中国、北朝鮮に最新鋭戦闘爆撃機を輸出?

 最近韓国メディアが、中国が殲轟-7A最新鋭戦闘爆撃機を北朝鮮に輸出するかもしれないと報道し、大きな話題になっているそうです。もしそうなれば日本にとっても脅威になり得ます。中国ではこの問題はどう受け取られているんでしょうか。中国語のページを紹介しますが、私、現代の戦車同様現代の軍用機に関する知識があまりないので、不明な部分もかなりあります。

http://13856477078.blog.163.com/blog/static/121018340201232110257341/


天を衝いて飛ぶ豹 我が国の殲轟-7A戦闘爆撃機、北朝鮮輸出の可能性を簡単に分析する

(頑住吉注:原ページの最初の画像のキャプションです。「飛豹は我が国の空、海軍の主要な対地攻撃機である」)

最近韓国のメディアは、我が国が北朝鮮に向け殲轟-7A戦闘爆撃機を輸出するかもしれないとの情報を報道した。殲轟-7Aは比較的強い対地、対艦攻撃能力を具備しているため、もし情報が事実なら、極めて大きく北朝鮮空軍の作戦能力を増強することになる。このためこの情報は国内外の関心を集めた。

だが筆者は北朝鮮の現状および朝鮮半島の双方の力量を比較してみると、北朝鮮は殲轟-7Aのような戦闘爆撃機を必要としないし、このような高度科学技術作戦航空機の操縦も明らかに彼ら自身の能力を超えていると考える。このため個人的な拙い見方では、この説はあまり多くの事実に依拠していない。

殲轟-7Aは我が国の新世代戦闘爆撃機であり、殲轟-7の改良型である。殲轟-7と比べると、この機は航空電子面、搭載兵器を重点的に改良しており、多用途作戦能力を具備させている。この機は我が国の新世代連合式航空電子システムを採用しており、システムは複数のGJB289Aデータバス(1553B)を中核、任務コンピュータを核心としている。搭載レーダー、慣性誘導、大気データ計算機、通信、外装兵器管理システムなどを有機的に一緒に連結し、データの総合処理と統一表示を形成している。同時に一平両下のガラス化コックピットを採用し、飛行員は迅速に関係するモニターから戦場の状況や戦術的情報を獲得できる(頑住吉注:「ガラス化」、「一平両下」の意味は不明ですが、検索すると、「2つの大型MFI-35カラー多機能影響モニター、IKSh一1M広角平視モニター、3つの小型モニターからなる」という記述がありました)。この機に配備されているのは我が国のJL-10A多機能機載パルスドップラーレーダーで、空中の目標に対する最大探知測定距離は100kmを超え、多種の空対地作業モデルを具備している。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「殲轟-7Aはガラス化コックピットを採用している」)

機載懸垂ポッド方面。殲轟-7Aは国産の藍天低空ナビゲーション懸垂ポッドとK/JDC-1光電照準懸垂ポッドを吊り下げ装備できる。前者には地形追跡レーダー、寛視前視赤外線ナビゲーションシステム、ナビゲーションコンピュータなどが配備される。後者には前視赤外線追尾システム、レーザー照射システム、CCDカメラなどが含まれ、このワンセットのシステムはアメリカのブルーシールドシステムに相当する。昼夜間全天候低空防空突破/兵器照準の能力を具備し、昼夜、全天候条件下で空対地誘導弾を投下し、レーザー制御誘導爆弾など機載兵器で地上の小型目標を攻撃できる。スタンドオフ兵器方面では殲轟-7Aは国産のC-823AKG型空対地誘導弾を発射でき、その最大射程は200kmを超える。データチェーン修正+中継慣性誘導+エンドシステムテレビ制御誘導システムが採用され、発射後のロック機能が実現され、誘導弾発射後テレビカメラが獲得した画像がデータチェーンを通じて飛行員に伝達され、その後飛行員によって目標の選択あるいは目標の弱点への攻撃が行われる。敵の対空誘導弾の射程範囲内で攻撃を行い、しかも攻撃効果に対する評価を行うことから、体積が小さい、重量が軽い、射程が長い、防空突破能力が高い、命中精度が高い、弾頭部の威力が大きい、使用や維持メンテナンス操作が簡便などの特徴を具備する。この他、殲轟-7Aはさらに国産の電子ジャマー懸垂ポッド、電子支援/偵察懸垂ポッド、鷹撃-91が吊り下げ装備でき、電子偵察、電子妨害、対輻射防空制圧任務が執行できる。特に鷹撃-91には射程が長い、威力が大きいというメリットがあり、パトリオットなど第3世代対空誘導弾システムに対する打撃能力を具備する。以上の紹介から、殲轟-7Aが戦術技術指標の比較的良好な、攻撃、防空突破能力が比較的強い戦闘爆撃機であることが見て取れる。これも韓国メディアがこれにかくのごとく関心を寄せる原因である。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「殲轟-7Aは比較的強い正確な打撃能力を具備している」)

