日本近海に中国潜水艦が出現

 何の断りもないんで最新の記事かと思って読みはじめたんですが、実は2003年のものでした。しかし内容的に現在でも大いに参考になる内容を含んでいます。

http://military.china.com/history4/62/20150415/19530950.html


中国の明級潜水艦、日本近海に姿を現す:アジア第一の対潜網のまずい状況

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「中国海軍潜水艦の行動の説明図」)

事件

11月12日昼、日本海上自衛隊公式ウェブサイトに突然ある海上幕僚監部提供の驚くべき情報が発表された。当日8時前後、日本の鹿屋航空基地に駐屯する海上自衛隊第一航空隊所属の2機のP-3C対潜哨戒機がパトロール任務執行途中、突然水面に浮上した中国海軍明級ディーゼル・電池潜水艦に遭遇した! 具体的な方位は九州南端の佐多岬以東40kmで、日本領海からの距離たった18kmの国際海域だった。機上の人員は、明級潜水艦が非常に平然と半潜水状態で大隅海峡を通って北東から西南の方向に航行するのを見、艦橋の上に掲げられた五星紅旗がはっきり見えた。明らかにされるところによれば、日本の防衛庁はいち早くこの状況を駐日米軍に通報し、駐日米軍は直ちに偵察機を派遣して日本の哨戒機と共に中国の潜水艦に対し捜索、監視を実施した。だが中国の潜水艦と日米の偵察機は終始いかなる対話や接触を行うこともなかった。ほどなく、中国の潜水艦は水中に潜り、果てしない大海の中に消失した。13日午後、我が国の外交部スポークスマンは北京で、「中国の潜水艦が日本付近海域に進入したのは正常な海上訓練に属す。」と言明した。日本海上自衛隊スポークスマン上野義之少佐(頑住吉注:直訳です。実際は三佐?)は「我々には中国に向け抗議を提出する予定はない。何故なら潜水艦が国際海域に出現したからだ。」とした。

(頑住吉注:これより2ページ目。画像のキャプションは「日本のテレビに放映されたP-3Cによって撮影された中国潜水艦」です。)

外界の推測

中国潜水艦の動向に対し、日本ないし世界のメディアは全て高度に重視している。日本の防衛庁が情報を発表してすぐ、日本の主要メディアは次々と報道を行い、「中国潜水艦の脅威」を大いに語った。AP通信社、ロイター社などもいち早くこれに続いた。

こうした外国メディアの推測を総括すると、その推測は以下の何種かに他ならない。ある日本のメディアは、中国潜水艦が日本本土に近い海域の水面に浮上したのは、機械的故障の出現で止むを得ず浮上したのかもしれない、と推測した。だが専門家は、この潜水艦はずっと正常に航行しており、かつすぐに再度潜水し、このことはそれがいかなる面倒事にも遭遇していなかったことを説明している、と指摘する。

一方台湾の「国際安全保障業務評論」は、中国潜水艦が姿を現した地点は人に興味深く感じさせ、それは潜水艦が鹿児島と種子島の間の大隅海峡水域に出現したことに他ならない、とした。ここはまさに日本の鹿児島宇宙発射センターと種子島宇宙発射センターの所在する区域である。このうち、鹿児島宇宙発射センターは日本宇宙科学研究所に隷属し、日本の宇宙探査ロケットや科学衛星運搬ロケット発射場である種子島宇宙発射センターは日本宇宙開発事業団に隷属し、日本の応用衛星発射センターである。今年9月、種子島宇宙センターはH-2A大型ロケットを使用して成功裏に2つの日本の歴史上初のスパイ衛星を発射したばかりである。台湾の中央社11月13日の報道は、明級潜水艦がこの海域に出現したのは2つの場所の宇宙発射基地に興味を感じたのかもしれない、とした。だがこの説は明らかに全く反駁に値しない。当時明級潜水艦は日本海岸からまだ40kmのかなたにいて、どうやっても鹿児島や種子島の宇宙発射センターを「眺望」することはできない。しかも海面で半潜水状態を呈する潜水艦は全く写真撮影による偵察の能力を具備せず、歴史的経験から見ても潜水艦を使用してこのように偵察任務を行った前例は全くない。

