アメリカン180サブマシンガン

 実はこの銃好きです。しかし新鮮な内容はさしてあるまいと思っていたんですが、読んでみてこの銃を大きく誤解していたことが分かりました。正直「昔のマイナーなサブマシンガンシリーズ」で一番面白い内容でした。

解読American−180沖鋒槍


火力猛烈は威力が小さいという欠陥の埋め合わせになり得るか? アメリカン180サブマシンガンを解読

アメリカン180は非常に興味深いサブマシンガンである。この銃は0.22インチLR口径のリムファイア式弾薬を発射する。このため威力、射程はいずれもきわめて小さいが、発射速度はきわめて高い。この銃を設計した本来の目的は、高い発射速度と高い命中率で威力が弱いという欠点を埋め合わせ得ることを希望したことだったのだが、事実はこれがひとりよがりの考えに過ぎないことを明らかにした。

生産権、何度も代わる

1960年代初期、アメリカの銃器設計師リチャード カースは、1回弾薬を装填すれば長時間持続射撃できる超大容量の小口径ライフルの構想を思いついた。これに基づき、彼はCasull 290という名の0.22インチLR口径の半自動小銃を設計した。その水平にレシーバーの上に配置されたドラムマガジンに290発の弾薬を装填できたため、290型と称された。この銃はストレートブローバック式自動原理、オープンボルト発射準備方式を採用し、ボルト前端面には電極のような2つの突起があって、チャンバーが閉じた瞬間に弾薬のリムを打撃して発火させた。これらのライフルの製造は精密で美しく、価格は高く(1960年代初期の基準で)、1挺およそ1200ドルで買えた。しかもたった87挺しか生産されず、全てが手作業で精密に作られ、レシーバーは機械加工だったが、あらゆる部品は手作業で磨き上げられていた。当時この銃をプレゼントとして外国の貴賓に贈ることがとても流行し、フィリピンの元大統領フェルディナンド マルコスも1挺持っていた。現在この銃はすでにきわめてレアで、状態のよい品だとおよそ15,000ドルで買える。

1970年代初期、Casull 290ライフルの概念を警察用小口径サブマシンガンに発展させることを考えた人がいた。0.22インチLR弾薬はあらゆる標準的弾薬の中で威力が最低ではあるが、その後座力は低く、かつ精度が相当に高い。小口径サブマシンガン設計の初志は、高い発射速度、低い後座力と超大容量のマガジンは実戦においてきわめて短時間内に同一の目標に多数の銃弾を命中させられ、したがって充分な停止作用を生み出すことができる、したがって弾薬の威力が小さすぎる欠点は埋め合わされる、ということにあった。このCasull 290ライフルを発展させてできたサブマシンガンこそアメリカン180サブマシンガンであり、「180」と命名されたのはそのドラムマガジンに180発の弾薬が装填できたからである。面白いのは、この銃はアメリカ人によって設計されたのであるが、当初はアメリカの会社と生産に関する契約を締結したオーストリアの会社によって生産され、その後さらにカリフォルニア州に所在するクリストファー アンド アソシエイツ社によってアメリカに輸入されたことだった。

後にユタ州ソルトレイクシティの人々がクリストファー社を買収し、アメリカンアームズインターナショナル社(略称AAI)を作った。AAI社はオーストリアで生産された部品を使ってアメリカン180サブマシンガンの生産、組み立てを継続した。ノーマルバージョンの他、AAI社は一部メッキ型も生産した。この他少数の非常に高価な24金メッキ型もあった。

1986年になり、アメリカの自動火器禁止法の影響を受けたため、AAI社は閉鎖を余儀なくされた。1987年、イリノイ州小火器有限会社(ILARCO)がAAI社を買収し、アメリカン180サブマシンガンの部品の生産を継続した。この時AAI社が閉鎖前に研究開発していたヘビーバレル型アメリカン180もILARCO社によって引き継がれ、最終的にマーケットに登場した。

