ロシア空母の現状

 夢のような次世代空母の構想も語られていますが。

http://military.china.com/news2/569/20160311/21848078.html


ロシア空母連続して故障して今後何年か使用できず 場所を探して修理することさえ難しい

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「資料画像:およそ2013年4月前後の維持保護過程で、『クズネツォフ』号はより明るい灰色の塗装に換えた」)

ロシア衛星ネット3月5日の情報によれば、ロシア海軍現役唯一の空母「クズネツォフ」号(正式名称は「ソ連海軍元帥クズネツォフ」号)は今年年末に2〜2年半の維持修理期に入ることになり、かつ相応の決議はすでに通過している。

「クズネツォフ」号はソ連時代に設計建造された11435型大型航空機搭載巡洋艦で、中国海軍の「遼寧」艦(11436型/001型)は姉妹艦である。1982年にニコラエフ黒海造船工場で着工され、元々の名は「リガ」号で、後にまた「ブレジネフ」号と改められ、1990年に最終的な引き渡し前に現在の名に改められた。「クズネツォフ」号は標準排水量4.6万トン、満載排水量5.9万トン、その基本艦載機編成は24〜36機の固定翼艦載機(スホーイー33大型艦載戦闘機およびスホーイー25УТГ練習攻撃機を含む)と12〜18機のヘリ(Ka-27対潜ヘリ、Ka-27ПС捜索救援ヘリ、Ka-31早期警戒ヘリ)である。艦載機を搭載する他、さらに極めて強い攻撃および自衛火力を持ち、12発のП-700「花崗岩」遠距離対艦ミサイル(SS-N-19)と192発の「キンジャール」短距離対空ミサイル(SA-N-9)、8基の「短剣」ミサイル・砲合一近接防御システム、6基のАК-630М型6本バレル30mm近接防御砲を装備している。

1991年に入り、ソ連の政局の動揺とロシア、ウクライナ両国の相次ぐ独立宣言と共に、ロシア海軍は緊急にまだ黒海海域にいた「クズネツォフ」号を北方艦隊に移動させることを決定した。1991年12月1日、「クズネツォフ」号は一部の艦員がまだ位置についていない状況下で出航し、非常に厳重な抵抗を突破して(途中でアメリカ空母艦隊を含む追跡とイギリス空母艦隊の監視に遭遇した)、黒海から北方艦隊に行き、かつ同年12月31日に正式に北方艦隊入りして就役した。

頻繁な故障

正式就役以来、「クズネツォフ」号の記載ある遠距離航海には以下の7回がある。

1)1995年12月23日から1996年3月22日まで、地中海、随行した艦載機は26機あった(13機のスホーイー33艦載戦闘機、2機のスホーイー25УТГ練習攻撃機、11機のKa-27系列ヘリ)

2)2004年9月27日から2004年10月24日、北大西洋、少なくとも7機のスホーイー33と2機のスホーイー25УТГを搭載

3)2005年8月23日から2005年9月14日、北太平洋

4)2007年12月5日から2008年2月3日、地中海、少なくとも10機のスホーイー33と2機のスホーイー25УТГ

5)2008年12月5日から2009年2月27日、地中海、少なくとも8機のスホーイー33と1機のスホーイー25УТГ

6)2011年12月6日から2012年2月17日、地中海、少なくとも10機のスホーイー33

7)2013年12月17日から2014年5月17日、地中海、少なくとも6機のスホーイー33

我々は「クズネツォフ」号が決していくつかのメディアが過去に言明したように「ずっと港内にうずくまっている」わけではなく、確かに長距離航海の記録があり、時間の最長のものは5ヶ月の長きにも渡っていることを見て取ることができる。同時に、事故、自然の老化、維持保護に最善を尽くしていないなどの原因により、空母に随行して出航訓練しまた作戦勤務執行ができる艦載機の数が急速に減少する状況を呈していることも見て取れる。ならば、こうした戦闘勤務執行の間隙で、「クズネツォフ」号はいつも何をしているのだろうか?

