JSサブマシンガン

 05式サブマシンガンには9mmパラベラムを使用する姉妹銃があり、それがこのJSサブマシンガンです。

http://www.gun-world.net/china/smg/05/js9.htm


JSサブマシンガン
口径:9mmx19

2005年に警察用装備展で展示されたJS 9mmサブマシンガンは建設集団公司(頑住吉注:会社)が製造した試験的プロトタイプだった。これは定型に至っていない製品で、JS 9mmサブマシンガンの第2号プロトタイプであることは間違いない。同社の宣伝資料にあるカラー写真がJS 9mmサブマシンガンの第1号プロトタイプである(頑住吉注:明らかに印刷物から転写したと分かる、大きなスコープ付きでサイレンサー付き、なし2枚の画像がそれです)。定型に至っていないため正式名称はなく、JSというのは暫定的呼称であり、建設集団公司の略称である(頑住吉注:「建」jian、「設」sheそれぞれの中国語による発音の頭文字のようです)。

2004年4月、建設集団軍品研究所は9mm口径警察用サブマシンガン市場を目指し、05式5.8mm消音サブマシンガンの作業が終結した後、JS 9mmサブマシンガンの第1号プロトタイプの研究開発を終えた。この銃の主任設計者は05式消音サブマシンガンの副主任設計者であったため、両銃は外形および構造上同じ血を受け継いでいる。外観上、第1号プロトタイプは基本的に05式5.8mm消音サブマシンガンの短縮型である。9mmと5.8mmという口径の差異により当然行うべきいくつかのな改修を除けば、外形は基本的に変化していない。比較的目立つ点は第1号プロトタイプがまだ5.8mmシリーズのブリッジ式サイトベースを踏襲していたことである(頑住吉注:FAMASのようにキャリングハンドル上にサイトがあるデザインを指しています。光学サイトはさらにこの上に装着するので画像のように非常に高い位置になります)。第1号プロトタイプのストック、レシーバー上部カバー、グリップ等には全て強化されたナイロン材が採用され、保持に便利なようにフォアストックとトリガーガードは一体でつながっていた。前部グリップに似た形状のフォアストックは省スペースだったが、外観上の美観が不十分だった。

2005年1月、第1号プロトタイプの試験過程で表面化したいくつかの問題、および国外市場の要求に対応し、軍研究所の設計人員は第2号プロトタイプの研究開発を開始した。第2号プロトタイプは、95式シリーズが一貫して採用していたキャリングハンドル上のサイトを完全に放棄し、レシーバー上部カバーの上にピカティニーレールを設置した(頑住吉注:一番上の画像がこれで、スコープがずっと低い位置になっているのが分かります。なお、スコープを使わない場合は第1号プロトタイプの画像の1つ下の画像のように機械式サイトをレール上に装着しますが、照準長はピストル並みに短いですね)。レールがバレルに対し安定性を保つことを保証するため、レシーバー上部カバーは材質がアルミ合金に変更され、レシーバーと一体になった(頑住吉注:さらにもう1つ下のフィールドストリップ画像を見てください、本来は金属製のレシーバーがあって、それをプラスチック製のストック、グリップまわり、レシーバー上部カバーという3部品で包むような構造でしたが、レシーバー上部カバーがアルミ合金に変更され、レシーバーと一体になった、ということです)。外観上、第2号プロトタイプは、トリガーガードの前面がバーチカルフォアグリップに近くなり、美観をさらに加えただけでなく、両手保持に便利になり、実用性がさらに向上した。

JS 9mmサブマシンガンは05式サブマシンガンの設計上の風格を踏襲しており、ブルパップ構造、自由遊底式自動方式と慣性閉鎖機構を採用している。この銃は05式サブマシンガンの4列マガジン設計を使用していない。主な理由は9mmピストル弾薬が5.8mmピストル弾薬と比べ、弾薬の径がずっと大きいことである。もし4列マガジンを採用したら、マガジンの寸法は非常に幅広となり、銃全体の幅も大きすぎるものとなる。この他に考慮しなければならない問題は4列マガジンの給弾信頼性という問題である。05式5.8mm消音サブマシンガンの4列マガジンは、すでに国営射撃場での試験を経て設計定型が完成している。しかしマガジン寸法が幅広すぎることは、マガジンアウターの強度問題を生じさせるだろう。マガジンはぶつかった際に容易に変形し、給弾信頼性に重大な影響を及ぼす。もしマガジンアウターの肉厚を増やして強度を上げれば、マガジンの重量もどんどん増加する。このためJS 9mmサブマシンガンは伝統的なダブルフィードのバナナ型マガジンを採用したのである。

JS 9mmサブマシンガンには3つのセーフティが設置されている。これはセレクター一体のセーフティ、グリップセーフティ、不到位セーフティである。セレクターには3つのポジションがあり、「1」の表示ではセミオート、「2」の位置ではフルオート(頑住吉注:これは珍しいですね。普通「∞」とかマガジン容量の数字とかにしますが)、「0」の位置ではセーフティ状態となる。グリップセーフティは回転式機構を採用し(頑住吉注:前回「ガバメントのような」と書きましたが回転軸は下にあるようです)、不到位セーフティは主に射撃時における最初の装填の安全性問題を考慮して設置されたものである。ボルトが前進して定位置に達していない場合、撃発動作は完成しない(頑住吉注:前回オープンボルトだろうと推測したんですが、この記述は明らかにクローズドボルトでの不完全閉鎖からの撃発を指しており、間違っていました)。