海外の資料によれば、北朝鮮空軍の現在の総兵力は8万人であるが、作戦航空機は420機しかなく、比較的先進的なものとしては30機前後のミグ29しかない。だがそれも比較的初期の型に属し、R-77アクティブレーダー制御誘導空対空誘導弾発射の能力は具備していない。西側第3世代航空機の新改良型と空戦すれば劣勢に立たされる。しかも大多数の航空機および装備は旧ソ連の第1、第2世代の兵器、装備であり、戦術技術指標は比較敵低い。特に対地攻撃機に関しては、まだ我が国の初期型轟-5型爆撃機さえ使用している(頑住吉注: http://www.airforceworld.com/pla/h-5-bomber-china.htm 最高速度は902km/h。イリューシン28のコピーだそうで、原型機の完成は1948年、つまり朝鮮戦争より前です)。この機は爆弾搭載量が少なく、防空突破速度が低く、電子妨害システムが欠け、正確な制御誘導兵器投下能力も具備していない。これでは現代の防空システムの迎撃を突破することはできず、韓国がパトリオットのような先進的対空誘導弾を獲得するにつれ、彼らの劣勢はさらにはっきりしたものになっている。明らかに殲轟-7Aの就役は北朝鮮空軍の作戦能力を非常に大きく向上させることになる。まず殲轟-7Aは作戦半径が大きく、1000kmを超え得る。韓国全体および日本の一部を攻撃範囲に収める。また爆弾搭載量が大きく、攻撃能力が強い。特に昼夜全天候防空突破能力、正確な打撃能力、スタンドオフ攻撃能力を備え、地形を生かして低空防空突破飛行ができるため防空突破能力が強く、急所を正確に突く攻撃が行える。朝鮮半島は山がちで橋やトンネルが多いため、もし正確にこれらの目標を破壊できれば、直ちに相手方の機動作戦能力を非常に大きく低下させることができる。さらに防空制圧能力も具備し、韓国の防空システムに対しソフト、ハードの制圧を行い、他の攻撃機のために援護を提供することができる。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「北朝鮮空軍の現在の装備は比較的古い」 ミグ21ですかね)

だが現代の戦争はすでに全体戦争であり、両軍の交戦も体系的な対抗となる。目下北朝鮮空軍の主要な作戦対象である韓国空軍はすでにこの地区でも重要な空中戦力の1つになっている。関係する資料によれば、韓国は60機前後のF-15K多用途戦闘機、140機のF-16戦闘機を持ち、これらは基本的に全てAIM-120アクティブレーダー制御誘導空対空誘導弾の発射能力を具備している。特に韓国空軍は新たにE-737空中事前警告機(頑住吉注:早期警戒機ですか)を導入し、これにはアクティブフェーズドアレイ事前警告レーダーが配備され、探知計測距離が遠く、同時に掌握する目標の数が多く、情報処理が迅速で、特に低空防空突破目標に対し比較敵良好な探知計測能力を具備している。同時にLINK-16データチェーンとF-15K、F-16を利用して比較的厳密な連合ネットワーク作戦システムを形成し、空中目標に対し比較的強い阻止能力を具備している。さらに言えば当地区にはアメリカが強大な空中戦力を配置しており、これにはE-3A事前警告機、F-15戦闘機が含まれる。殲轟-7Aは対地攻撃性能が突出しているものの、空戦格闘能力は比較的劣っている。このためこうした状況下では、護衛戦闘機の援護提供を必要とする。だが朝鮮空軍には目下30機前後のミグ29戦闘機しかなく、数が少ないばかりか性能も比較的低い。しかもミグ29は有名な足の短い航空機であり、殲轟-7Aのために比較的遠距離の援護を行うこともできない。これでは殲轟-7Aだけに頼って相手方の厳密な防空システムを突破しようとしても、おそらくあまりよい効果は得られないだろう。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「韓国空軍初のE-737事前警告機」 続いて2枚目。「韓国空軍のF-15K戦闘爆撃機」)

