空警ー500早期警戒機

 もう何度か同じテーマの記事は紹介してますが。

http://www.hinews.cn/news/system/2015/10/01/017839945.shtml


中国の早期警戒機ファミリーの新たなるスター、空警ー500:先進的な作戦能力を持つ

9月3日の中国人民抗日戦争・世界反ファッショ戦争勝利70周年記念大閲兵の中で、中国の早期警戒機ファミリーが集団でお目見えし、しかもファミリーの新メンバーである空警ー500早期警戒機が初めて公開展示され、さらに広くメディアや軍事マニアの熱い議論の対象となった。

空警ー500は新世代早期警戒機と呼ばれ、この機はカギとなる重要技術の飛躍を実現し、作戦能力を新たなレベルに到達させた。だがこれはきっと頂点ではなく、立派な成績にも満足せず継続して発展する新たな起点である。今年5月に発表された「中国の軍事戦略」白書の中には、「大きな力を入れて戦略早期警戒能力を発展させる」との記述があり、このことは我が国の早期警戒機が必ずや新たにしてより高い目標に向け不断に発展することを意味している。

ファミリーの新メンバー

飛行機がひとたび誕生するや、独自の慧眼を持つ軍事家はすぐにその比類のない高度、快速、遠距離という「三合一」特性に着眼した。そこで人々は爆弾、火砲を空中に運び、戦闘機、爆撃機を研究開発しかつ広範に使用した後、すぐ続けてカメラ、レーダーなど「千里眼」、「地獄耳」を空中に運び、偵察機、早期警戒機を研究開発した(頑住吉注:正確には戦闘機や爆撃機より偵察機の方が先でしょうし、言うまでもなく早期警戒機の出現はずっと後のはずです)。

初期の早期警戒機はレーダーを空中に運び、もって高いところに立って遠くが見えるという問題を解決した。この時期の早期警戒機、例えば1940、50年代の米軍のAD-3、EC-121などは、普通のパルスレーダーを採用したため下を見る能力が比較的劣り、雑電波の比較的弱い海上にしか使えず、限定的な空中警戒任務を担い、指揮機能はなかった。1960、70年代以後、電子、通信などの技術が発展するにつれ、機載パルスドップラーレーダーの雑電波に抗する性能がさらに一歩向上し、E-2C、E-3Aといったような早期警戒機が偵察早期警戒、協調指揮機能を一体に集め始め、それらは海や陸の目標に対し連続探知計測と位置決定ができるだけでなく、さらに戦闘機を指揮誘導して協同作戦でき、「1+1>2」の全体能力を形成した。

早期警戒機運用の古典的案例には1982年6月のベカー谷の戦いが属する。この戦闘の中で、イスラエルは多数のアメリカ製E-2C早期警戒機を空中指揮センターとし、その協調指揮の下、イスラエル軍は一挙にシリアの防空陣地を破壊しただけでなく、さらに1:80という良い空戦成績を創造した。事後、イスラエル飛行員は、早期警戒機の指揮下で、シリアサイドの飛行機はまるで標的のように自ら視距離外攻撃を受けた、と強調した。一方シリアサイドの飛行員は、自分は離陸後地上の指令も聞こえず、また相手方の飛行機も見えず、満天を逃げまどい受動的に攻撃を受けることしかできなかった、と報告した。1991年の湾岸戦争では、類似の活劇がまた多国籍軍の飛行員とイラク飛行員の身の上に再現され、多国籍軍飛行員は早期警戒機の指揮誘導の下で、イラク空軍や防空陣地に対し「ゲームのような」攻撃を実施した。こうした古典的戦例はその他の国の軍隊を驚き覚醒させた。先進的な早期警戒機はすでに現代の空戦の必需品だ、と。

我が国は1960年代には早くももう爆撃機を用いて早期警戒機に改装し、空警ー1号と命名したことがある。惜しいことに、多種の原因でこの本来時代的意義を持つ、比較的強い対空対艦探知計測能力も持つ早期警戒機は決して実用化されず、我が国の海空軍に他人はすでに早期警戒機時代に足を踏み入れている比較的長い時間内、何と自らの早期警戒機がないという状態をもたらした。新世紀に入り、「争気機」(頑住吉注:「争気」は頑張りなどの意)と呼ばれる空警ー2000と、そのハイローミックスである空軍型、海軍型の空警ー200が続々と研究開発に成功し、かつ部隊装備されるにつれ、我が国はやっと自らの早期警戒機力量を建立し、かつ空中早期警戒能力の無から有へ、小から大までの段階的躍進を実現させた。今回の大閲兵で、空警ー2000が空警ー200、空警ー500というこの早期警戒機ファミリーを率いてことごとく出陣した。空警ー500はファミリーの新鋭として初お目見えし、我が国の早期警戒機発展が追い越し車線を走っていることをも示したし、我が国の空中早期警戒能力がまだ大発展しつつあることも事前に示した。

技術の新たな飛躍

空警ー500は輸送機をキャリアとした、空中早期警戒と指揮コントロール能力を一体に集めた全天候早期警戒機である。空警ー2000に比べ、搭載機は小さいが、技術がより成熟、先進、機能がより健全、強大で、作戦能力が新たな水準に到達している。

