アメリカ、レーザー戦闘車を実戦配備へ

 アメリカがレーザー戦闘車を来年就役させるのではないかという話題です。ちなみに中国語の「戦車」は日本語とは違う戦闘車両一般のことで、戦車のことはタンクを音訳した「坦克」という語で表します。

http://military.china.com/news2/569/20121022/17486559.html


アメリカ軍の「レーザー戦闘車」、来年就役が有望 旧ソ連はすでにレーザー戦車を製造していた

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ボーイング社が研究開発したレーザー戦闘車」)

古典的ゲーム「レッドアラート」のプリズム戦車、プリズム塔などの武器からSF映画「スターウォーズ:新たなる希望」の中に登場する1つの惑星を破壊できる「デススター」まで、レーザー兵器はずっとSF映画やゲームの中の高く評価される戦場を制覇する戦力である。

10月3日、アメリカのボーイング社は「高エネルギーレーザー移動実験機器」という名の地上移動レーザー兵器を登場させた。このレーザー戦闘車は地上の「デススター」と称賛され、毎秒約30万kmの速度(光速)で固体レーザーを発射して敵サイドの目標を破壊できる。アメリカ軍は「高エネルギーレーザー移動実験機器」を利用して、来襲するミサイルに対応し、地上部隊を保護すると同時に友軍に損害を与えないことを希望している。

レーザー戦闘車、来年の就役が有望

ボーイング社は先日、彼らがすでに「高エネルギーレーザー移動実験機器」地上移動レーザー戦闘車の研究開発を成功裏に完成させ、この戦闘車に対しテストを行ったことを明らかにした。

ボーイング社のこのレーザー戦闘車は8×8輪式、500馬力のオシュコシュ大型拡張展開機動性戦術トラックを改装してできたものである。ボーイング社の指向性エネルギー研究部門は1台の10キロワットの固体レーザー兵器システムを戦術トラックに装備し、地上移動型レーザー戦闘車とした。ボーイング社は、「高エネルギーレーザー移動実験機器」はすでに実地演習に参加する準備が整っており、しかも2013年に戦略目標を捕獲、追跡、破壊する新型装備としてアメリカ陸軍に加入する計画である、とする。

「高エネルギーレーザー移動実験機器」に対するテストはボーイング社とアメリカ陸軍空間ミサイル防御司令部が署名した契約の一部分であるとされる。プロジェクト担当責任者ブライアン ビアズリーは次のように表明する。「今回のテストの完了は、過去数年来の我々と空間ミサイル防御司令部との協力が極めて大きな進展を得たことを示している。我々の団体が今回デモンストレーションしたこの革命的システムには、実際の作戦に参与し、戦争の中で生命を救う能力がある。」

ペンタゴン、レーザー兵器を待望

ペンタゴンはレーザー兵器の発展を渇望している。これは決してレーザー兵器がSF的な存在で、しかもレーザー兵器に信じ難いような正確度と光速の攻撃速度があるからだけでない。この他に、レーザー兵器のコストが相対的に低く、かつ電力供給さえ充足していれば絶え間なく「弾薬」が提供され得るからでもある。

攻撃に対応する時、敵サイドの短距離ミサイルは発射されて数秒しかかからずに即打撃目標をカバーできるので、地上作戦部隊は攻撃に対応する、あるいは退避する時間がほとんどない。もし大型の密集火力を採用して来襲するミサイルを破壊すれば、友軍を誤って傷つける可能性が極めて高い。このため、アメリカ陸軍はレーザー兵器を開発し、光速をもって方向が一定でないミサイルを破壊でき、陸軍が直面する大きな問題を解決することを希望している。だが軍のこの方面における研究開発はずっと相当に緩慢である。

陸軍の「救いの星」となることが有望

レーザー戦闘車は毎秒約30万kmの速度(光速)で固体レーザーを発射して正確に対ミサイル攻撃ができ、アメリカ軍はその光速を利用していかなる空中からの襲撃にも対応でき、同時に友軍を誤って傷つけることが避けられる。

このため、ボーイング社が今回登場させた「高エネルギーレーザー移動実験機器」に対しペンタゴンが寄せる期待は大きく、軍はこのスーパーレーザー兵器はロケット弾、ミサイル、砲弾、航空機、無人機に対抗し破壊する能力があると考えている。

ボーイングの指向性エネルギーシステム部門副主席で、「高エネルギーレーザー移動実験機器」プロジェクトの責任者であるマイク リーンは次のように表明する。「ボーイングが今回登場させた『高エネルギーレーザー移動実験機器』は現在最良の固体レーザー技術であり、現在も未来も、地上作戦部隊をロケット弾、砲弾、迫撃砲、無人機による空中の脅威から有効に防御することを保証できる。

今回の「高エネルギーレーザー移動実験機器」に対して行われた高性能テストは、我々が新世代の指向性エネルギー型兵器システムの研究開発に向けてカギとなる重要な一歩を踏み出したことを意味している。」

しかし、レーザー戦闘車が搭載するレーザー兵器の出力は10キロワットしかなく、ペンタゴンの期待する値とはまだ非常に大きな隔たりがある。この前ペンタゴンが期待を示したその最大発射出力は100キロワットに到達可能というものだった。

