QBU10スナイパーライフル批判

 久々に小火器関連の記事を紹介します。

http://club.china.com/data/thread/1013/2760/98/05/2_1.html


QBU10 中国銃器発展の進歩と茫漠

作者:怕冷的狗 (頑住吉注:「寒がりの犬」というような意味かと思います)

武器はその他の工業製品同様、その誕生、発展過程はその国の既存の歴史、社会文化、工業体系のレベルといった多方面の影響を受ける。我が方の認識の中の「外国軍の経験」の影響を受け、「他国が持つものは持つ必要がある」の色彩が濃厚なものとしてのQBU10大口径スナイパーライフルからは、中国銃器発展の諸方面が屈折して現れ、これは後進、先進、保守、急進など種々の矛盾を一身に集めたものである。もしワンセットの完備された狙撃システムの3大組成要素からQBU10を評価したら、立ち後れた口径の上に限られた改良を行った弾薬、設計には優れたところ、劣ったところがあり、製造のレベルに不足がある銃器で、技術的には先進的だが設計が愚かな照準システム、としか言えない。

一、立ち後れた口径の上に限られた改良がなされた弾薬

我が国の工業体系はソ連の援助によって建設されたもので、非常に多くの方面で今に至るもソ連の体系が留保されている。例えば12.7mm弾薬の口径のスタンダードである。国際的に12.7mm小銃・機関銃弾薬は主に2つの口径に分かれる。アメリカ式12.7mmx99とソ連式12.7mmx108弾薬である。12.7は弾頭の直径を指し、99および108は薬莢の長さを指す。この2種の弾薬はいずれも1920〜30年代前後に、戦車、装甲車両というアンチマテリアルの必要に照準を合わせて出現したものだが、性能、パフォーマンスの差異は大きい。

12.7mmx99弾薬研究開発時、アメリカはすでに世界一の工業強国だった。小銃の正確な射撃を尊重する社会、文化の傾向と工業能力の支持が典型的なアメリカ式弾薬を育てた。すなわち、コストはゆとりあるものにすることを容認し、材料、工程、品質の統制レベルは高く、精度、威力、性能のパフォーマンス上良好である。事実としてほとんど全てのアメリカの自由市場の競争で生き残ることができ、かつある程度の成就を成し遂げた国内の弾薬の種類は、出色の精度上のパフォーマンスを持つ。この系列の弾薬の中のM2普通弾の精度の標準は600ヤードにおける散布円直径が12インチ未満、つまり2MOAであり、普通弾にもかかわらず我が国の最新の12.7mm狙撃弾の水準を超えている。

ソ連は12.7mmx108弾薬を設計する時、化学工業の立ち後れゆえに止むを得ず薬莢を延長してより多くの火薬を収納し、もってアメリカの弾薬に匹敵する威力を獲得しようと企図した。だがカタログデータでも我が国の実弾テストの対比でも、ソ連弾薬はより大きく、より長く、より重い状況下で、威力がアメリカの弾薬より大幅に低いことが証明されている。例えばアメリカのM2徹甲弾は発射薬15.2g、運動エネルギー18,000ジュールであるが、ソ連のБ32徹甲弾は発射薬17gなのに運動エネルギーは15,570ジュールしかない。火薬の分量は10%超過しているのに威力は15%低いのである。

精度の上ではソ連弾薬の隔たりはさらに大きい。似た技術路線の下では、弾道学的設計と機械加工レベルの全体的隔たりにはほとんど埋め合わせの方法がない。12.7mmx99は何度も遠距離射撃の中で大いに異彩を放っているが、ソ連の弾薬は類似の戦績を創造したことが全くない。この種の弾道学研究と工業能力の隔たりは今日までずっと影響している。2011年、ロシア軍によって選定された次世代スナイパーライフルT5000の、3つの選択可能な弾薬には全部西側のスタンダードが採用されている(頑住吉注:7.62mmNATO、.300ウィンチェスターマグナム、.338ラプアマグナム)。

QBU10は狙撃弾薬とセットになっており、これは国内の軍隊の装備にとってシンボリックであり重要な突破と言える。精度の高い射撃に対する意識の欠乏と経済、資源、工業能力の制限は、我が国の銃器の弾薬を長期間にわたり、材料、工程の費用の節約と威力向上に関心を注いだものにさせ、完成品は信頼性をもって発射できればもう要求を満足させた。狙撃弾薬の出現は、我が国がすでに弾薬自体の精度に対する重視を開始し、かつこのために一定のコストを支払うこともやぶさかではないのだ、ということを証明している。だがこの種の重視は限定性が非常に大きく、軍サイドの支持の限度は現有の口径と弾薬との互換性という要求を超えることはない(頑住吉注:直訳すると分かりにくいですが、要するに精度のためには12.7mmx99や独自設計の弾薬を使ってもよい、と認めることはなく、あくまで既存の12.7mmx108との互換性を保つ範囲内で精度向上を行えと要求する、ということですね)。12.7mm狙撃弾薬は設計上薬莢がもたらす2つの制限に直面する。すなわち、外形と材質である。