まだある1つの説は、中国の潜水艦が日本付近海域に進入した意図は、日米合同軍事演習の監視にある、というものである。日本の「朝日新聞」の報道は、「11月7日から16日、日米は九州付近およびその他の日本周辺海域で合同軍事演習を行い、中国潜水艦は演習のカギとなる重要な時期に出現しており、今回の演習に対し監視を行おうとした可能性が高い、とした。マレーシアの「星州日報」も、中国潜水艦のこの行いは今回の50年近く以来最大規模の軍事演習に向かって来た可能性がある、とした。「外界がこれに対し知ることははなはだ少なく、中国潜水艦の任務は今回の演習の真の状況をはっきりさせることであった可能性がある。」と。

もう1つの説は、中国が日本に対し「示威」を行っているのだ、というものである。「日本国際フォーラム」研究部部長の神保謙は、「中国は潜水艦がどんなに遠くまで配備できるかを表明し、かつ中国軍がずっと着実に向上させている(潜水艦)技術をデモンストレーションしようとしたのだ」と語る。彼はさらに、中国潜水艦が日本海域の「極めて近く」を大手を振って水上航行したのは、明らかに日本に向けた「示威」である、とした。

中国大陸の潜水艦が遠洋を遊弋するその使命の1つは「台湾独立」勢力を脅して阻むことだ、と指摘する海外メディアもある。香港の「太陽報」の報道は、大陸の潜水艦が国旗を掲げて「ハイテンションで行進」したのは、もしコンパスを用いて地図上で比較してみれば即気づくことだが、明級潜水艦の遊弋範囲はすでに大陸の東南沿海から台湾東岸までの距離をはるかに超えている。「これは陳水扁に見せているのだ。」とした。

中国潜水艦が鹿児島の外の大隅海峡の水面に浮上したことに対し、「日本国際フォーラム」研究部部長神保謙は、これは中国が日本に向け解放軍海軍の実力をデモンストレーションしようとしているのだ、と考える。彼は、「中国は自分たちが潜水艦部隊をどれだけ遠くまで配備できるか、および人民解放軍がずっと着実に技術を向上させていることをはっきり示そうとしているのだ。」と語る。シンガポールの「連合朝刊」11月14日の報道は、ある香港立法会議議員は、中国潜水艦が日本外海に姿を現したのは、解放軍の日本に向けての実力のデモンストレーションであると考えている、とした。香港立法会議議員の張分光は、今回の潜水艦事件は、中国新指導者(頑住吉注:胡錦濤)が積極的に民族の尊厳と国家主権を維持保護することを反映しており、彼らは最近すでに国民が福建省から出発し釣魚島に到達して主権を宣言する、および第二次世界大戦の被害者が日本に向け損害賠償を請求するなどの民間の行動を許容している、と考える。

多くの軍事分析家たちは次のように考える。東海に行って軍事的プレゼンスをはっきり示し、実力を見せつけるのはロジックに符合し、何故なら東北アジア諸国にとって東海の戦略的地位は非常に重要だからである。何故なら中東地域から来る石油、東南アジアなどの地に輸出される貨物の絶対的大部分はここを通過する必要があるからである。四面を海に囲まれている日本にとって、東海の戦略的重要性は特に甚だしい、このため日本は頻繁に東海で軍事的プレゼンスを見せつけている。一方中国が東海で実力を見せつけることは決して多くは見られない。近年来小泉政権はずっと平和憲法を突破し、自衛隊を「軍隊」に昇格させる必要があると叫んでおり、このことはすでに周辺国の強烈な不満を引き起こしている。中国海軍潜水艦の今回の日本近海浮上は有力にその前線の存在をデモンストレーションし、日本の盛んな気炎を打撃した。

さらに重要なのは、明級潜水艦が日本の哨戒機に発見された時に西に向かって航行していたことで、このことは中国潜水艦が帰投途中だったことを意味している。しかも中国潜水艦は水面に浮上し、かつ旗を掲げた後になってやっと発見された。このことはこの明級潜水艦が第一列島線を出る時には日本はきっと察知していなかったことを意味しており、しかもこの艦が結局のところ東に向かってどこまで遠く航行し、日本海域にどのくらい近くまで深入りしたのかはいずれも分からないのである。このような1回の航行は充分に人民海軍に第一列島線に進出する能力が完全にあることをデモンストレーションし、このことはアメリカの列島線防御に非常に大きな打撃を与える。

