ロシアの新型対艦巡航ミサイル

 「空母キラー」というあだ名のつく兵器多いですね。

http://military.china.com/jszmt/02/11173748/20161227/30117128_all.html#page_2


ロシアの「空母キラー」が捲土重来:Kh-32巡航ミサイルがまもなく誕生

ロシアの「紅星」テレビ局ウェブサイトの報道によれば、「彩虹」機器製造設計局によって研究開発される新式巡航ミサイルKh-32の研究開発試験が終わりに近づき、すでに比較的高い技術完備性を具備している。周辺の地縁戦略態勢の変化にかんがみ、ロシアは自身の軍事戦略配備や武器装備の発展を調整し始め、空母艦隊の打撃も改めてロシア軍事力量と武器装備発展の重点に列せられ、Kh-32巡航ミサイルはまさにその中の一部分である。

事実、アメリカの映画「トータル・フィアーズ」の中で、ロシアのツポレフ-22M「バックファイア」爆撃機がアメリカ空母攻撃に用いたミサイルが他ならぬKh-22ミサイルだった。Kh-22の改良グレードアップ版であるKh-32巡航ミサイルは最高飛行速度が5,400km/hに達し得、射程は1,000kmを超え、防空火力網を有効に突破でき、敵サイドの空母や大型艦艇などの目標に対し致命的殺傷をもたらし、敵サイドの空母を打撃する「空母キラー」と讃えられる。

独自の道を切り開く:高空高速で神威を見せつける

巡航ミサイルとは、巡航状態をもって大気圏内を飛行するミサイルであり、地上、空中、水上そして水中から発射でき、主に各種戦術および戦略目標の攻撃に用いる。巡航ミサイルは主にロケットエンジンの推力と翼の空力的揚力に頼って空中の飛行を行い、飛行弾道は通常発進上昇段階、巡航段階、急降下段階を包括する。制御誘導技術、小型航空エンジン、ステルス技術の発展と共に、巡航ミサイルは1970年代に新たな発展の時期に入った。ソ連は1984年および1987年に相次いでKh-55空中発射巡航ミサイル、SS-N-21艦載発射巡航ミサイルの研究開発に成功し、かつ相次いで部隊に装備した。

ロシア軍の「切り札」武器として、Kh-32ミサイルは顕著な「高空高速」の特徴を持つ。通常の状況下では、巡航ミサイルは発射・上昇後迅速に地面あるいは水面からの距離10m前後の高度まで下降し、隠蔽された巡航飛行を行い、したがってレーダー探知計測の死角を利用して敵サイドの偵察を避けかわすのである。だがKh-32ミサイルは独自の道を切り開き、発射後迅速に高空に向かい、成層圏の区域まで飛行して到達し、かつ地表からの距離40,000kmの高度をもって水平飛行する。この種の「高空高速」運動の環境の中では、地上および水上の防空レーダーはKh-32ミサイルの正確な情報を確定するのが非常に難しく、ミサイル迎撃に常用される「イージス」や例えば「パトリオット」ミサイル防衛システム、AIM-7「スパロー」空対空ミサイル、AIM-9「サイドワインダー」空対空ミサイルおよび地対空ミサイルはいずれも有効に対応し難い。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「米軍の『イージス』防空システムが艦載対空ミサイルを発射して目標を迎撃」)

Kh-32巡航ミサイルの打撃方式は「急降下打撃」と言うことができる。Kh-32ミサイルは先進的なレーダー誘導弾頭を配備し、探知計測範囲がさらに一歩拡大し、より遠距離で直接追跡し目標の攻撃を待つことができる。ひとたび目標を発見すれば、Kh-32ミサイルは目標区域に接近し下に向けて大角度で急降下し、直接攻撃を行う。その最高飛行速度は5,400km/h、音速の約4.4倍に達し得るため、敵の防空火力網を有効に突破し、目標に対し致命的な攻撃を行うことができる。

これまでの巡航ミサイルに比べ、Kh-32ミサイルの作戦性能はさらなる一歩の向上が得られている。巡航ミサイルは一般に慣性/地形マッチング制御誘導システムを採用し、かつ衛星ナビゲーションシステムによって正確位置決定を実現することができる。慣性制御誘導に頼るのと同時に、Kh-32ミサイルはさらに能動的に敵サイドの目標を捜索することができる。Kh-32の攻撃速度は高いため、飛行過程の中で必要とされる機動範囲は相応に縮小し、制御誘導システムの精度や中間段階修正に対する依存は相対的に低下する。Kh-32巡航ミサイルは非常に大きく衛星ナビゲーションなどのシステムに対する依存度を減少させており、宇宙装備に対する妨害(頑住吉注:「が攻撃の正確度に影響するのを」でしょうな)を有効に避けることができる。