(頑住吉注:原ページのここには多種の類似したクラスの弾薬の画像があります。)

ある弾薬の口径は余りにも短命でない限り、弾頭、発射薬、ないしプライマーがいずれも不断の改良、更新、世代交代の過程を経る。これは12.7mmx99というこの何十年、甚だしきに至っては100年以上の就役の歴史を持つ弾薬の口径が今に至るも先進的な性能を維持できている原因でもある。だが薬莢の基本的外形は弾頭とチャンバー、ボルトなど銃器の核心的構造のマッチングを直接決定し、これは変えることのできないものである。薬莢の基本的外形変更後の弾薬は直ちに新たな弾薬の種類を形成し、もし外形が依然近くても、無理に混用すればボルトが閉鎖できない、信頼性をもって撃発できない結果をもたらし、甚だしきに至ってはチャンバー破裂の深刻な事故を引き起こす。国内にはまさに犯罪者が近い口径の拳銃弾薬を混用して不発がもたらされ、出会い頭に撃たれた警官が幸運にも難を逃れた案例がある(頑住吉注:これに関してはここに記述がありました)。

薬莢のチャンバー内での位置決定状況は弾頭の当初における指向に影響し、位置決定の精度不足は弾頭とボアの密着が緊密に、しっかりと、一致したものになり得ず、1発ごとの弾頭の当初における指向への比較的大きな差異の出現が引き起こされ、弾道の一致性を破壊する。小銃弾薬が全てボトルネック部の斜面での位置決定をメインとするよう発展した後でも、位置決定の精度と材料、工程の難度およびコストの矛盾は依然薬莢の外形パラメータ選択上に体現され、かつ射撃精度の向上に対し根本的制約を形成する。

材質は薬莢の性能を制限するもう1つの大きな要素である。最も良い薬莢の材質は真鍮であり、真鍮は良好な弾性と潤滑性を持つ。これは一方において火薬の爆発的燃焼の際に薬莢を均一に膨張させ、チャンバーとの良好な密着を実現させることができる。もう一方においてはスムーズな薬莢引き抜きの動作の完成に有利である(頑住吉注:圧が下がれば元通りの大きさに戻るので)。前者は弾道の一致性に対する意義が重大であり、このため今まで精度上良好なパフォーマンスを持つ弾薬で真鍮製薬莢を採用していないものはない。我が国は銅資源が欠乏し、また経済能力が限られていたため、建国以来12.7mmx108口径を含む大多数の弾薬に徐々に銅メッキスチール、塗装仕上げのスチールが採用され、真鍮に取って代わった。

QBU10は純粋な軍サイドのプロジェクトであり、現有の弾薬との互換性が重視され、セットされるDBT10狙撃弾薬は依然12.7mmx108口径を採用している。薬莢の外形が留保されているだけでなく、薬莢の塗装仕上げのスチールという材質も留保されている。真鍮の強度はスチールに比べずっと低く、大威力自動火器の設計上両者の汎用性を実現することは非常に難しい。小口径の95式小銃を5.56mmNATO弾薬仕様の97式輸出用小銃に改良する時でも、何度も薬莢底部がエキストラクターによって引きちぎられ、次の弾薬がチャンバーに入れないという状況が何度も出現したのである。

(頑住吉注:原ページのここには12.7mmx108弾薬の画像があります)

設計師は薬莢問題に照準を合わせて非常に多くの努力をした。例えば薬莢のボトルネック部の外形に許される範囲内で新たな最適化設計を行い、もってより良く薬莢に密着させて位置決定を行った。我が国の薬莢生産が外部の寸法だけを見て質量の分布(各所の厚さ、薄さ)を見なかった検査の上での受領の基準を改め、内部容積と薬莢のマウス部の一致性を重視した。だが西側の、我が国の計器の精度に相当する弾薬の金型の精度と、はるかに煩瑣で厳格な検査の上での受領の基準に直面しては、これらの措置の効果はいくつかの工程上の積年の借りを精算したとしか言えず、口径の設計と材料の上での巨大な欠陥を埋め合わせたと言えるにはほど遠い。