同じく自動火器禁止法の影響のため、ILARCO社はアメリカ国内民間市場ではセミオート型アメリカン180の生産をメインにするしかなく、他方において彼らはサブマシンガンを基礎に異なる変形銃を生産し、新たに「ILARCO180ウェポンシステム」と命名して法執行機構や国外市場に売り込んだ。だがこうした努力は実質的な進展を勝ち取ることができず、やはり最後にはやはりやむを得ず破産を宣告した。この会社の株式の大部分はフェザーインダストリーズ社に買い取られた。フェザーインダストリーズ社も同様にセミオート型アメリカン180を生産し続けたが、この企業も最後にはやはり破産し、E&Lマニュファクチャリング社によってあらゆる財産および生産権が買い取られた(頑住吉注:この会社は現存しています http://www.brasscatchers.com/am180/index.html やかましい発射音がずーと鳴っているセンス悪いページなんで注意してください)。

アメリカン180サブマシンガンにはいくつかのメーカーがあるが、異なるメーカーが生産してもはっきりした変化はなく、大多数の部品は共用できる。だが銃のシリアルナンバーの前にある字によって銃のメーカーが識別できる。シリアルナンバーが「A」から始まっていればオーストリア、「B」なら最も初期のアメリカ製、「D」ならAAI社による後期の生産、「V」ならE&L社製である。この他、オーストリアで生産された製品はシリアルナンバーがバレルだけにあって、レシーバーにはない。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「AAI社が生産したメッキ型アメリカン180」 続いて2枚目「Casull 290半自動小銃」 続いて3枚目「短縮型アメリカン180」 続いて4枚目「標準型アメリカン180と177連金属製ドラムマガジン」 続いて5枚目「半自動型アメリカン180」)

(頑住吉注:これより2ページ目)

思惑とは異なり、威力と火力の両立は難しかった

アメリカン180サブマシンガンが登場したばかりの時、地方警察局や連邦あるいは州立刑務所が大量に購入し、例えばユタ州刑務所管理部門は看守のために「Laser Lok」(頑住吉注:レーザーでロックオンする、ということなので綴りの間違いだろうと思ったんですがこれで正解でした)レーザーサイト付きのアメリカン180サブマシンガンをただちに装備し、刑務所の暴動鎮圧に用いた。一部の看守は、暴動を起こしている囚人が鮮やかな赤色の光点が自分の体の上でちらついているのに気付くと、皆ただちに「聞き分けがいい」態度に変わると語った。一方地方警察局の多くはアメリカン180をパトロールカーに積む武器として、ショットガンと一緒に使用した。

だが皮肉なことに、刑務所管理部門が気に入ったアメリカン180の高い発射速度と高い命中率という長所は、すぐにこの銃が使用されなくなる欠点にもなった。これらの役人は、単一の0.22インチLR弾薬は警察用防弾衣を有効に貫通できないが、長いバーストなら当時の看守や警官が着ていた大多数のソフトボディアーマーをやはり貫通できてしまうことに気付いた。そこですぐに心配する人が出た。万一銃が犯人に奪われたらどうなるか? この結果一部の刑務所は装備したばかりだったアメリカン180をすぐに放棄した。現在警察にはすでにこの種の武器はなくなっており、民間で開催される銃器フェスティバルでのみこの銃の姿が見かけられる。だが、現在でも一部の連邦刑務所が依然この銃を保有し続け、しかも定期的に囚人にその威嚇性の高い火力を見せているとも言われる。