もう1つある。現代の作戦航空機は完全な後方勤務維持メンテナンス、訓練操作体系との組み合わせを必要とし、こうして初めて完璧な作戦能力を発揮できるのである。こうした体系には航空機、エンジン、搭載電子システム、兵器システムの維持メンテナンス、テストシステム、人員の訓練養成、訓練用設備、作戦命令、戦術の研究、編成等々が含まれる。特に殲轟-7Aの高度科学技術、精密電子設備、搭載兵器は比較的多く、温度維持、湿度維持の保存環境を必要とする。さらに高い素質の飛行員、地上勤務人員隊列を必要とする。これらはいずれも北朝鮮空軍の現有設備、体系的能力をはるかに超えている。つまりこのため北朝鮮空軍がもし殲轟-7A戦闘爆撃機を購入しても、飛行員の訓練養成、後方勤務施設の建設も簡単にできることではない。もしこうした後方勤務維持メンテナンス体系の支えがなければ、殲轟-7Aが多大な作用を発揮できるかどうか疑わしい。

最も根本的な問題はやはり北朝鮮の現在の経済、技術的実力が北朝鮮空軍の近代化計画を大きく支えることができるかどうかであり、これに対し筆者は態度を保留する。我々は近代的作戦航空機ないし現代空軍の最大の特徴は知識、技術の密集であることを知っている。1機の現代戦闘機の価格は全て数千万、甚だしきに至っては1億米ドル以上である。しかもこれで全部ではなく、さらに使用する弾薬、予備部品等々を購入する必要があり、それらはいずれも安価ではない。この他、さらに飛行員、地上勤務人員の訓練養成等々を行う必要がある。これにも多くの投資が必要で、現代作戦航空機の飛行人員は黄金の塊でできているかのようだと称されるほどだ。さらに言えば指揮コントロールシステム、後方勤務保障体系等々もあり、しかもこうしたシステムや体系には日常的維持メンテナンスを行い、正常な運行を保持しなければならない。こうした出費は絶対的に天文学的数字になる。一方現在の北朝鮮の経済、技術的実力は非常に限られており、しかも大部分の資源は弾道弾などのプロジェクトに投入されている。空軍に分配される経費は少ないにちがいなく、このため北朝鮮にとって近代的空軍は負担であり、たとえ比較的小規模な空軍であってもそうである。最も簡単な例を挙げれば、殲轟-7Aのような作戦航空機は作戦でも訓練でも大量の航空燃料を必要とするが、北朝鮮は深刻な石油不足であり、高いランクの航空燃料はなおさらである。1990年代以来北朝鮮空軍の飛行訓練が少なくなっているのはまさにこれが原因である。このため、北朝鮮が現在の比較的経済が困難な状況下で、貴重な外貨を使用して我が国から殲轟-7A戦闘爆撃機を購入することは想像し難い。我が国は北朝鮮に対し今までずっと友好的価格をもって輸出してきたが、もしコストに照らすなら、おそらく北朝鮮の負担し得るところではなく、ワンセットの作戦体系の建設はなおさらである。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「現代の作戦航空機は完全な後方勤務維持メンテナンス体系と設備を必要とする」)