発射薬の精度に対する影響は主に毎回の射撃時の初速の変化に現れる。2〜300mの距離では、弾頭の飛行時間が短く、弾道も直線にごく近く、初速の変化が着弾点にあまり大きな程度の高め、低めが出現する現象を引き起こすことはない。だが中、遠距離では、大幅に湾曲した弾道とより長い弾頭の飛行時間は、目標に対し比較的大幅な高低、事前修正量、風の変化による修正を行う必要を生じさせる。初速の変化がもたらす着弾点の誤差は水平方向への拡散だけでなく、しかも距離が離れるほど誤差も拡大されてどんどんひどいことになる。

発射薬の燃焼性能の変化は多種の要素の影響を受ける。いくつかは射手によって規則性が総括されて修正されることができる。例えば気温の上昇が引き起こす燃焼速度の加速である。だがもし発射薬自体の材料技術レベルによって燃焼性能の不一致が引き起こされたら、射手は予測することはできず、修正することもできない。これに対しDBT10狙撃弾薬は少なからぬ努力を行った。だが弾薬は目立たないものの、高性能の弾薬の種類が採用する先進的発射薬は国家の燃焼領域の研究、精密化学工業能力の、技術的深度と生産能力規模への直接的な現れである。我が国のこの領域における立ち後れは、設計師に宣伝の文章の中でも認めざるを得なくさせるもので、国際的レベルとの隔たりを縮小するにはまだ国内化学工業の向上を待つことが必須だと直言するしかない。

DBT10狙撃弾薬の弾頭設計上、空力外形を最適化するのと同時に、厚さを増した銅製弾頭ジャケットと一体のスチール製コア、底部は鉛で埋めるという組み合わせの設計が使用されている。この種の簡略化された構造によって加工の誤差の累積を避け、重量の分布を改善し、飛行姿勢と軌跡を安定、一致させる設計思想も狙撃弾薬設計に通用する原則である。だが比較的人に疑問を感じさせるのは、この弾頭の組み立て工程がやはり伝統的な後装式で、スチールコアと鉛の詰め物が弾頭ジャケットの尾部から前に向けて入れられ、ポンチなどの工具を使用してこれを定位置まで叩き込み、かつ尾部を閉じていることだ。この種の工程は弾頭の一致性に対し一定の破壊があり、高精度弾薬種類には比較的少なくしか見られない。国内でやや遅く研究開発された7.62mmNATO口径狙撃弾薬はもう前装弾頭工程の採用に転じている。だがどうであろうと、弾頭はやはりDBT10狙撃弾薬の、国際レベルと差異が最も小さい部材なのである。

二、設計には優れたところがあるが劣った製造レベルであり不足のある銃器

QBU10がセミオート構造を選択したことは決して人を意外には感じさせない。我が軍は貧乏で、長期にわたり貧弱な装備に頼って各方の強敵の優勢な火力制圧を防いできた。火力の強度に対する渇望は骨の髄まで染み込んでいる。別の方面では長期にわたる封じ込めと国内工業能力の制約のため、正確打撃能力に対する認識の覚醒が湾岸戦争以後まで遅延し、しかも今に至るも依然、主にミサイルなど大型制御誘導武器に留まっている。

弾薬の一致性は生産によってのみ決まるのではなく、さらにそれが発射される一瞬まで保持されることが必須である。このため高精度の銃器は、ボルトが弾薬をマガジンの中から押し動かして前進させ、上昇させ、チャンバーに進入させ、閉鎖を完成させるまでの過程で、弾頭の表面形状が摩擦、圧迫を受けて改変が引き起こされることがなく、弾薬のチャンバー内での位置決定が安定して一致することを保証することが必須である。弾薬の一致性に対し提出される、損傷のない給弾設計は比較的簡単で、しかも歴史が長いが、国内では比較的遅いCS/LR4スナイパーライフル(頑住吉注: http://www.firearmsworld.net/china/sr/cslr4/cslr4.htm )でやっと初めて実現した。QBU10がこの設計を採用していない原因はやはり設計サイドの認識の問題と言うべきで、まだ認識していないのかもしれないし、銃器の精度が高くなく、多くの工夫をするに値しないと考えたのかもしれない。