1994年から1995年の冬、「クズネツォフ」号はまずすでに問題が出現していたメインボイラーの故障に対し維持修理を行い、かつパイプライン設備を交換した。しかし1996年の遠距離航海演習過程で、そのメインボイラーのパイプラインには再度故障が発生し、直接「クズネツォフ」号が航行の動力を失う結果をもたらした。維持修理の資金欠乏のため、「クズネツォフ」号は動力の故障発生後の2年内ずっと海に出たことがなく、甚だしきに至っては1998年7月に戦闘勤務当番ポストに復帰した後でさえ18ノット以上の正常な航行速度に回復できず、もって艦載機の発進重量が制限を受ける結果をもたらした。

(頑住吉注:これより2ページ目)

2001年〜2004年および2008年、「クズネツォフ」号は2回の規模がやや大きい維持保護と修理を受け、後に1回セベロドビンスクの「小星々」修理工場で全艦のメイン動力装置、ボイラー設備、空調システムを交換し、かつ改めて艦上の電気ケーブルを敷設した。2012年になると、ロシア海軍は再度「クズネツォフ」号に対し修理行うつもりだったが、この計画はそれにもかかわらず暗礁に乗り上げた。彼らは修理の金を出せなかったのである。

近年の状況

2014年以後、「クズネツォフ」号が遠距離航海したのが見られたことはない。去年5月14日、ロシアのネット仲間が「クズネツォフ」号空母がムルマンスク州ロスリヤコヴォ地域の第82船舶修理工場(СРЗ-82)に所属するПД-50号浮遊ドック内に移されたのを撮影した。6月の画像は船体周囲にいくつかの簡易な足場が立てられたことをはっきり示している。当時、この就役して25年近い、7回の遠洋航行を経たにもかかわらずまだ大修理を受けたことが全くない空母は就役生涯の中の初の大修理を迎える可能性がある、と考える分析があった。

しかし事実は決してこのようではなく、たった何ヶ月か後、ロシア海軍フォーラム上に一組の新たな画像が出現し、ПД-50号浮遊ドック上の主人がロシア北方艦隊の旗艦である11442「ピョートル大帝」号大型原子力動力ミサイル巡洋艦に変わっていたのである。このことは、「クズネツォフ」号が5月にドック入りしたのは決して推測された大修理ではなく、単に短期維持修理作業を受けただけだったということをも意味していた。

大型の船の修理施設の欠乏

ПД-50号浮遊ドックはソ連時代の、不断に就役する1143系列空母(ソ連はそれを「大型航空機搭載巡洋艦」と称した)の建造に保障を提供するための特大型スチール構造浮遊ドックで、持ち上げる力は80,000トンにも達する。この浮遊ドックはソ連の「西方」設計局によって設計され、かつスウェーデンにアウトソーシングして建造が引き受けられ、1980年に北方艦隊に引き渡されて使用された。

まさにこの浮遊ドックが充分大きく、搭載能力が充分強いがゆえに、それはソ連/ロシア現役全類型の水上艦艇/潜水艦のために維持修理や日常のメンテナンス作業が行え、ПД-50号はロシア海軍で最も忙しい浮遊ドックともなった。事故により沈没した949A型「オスカー」級巡航ミサイル潜水艦К-141「クルスク」号のサルベージへの参加から、小は補助船舶、大は世界最大の941型「タイフーン」級弾道ミサイル原潜およびロシア海軍の絶対の主力である「クズネツォフ」号空母や「ピョートル大帝」号巡洋艦の維持修理まで、全てにПД-50の姿を見ることができた。