Kh-32巡航ミサイルは作戦応用が広範で、空母およびその航路護衛艦隊に対し打撃を行うのに用いることができる他、さらに海軍基地、レーダー偵察および妨害装置、地上作戦部隊および発電所や橋梁などの重要戦略目標を有効に打撃できる。多数のKh-32ミサイルが同時に攻撃する時、さらに制御誘導情報を相互に伝達および共有することができる。Kh-32ミサイルは2018年正式に就役し、かつロシアのツポレフ-22M3爆撃機に装備され、ロシア軍戦略威嚇のまた1つの利器となると見られる。

牛刀小試:巡航ミサイル頻繁に剣をきらめかせる (頑住吉注:鶏を割くのにどうして牛刀を用いるか、という言い回しがありますが、「牛刀小試」は牛刀を持っていてもまず鶏を割いて腕試しするみたいな意味らしいです。)

ロシアの巡航ミサイル研究の歴史は悠久である。第二次世界大戦終結後、ソ連は直ちにドイツのV-1ミサイルの残骸を基礎にKh-10ミサイルの研究開発に着手した。ソ連海軍にはアメリカ海軍空母に対抗する作戦船舶が欠けていたので、強烈な作戦の需要はソ連が大量の資金を投入して体積が大きく、速度が速く、殺傷能力が強い対艦巡航ミサイルを研究するよう導いた。技術の累積を経て、ソ連は平行して多くの空中発射、艦載発射、潜水艦発射巡航ミサイルを研究開発し、戦略および戦術核打撃任務も執行できれば、また対艦作戦任務も遂行できた。

ロシアのKh-22ミサイルは1962年に研究開発が開始され、灯油/発煙硝酸液体燃料ロケットエンジンを採用した。その改良型であるKh-22MAミサイルは最大飛行速度がマッハ2.4に達し、射程は600kmに達し得た。新世代液体燃料ロケット技術を採用したため、1990年代初めに研究開発が開始されたKh-32巡航ミサイルは、最大飛行高度がKh-22ミサイルの27kmから40kmまで向上し、同時に射程も比較的大きな向上を得た。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ツポレフ-22M3が多数のKh-22巡航ミサイル搭載する」)

巡航ミサイルは射程が長い、精度が高い、生存能力が強いなど多くのメリットを持ち、近年来ロシアは特に巡航ミサイルの発展を重視し、かつ何度も実戦の中で新式装備に対し検証を行っている。ロシア軍がシリアで「イスラム国」過激主義の打撃を展開する軍事行動の過程の中で、ロシア海軍カスピ海艦隊はシリア国内の目標に向け3M14「クラブ」巡航ミサイルを発射し、1,500km飛行した後正確に予定の目標に命中した。「クラブ」巡航ミサイルは3M10「柘榴石」ミサイルから発展してできたもので、最大射程は2,600kmに達し得る。

また、2016年11月17日、ロシア軍はさらにツポレフ-22M3、ツポレフ-95MS、ツポレフ-160戦略爆撃機を出動させて本土の基地から発進させ、シリア国内の「イスラム国」過激主義武装勢力に対し打撃を展開した。この時の打撃任務の中で、ツポレフ-95MSはKh-55巡航ミサイルを搭載し、ツポレフ-160はKh-101巡航ミサイルを搭載した。Kh-55巡航ミサイルはソ連が研究開発した第3世代遠距離戦略空対地ミサイルで、200万トン相当の核装薬あるいは410kgの通常戦闘部が搭載でき、射程は3,000kmに達し得る。Kh-101ステルス巡航ミサイルは2013年にロシア軍入りして就役し、射程は2,000kmを超え、先進的な外形設計とレーダー波吸収塗装コーティング材料を持つ。

ロシア巡航ミサイルファミリーの中の「エリート」であるKh-555空中発射巡航ミサイルはKh-55を基礎に発展した低空探知計測可能空中発射巡航ミサイルで、主にツポレフ-95MS「ベア」およびツポレフ-160戦略爆撃機への装備に用いられ、20万トン相当の熱核弾頭が搭載でき、巡航高度は40〜110kmで、最大射程は5,500kmである。だがロシアには現在Kh-555ミサイルを搭載する充分な数の爆撃機が欠けているため、極めて大きくKh-555ミサイルの戦略威嚇効果を制限している。

捲土重来:空母キラー手斉上陣 (頑住吉注:「手斉上陣」は検索してもほとんどヒットしないです。)

アメリカ海軍の膨大な空母艦隊戦闘群に比べ、ロシア海軍の力量は相対的に弱小である。現在、ロシア海軍の作戦思想は依然としてソ連時期の、戦闘区域外のミサイルに頼って空母戦闘群に対し攻撃を行う作戦構想を踏襲している。この種の作戦構想の下ででもあるが、Kh-22巡航ミサイルとツポレフ-22M「バックファイア」爆撃機はコンビネーションして作戦集群を構成している。それぞれの集群は20機のツポレフ-22M爆撃機からなり、少なくとも40発のKh-22ミサイルが搭載できる。「バックファイア」爆撃機は可変後退翼設計を採用し、最大作戦半径は2,400kmに達し得る。この種の配置の作戦集群は空母艦隊に遭遇した時、Kh-22ミサイルの一斉射撃により、空母自体を破壊できるだけでなく、さらに艦隊内の駆逐艦、護衛艦などの艦艇を有効に殺傷できる。