アメリカにおけるアメリカン180の実戦使用例はきわめて少ないが、1つの例は1974年11月24日に発生した。当事者のマイケル ギルはフロリダ州の小さな町の警察官で、当時彼はパートナーのゲイリー ジョーンズと共に、2名の強盗容疑者の運転する1974年型シボレー カマロを追跡していた。ギルはレーザーサイト付きのアメリカン180でスポーツカーであるカマロに対し40発あまりの銃弾を撃ち込んだ。銃弾はカマロのリアウィンドウを貫通した。この時助手席にいた容疑者がジョーンズに向け発砲し、ジョーンズもショットガンで撃ち返した。だが散弾のうち2名の容疑者に命中したものは皆無だった。間もなく、助手席にいた容疑者は背中に多数の0.22インチ弾頭が命中したために死亡し、一方運転者も数発の0.22インチ弾頭で背中を撃たれたものの、生きて車で逃亡した。このことから、アメリカン180の命中率は比較的高いものの、威力はやはり間違いなくあえて褒められるものではないことが見て取れる。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「AAI社が生産したアメリカン180サブマシンガンシステム1セット。木製のガンケース、長いハンドガード付き標準バレル、「Laser Lok」付き標準バレル、フォアグリップ付きショートバレル各1を含む」 レーザーサイトのあまりの巨大さに驚かされます。続いて2枚目「唯一実証されたアメリカン180の実戦例で触れたスポーツカー、1974年型シボレー カマロ。リアウィンドウが多くの銃弾で撃ち砕かれている(興味深い余談としてこの旧型車は最近人気が高まっており、これはアメリカン180のせいではなく、この車が最近「変形金剛」実写版の映画の中で「大黄蜂」登場時の車だったからである)」 「変形金剛」とはトランスフォーマー、「大黄蜂」はバンブルビーのことだそうです。浅い角度で命中したせいもあるでしょうが、比較的薄い自動車の外皮を貫通できていない弾丸が多数あることが分かります)

長所は短所でもある

アメリカン180サブマシンガンはCasull 290半自動ライフルの外観と似ており、内部的にも差異は大きくない。これらは同様にストレートブローバック式ボルトとオープンボルト発射準備方式を採用している。この銃にはセミオートおよびフルオート射撃モードがある。レシーバーは機械加工で作られており、ストック、ハンドガード、グリップは木製である。トリガーガードは大きく、セレクターはレシーバー右側にあり、トリガー上方に位置している。この銃の最大の特徴はレシーバーの上に平らに置かれたドラムマガジン、また発射時に薬莢がレシーバー底部から放出されることで、容易に人をしてルイス機関銃あるいはデクチャレフ機関銃を連想させる。だがルイス機関銃やデクチャレフ機関銃とドラムマガジンが異なるのは、アメリカン180サブマシンガンのドラムマガジンがツーピースからなっていることだ。すなわち弾薬を装填するドラムと給弾を行うクランク巻バネ器(頑住吉注:メーカーはWinding Mechanismと呼んでいます)からなっているのである。

アメリカン180のドラムマガジンの中の弾薬は数層に分かれて中心に向けて配列されている。原型銃のドラムマガジンの装弾数は180発だったが、最初の量産型ドラムマガジンの装弾数は177発に減らされていた。現在アメリカン180のドラムマガジンは全て半透明のレキサン材料(一種のポリマー材料)(頑住吉注:ポリカーボネイトのことです)を採用しており、残りの弾数が視察でき、それぞれ165発、220発、275発という3種の装弾数がある。最初の177発金属製ドラムマガジンは高さが約27mmで、3層で装填される。165連レキサン製マガジンは高さが約32mmで、3層で装填される。220連レキサン製マガジンは高さが約35mmで、4層で装填される。275連レキサン製ドラムマガジンは高さが約40mmで、5層で装填される。275連ドラムマガジン使用時、11秒持続する絶え間ない火力が生み出せる。

装弾数が多いので、手でドラムマガジンに装填するには時間を要し、約10〜15分かかる。このため、E&L社は一種のローダーを生産した。熟練者がこのローダーを使うと3分で177連ドラムマガジンをフル装填にできる。

装填完了後、巻バネをすでに巻いた巻バネ器をドラムマガジンの中心に入れる。これでもう銃にセットして使用できる。巻バネ器のセットは簡単なように見えるが、正確に行うことが必須であり、ミスは許されない。もし巻バネ器のセットが不適当だと、バネが正常に作動しない結果をもたらす。外部からは見分けられないのに、ドラムマガジンを銃にセットして射撃した時になって直ちに給弾不良をもたらすことになる。

アメリカン180の理論上の発射速度はきわめて高く、0.22インチLR普通弾薬を発射した時、毎分1200発に達し得る。0.22インチILARCO口径、あるいは0.22インチショートマグナムリムファイア弾薬口径と呼ばれる弾薬もあった。これは実は0.22インチWMR(ウィンチェスターマグナムリムファイア)弾薬の薬莢を0.22インチLR弾薬と同じ長さまで短縮したものである。アメリカン180にチャンバー内圧力がより高い0.22インチILARCO弾薬を使用すると、発射速度は毎分1500発まで上がる。

