ロシアの対中国兵器輸出関連2題

 まずスホーイー35関連です。

http://military.china.com/news/568/20140323/18408493.html


ロシア、中国に向け大きな力を入れてスホーイー35のセールスを開始 小細工、焦りの心情を暴露する

ロシア製スホーイー35戦闘機が中国に定住するには、双方の基礎的意向が必要なだけでなく、さらに談判の中で多くの技術的細目が整理されなければならない。

「第4++世代」のレベルを持つと称されるスホーイー35戦闘機登場後、一定の時間を置くごとにロシアメディアは必ず中国が将来購入するとの情報を暴露するが、双方は今に至るもまだ正式に兵器購入協定を締結してはおらず、中国当局も数回関連の噂を否定している。こうではあるが、関連の情報は依然「野火焼き尽くさず、春風吹けばまた生れる」である(頑住吉注:しぶとくて根絶できない、といった意味の慣用句らしいです)。

中国はスホーイー35Sを必要とするのか否か? 双方の談判の中にどういった変数が出現する可能性があるのか? この2つのカギとなる重要問題に照準を合わせ、ロシアメディアは各種の可能性に逐一分析を加えている。

軍事の範疇を超越する交易

ロシアの「テイクオフ」誌の報道によれば、2005年からスホーイ社はもう北京に事務所を設け、大きな力を入れてスホーイー35Sをセールスしており、その目的は経済的利益を図るために他ならない。スホーイ式戦闘機の輸出に頼り、スホーイは経営が楽になっただけでなく、さらに2009年には古いライバルであるミグを傘下に収めた。だが10年近く前から、中国のスホーイ式戦闘機に対する熱情はクールダウンし、大口顧客はインドを残すだけで、スホーイは止むを得ずベトナム、マレーシアなどの小国に頼って局面を維持している。だがスホーイー35Sのような大型戦闘機は、小国では買えないか使えないかであり、ロシアが極力中国市場を回復することは必須であり、そこで極力中国向けにスホーイー35Sをセールスするのである。

2014年1月25日、スホーイはその公式ウェブサイト上で「午年」戦闘機カレンダーを発布し、中国に向け敬意を表する他、再度アジア市場開拓の心情を言葉に表した。あるロシアメディアは、ロシアが余力を残さずスホーイー35Sをセールスするのは、中国を通じてインド、ベトナムなどの国に影響させることを希望しているためだ、と考えている。ひとたび中国空軍がスホーイー35Sを装備すれば、その他の国が追随して購入する可能性は高い。中国がスホーイー35Sを持つことは、ロシア第5世代戦闘機T-50が東南アジアに進軍するための条件を創造する、と信じる専門家さえいる。

噂の中のもう1方である中国当局の反応は比較的平淡であるが、世論界は中国がスホーイー35Sを必要とするか否かに関する激烈な論争がある。支持者は、中国がスホーイー35Sを導入することは、1つには117Sエンジンおよび雪豹-Eパッシブフェイズドアレイレーダーなどの先進装備を獲得し、もって研究に供する事ができ、2つ目にスホーイー35Sの商品引き渡しが早いという優勢を利用して、これを殲ー20および殲ー31就役前の過渡的機種とし、特に現在周辺情勢が相対的に緊張している状況下で、中国は大型制空戦闘機を必要とする、と主張する。

反対者は反駁し、中国が殲ー20など新世代戦闘機専用に研究開発するエンジンの進展はスムーズで、さらにもう1機種エンジンを導入してコピー生産を展開する必要はなく、パッシブフェイズドアレイレーダーも高度新技術とは評価されず、導入の必要はない、とする。他の方面では、もし中国・ロシアがすぐに購入に関する契約を締結しても、最初のスホーイー35Sの引き渡しは最も早くて2015年まで待つ必要があり、全部の機は2020年になってやっと戦闘力を形成することができるが、その時には殲ー20もすでに就役している可能性があり、過渡的作用を体現することは全くできない、という。

さらにある視点は、兵器貿易が普通の売買であったことは全くなく、「軍事は政治の延長である」ということをいつも心に刻むことが必須で、中ロ戦略パートナーシップの現状をもってすれば、中国が少数のスホーイー35Sを購入し、この機を借りて中ロ軍事技術協力の大局を維持保護する可能性は排除されず、結局のところ中ロ軍事技術協力は中ロ戦略協力の重要な方面の1つなのである、と考える。

クレムリンの首肯を得ることが必須

もし中ロのスホーイー35S戦闘機交易がスムーズに購入プロセスに入ったら、双方はさらにいかにして談判を行うべきなのだろうか? この点に関し、まずはっきりさせておく必要があるのはロシアの軍事装備の輸出の枠組みである。ロシアの「職業人報」が明らかにするところによれば、ロシア連邦の対外軍事貿易談判を担当する部門は2種類ある。すなわち、1つは事務性の談判部門、2つ目は技術性の談判部門である。