問題の出発点に戻ろう。北朝鮮は何故殲轟-7Aを購入しなければならないのか、あるいは何故殲轟-7Aを必要とするのか。それは明らかに韓国に対する脅威度を高めるためである。それではこの手段は代替不能なのか? 答えは当然ノーだ。我々は朝鮮半島が地理的に狭小であることを知っている。しかも北朝鮮は比較的強力な弾道弾の実力を持っており、韓国全域がその攻撃範囲内にある。特に韓国には1つの致命的弱点がある。それは韓国の首都ソウルが38度線からたった数十kmの距離にあり、北朝鮮の長距離砲や戦術ロケットの射程範囲の中にさえあることに他ならない。ソウルは韓国最大の都市であり、韓国の経済、政治、科学技術、工業、電子、金融、流行や文化の中心である。全国の海、陸、空の交通の中枢でもあり、韓国のおよそ1/5の人口と30%のGDPが集中している。このためひとたびソウルが攻撃を受ければ、韓国にとって深刻な打撃となり、またこれは北朝鮮の通常火砲でもなし得ることである。これは何故21世紀に入ってから韓国が首都移転を構想しているかの根本的原因である。だが韓国は国境からの奥行きが比較的小さいため、もし南に遷都しても北朝鮮の戦術地対地弾道弾の射程範囲内に位置する。制御誘導システムの制約から北朝鮮の地対地誘導弾の精度はよくないかもしれないが、都市を打撃するというような目標ならそれでも可能に違いない。つまり北朝鮮は現在実際上韓国に対する一定の威嚇能力を保持しており、高度科学技術的作戦航空機は必要としない。また湾岸戦争の経験から見て、弱国にとって弾道弾の機能は先進的作戦航空機に比べずっと高いに違いなく、アメリカ空軍は非常に容易にイラク空軍を掃討したが、イラクの誘導弾機動発射車両には悩まされ続けた。多国籍軍部隊のずっと後方のサウジアラビアは一度この種の旧式誘導弾によってパニックに陥れられ、アメリカは止むを得ず衛星、特殊部隊、F-15E戦闘爆撃機といった各種の武器を使ってイラクの誘導弾に対抗した。このためこの戦争の後アメリカは一方で各種の誘導弾防御システムの発展に力を入れ、他方では極めて力を入れて国際市場の誘導弾およびその技術の交易を阻止した。これとは違い先進作戦航空機に対してはずっとゆるかった。このため弱国に関して言えば、誘導弾は先進作戦航空機と比べ、より高い機能を持つ兵器と言える。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「ソウルは38度線からの距離が比較的近い」 続いて2枚目。「北朝鮮の遠距離火砲打撃範囲内にある」)

だが北朝鮮に関して言えば、空軍の作戦航空機の老朽化につれ、間違いなく一種の現代作戦航空機で一定限度の空中防御作戦能力を維持する必要がある。筆者は北朝鮮空軍に比較的適しているのは我が国のFC-1戦闘機に違いないと考える。これは小型の作戦航空機であり、製造コストは比較的低廉だが完備された作戦能力を備えている。例えばこの機の装備するKLJ-7機載火力統制レーダーは空中目標に対し最大130kmの探知計測距離を提供でき、SD-10アクティブレーダー制御誘導空対空誘導弾が発射でき、光電照準懸垂ポッドを吊り下げ装備でき、レーザー制御誘導爆弾などの兵器を投下でき、しかもC-802AK空対艦誘導弾が発射でき、したがって北朝鮮の制海能力を高める。韓国海軍の実力の増強につれ、この点は明らかにより重要となっている。このためもし経済条件が許せば、北朝鮮が少数のFC-1を購入することはいくらかより実用的であるかもしれない。

このため北朝鮮に関して言えば、目下最も有効な武器はやはり彼らの各種誘導弾であり、これは北朝鮮が何故各種誘導弾および運搬ロケットの発展を堅持しているかの根本的原因でもある。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「FC-1は北朝鮮空軍により適するかもしれない」 続いて2枚目。「北朝鮮の最も有効な威嚇はやはり誘導弾である」)


 この筆者は冷静な分析から北朝鮮が殲轟-7Aを輸入する可能性は低いと推測しています。しかしより北朝鮮に適した機種の提案もしており、中国が北朝鮮に武器を輸出することによって国際社会から批判を浴び、立場が悪くなることは別に気にしていないようです。FC-1の行動半径も900kmに及び、日本にとっても脅威になることに変わりはないんですが。








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