着艦の困難さ

 空母への着艦がいかに難しいかを解説したページの紹介です。

http://military.china.com/top01/11053250/20121203/17559866.html


軍の新聞、殲-15着艦の難しさを解読 アメリカ軍ではこのためにすでに8,000人余りが死んでいる

ニュースの提示

11月23日、我が軍飛行員が国産の殲-15艦載機を操縦し空母「遼寧艦」への降着に初めて成功し、一挙にスキージャンプ発進、制動による着艦などの飛行のカギとなる重要技術の難関を突破し、世界の空前の関心を集めた。艦載戦闘機が運動する空母上に降着することは、リスクが高く、難度が高く、ずっと「剣の切っ先の上での舞踏」に例えられている。

この「剣の切っ先」はどのくらいあるのか? 国産の殲-15艦載機総設計師の孫聡は語る。戦闘機は何百kmかの時速をもって正確に甲板上の4本の制動ケーブルの間に降着することが必須であり、それぞれの制動ケーブルの間隔は10m余りであり、有効な着陸区域は何十mかしかない。

この「舞踏」はどのくらい難しいのか? 統計データは次のことをはっきり示している。1949年にアメリカ海軍が機の大規模配備を開始してから1988年までに、アメリカ海軍と海兵隊は1.2万機近い機と8,000名余りの飛行員の損失を出した(頑住吉注:言うまでもなく1949年から艦載機の大規模配備が始まったなんてことはないです。ジェット機のことですかね)。

軍事専門家がしばしば言及する「制動ケーブル」とは一体どんな物なのか? それはいかにして艦載機の空母甲板上での「ブレーキ」を助けるのか? 本文の解析をご覧いただきたい。

(頑住吉注:これより2ページ目)

艦載機に「ブレーキ」をかける難しさ

一組のデータを対比すれば、艦載機が空母甲板上に降着し「ブレーキ」をかける難しさの説明に足りる‥‥

一般に陸上の軍用飛行場の滑走路の長さは1,000mに達し、一方空母の飛行甲板は一般に300mを超えない。利用可能な降着距離は100m前後しかないのに、艦載機の降着速度は時速300kmに達し得る。

この他、風と艦尾気流の存在のため、戦闘艦にはしばしば持続的な縦横の動揺と上下の浮沈が発生する(頑住吉注:艦が動揺するのは風ではなく海の状態のせいだと思うんですが)。降着過程で戦闘機の視界と下降ルートには誤差が存在し、一定程度上操縦員の視界を制限もする。このように高い速度、このように短い距離、このように劣悪な環境で、もし制動ケーブルがなかったら、艦載機の安全な着艦はほとんど完成不可能な任務である。

制動ケーブルは、より専門的な言い方では「空母制動システム」とするべきである。これは機の限られた距離内での強制的制動を助け、最大過負荷と過負荷の変化率を平穏に保持させ、適時にシステムを初期状態に回復させる。

空母制動システムの内部は複雑で、絶対に目で見た何本かの制動ケーブルのように簡単なものではない。この点については、構造原理からその一端を見ることができる。

現代の空母が普遍的に使用するのは液圧式制動システムである。これは制動メカニズム、液圧緩衝システム、冷却システムからなる。この中で、制動メカニズムは次のものを含む。制動力を生む制動機構、制動シリンダーの圧力を保持する制御弁、機の制動後迅速に復帰できることを保証する蓄圧器。液圧緩衝システムは主に制動の最初の瞬間の過負荷を下げ、システムの寿命を延長するのに用いられる。冷却システムは、艦載機の制動過程での巨大な運動エネルギーが転換されることによる熱エネルギーを冷却するのに用いられる。

艦載機の尾部フックが制動ケーブルに引っかかった後、制動ケーブルは一方では滑車緩衝器によって機の速度を減衰させ、一方では不断に運動エネルギーを圧縮空気シリンダーに伝達する。この時、甲板より下に隠された制動システム全体が同時に機能し、衝撃がもたらす巨大な運動エネルギーを液圧油の熱エネルギーと圧縮空気のポテンシャルエネルギーに転化し、機が緩衝を受け制動が実現されるようにする。

(頑住吉注:これより3ページ目。画像のキャプションは「アメリカは次世代空母『フォード』級に最新の電磁制動技術を応用することになる」です。)

降着、制動はステップごとが驚き

制動システムがあっても、艦載機の降着は依然人の心をびくびくさせる。

飛行員に関して言えば、風に向かい雲を突っ切って機を操縦し、不安定に揺れる移動甲板上に降着するのは地獄の入り口を歩くのと変わらない。これは身体の極限、飛行技術、意志の質から心理的素質までの極端な試練である。空母に接近する過程で飛行員は空母甲板を1つの移動座標の原点とし、これに基づいて不断に飛行姿勢、角度、旋回を調整し、飛行ルートを視察、コントロールし、降着ルートへの正確な侵入を保証し、降着の瞬間は腹を引っ込める、足を引く、筋肉を緊張させるなどの動作を完成させる必要がある。さもないと強大な過負荷が脱臼、失神、短時間の失明などの損害を生じさせる可能性がある。