アメリカ軍の研究開発

レーザー兵器、春を迎える 軽量化、小型化、発射が集中という特徴を持つ

1970年代から、アメリカ軍はレーザー兵器の研究に力を尽くし、最近何年かで科学者は固体レーザー発射システムに関し突破性の進展を取得した。レーザー兵器は軽量化、小型化、発射が集中という特徴を備え始め、真に春を迎えている。

2009年11月18日、カリフォルニアの「チャイナレイク」海軍空戦センターにおいて、1機の機首に機載戦術レーザーシステムを装備したボーイング747機が、高輝度レーザーを使用して5機の異なる射程内の無人機を撃ち落とした。ボーイング747を選択使用したのはレーザー兵器の出力の消耗が非常に大きく、発電設備の体積も非常に大きかったからで、機全体が移動する空中発電機に改装された。

この機載戦術レーザーシステムはボーイング社によって研究開発された機動アクティブ目標誘導設備総合実験システムと、ロッキード・マーティン社が研究開発したレーザー発射砲塔という2つの部分からなる。レーザー発射砲塔は機首部分に装備され、球形の回転塔と回転する外殻からなり、回転塔内には大口径望遠鏡と高透過率の窓があり、任務に必要な全ての運動範囲を提供する。

ボーイング社の関係プロジェクト責任者は次のように表明する。機動アクティブ目標誘導設備総合実験システムは比較的低いレーザーのエネルギーを用いて目標物に対し長距離の正確、致命的な追跡と打撃が行える。320km以遠の、まだ推進過程の弾道ミサイルが破壊できる見込みである。これと同時に、ボーイングによって研究開発された地上版レーザー兵器システム、「レーザーリベンジャー」も1機の無人機を撃ち落とした。

説明によれば、これまでに研究開発されたレーザー兵器システムが発射するレーザー束は化学混合物によって生み出され、一種の高エネルギー化学酸素・ヨウ素レーザー発生装置であり、安定性や機能性はレーザー戦闘車に及ばない。

他山の石

ソ連はかつてレーザー戦車を製造した 飛行員を失明させ、敵機の電子機器を妨害できた

2010年、ロシア兵器技術博物館は1K-17という名の戦車を展示し、見学者にセンセーションを巻き起こした。

この1K-17戦車はソ連が敵実戦機専門に対応するために設計したレーザー戦車で、戦車が発射するレーザーは敵サイドの飛行員を失明させることができるだけでなく、さらに敵機の電子機器を妨害し、その作戦能力を失わせることができた。

アメリカに比べ、ソ連のレーザー兵器研究開発に対する熱情はさらに高かった。1977年、西側世界が「スターウォーズ」に感服している時、ソ連の軍事工業部門はすでにレーザー戦車研究に着手していた。

ソ連はその運用する精密光電子システムに対し高度の秘密保持を行い、1982年に初の自走式レーザー兵器システム「短剣」(1K-11)の研究開発に成功し、その後ウラル運輸と機械工業設計局において総設計師ユーリ ワシリエヴィッチ トゥオマシャフの指導の下、このレーザー兵器システムは2種の自走式装軌プラットフォーム上に装備され、レーザー兵器システムの性能および実戦条件下での安定性と適応性の考察に用いられた。

1K-17戦車こそ、最も早くレーザー兵器を搭載した武器プラットフォームの1つである。だがどんな原因からか不明だがソ連はレーザー戦車を大量生産することはなく、2種類の原型機とも1台しか生産されなかった。2009年、ロシア軍は長期の試験を経た後のこの2両のレーザー戦車がすでに非常に古くてボロボロなことに気付き、倉庫内に捨てられ、関心を持つ人もほとんどいない。

ある噂は、アメリカの情報部員が1K-17レーザー戦車の資料や写真を手に入れ、これを基礎に議会に地上レーザー兵器研究開発資金を申請したのだとしている。

今、アメリカ軍の陸海空三軍はいずれもレーザー兵器の研究開発を加速しており、ロシアとの競争の中で追いつき追い越すことを実現したのである。


 パイロットを失明させるのはともかく、高速で飛行する砲弾を破壊するレーザーの出力はとんでもなく大きなものにならざるを得ないでしょう。内部に炸薬がない高密度のタングステン合金や劣化ウラン製の超高速対戦車徹甲弾もレーザーで破壊できるんでしょうか。ちょっと想像がつかないんですが。また、レーザーは例えば濃霧の中では有効距離が短くなるはずですし、砂嵐の中でも同じでしょう。ソ連が実戦化しなかったのは種々の問題が解決できなかったからだと思われます。もちろん技術の進歩によって今後実戦化が可能になることは充分考えられますが。

 ソ連のレーザー戦車に関してはこんなページがありました。

http://tieba.baidu.com/p/1377106462

 砲塔は通常の戦車より巨大で、重装甲を施すわけにはいかないはずですし、どうせレーザーの発射口は使用時には防御できないので攻撃にはもろかったのではないでしょうか。一応煙幕発射機も装備されているようですが。対空専門のはずなのに対空用重機関銃が残されているのが逆に不安な感じです。






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