だが、この現象はロシアに大型浮遊ドックが極度に欠乏する現実をも屈折して映し出していた。浮遊ドックの数が比較的少ないことに比べ、大トン数の海軍艦艇を維持保護、修理できる造船修理工場の欠乏というこの問題はより突出している。ソ連時代、こうした大型航空機搭載巡洋艦はいずれもそれらの出生地、ニコラエフ黒海造船工場に戻って中規模修理あるいは大修理改装を行うことができた。しかし、黒海造船工場はソ連解体後ウクライナの所有に帰し、ロシアはすでに独立して空母を建造できる、あるいは迅速に空母クラスの大型海軍艦艇を改装する能力を持つ大規模改装場所がない。

ロシアはインドのために元々の11434型「ソ連海軍元帥ゴルシコフ」号大型航空機搭載巡洋艦を11430型「ヴィックラマディヤ」号空母に改装する過程の中で大修理と空母改装のいくらかの貴重な経験を獲得したが、「ヴィックラマディヤ」号の改装を担当した造船工場であるロシアの目下船を修理、建造する実力最強のセベロドビンスク北方機械製造生産連合体(СЕВМАШ)のかの全長325m、幅約159mの巨大型ドライドックは、現在すでに同様に改装を受けている11442型「ノシモフ海軍上将」号ミサイル巡洋艦によって占拠されている。しかも計画によれば、「ノシモフ海軍上将」号は2018年前後に改装を完成させるべきことになっており、その後就役して20年の「ピョートル大帝」号も2019年前後にこのドライドック入りして改装を受ける。「クズネツォフ」号空母が大修理を行うのに供することのできる造船工場は全くない。ガントリークレーン施設や大型ドライドックががない船の修理工場で空母に対し大修理を行おうというのは、全くもって滑稽な話である。

(頑住吉注:これより3ページ目)

ミグー29K艦載機に換装

タス通信社3月5日の報道によれば、「クズネツォフ」号空母は今年の夏に再度出航して地中海に行き、その後今年の末までにムルマンスク州の第35修理工場(СРЗ-35)に行って期間2〜2年半の修理を受け、その重点は空母上の艦載機の交換にある。ロシア衛星ネットの報道も、ロシア海軍は「クズネツォフ」号空母の艦載機編成に更新を行う計画だと言及している。周知のように、現在「クズネツォフ」号空母上のスホーイー33艦載機は依然1998年に正式装備されたもので、電子設備や戦術技術性能はすでに全面的に立ち後れている。ロシアは後に新たなスホーイー33КУБ複座艦載機を開発したが、その後の進展はなかった。

すでに立ち後れているスホーイー33を交代させるため、ロシア海軍はインドの「ヴィックラマディヤ」号空母のために艦載機を配備するチャンスを借りて、ミグー29К中型艦載機プロジェクトを再始動した。今回生まれ変わったミグー29Кは1991年に試験が中止された古いミグー29Кとではすでに同日の談ではない。その多用途性能は、制空作戦にしか用いることができなかったスホーイー33大型艦載機に比べ飛躍的向上がある。現在ロシア海軍はすでに2機のミグー29К単座機と2機のミグー29КУБ複座機を装備しており、イェレスクの海軍航空兵第859戦闘応用・飛行人員訓練センターに進駐し、主に飛行訓練に用いられ、暫時まだ空母艦載機の編成の中には編入されない。(作者:施展 ソ連・ロシア海軍研究者、「艦船知識」および「現代艦船」誌専門コラム作家)


 中国空母は何隻必要かという議論の中ではたいてい最低3隻(勤務執行、訓練、維持修理)という話になっており、ロシアの1隻だけという状況が非常に苦しいものであることが分かります。次世代空母の戦力化はまだはるか先でしょうし、そもそも実際に可能なのかも分からず、この状況は当分変わらないはずです。仮に1隻や2隻ロシアが理想とするスーパー空母が完成してもアメリカの空母艦隊と真っ向勝負できるとは思えず、外野から見てもロシアの立場なら戦略核兵器のグレードアップに優先して金をつぎ込んだ方がよりアメリカに対する威嚇力になるだろうなと感じます。













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