事務性の談判は一般の輸出、購入の意向の談判を指し、すなわち初歩的な交渉と協議である。ロシアの事務性談判を担当する最高の機構は連邦軍事技術協力局であり、この局は直接クレムリンに対し責任を負っている。現在、ロシア・中国両国政府間には首相クラスの経済・軍事技術協力委員会が設立され、定期的に会談が行われ、先進戦闘機購入の意向に関する初歩的交渉は、ロシア連邦軍事技術協力局がこの「手っ取り早いルート」を通じて行っているものに他ならない。

(頑住吉注:これより2ページ目)

ロシア連邦軍事技術協力局は、ロシアの対外兵器販売の政策と政治性の原則を直接掌握しており、どんな武器が販売できるのか、どんな武器は販売できないのか、全てこの局によって決定される。これにより、この局が直接的にクレムリンの政治的意図と兵器販売の目標を反映していると推測により理解される。別の言い方をすれば、中国向けに戦闘機を輸出するといった種類の重大な兵器販売は、ロシア国営武器輸出社、スホーイ社といった種類の純粋な意味での軍事工業機関が独立して決定できるものではなく、クレムリン(正確に言えばプーチン大統領)によって、ロシア国家安全委員会の枠組みの下に協議し、しかる後に連邦軍事技術協力局に与えられて実行が貫徹されることが必須なのである。

当然ロシアには、クレムリン、国家安全委員会を補助して最終的な武器輸出の決定を行う部門はまだ非常に多くあり、これにはロシア国防省、対外情報局、連邦安全総局、外務省などが含まれる。このため、ロシアがスホーイー35Sを中国に販売する前に、連邦軍事技術協力局はこれらの部門と協調と意志疎通を行うことが必須である。

この中にはまだ1つ問題が存在する。もし事務性談判段階で決して価格は確定されないとしたら、ロシア・中国双方はいかにして購入の意向の契約を締結するのか? 実際には、ロシア連邦軍事技術協力局の基本的な職能は意志疎通、協調であり、ロシア国営武器輸出社、スホーイ社、および中国サイドと常に密接な関係を保持し、価格の状況に対しては充分に了解されているのである。

アフターサービスは問題ではない

事務性談判の後は技術性談判である。こうした談判はスホーイー35Sの価格、および関連のサブシステム、機載武器、引き渡し時期、支払いの手段、人員訓練養成などを含む。ロシアの法律は、ロシア国営武器輸出社だけが外国向けに武器装備を輸出する権利を持つと規定しており、ゆえに購入の契約は最終的にはこの会社と中国サイドの関連部門によって締結される。現任のロシア国営武器輸出社総裁はアナトリー イサイジンで、その指揮下の防空武器、航空武器、軍用機などの輸出を担当する副総裁アレキサンダー ミヘイェフは何度も中国サイドとエンジン、軍用ヘリ輸出に関する契約を締結したことがある。
 
ひとたびロシア国営武器輸出社が中国サイドとスホーイー35Sの正式輸出契約を達成させれば、続いて執行される業務はスホーイ社によって担当され、すなわち契約の規定に照らし、時間通りに、品質を保証して中国にスホーイー35Sを引き渡すことが必須であり、メーカーはアムール河畔の共青城航空製造連合体(KnAAPO)である。過去20年内、KnAAPOは中国との協力が非常に密接で、ロシアが中国に対し輸出したスホーイー27SK、スホーイー30MKK、スホーイー30MK2は全てこの企業によって生産されたものである。

スホーイー35Sの輸出契約がロシア国営武器輸出社によって締結され、スホーイは生産を担当するだけである以上、アフターサービス方面の紛糾を引き起こすか否か? と問う人がまだいるかもしれない。歴史的経験について言えば、スホーイ社には直接外国の顧客と関連の戦闘機維持保護の契約を締結する権利がある。例えばマレーシア空軍が購入したスホーイー30MKM戦闘機はスホーイ社によって直接担当され、再度ロシア国営武器輸出社を介する必要はなかった。特に中国というこの古い顧客に対しては、スホーイは非常に重視しており、さらに専門に中国に事務所を設立しており、その目的は便利に中国サイドと遅れず意志疎通し、中国サイドの要求を理解するために他ならない。


 手続き的な問題については初めて見る内容もありましたけど、肝心のスホーイー35輸出の現状に関しては新たな情報と言えるものはないですね。ちなみに「一定の時間を置くごとにロシアメディアは必ず中国が将来購入するとの情報を暴露する」というのは以前から言われていることですが、今回のそれは3月19日のコラムで紹介した、「ロシアメディア:中ロ、今年スホーイー35に関する契約を締結〜」を指しているものと思われます。