空警ー500は依然新型フェイズドアレイレーダーを採用し、円形のアンテナを使用し、表面的に見ると空警ー2000との差異は大きくない。だが機全体の電子情報システムのデジタル化、ネットワーク化、一体化改造グレードアップを経て、その目標探知計測と位置決定、データ処理と融合、ネットワーク接続と中継、指揮誘導とコントロール、電子妨害に抗することと対ステルスなどの能力がより突出している。この機は同時進行で多次元、多数の目標の追跡、監視の管理ができるだけでなく、さらに同時に多域、多層、多数の戦闘機を誘導してロックオンした目標に対し差別化された正確打撃が実施できる。もし空警ー1号が中国早期警戒機第1世代で、空警ー2000と空警ー200が第2世代だと評価されるならば、空警ー500は中国早期警戒機第3世代と評価できる。

注意に値するのは、今回研究開発された新型フェイズドアレイレーダーは、機全体の電子情報システムのソフトウェア、ハードウェアに対し最適化設計と総合集成を行っており、自主化の程度がより高いということである。こうした自主性を持って開発された技術はより容易に、より早くその他の方面に向け転化され、このことはさらに一歩その他の機種を最適化、改良し、我が国の早期警戒機研究開発能力を全体的に向上させる、いずれのためにも良好な基礎を固めた。かつてある外国メディアは「9.3」閲兵後の報道において、空警ー2000、空警ー200に続き、解放軍は10年に満たないうちにまたもう1機種の早期警戒機である空警ー500を獲得し、中国の電子情報技術が猪突猛進の発展を得たことを見て取るに足りる、とした。空警ー500とアメリカのE-737を対比すると、両者はいずれも新世代早期警戒機の水準に到達していると考えられ、このことは中国が早期警戒機技術方面ですでにアメリカとの世代間ギャップがないことを説明している、とする外国メディアもある。しかもこうした評論が当を得ていようといまいと、空警ー500がカギとなる重要技術の飛躍を実現したのは争いのない事実である。

戦場の新たな役割

今回の閲兵で展示された新たな武器、新たな装備の絶対多数は第一線部隊から来ており、訓練場から来て、閲兵場で展示され、再び訓練場に戻るが、真に用いられるのは戦場だということができる。説明によれば、閲兵場にやってきた空警ー500はまもなく部隊装備され就役する。まず閲兵場を経て、再度訓練場入りし、鍛錬や練磨を経て、未来の戦場に用いられることになる、とも言える。未来の戦場で、空警ー500は新型の「空中指揮所」の役割をもって、空中作戦体系を構築および運行し、「空・宇宙一体、攻防兼備」の戦略空軍と「陸海結合、空海一体」の新型海軍航空隊を作り出すため、自らの力量で貢献することになる。この機は情報と指揮の「デュアルリンク」、「ダブルノード」となり、電子偵察、空中警戒、情報処理、情報分発、指揮コントロールなどの総合任務を担うことになる。

当然、単独の1機である空警ー500が「1機で天下全てを打撃する」ことは不可能である。今回の閲兵での空警ー500と新型指揮機のコンビネーション、および殲ー10戦闘機がこのため航路護衛するなどの実戦化された編成から、この機と専業の空中指揮機は交互にメインとサブを務め、相互にバックアップする関係だということが見て取れる。しかも、新型作戦機が作戦編成に加入するするにつれ、早期警戒機である空警ー500とこうした新型作戦機の間には、まだメイン・サブ情報ノード、相互接続リンクの関係がある。実際上、空警ー500はより大きな程度上、情報の自力収集と広い収集、態勢セルフ融合と相互の整合、指揮の補助とバックアップ指揮相互の結合など、情報サイトと指揮ノードがパラレルで互換性のある「ネットワーク中心」任務を担うことになる。このことは、空警ー500が未来の作戦の中でより独自かつ重要な作用を発揮することを反映している。

発展の新たな起点

軍事家はずっとこう信じている:ベストはない、あるのはベターだけ。祖国の青空は自らの航空力量の不断の成長と壮大化を目撃してきた。広大な天空は自らの空中早期警戒機が立派な成績にも満足せず不断に発展することをも目撃することになる。空警ー500早期警戒機はすでに先進技術水準に到達しており、すでに先進的な作戦能力を具備しているが、これはきっと頂点ではなく、立派な成績にも満足せず発展する新たな起点でしかあり得ない。

超機動、超高速、超低空および小型化、高度のステルス、低速など新型目標に照準を合わせ、自身のステルス性、防御性、機動性、航続性能などの客観的要求を加え、我が国の早期警戒機は必ずや新たにしてより高い目標に向けて発展することになる。こうした発展には次のものが含まれる。さらに一歩搭載機の性能を向上させ、自らのステルスと対ステルスを結合する。さらに一歩新型目標に対する探知計測能力を向上させ、航空機、宇宙機材、航海器などの探知計測を結合する。さらに一歩防衛能力を向上させ、敏捷なネットワーク組成、抗妨害、高い安定性などを結合させる。さらに一歩系列化を推進し、大型早期警戒機と中小型早期警戒機を開発し、固定翼早期警戒機と回転翼早期警戒機、空中に浮遊する早期警戒器を開発し、宇宙基地早期警戒器などと結合し、早期警戒機(器)ファミリーの規模、数量も壮大化させるし、多次元、多域、多種の早期警戒機(器)の全体的な質を高め、人民の軍隊が多種の安全に対する脅威に対応し、多様化された軍事任務を完成させるため、より多くより良くより柔軟な選択を提供し、海空軍力量が祖国を防衛し、人民を防衛するためより堅固な支えを提供する。

(王長勤 方光明 作者の機関:軍事科学院)


 現状では比較的低性能で大型とは言い難い機しかベースに使えないという問題はありますが、その他の面では大きく進歩しているということでいいんでしょうか。今後この機が実際に運用されれば他の機の動きなど種々の状況からある程度この機の実力が推定できるようになるんでしょうが。















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