撃機が蘭州軍区に駐留すればインド全土をカバーできる

「ある朝蛇に噛まれると十年釣瓶の縄を恐れる」このことわざはロシアと中国の間の軍事貿易には決して影響していないようだ。ロシア・中国はかつてスホーイー27/殲ー11A戦闘機製造で協議を達成させたが、この交易は沈陽飛行機社が逆向きの工程によって努力して殲ー11B戦闘機を研究開発することをもって終わりを告げた。2004年、中国は知的財産権の問題を軽視しスホーイー27戦闘機ライセンス生産契約の履行継続を拒絶することを最終的に決定した。中国は自分が依然そうするかもしれないという事実を全く隠していないようだが、最近のある報道はロシアが中国にスホーイー35戦闘機とアムール-1650潜水艦販売につき中国と談判しているところだ、としている。実は、中ロ両国はすでにこうした購入交易につき、相当長時間討論を行っている。

アメリカのカリフォルニア州大学のグローバル衝突・協力研究所の高級研究員張太銘(Tai Ming Cheung)は指摘する。関連の交易がずっと進展できていないのは、中国が授権を経ない状況下で逆向きの工程研究、およびその他の知的財産権に反することを行った歴史的記録が、ロシアの中国に対する信用を欠乏させているからである。張太銘は指摘する。最近ロシアサイドの態度が緩和しているのは、広範な地縁政治的要素によってより多く押し動かされたからかもしれない。この種の押し動かす作用は、ロシア国防工業の中国への先進軍備輸出に対する強烈な保留的態度をはるかに超えたのである。

だが、あらゆる人がロシアのやり方に対し喜んだわけでは決してない。これには長期にわたり武器を輸入しているインドが含まれる。1962年、インドはかつて中国と国境戦争を勃発させたことがある。しかも、インドはしばしば中国がパキスタンに軍事援助を提供し軍備を輸出していることに対し不平も言っている。ニューデリーの国防分析者ニティン メータは、ロシアが中国に「アムール」潜水艦とスホーイー35戦闘機を輸出するとの報道に対し、「軽視できず、インド・ロシアの国防関係に将来低迷が起こることを暗示する。」とした。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「ロシアのスホーイー35戦闘機にも同様に中国が参考にする価値のある部分がある」です。)

しかも、中国本土で生産できない先進的軍備を中国に対し輸出することは、アメリカのアジア太平洋地域の安全保障に対し深刻な影響をもたらすかもしれない。アメリカの伝統基金会の研究人員成斌は指摘する。予算削減の制限を深刻に受けているアメリカにとって、このことはアメリカ軍と解放軍の間の技術的隔たりを継続的に短縮させることを意味すると言える。さらにまずいことに、中国がより静穏な新型潜水艦、より先進的な戦闘機を導入することは、アメリカが「公共の地」(つまり領空と領海)を支配する能力に対し疑問を呈させることになる。未来の衝突の中で、アメリカは空中と海上の優勢を占められないかもしれない。

成斌は指摘する。これは「巨大にして根本的な変化」である。もしこれらの交易が最終的に行われ、中国に対する超音速のツポレフ-22M3『バックファイア』戦略爆撃機の輸出が含まれたら、これはプーチンのロシアの大権再掌握と共に中ロ両国が戦略の調整を行っているところであることを暗示し、またロシアの弱点を暗示する。‥‥中ロ両国は数少ないカード、つまり先進的武器をめぐり駆け引きを行っているところなのだ。

ツポレフ-22M3爆撃機の作戦半径は2,410kmで、空中給油作業を行った後その作戦半径は68,000kmにまで延長し、初めてグアム島を中国の第8および第9爆撃機師団の火力カバー範囲に収める。もしツポレフ-22M3爆撃機が蘭州軍区に配備されれば、その火力はインド全域、インド洋の大部分の地域、中東の一部の地域をカバーする。

スホーイー35購入は、あるいは国産先進戦闘機プロジェクトに費やされる時間が予期を超えたからか

中ロ両国はすでに全体協議を成立させ、中国がひとまず24機のスホーイー35戦闘機を購入し、その後48機まで追加が可であると規定した。ロシアのシンクタンクである戦略・技術分析センターの専門家ワシーリ コーシン(Vasily Kashin)は、今年両国はもう交易の具体的条項につき談判を行うことになる、とする。ロンドン国際戦略研究所の高級研究員ダグ バリー(Doug Barrie)は、ロシアは以前の遺恨を氷解させたがっており、これは中国本土の能力が継続して発展する時に中国市場を維持するのにモスクワが必ず受け入れることが必要な代価である、と指摘する。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「殲ー20の出現は、中国が外来の先進技術を導入し続けることと決して矛盾しない」です。)

モスクワにとって対中国貿易には依然リスクがあると言える。コーシンは指摘する。中国向けに超機動先進戦闘機を輸出することは、中国メーカーと軍にロシア戦闘機の工業的発展の方向を了解させ得る。何故ならスホーイー35のいくつかのシステムは、ロシア空軍のTー50戦闘機にも追加装備される可能性があるからである。

だが、中国に対する先進的軍備交易を改めて始動させる時、ロシアには自身の知的財産権を保護することにより自信があるのかもしれない。コーシンは言う。中国がスホーイー27をコピー生産した時、この戦闘機の関連情報は世界のその他の地域において広範に獲得できた。このことは中国にたやすく友好国からスホーイー27のデータやシステムを獲得させ、もって殲ー11B戦闘機の原型機のテストと研究を行うのに便とさせた。