QBU10はブルパップ設計を採用しておらず、これは主に精度という考慮から来ており、いわゆる人間工学から来ているのではない。ブルパップ銃の設計では、ボルトは移動させられてストック底部の位置に近づき、トリガーも連結バーなどの構造によって後ろに延長して撃発機構を制御する必要がある。運動する部品の増加と機械設計の制約により、ブルパップ銃のトリガーの操作性能は往々にして人を満足させることができない。例えばQBU88には2ステージトリガーがはっきりしない(頑住吉注:最初は軽く、次に重くなってからレットオフするはずなのにその差がはっきりしないのでレットオフのタイミングがつかみにくい、ということです)、トリガーストロークが長すぎるなどの現象が存在する。これは真の正確射撃銃器にとって受け入れられないものである。特にトリガーの固定の設計も処理が良くなく、QBU88は分解、維持メンテナンス操作の簡略化および小部品紛失を避けるため、トリガーの支点を直接バレル上に設計している。これは射手の人差し指の力が直接バレル上に伝達されることになり、QBU88が射撃するごとにバレルの振動特性に事前に知り得ない、繰り返すことのできない改変が常に出現し、弾丸がボアを出る時の方向の一致性が完全に破壊される結果をもたらす。これはこの銃の精度性能が低劣であることの根本的原因の1つである。

(頑住吉注:原ページのここにはQBU10のグリップユニットの画像があります)

部品の加工精度が劣るため、我が国はアメリカ、ソ連のように銃器製造の中での部品の100%互換を実現することができず、組み立て作業は止むを得ず人の手による作業がメインで、このことは銃器の性能と寿命に深刻に影響している。西側がブルパップスナイパーライフルのトリガーユニットをうまく作ろうとしても決して楽なことではないのであり、我が国にとっては増して難の上に難が加わる。QBU10はコンベンショナルなレイアウトを基礎にモジュール化設計を採用し、トリガー、セーフティなどのユニットとグリップが一体化している。銃器の射撃精度を保証してもいるし、分解、維持メンテナンスの便利さ、確実さをも満足させている。ブルパップレイアウトの重量と全長に関する優勢は獲得できないが、QBU10の設計は我が国の現有の機械加工レベルで高精度を獲得する合理的方向に符合しているだけでなく、我が国の銃器設計上の1つの非常に大きな正面からの意味での突破でもあり、未来の機種の設計のために良好な参照、指針を提供できる。

12.7mmスナイパーライフルの設計の中で、後座力が大きすぎることは1つの重大な障害である。マズルブレーキは理論上簡単に80〜90%の後座力軽減ができるが、設計時に材料、工程の要求、マズルの騒音、フラッシュなどの暴露特性、サブキャリバー弾薬発射の必要性の有無、衝撃波の射手に対する傷害などの要素の制約を受ける。バレル後退式原理は非常に重いバレルが後方に移動し、スプリングがエネルギー吸収を引き延ばすことに頼って有効に銃器の後座を軽減することができる。だが運動するバレルは間隙などの要素ゆえに必然的に射撃振動の不一致性を強め、したがって比較的大幅に精度に影響する。QBU10のマズルブレーキの50%という効率とバレル後退式原理は、いずれも性能と後座力軽減の間で取捨選択して支払った必要な代価だと考えることができる。

(頑住吉注:原ページのここにはQBU10のバレルユニットの画像があります)

だが追加で導入されたガス導入構造は人をして理解し難くさせる。追加されたピストンなどの構造は部品点数を増加させているだけでなく、銃器の振動をより複雑なものに変え、コントロールし難くもさせる。バレルに穴を開けてガスを引き出す措置は必然的に弾丸のバレル内での運動、姿勢に対するかき乱しを形成し、かつ飛行距離の増加につれ、弾丸を徐々に照準時の弾道から逸らす。西側のいくつかの先進的なセミオートスナイパーライフルの精度は100〜200mの距離ではボルトアクションスナイパーライフルに匹敵し得るが、距離が600mまで離れたら隔たりはすこぶるはっきりしたものになり、これはまさにこれが原因でもある。

バレット12.7mmセミオートスナイパーライフルから見て、バレル後退式原理のポテンシャルはDBT10狙撃弾薬の精度発揮に対し完全に充分なものであり、信頼性にも何の問題もない。だがQBU10の1,000mの距離での最も良い成績は2.6MOAでしかなく、なお普通弾薬を使用したバレットの正常なパフォーマンスに及ばない(頑住吉注:ちなみにバレットはショートリコイルでガス導入穴はありませんが)。弾薬の種類と照準機材の差異ゆえに、目下この隔たりの中で銃器の要素がどのくらい大きな作用を果たしているのか断言することはごく難しい。結局のところ材料、工程の制約のため追加の措置を取って某方面の性能を増強させる必要があるのか、それともその設計が国内の89式重機関銃のバレル後退/ガス式混合原理を参考にしているのか? 筆者はしばらくのところ知ることはできないが、もし後者なら、いかなるオッカムの剃刀の原則(頑住吉注:哲学用語ですがこの場合は不必要に複雑化させるな、程度の意味のようです)に違反する設計も賢いものではない。