発射速度は高いが、アメリカン180の後座力は低く、バースト時のマズルジャンプは比較的小さく、非常に「平穏」である。このためバーストの散布も非常に密集したものになる。

0.22インチLR弾薬の威力は小さいが、その発射速度と低い後座力ゆえに、射手はきわめて短時間内に多数発を目標に命中させることができ、このため多くの種類のソフトボディーアーマーを貫通できるし、レンガ製の壁に大穴を開けることもできる。0.22インチLR弾薬の停止作用は小さいが、5発の0.22インチLR弾頭の総重量は、1発の0.45インチACPウィンチェスターシルバーチップ弾薬の弾頭重量と同じであり、しかも多くの実験結果は、短時間における連続多発命中は深刻な損傷効果を生み得ることを証明している。このため多くの人はアメリカン180サブマシンガンはショットガンみたいなものだと考えている。だが全体的に言うと、0.22インチLR弾薬は都市における戦闘環境ではやはり充分な貫通力を欠いている。

発射速度がきわめて高く、ドラムマガジンの交換時間が比較的長いので、もし1人の射手がアメリカン180を近距離作戦に使用したら(この種の銃は近距離作戦にしか使えないのであるし)、ひとたび戦闘中に弾薬を撃ち尽くしたら、最もよいやり方はすぐに補助武器、例えば拳銃で射撃を継続することである。‥‥他の隊員の援護があってゆっくりドラムマガジンを交換するのでないならば。だが、もし練度の高い射手がアメリカン180を使用して、有効な5発の短いバーストを行ったら、一般的に言えば戦闘中に弾薬を消耗し尽くす可能性は高くない。例えば165連ドラムマガジン使用時、少なくとも33回の短いバーストが行える。もし275連マガジンを使用すれば、少なくとも55回の短いバーストが行える。これは1回の都市環境での法執行における普通作戦を処理するのに足りる。

アメリカン180には主に2種類の長さのバレルがある。標準型は406mmで、短縮型は229mmである。この他長さ356mmおよび470mm等も生産され、バレルが選択可能だった。バレル交換は容易で、レシーバー底部のエジェクションポート前方にバレル固定用の大型ナットがあり、このナットを回せばすぐバレルを取り外せ、あるいは交換できる。アメリカン180にはマズルブレーキが装備されていない。実際上装備不要でもあり、個別のバージョンにフラッシュハイダーが装備されているだけである。229mmおよび356mmのバレルにはサイレンサー装着用のネジが加工されている。

アメリカン180には交換可能な照準器が配備されている。比較的高さのある大容量ドラムマガジン使用時には、比較的高いフロントおよびリアサイトと交換することが必須だからである。リアサイトはアリミゾに装備され、上下左右に調節できる。リアサイトを取り外せばダットサイトや低倍率スコープを装着できる。アメリカン180にはさらに「Laser Lok」レーザーサイトが装着でき、このヘリウム-ネオン気体レーザー照射器は1971年に研究開発され、ハンドガードのようにバレル下に吊り下げられる。これは当時の警察用アメリカン180の標準装備だった。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「アメリカン180ドラムマガジンにあるクランク巻バネ器」 続いて2枚目「E&L社生産による」スピードローダー」 続いて3枚目「一部の愛好家がDIYで作ったスピードローダー「会テンプレート」。装弾はE&L社の生産によるスピードローダよりさらに早い」 続いて4枚目「アメリカン180のリアサイトは取り外してレーザー照準器と交換することができる。左下の箱状のものがLaser Lokレーザー照準器。1971年に生産されたレーザー照準器はまだ現在のように小型ではなかったため、Laser Lokの寸法も大きい。上の4つのドラムマガジン中、最も左のドラムマガジンにはクランク巻バネ器がセットされているが、これ以外の3つにはいずれもクランク巻バネ器はセットされていない」 続いて5枚目「Laser Lokレーザーサイト後面の操作板」)