艦載機も試練を受ける。艦載機の燃料搭載量は多すぎても少なすぎてもいけない。ひとたび事故が発生したら多すぎる燃料は甲板全体を引火させ、少なすぎる燃料は降着失敗後の「逃逸復飛」計画の夭折をもたらす。機の速度は速すぎても遅すぎてもダメで、早すぎる速度は過負荷、制動ケーブルの切断を引き起こし、遅すぎれば機のコントロール力の減衰をもたらし、制動ケーブルへの引っ掛けが容易でなくなるだけでなく、しかもひとたび着艦に失敗すれば再度引き起こして飛行に戻ることが難しくなる。

制動システムの危険は絶えない。艦載機降着時の事故最も多い状況が制動ケーブルの切断である。すぐに引きちぎれるのはまだ幸運と評価でき、艦載機は依然比較的速い速度を保持して直ちに復飛できる。もし終わりの段階で制動ケーブルが切れ、艦載機の速度が大きく下がり過ぎていたら、一路海に墜落するしかない。飛行員に問題が発生した、尾部フックを下げられない、制動ケーブルが切れたがそれでも艦載機の降着が必須であるなどの緊急の状況の発生時、制動システムの最後の防衛線、制動ネットが投入、使用される。これをひとたび使用するとなれば、すぐに警報が鳴らされ、救急人員は最短の時間で救援準備を整える。制動ネットの使用は通常人と艦載機が損傷を受ける結果をもたらすが、一般に生命の安全に危機が及ぶことはない。だがもし救急人員が制動ネットを使用する動作が1秒遅ければ、結果は想像に耐えない。

(頑住吉注:これより4ページ目。画像のキャプションは「アメリカは次世代空母『フォード』級に最新の電磁制動技術を応用することになる」です。)

制動システムは依然進化している

現在、比較的典型的な制動システムはアメリカ空母が普遍的に採用しているMK7液圧制動システムである。MK7は滑車緩衝装置を使用し、機がケーブルに引っかかる時のスチール製ケーブルの張力のピーク値を大きく低下でき、しかも制動過程で滑車の回転速度が異なることにより引き起こされるスチール製ケーブルの振動がない。このシステムは使用できる範囲が広く、重量の変化が比較的大きい機の、このシステムの作用下で同じ距離内での着艦、降着を実現させることができる。

艦載機と無人機の日進月歩の発展と共に、空母の制動システムもまさに相応の柔軟性と適応性を徐々に向上させているところである。

アメリカが「フォード」級空母に使用するAAG電磁制動システムの進歩の度合いは小さくない。このシステムでは滑車緩衝機器には2つの引く力の測定センサーが追加されている。これは異なる引く力の信号を直接中央の集中制御機に伝送し、そのコントロールプログラムの始動を促す。したがって有効に過負荷が防止される。この他、スチール製ケーブルを巻くリールが圧縮気筒に替わり、これは最初の電流と最後の電流のコントロールによって過負荷を平均化する効果を達成することができる。

(頑住吉注:これより5ページ目。画像のキャプションは以後最終8ページ目まで4ページ目と同じです)

電磁制動システムのコントロールがより柔軟だと、特に異なる重量の機の順繰りの降着時、ボタンを押すだけでよく、一切は自動調節装置がうまく処理してくれる。これはちょうど重さを量る時、天秤ばかりは人が不断に分銅を交換する必要があるが、電子ばかりなら測定状態を調整する必要があるだけで、即連続作動ができるようなものである。

全体的に言って、液圧制動システムに比べ電磁制動システムは簡単、軽量、精巧で、調節しやすく、操作が容易で、反応時間が短縮されただけでなく、さらに制動効果も最適化された。不足なのは、電磁制動システムが発する電気は転化、使用が容易でなく、電気抵抗を利用して電気量を消耗するしかなく、エネルギー節約方面で圧縮気筒には及ばないことである。

電磁制動システムの採用は何も心配せず安眠できることを決して意味しない。それはただ過負荷と反応速度上いくらか進歩しているに過ぎず、事故率低下に対してはあまり大きな助けにはならない。特に「逃逸復飛」や緊急状況処理などカギとなる重要な段階では、液圧制動システムと異なるところはない。

降着の安全問題を徹底して解決したければ、垂直降着も1つの方法である。これは艦載機エンジンの方向が調節できるベクトル推力によって降着方向をコントロールするもので、制動システムを必要としない条件下で垂直降着が実現できる。だが垂直発着はより大きな代価を払う必要がある。機の作戦半径と弾薬搭載量が割引にならざるを得ない他、着艦ポイントの甲板下面に複雑な放熱循環水パイプを装備する必要もある。事実は、垂直発着の機の空母上での使用が引き合わないことを証明している。この技術の将来における発展の見通しに関しては、まだ括目して待つ必要がある。


 思ったよりも複雑なシステムだということが分かりました。全体的に中国は材料技術が先進国に追い付いていない様子なので、制動ケーブルが切断する事故は比較的多くなるなもしれません。

 電磁カタパルトは知っていましたが、電磁制動というのは知りませんでした。しかしこれも電力供給能力の高い原子力空母でないと採用が難しいのではないでしょうか。だとすると将来は現在より大型の原子力空母と比較的小さい通常動力空母の戦力差が開くことになるかもしれません。それとも垂直離着陸機のデメリットが軽減されて主流となっていくんでしょうか。









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