Kh-22ミサイルの「グレードアップ強化版」であるKh-32巡航ミサイルは重量6トンに達し、ツポレフ-22M3爆撃機上に装備でき、1機のツポレフ-22M3爆撃機は少なくとも2発のKh-32巡航ミサイルが搭載できる。一方「バックファイア」爆撃機の最新改良型であるM3型は推力がより大きいNK-25エンジンも採用し、適当に主翼の内部への回転角度が増加しており、新型のリェニニェツPN-ADレーダーおよびNK-45ナビゲーション/攻撃システムが搭載でき、さらに一歩低空飛行および対地対艦攻撃能力が向上することになる。

(頑住吉注:原ページのここにある画像のキャプションです。「ロシア空軍のツポレフ-22M3『バックファイア』戦略爆撃機に搭載されるKh-32超音速対艦巡航ミサイル」)

ロシアの空母攻撃作戦集群に有効に対応するため、米軍は甚だしきに至っては専用にF-14A戦闘機と「フェニックス」ミサイルのコンビネーション攻撃模式を登場させ、これは戦闘機を迅速に迎撃ラインに到達させ、早期警戒機とのコンビネーションの下に「バックファイア」爆撃機を迎撃し、空母の防空圏を外に向け500〜600km推進するためのものだった。だがKh-22ミサイルを基礎に改良されてできたKh-32対艦ミサイルは、より高く飛び、射程がより長く、より遠距離で空母艦隊を直接急降下攻撃でき、ロシア海軍がアメリカ空母艦隊を攻撃する能力を有効に向上させることになる。今ツポレフ-22M3爆撃機はKh-32ミサイルを搭載して捲土重来し、米軍の既存のFA-18E戦闘機ではすでに対応し難い。

事実、「バックファイア」爆撃機を使用してKh-32ミサイルを搭載するのは、空母作戦艦隊の打撃に用いることができるだけでなく、さらにはロシアが戦略威嚇を行う重要な手段になり得る。ロシア航空宇宙軍の「バックファイア」戦略爆撃機は主に北オセチア共和国のモズドク基地とサラトフ州エンゲルス市の基地に配備され、この2つの基地はロシア国境に近く、中東周辺諸国の敵対勢力に対し有効な威嚇を生じさせることができる。しかも縦深防御が本来もう小さいヨーロッパに対しては、「バックファイア」爆撃機がKh-22巡航ミサイルを搭載すれば、火力攻撃範囲がもう西欧の大部分の地域をカバーでき、ひとたびKh-32ミサイルが使用されれば、さらに全西欧やイギリスを攻撃範囲に収めることができる。ウクライナ危機以後、ロシアは「政治的孤立、経済制裁、軍事的圧迫、世論のNO」という戦略的に困難な状況に陥っており、アメリカやNATOは機に乗じて勢力範囲を拡大し、ヨーロッパに持続的にミサイル防衛システムを配備し、さらに一歩ロシアの戦略緩衝区を圧縮している。これに対し、ロシアは止むを得ず国の重器を継続してグレードアップし、強力な「「筋肉を見せびらかす」ポーズをもって、国家の利益と地域の戦略バランスを維持保護することになる。

Kh-32巡航ミサイルの研究開発成功は、ロシアが再度アメリカ空母艦隊の打撃を軍事闘争の主要な方向とすることを示し、側面からロシアとアメリカの間の関係のゲームを見せている。特にNATOの東への拡大であり、ウクライナ危機の後、ロシアへの戦略的圧力は日増しに増加し、自身の軍事戦略を調整せざるを得ず、武器装備の発展に対してもスピードアップしてのグレードアップを行い、空母艦隊の打撃も当然にロシア軍事力量と武器装備発展の重点に列せられる。

しかし、ソ連解体後にロシアに対しもたらされた能力の減退はまだ完全に緩和されていない。現在、ロシア空軍および海軍が持つ「バックファイア」爆撃機の数は100機に満たず、アメリカ海軍空母艦隊に対し飽和攻撃を行う能力はすでに以前のようではない。ロシアにとって、Kh-32巡航ミサイルの研究開発成功の他、さらに一歩海上目標捜索システムの規模や能力を向上させることにもより大きな努力を必要とすると言える。


 個々の兵器云々より、本格的な冷戦復活、しかも今回は過去とは比較にならない中国も反米側につくということになってしまうのかが気になりますが。















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