しかし、とコーシンは指摘する。スホーイー35はやっとロシア空軍への装備が開始されたばかりである。生産率があまり高くないため、今後何年かのうちはこれらの機は少数の基地内に集中させるしかなく、安全部門が厳密に監督できる。しかも、旧ソ連メンバー国(頑住吉注:特にウクライナですな)にもこの戦闘機に関連する技術資料やサンプル機はなく、このため中国はこの種のルートを通じてデータや資料を獲得することはできない。

一部の分析家は、中国の先進戦闘機購入という挙動は、その先進戦闘機(新型ステルス戦闘機殲ー20および殲ー31を含む)の研究開発がすでにボトルネックに遭遇していることを暗示している、と指摘する。だがワシントンのシンクタンク2049プロジェクトの高級研究員ロジャー クリフ(Roger Cliff)は、スホーイー35の購入は中国の殲ー20あるいは殲ー31戦闘機研究開発プロジェクトが困難に遭遇したことを決して意味しない、と指摘する。彼は、中国がこの種の戦闘機を購入するのは、殲ー20および殲ー31戦闘機の研究開発にかかる時間が予期したよりさらに長かったからかもしれない、と指摘する。この方面における中国のやり方はアメリカ海軍に似ているかもしれない。すなわちより先進的なバージョンのFー18「スーパーホーネット」戦闘機を開発し、不断に遅延し、しかもコストが日増しに上がるF-35戦闘機に全てを賭けることはしない、というやり方である。

クリフは指摘する。中国が先進戦闘機を購入するもう1つの原因は、もし殲ー20/殲ー31戦闘機プロジェクトが本来の軌跡上を前進し続けたとしても、スホーイー35は疑いなくいくつかの中国が現在まだ掌握していない科学技術(例えば推力ベクトル)をも含んでいることだ。「中国とロシアは、中国がスホーイー35戦闘機の技術を盗むことを防止するある枠組みを制定するだろう、と言われている。だが、ひとたび商品が売られてしまえば、他人が商品を分解して研究することを阻止することはできないのである。」 クリフは言う。中国がスホーイー35によって学んだ知識を、必ずや殲ー20および殲ー31戦闘機プロジェクトの中に応用することは全く疑いない。

(頑住吉注:これより4ページ目。画像のキャプションは「ロシアのツポレフ-22M3の防御突破能力はツポレフ-16など旧式爆撃機よりずっと強い」です。ちなみに中国の現在の主力戦略爆撃機轟‐6はツポレフ‐16のコピーから発展したものです。)

中国、あるいは「アムール」潜水艦に国産のAIPシステムを装備するか

ロンドン国際戦略研究所のゲイリー リー(Gary Li)は、中ロが間もなく中国に対し1650型「アムール」級通常潜水艦を輸出する交易で一致を達成させることは非常にはっきりしている、とする。戦略的角度から見て、「アムール」潜水艦の購入は、中国がその「区域拒止」戦略を完備したものにし続ける努力である。中国の「区域拒止」戦略はどんどん完備したものになっている。今に至るも依然完全に公表されていないのではあるが。

コーシンの言によれば、2012年に中ロ両国は4隻の「アムール」級潜水艦購入に関する了解の覚え書きに署名した。中国企業はこのプロジェクトの下請け業者となるが、その参与する部分は30%を超えない。「より具体的な談判は今年行われることになり、関連の談判は2014〜2015年まで続く可能性がある。」 関連の交易の総額は20億アメリカドルに達し、プロジェクトに関わる4隻の潜水艦はそれぞれ中ロ両国で2隻ずつ建造される、とされる。この交易は中国を「1650」型潜水艦を購入する初めての国外の買い手とし、インドとベネズエラもこの潜水艦を購入する可能性が高い。

コーシンは説明し、1650型「アムール」級潜水艦は「677」「ダラ」級通常動力潜水艦の輸出型である、とする。877型「Paltus」ディーゼル・電池潜水艦および636型「キロ」級潜水艦に比べ、1650型「アムール」級潜水艦は完全新規の潜水艦であり、新型の動力装置、新型の自動化指揮・コントロールシステム、新型武器コントロールステム、新型音響システムを配備している。

しかしこれらの革新の影響を受けて、この級の第1隻目の潜水艦は多くの問題に直面し、最近になってやっと解決が得られた。コーシンの言によれば、現在677型潜水艦にはAIPシステムが配備されておらず、来年初めてこの級の潜水艦にAIPシステムが配備されることになる。ロシアメディアは、中国はすでにその「アムール」級潜水艦にスターリングエンジンを基礎に研究開発した国産AIPシステムを配備するよう申請している、と暗示している。だがコーシンはこれに対し懐疑を示す。スウェーデンのKockums社が」研究開発した「Got land」級潜水艦にはスターリングエンジンが装備されている。

(頑住吉注:以後のページは画像とキャプションだけです。5ページ目は「中国空軍はすでに轟ー6の潜在能力を極限まで発揮させているようだ」、もう伸びしろがないということですね。6ページ目は「ロシアのツポレフ-22M3爆撃機は極めて強い防御突破能力を持つ」、7ページ目は「アムール級潜水艦の最新技術は依然中国が参考にするに値する」、8ページ目は「中国は現在の世界の武器領域の各項目の先端技術を不断に理解する必要がある。」です。)


 バックファイア輸出に関してはロシア国防輸出社が特別に否定したとされていますし、スホーイ‐35輸出決定という情報にもアドバルーン説がありますが、全体的に見るとロシアが資金不足のために背に腹は代えられず本来なら望ましくないものも販売しようとしているように感じられ、やや不気味です。しかしロシアの最新式潜水艦を購入しておいて肝心の推進システムを国産に改装するというのはちょっと不自然な気がします。高性能で静かな動力装置があるなら潜水艦自体を国産でやろうとするのでは。








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