各国の戦車アクティブ防御システム
まだ一般にはあまりよく知られていないものですが。長いので2回に分けます。
http://military.china.com/kangzhan70/zhjw/11173869/20160510/22616739.html
4カ国の戦車の「金鐘罩」大勝負 中国、何とまだ装備していない? (頑住吉注:「金鐘罩」は中国武術の用語らしいですがこの際どうでもいいでしょう。)
最近、イスラエルの最も先進的な「トロフィー」戦車アクティブ防御システムが初めて実戦を行った。敵対する武装分子が撮影した動画を通じ、観衆は初めてこの最も新しい戦車防御技術の戦闘の中における「デモンストレーション」を見た。
動画の中で、敵対武装分子はRPG-7ロケットランチャーを使用してイスラエルサイドの戦車を攻撃した。ロケット弾が戦車付近まで飛んだ時、戦車の砲塔の頂部に位置する「トロフィー」システムが搭載するうち1発の迎撃弾を発射した。迎撃弾はロケット弾に接近した時に起爆し、接近しつつあるロケット弾を破壊した。この過程は電光石火の中に発生し、敵サイドのロケット弾はまだ戦車表面にぶつからず、もうすでに完全に破壊されたのである。
現在、アメリカ、ロシア、ドイツはいずれも相応の戦車アクティブ防御システムを研究開発済みである。それらの作動原理は大同小異である。戦車上のレーダーあるいは光電子探測機が不断に捜索、探知計測を行い、自分に向け飛んでくる敵サイドの対戦車弾薬(ミサイルあるいはロケット弾)を発見した時、転じて追跡常態に入り、かつ適当な時に迎撃装置を発射する。通常は1発の炸薬を持つ迎撃弾で、敵サイドの弾薬が自らに命中する前にそれを爆破する。より早く出現したいくつかのパッシブ防御システム(例えば相手方の視察照準設備を妨害する防御システム)に比べ、アクティブ防御システムの効能はより良く、防御できる武器の類型もより多い。このシステムがあれば、戦車や装甲車の防御能力は大きく増し、甚だしきに至っては適当に装甲の重量を減少させ、したがって全体の重量軽減を実現することができる。
(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「旧ソ連が初期に研究開発した戦車・装甲車両のアクティブ防御システム」)
この種の防御システム最大の難点は、素早く正確に来襲する弾薬の位置決定をすることにある。システムの反応速度は非常に早いことが必須で、何故なら発見から迎撃まで1秒の時間に満たないかもしれないからである。このことはフェイズドアレイレーダーなど最も先進的な探知計測技術を、戦車というこの古いプラットフォームに搭載させることになり、何故ならこの種の技術があってのみ、やっと高速目標の素早い探知計測や追跡が保証できるからである。
ロシアは最も早く戦車アクティブ防御システムを研究開発、装備した国の1つで、古いT-55戦車から、去年初めて明るみに出た「アーマタ」メインバトルタンクまで、相次いで多種のこの類型のシステムを装備した。1980年代初め、ソ連軍は全世界で初の関連のシステムを研究開発し、コードネームは「ツグミ」で、古いT-55A戦車に用いることができた。それはハイエクスプローシブロケット弾を使用して正面60度の範囲内の脅威を破壊することができた。ソ連軍が率先してアクティブ防御システムを装備した一大原因は、ソ連軍戦車がずっと数量をもって質を圧倒する路線を行き、多くのメインバトルタンクの機種が小型化に向かい、防御能力が比較的低下する結果をもたらしたことだと言うべきで、このためソ連軍は反応装甲やアクティブ防御システムの発展に力を尽くし、もってこの欠陥を補おうとしたのである。
この種の早期のシステムの主要な欠点は探知計測に充分な信頼性がなく、判断ミス、判断漏れ、反応速度が過度に緩慢だという欠陥が存在することだった。この後研究開発された「ガビチョウ」システムはドップラーレーダーによって来襲する弾薬を位置決定し、顕著な改善があった。このシステムは通常戦車からの距離7mのところで迎撃を完成させた。
(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「ロシアが研究開発した『アリーナ』アクティブ防御システム」です。)
最も有名なロシアのシステムは「アリーナ」で、これはそれまでのシステムに比べ基本的な識別能力を増加させ、作戦効果をより最適化させた。このシステムのレーダーはミリ波体制を使用し、飛行して来襲する弾薬の探知計測により適合する。全部で20の発射器があり、それぞれの発射器が1発の迎撃弾を持つ。作戦時、コントロール誘導線を持つ散弾が上に向け放り出され、火力コントロールコンピュータが誘導線を通じて起爆信号を発し、散弾が下方に向けて大量の破片を放射し、目標を破壊する。
これまでのシステムはいずれも戦車砲が発射する運動エネルギー徹甲弾には対応できず、これはそれらが飛行速度の比較的遅い対戦車ミサイルやロケット弾に対してだけ有効だったからで、徹甲弾の速度は非常に速く、しかも体積が比較的小さく、迎撃技術の難度が非常に高い。
ロシア軍最新の「アーマタ」戦車の上には、初めて徹甲弾を迎撃できるシステムが出現し、これには多くの革新的設計がある。まず迎撃弾の体積が顕著に増大し、より多くの装薬が搭載できる。次に、迎撃弾がリング状を呈して砲塔ベースリング上方に分布し、反応速度は回転発射器あるいは砲塔頂部の多方向発射器を使用するシステムをはるかに超える。さらに、迎撃弾は起爆後徹甲弾に向け、自身の爆発のエネルギーから来る横向きの推力を加え、徹甲弾を安定した飛行路線から逸れさせることができるとされている。このようになると装甲への命中時、受ける横向きの作用力が原因で極めて容易に折れて断裂し、装甲貫通深度はこれにより顕著に低下する。最後に、それはそれまでのロシアのシステムの集中式レーダー探知計測設備を、若干個の分布式レーダーサブシステムに改め、このようにするとスキャン頻度をを向上させることができるだけでなく、さらにレーダー全システムの信頼性と生存力が増加する。このシステムはさらに来襲する弾薬の制御誘導設備を妨害する電子戦サブシステム、および関連のレーザー対抗設備を包括するとされる。最近このシステムにはさらに紫外線探知計測手段が増加し、レーダーシステムの補充とする。
(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ロシア軍最新の『アーマタ』戦車上に装備された新型アクティブ防御システム」)
このシステムの欠点は周辺の友軍兵士の安全問題が解決できないことである。また体積が非常に大きく、「アーマタ」のような無人砲塔を使用する戦車のみ、やっと都合よくこのシステムを装備できる。ロシアの軍事工業製品の実際の能力は往々にして宣伝情報との隔たりが比較的大きく、まだ実際の考察が待たれると疑問を呈する西側メディアもある。