(頑住吉注:これより3ページ目)

幾多の新基軸も最終的な命運を変え難かった

アメリカン180のストックはM1921トンプソンの設計から取ったもので、ロックボタンを押せばすぐに取り外せる。実際のところアメリカン180の外形は確かに給弾方式を改変したトンプソンサブマシンガンに幾分似ている。もし229mmのバレルを使ってストックを外せば、アメリカン180は非常に短くなり得る。ただしそのドラムマガジンの体積が大きすぎるため、それでもコンシールドキャリーには適しない。

もし隠密行動中にアメリカン180を携帯する必要があれば、別の方法が必要になる。ILARCO 180武器システムの中には、「180 SC」と呼ばれるブリーフケース銃が含まれている。これは外観上普通のブリーフケースに見えるが、実は中身はショートバレル、ストックなし、レーザー照準器付きのアメリカン180であり、ブリーフケースを開かず、直接目標を狙ってすぐに射撃できる。

「180 SC」ブリーフケース銃には普通のブリーフケースと同じように見える暗証番号式ロックがあるが、これは実際には第1の射撃セーフティのオンオフスイッチであり、正確な数字を組み合わせればオフにできる(もし緊急のここぞという時に暗証番号を忘れたら悲惨である)。ブリーフケースのハンドル内には2つの目立たないボタン式スイッチがある。1つ目のスイッチはレーザー照準器のオンと最後の射撃セーフティのオフを行い、2つ目のスイッチは射撃ボタンである。0.22インチLR弾薬の後座力は小さいので、ストックがなくとも「180 SC」ブリーフケース銃はフルオート射撃時でもコントロールが容易で、着弾点は非常に密集したものになる。レーザー照準器の補助下でなら、近距離射撃ではやはり非常に有効である。

0.22インチLR弾薬の「先天的不足」を埋め合わせるため、ILARCO社は不断に火力増加に手を染め続けた。彼らは一種の双連銃架を生産し、2挺のアメリカン180のレシーバーを1つのストック上に取り付け、フルオート火力は毎分3,000発を超えた。銃にはさらにバイポッドが装備され、全体重量は6.4kgに達した。使用に不便をきたすことは必定だった。

この他、「Quad 22s」と称する4連装銃架もあった。これは4挺のアメリカン180を連結し、それぞれの銃を単独で発射することも、同時に発射することもできるものだった。もし高圧弾薬を使用して同時発射すれば、火力は毎分6,000発を超えることができ、人をして驚愕させる破壊力を備えていた(頑住吉注:1秒間に100発ですからまさにバルカン砲です)。ただしあまりに重すぎ。かつ体積が大きすぎ、使用時はトライポッド上で電子撃発機構を装備することが必須だった。このためILARCO社のセールスマンは、この種の4連装銃架は刑務所の中で固定火力とする、あるいは街頭での暴動を制圧するのに最も適していると解説した。

ニューイングランド地区のあるアメリカン180のセールスマンはかつて隼式超小型飛行機(頑住吉注: http://www.geocities.jp/jwsxk901/newpage1.htm これかな? と思ったんですがこれは比較的最近設計されたようなので違うようです。しかしまあ大体こんな感じでしょう。それにしても65馬力って‥‥)に2組の「Quad 22s」を搭載し、第三世界の国の政府にセールスを試みた。これにはインド、パキスタン、グァテマラ、ホンジュラスが含まれた。この2組の「Quad 22s」は機体左右両側の着脱できる支持架に搭載された。その電子発射コントロール装置は単一の銃の射撃も、片方の「Quad 22s」の一斉射撃も、両側の「Quad 22s」の同時射撃もコントロールできた。もし275連ドラムマガジンを使用して順繰りに射撃すれば、88秒の持続火力を有した。ただし大多数の状況下では8挺の銃を一斉射撃して初めて有効な空中火力を形成し、もって地上からの反撃を制圧することができた。沿岸警備隊の同意を得た後、このセールスマンは大西洋上で見事な掃射デモンストレーションも行った。