(頑住吉注:原ページにはここにフィールドストリップ状態の画像があります)

JS 9mmサブマシンガンの消音器も、05式消音サブマシンガンと同じ消音カップ原理を採用している。測定テスト中、05式消音サブマシンガンの騒音は85式消音サブマシンガンと比べて数デシベル低かったが、JS 9mmサブマシンガンの騒音は85式消音サブマシンガンと比べて約5デシベル高かった。消音性能は設計要求に達しておらず、目下設計者たちはこの問題の解決方法を探し続けている。05式消音サブマシンガンが発射するのは専用の亜音速弾であるが、JS 9mmサブマシンガンが発射するのはDAP92式9mm普通弾である。初速は超音速で、弾頭は飛行時に空気中で衝撃波を起こし、これが騒音超過の主要原因となっている(頑住吉注:それなら亜音速弾を使えばいいだろうと思いますが、たぶん貫通力の低下を嫌うなどの理由で普通弾を使うことが条件として課されているんでしょう)。

消音器とバレルの間には細かいネジ結合が採用されている。この種の結合の長所は両者のより高い同軸性を保証し得ることである。この他消音器は消音を行うのと同時に銃口制退作用をも引き起こす。射撃時、消音器は火薬ガスの前進推力を受け止めるのである。この際消音器はネジ方向に回転する可能性がある。このため消音器とバレルの連結位置には消音器の回転止めが設置されている(頑住吉注:消音器単体の画像を見てください。基部にギザギザがあります。その下の画像に、これとかみ合う銃側の円筒形突起が見えます)。これにより消音器の回転は防止される。

JS 9mmサブマシンガンのサイトベースにはピカティニーレールが採用され、このため各種の光学サイトが増設できる。これには白光サイト、微光サイト、紅外夜視サイトが含まれる(頑住吉注:2つ目はスターライトスコープ、3つ目は赤外線スコープだというのは分かりますが「白光」は意味不明です)。この銃の機械式サイトは面白く、距離100m用にはピープ、150m用にはノッチ式リアサイトを採用している。機械式サイト上には夜間照準用トリチウム光管用の穴があるが、今に至るもプロトタイプにトリチウム管は全く搭載されていない。今年年初に、国内ではまだトリチウム管を生産できないと指摘した文章があり、目下なお国内におけるトリチウム管研究開発がどの程度に至っているのかはっきりしない。将来の輸出時、トリチウムサイトは国外の会社から供給を受ける他ないのだろうか?

JS 9mmサブマシンガンは独立したコッキングハンドルを採用している。コッキングハンドルはレシーバー上部カバーの開口部から突き出てボルトの牽引を行う。コッキングハンドルを後方に引くとボルトが押されて後退し、リコイルスプリングを圧縮して定位置に達した後にコッキングハンドルを放すと、ボルトはリコイルスプリングの作用下で弾薬をチャンバーに押しこみ、閉鎖し、初弾の装填が完了する。コッキングハンドルはボルトの運動には追随しない。この種の構造はボルトに固定されたコッキングハンドルと比べ2つの長所がある。すなわち、1つ目はコッキングハンドルがボルトに追随して運動する際に射手に怪我を負わせる危険が避けられること、2つめはボルト運動時の安定性に与える影響が減少することである(頑住吉注:機構の説明は難しく、訳しきれていない部分もありますが、大筋では間違っていないはずです)。

JS 9mmサブマシンガンは分解結合時に専用工具を必要としない。グリップは中空で、小型の付属品を収納できる。目下なおプロトタイプの試製段階にあるので、プロトタイプのプラスチック製部品には全て機械加工が用いられ、このため表面のクオリティが比較的劣る。もし設計が定まり発注を受けられればすぐ量産開始でき、こうした表面のクオリティは大いに改善されうる。

この他に1つ奇妙な点がある。05式サブマシンガンのセレクターは銃本体の左側にあり、右手の親指で便利に操作できるが、JS 9mmサブマシンガンはこれとはちがって右側になっており、こうした操作に不便である。もし輸出市場を目指すのならば、セレクターは左右両側にあることが望ましい。もう1つの提案はトリガーガードの大型化である。95式自動小銃やロシアのPP-2000に類似した設計を採用すれば、トリガーガードを兼ねた前部グリップを握った際のグリッピングがより堅固になる。


 CS/LS06サブマシンガンのプロトタイプと比べるとずっとましですが、この銃もよく見ると仕上げが荒いことに気付きます。ザラザラのスウェード調スプレーでごまかしていたかつてのガンスミス作品と似た感じです。

 92式ピストルは9mmタイプの開発が先に進行したと書かれていましたし、技術的にも小口径高速弾、4列マガジンを採用した5.8mmタイプより簡単そうなのでちょっと意外な感じですが、この銃は9mmタイプより後で開発され、この記述時点では完成されていないとされています。なお記述時点がいつなのかは不明です。一番下に「2005-06-08/2009-06-04」という表示がありますが、2005年6月20日に書かれ、2009年6月4日に追加訂正等を加えた、といった意味でしょうか。

 FAMASに関し、コッキングハンドルのデザイン上、キャリングハンドルを廃止して上部にレールを設置するには大改造が必要になる、と書きましたが、この銃を見るとそれほど難しくもないかなという気がします。









戻るボタン