 次は潜水艦関連です。

http://military.china.com/news/568/20140323/18408485.html


ロシア軍、初めて新型潜水艦プロジェクトを披露 あるいは中国向けに先進技術を移転か

人民ネット3月21日の情報 「ロシアの声」の報道によれば、ロシア海軍総司令チャーコフは最近、ロシア軍事工業は新型潜水艦「カリーナ」を建造することになり、かつ将来大量生産を行い、677型「ラダ」級潜水艦の建造は停止されることになる、と明らかにした。ロシア戦略・技術分析センターの専門家コーシンは、このことはロシア・中国軍事技術協力の枠組み内で、中国向けに潜水艦技術を移転する範囲を拡大するために可能性を提供した、と考える。

チャーコフは、あらゆる「カリーナ」潜水艦は新型嫌気性エネルギー源装置(AIP)(頑住吉注:直訳しましたけどちょっと変で、やはり「非空気依存」の方が適切ですね)を装備することになる、と言う。新型潜水艦に関するいかなるその他の細目も明らかにされてはいない。これはロシア軍当局者が初めて対外的に「カリーナ」プロジェクトを明らかにしたものである。

報道は、現在ロシアは同時に2種のディーゼル・電池潜水艦を建造している、とする。すなわち、677型「ラダ」級潜水艦と636型「キロ」級近代化バージョン潜水艦である。今に至るも1隻の「ラダ」級潜水艦しか完成していない。「サンクトペテルブルグ」号である。2010年からこの艦に対する航海試験が開始されたが、試験中多くの技術問題が暴露された。ゆえにこの潜水艦に対し大幅な改良、最適化が行われた。

「サンクトペテルブルグ」号は今年正式にロシア海軍に就役する。他に2隻のこの型の潜水艦が異なる建造段階にあり、このうち1隻は嫌気性エネルギー源装置を配備することになる。677型潜水艦は新型の自動化操作システム、武器操作システムを装備することになる。それらはより強いステルス性を持ち、かつ新型エンジンを利用する。

6隻のグレードアップ版636.3型潜水艦は疑いなくロシア黒海艦隊の未来の戦闘力を向上させることになる。これらの潜水艦は「キャリバー」巡航ミサイルを搭載し、遠距離の地上目標に対し打撃が実施できる。普通に考えれば、これらの潜水艦は完全にこの種の軍事行動の条件に適応できる。ロシアはさらにこの2種の潜水艦の輸出も準備している。636型潜水艦はベトナムに輸出され、一方677型の異なるバージョンはインドと中国に輸出される。

報道は、「カリーナ」型潜水艦がいつ着工されるのかはまだはっきりしない、とする。だが明らかに、それらが建造される時は677型潜水艦の生産と使用の経験が参考にされる。ロシアの嫌気性エネルギー源装置技術はディーゼル油に対する改質に基づいている。このため潜水艦に水素を貯蔵する必要はなく、事故発生の可能性が低下している。このシステムは一部の677型潜水艦にしか装備されないが、「カリーナ」に関して言えばごく普遍的なものになると言える。それらの嫌気性エネルギー源装置はさらに一歩完備されたものになり、もって潜水艦が全パトロール過程でもはや潜望鏡の深度まで浮上する必要がなくなる可能性がある。

またさらに一歩潜水艦の隠蔽性が向上し、潜水艦のソナーにより遠くを聞き取れるようにさせる可能性がある。

報道は、新型潜水艦の出現はロシア・中国軍事技術協力のために新たな前途の見通しを切り開いた、と考える。中国は全部で12隻のロシア製潜水艦を購入しており、これには877型、636型、636M型(NATOのコードネームは「キロ」級)が含まれる。あの時から中国は自らのディーゼル・電池潜水艦生産の中でも長足の進歩を取得した。だが、現在まさに中国に向けた4隻のグレードアップ版677型潜水艦の提供が協議されているところである。

明らかに、一定の進歩は取得されているが、中国の潜水艦の個別の性能はまだロシアに立ち後れている。次世代潜水艦の出現は非常に大きな程度上、ロシアがより大規模に中国に向け新世代潜水艦技術を提供することをことを許し、ロシアはもはやすでに海軍兵器と艦載武器市場の地位を喪失する心配をしていない。東海と南海の情勢は日増しに複雑、危険になっている。中国は適時に海軍技術装備レベルを向上させ、米日に打ち勝つチャンスを拡大する必要がある。


 ロシアは非空気依存推進システムでこれまで大きく立ち遅れ、むしろ中国の方が先行し、ゆえに次世代潜水艦開発では対等の協力になるのだ、とする中国側の意見はこれまで何度か取り上げましたが、ロシアがどういった経緯で、またどの程度まで遅れを取り戻したのか、これを読んでもさっぱり分かりませんね。














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