三、技術的には先進的だが愚かな照準システム

非常に多くの先進的設計と機能が応用されているが、QBU10の一体式照準システムの設計は昼間スコープと夜視照準器具を同時に使用することを許さない。コンベンショナルなレイアウトの全長を浪費しているだけでなく(頑住吉注:ここで説明するのは分かりにくいので後述)、まさに愚かなのはアメリカの1960年代の設計の過ちを繰り返し犯していることだ。これはプロジェクトの論証、設計機関が自身に実戦経験が欠乏していることを反映しているだけでなく、他国の実戦経験を吸収することも極めて下手であることを示している。

(頑住吉注:原ページのここにはM21の画像があります)

M21がベトナム戦争に投入された使用の初期、銃に1本のレールしかなかったため、射手は昼夜交代の任務の中で、状況に応じて昼間および夜視スコープを交換することが必須だった。加えて当時のARTスコープの構造は特殊で、毎回の照準具交換後の照準調整が射手に要求する光学機材使用経験と技能が非常に高く、しかも過程が煩瑣なことこの上なく、戦機を誤ること大変なものだった。照準調整していない銃の場合、数百mの距離で弾丸がスコープの視野範囲外に着弾することも全く普通すぎることだった。

後の現代スナイパーライフルでは、昼間スコープと共用性のある夜視スコープが専門に設計され、これはスコープの前方に直接取り付けて組み合わせて使用できるものである(頑住吉注:上の黄色い字の部分は、せっかく長さに余裕があるのにこのように照準具を前後に並べて使用できるようにしないのは無駄だ、という意味です)。したがってスコープの取り外し、再度取り付けの形成する位置決定の誤差とその後の照準調整作業が完全に避けられている。設計師の主観的願望がどうであろうと、スナイパーライフル自体が極めて強い精密機械/光学製品の性質を持つことは改変できない事実である。理由のない着脱の減少は使用中に実際の精度を保持するための鉄則である。

(頑住吉注:原ページのここには昼間スコープの前に暗視アダプターを装着する状態を示す画像があります)

QBU10の2種の照準具の距離測定・弾道計算一体化は重量を減少させ、装着、照準調整作業量を簡略化したように見えて、実際には電子部分の光学部分に対する妨害が深刻で、その性能と機能を破壊している。任務要求に1,500m射撃が含まれる銃器にとって、スコープのたった9倍の拡大倍率は深刻に不足しており、視差調節能力の欠乏も照準の正確性に深刻に影響する。真に合理的な設計は西側の実戦経験を吸収し、1種類の機能が完備した昼間スコープを基礎とし、いったん装着し、照準調整が完了したら、軽易に取り外さない、というのものであるべきである。一方弾道計算機能を持つレーザー距離測定機/夜視スコープは、昼間スコープとの共用性設計に照準を合わせ、必要に応じ随時スコープ前方に装備することを選択できるようにすべきである。

(頑住吉注:原ページのここにはこのスコープ用の充電器の画像があります)

最後に強調しておくことが必須なのは、この2種のスコープの外部に接続することに頼って充電する設計は愚かの極みだということである。誰であろうと、その内部の分解できない充電池が高強度の使用、過充電・過放電によって早めに劣化することがない、劣悪な使用条件ゆえに事前に知り得ない隠れたリスクが生じることはない、と保証することは絶対に不可能である。あらゆる人が任務前に完備された充電量の状態を保持すると保証することもまた絶対に不可能である。西側の特殊部隊の長年来の血を用いて得られた教訓は、この種の電子装備は必ず統一して任務開始前に新たに開封した使い捨ての電池に交換する必要があり、それでやっと最大限に意図せず電力が失われる状況の発生を途絶させることができるのだ、ということを証明している。

ひとたび電池が電力を失う状況が発生したら、一体充電器からコードをつないで何時間か充電するのが早いのか、それとも電池を交換する方が早いのか? 1個重量5kgの大きな箱を携帯するのが便利なのか、それとも何個、せいぜい10個の高性能電池を余計に携帯するのが便利なのか? 弾薬の口径、工業的基礎がもたらす客観的制約に比べ、おそらく論証、設計人員の主観的認識レベルこそが、中国のスナイパーライフル発展の最大のボトルネックである。


 例えばドイツのMP7の記事に、小型の割にレールが長いので照準具を前後に並べる使用ができる、というような記述がありましたが、それの真のメリットは理解していませんでした。勉強になります。中国の各方面のレベルにはまだ遅れたところが多々あるようですが、同種の銃を持たない自衛隊に対してはこの銃でも当然大きな脅威になるでしょう。
















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