アメリカのアジア太平洋地域における軍事配備は基本的に「三線配置」に分かれる。第一の線はアラスカ、アリューシャン列島、日本、韓国、沖縄、フィリピン、シンガポールなどの地の駐留軍と基地によって組成され、こうした某地はアメリカ海軍第7艦隊司令部駐留地である横須賀とアメリカ陸軍第8集団司令部の駐屯地であるソウルをもって核心とする。アメリカが「第一列島線」に配備する部隊の実力は最強である。アジア太平洋地域の米軍の70%は日韓に配備され、第7艦隊も主に西太平洋地域で活動する。「第一列島線」は米軍および同盟国軍のアジア太平洋地域における主要な戦略的集結地および出発地であるだけでなく、彼らの西太平洋における後方勤務補給および維持修理センターでもある。米軍高級将官はかつて、将来米軍のアジア地域での作戦は、もし「第一列島線」が前線基地としてなかったら、その防御はハワイまで撤退せざるを得ない、とした。

(頑住吉注:これより3ページ目)

アジア第一の対潜網のまずい状況

日本海上自衛隊はこれまでずっと対潜の問題を特に重視しており、日本海上力量の装備発展、戦場建設、戦備訓練もほとんど全て「対潜」というこの中心をめぐって行われ、その主要な水上艦艇と潜水艦は対潜航路護衛作戦の需要のために設計されている。日本はさらに100機余りの高性能なP-3C対潜哨戒機を持ち、すでに東アジア地域で密度最大の対潜ネットワークを構成済みである。だが今回日本に非常に大きな震撼をもたらした明級潜水艦は1960〜70年代に研究開発された通常潜水艦でしかなく、AIP動力システムもなければ、増してや原潜の長時間水中航行能力は持っていない。このような古いディーゼル・電池潜水艦でももう軽々と日本海上自衛隊のアジア一、世界第二と称する対潜網を突破したのである。しかも大隅海峡という日本人の身近から第一列島線を出たのであり、このことは日本海上自衛隊に見事平手打ちをを与えたことに他ならない。

軍事的角度から言うと、明級潜水艦の今回の日本近海浮上は再度潜水艦(たとえ技術が比較的立ち後れた通常潜水艦であっても)は海の中では最も厄介な相手であることを証明した。事実は、潜水艦は海軍の兵器庫の中でコストパフォーマンス最高の武器であることを証明している。もし海軍の全体的力量が相対的に薄弱でも、潜水艦は依然威力を発揮できるのである。今年5月の週刊「ワシントンウォッチャー」の報道は早くも、中国の潜水艦部隊は潜水艦が時代遅れで老化し、新たな潜水艦の研究開発には難度があるなど一連の問題に直面しているが、アメリカの専門家は現在の中国の潜水艦戦力に対し依然あえてみくびっていない、としていた。ブルッキングス学会の高級研究員であるマイケル オハンロンは、「高い技術がない、あるいは時代遅れで老化した潜水艦の隊伍も1つの脅威であり得る。もしそれらが浅い水の中に隠れ、あるいは『沈黙』していたら、結果的に察知され難く、それらは成功裏に敵を待ち伏せできるのだ。」と語った。

退役アメリカ海軍少将マイケル マクデイビットは中国海軍の発展を熟知している。彼は、潜水艦は中国海上戦略の「基本的な組成要素の1つである」と語る。米軍のビル マーレー少佐は最近発表した「中国の潜水艦の道案内」という題の文章の中で次のように書いている。「あらゆる一切の兆しは、中国が徐々に海洋目標に向け戦略の重点を移しつつある時、潜水艦がこの新たな戦略の『背骨』となることを示している。」 アメリカの軍事専門家スベン博士は、「いかなるディーゼル推進の潜水艦も永遠に凄い武器であり、あらゆる海軍将校を心配させる問題である。もし潜水艦が良く維持保護されていたら、非常に発見され難いのだ。中国は軍事近代化の目標に向け前進しつつあり、このことは決して中国に現在アメリカの海上勢力を制約する能力があることを意味しないが、中国潜水艦プロジェクトのさらに一歩の近代化はアメリカ海軍の東アジア海洋自由航行のパトロールにより高い程度の挑戦をもたらすことになる。」と語る。(苗鶴青)(「国際展望」誌)


 10年以上たってこの状況はあるいはより深刻化しているのかもしれませんが、当然日本、さらにはベトナムなど周辺国の潜水艦が中国にとっての大きな脅威になることもまた間違いないはずです。









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