だがこの武装した超小型飛行機のアメリカン180は全く売れなかった。それは射程が短すぎ、かつ超小型飛行機の防御能力がゼロで、スピードも遅く、地上の小火器によってきわめて容易に撃墜されるからだった(頑住吉注:上のウルトラライトプレーンの最大速度は約185k/hと馬力の割には速い感じですが、実戦機としてはお話になりませんね)。

現在E&L社の社長ウォール クーパーは、かつて隼式超小型飛行機に搭載されたことのあるアメリカン180武器システムの銃架と電子発射コントロール装置を保存している。ただし飛行機自体は行方不明である。アメリカン180の双連、4連銃架の生産数はきわめて少なく、現在では非常にレアになっている。

(頑住吉注:原ページのここにある1枚目の画像のキャプションです。「ILARCO 180ブリーフケース銃。その外観はまさに普通のブリーフケースだが、殺しのための機械が内蔵されている」 続いて2枚目「ストックは取り外し可能」 続いて3枚目「ILARCO 180双連型武器システムにはバイポッドが装備されている」 続いて4枚目「ILARCO 1804連型武器システム」)

禁止法下で生産停止を余儀なくされる

1986年の自動武器禁止法のため、アメリカン180もまた軍、法執行機構、外国の注文を除き、もはや再生産不能である。現在のE&L社は主にアメリカン180の部品やアクセサリーを生産している。既存のユーザーにスペアを提供するためである。この他、エジェクションポート下方に吊り下げて空薬莢を全て集めることができる薬莢収集袋も生産している。さらにE&L社にはいくつかの改良計画があり、例えば使い捨てのプラスチック製ドラムマガジンを研究開発しているところであり、またジャケット付きの0.22インチマグナム弾薬もテスト中である。この他、E&L社はセミオートのアメリカン SAR 180/275ライフルも生産、販売している。

この他、旧ユーゴスラビア連邦の供給調達局もかつてアメリカン180をコピー生産し、MGV-176と命名した。新しい材料と外形設計を採用したので、この両者の外形の差異ははっきりしている。現在MGV-176はスロベニアで生産されている。

アメリカン180サブマシンガン緒元

銃身長 標準型 406mm
短縮型 229mm
銃全長 標準型 895mm
短縮型 457mm
空虚重量 標準型 2.6s
短縮型 2.15s
理論上の発射速度 0.22インチLR 毎分1200発
0.22インチILARCO 毎分1500発
銃口初速 0.22インチLR 365m/s
0.22インチILARCO 411m/s
ドラムマガジン容量 165、177、220、275発
有効射程 100m

 アメリカでは特に当時は.22LR仕様のライフルは半分おもちゃみたいな扱いだったので、この銃もそういうノリで作られたのかと思っていたんですが、実戦用、それもホームプロテクションどころか公用を意図していた、そして実際に一時とはいえ公用に使われた、というのは意外でした。例えばキャリコの.22モデルはセミオートながらこの銃の近代化版のような感じですが、どう考えても実戦用ではありませんよね。生々しい写真付きの実戦例は非常に興味深かったです。また、2連装、4連装銃架は個人の愛好家が冗談半分で自作したものかと思いましたが、メーカー純正品であり、航空兵器として軍に売り込んだ、というのも意外でした。発射速度は高いが威力に乏しく、射程が短く、その割にかさばって重い、という2連装銃架は、何だか失敗したビラー・ペロサの特徴を誇張表現したパロディのようで、ちょっと考えれば成功するはずがないのは分かったんではないかと思うんですが‥‥。

 YouTubeにはこの銃をドラムマガジンが空になるまでノンストップフルオート射撃する動画がいくつもあり、セミオートですらまともに動かなかったというキャリコと違って作動快調だったことが伺えます。リムファイアでは稀に不発が発生するのが宿命のようなものですが、ファイアリングピンが2本あるのは不発率を下げるための工夫でしょう。薬莢の太さが少し違うものの.22LRの強化版のような性格の.22WMRを.22LRと同じ長さまで切り詰めたショートマグナムというのも全く知りませんでしたがいまいち意味不明で、何故.22LRをそのまま使わなかったのか不思議です。

http://stevespages.com/pdf/american_180_rifle.pdf

 この銃のマニュアルです。













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